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俺に利が無いからな
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当然アリクから自分と決闘しろと言われた俺はこいつの頭が壊れたのかと一瞬思った。
ついにまともな考えが出来なってしまった・・・・・・そんな事は無い筈だがそう思わずにはいられない。
そもそも二歳も離れた弟に決闘なんて申し込むか普通?
まだ年齢が低い事もあってたった二歳でもそこそこ体格差がある。
いくら俺の口が滑って父さんと母さんから雷を落とされたといっても、そんなに目の敵にするか?
取りあえず理由ぐらいは聞いておくか。
「受けるかどうかは置いといて、なんで俺に決闘を申し込むんだ?」
「そ、それは・・・・・・メ、メリルを俺の専属メイドにするためだ!!!」
アリクの言葉を聞いた俺は直ぐになぜ自分に決闘を申し込んできたのか合点がいった。
そういえばこの阿保はメリルに惚れているんだったな。
確かに男と男が決闘する場合、己のプライドの為に戦うかお互いに何かを賭けて戦うのが普通らしい。
誰が本を基本的に読まないアリクにそんな事を教えたんだ?
まぁ、そこは今どうでもいい。
こいつがその決闘に何を賭けるかが問題だ。
「あっそ。それでお前は決闘に何を賭けるんだ。メリルに釣り合うほどの何かを用意できるのか?」
「おいおい、もしかしてラガス。お前・・・・・・俺に勝てる気でいるのか。そんな事あり得ないんだからお前はただ頷いて決闘を受ければ良いんだよ!!!」
・・・・・・駄目だこいつ。それがもし事実だとすれば俺に一切のメリットが無いんだから頷く筈ないだろ。
それにそんな大きな声を出して誰にもバレないとでも思ってんのか?
俺とアリクから見えない位置で使用人達がどうしたらいいのか分からず、おろおろしてるのにさ。
まぁ、まずこいつからの決闘は拒否しよう。
「話をずらさないでくれるか。お前が言う決闘はお互いに何かを賭ける決闘何だろう。それで俺は仮にメリルを賭けるとして、お前は何を賭けるんだ。どっちが絶対に勝つ負けるどうこうの話じゃなくて、そもそもそこが決まっていないなら俺が承諾する訳無いだろ。俺より二歳も上なんだからもう少し頭を使ったらどうだ阿保アリク」
「お、お前!!! 兄に向かってその口の利き方はなんだ!!!」
「碌に敬語も使えないバカが何偉そうな事言ってるんだよ。それよりお前は何を賭けるんだ。早く答えろよカスアリク」
普段は乱暴な言葉を使わない俺だけど、アリクと話す時だけは口が物凄く悪くなる。
こんな奴相手に敬語を使うなんて絶対に無理だ。吐き気がする。
あっ、・・・・・・ふふ。良いところで来てくれた。
多分俺達の会話を聞いていた使用人の誰かが読んだみたいだな。
「随分と廊下で大声を出して話していたみたいだが、いったい何を話していたんだ?」
「と、父さん。な、なんでここに」
父さんが現れた途端に怯えだしたなこいつ。
てか、父さんが現れ理由ぐらい本当に分からないのか?
「お前があれだ大きな声を出していたんだから、近くにいた使用人の誰かが父さんを呼びに行ったんだろ」
「ラガスの言う通りだ。お前の声は随分と響いていたぞ」
俺の言葉を父さんが肯定した事でアリクは周囲を見渡して、使用人の姿を探す。
・・・・・・やっぱりこいつ阿保だな。もう自分の仕事に戻ってるに決まってるだろ。
「父さん、なんとなくでもどんな事を話していたのか分かってるんじゃないんですか」
「・・・・・・お前に嘘は通用しないみたいだな」
「そんな事無いですよ。ただ少し感が良いだけですよ」
父さんの表情を見た時に少し口角が上がっていたから、なんとなく察せたんだよな。
さて、父さんから見下ろされているアリクは俯いて手が震えている。
本当に後先考えずに行動していたみたいだな。
こういうのを・・・・・・猪突猛進って言うんだっけ?
「さて、ラガスの言う通り話は大体分かっている。ラガス、お前はアリクからの決闘を受けるのか?」
「それ自体は別に大丈夫ですよ。ただ・・・・・・こいつがメリルと釣り合う何かを賭ける事が出来るならの話ですけが」
「確かにそれは大事な事だな。アリク、お前はラガスの専属メイドであるメリルと釣り合う何かを用意する事が出来るのか?」
父さんが一応といった表情でアリクに尋ねる。そんな価値のある物をアリクが持っていない事ぐらい父さんも分かっているみたいだ。
ただ・・・・・・考えようによってはこの状況、こいつが賭ける物を用意できな代わりに俺が父さんに何かを要求する事は可能か?
「父さん、こいつがメリルと釣り合う物なんて持っている筈ないですよ。だから、俺が勝ったら俺の願いを一つ聞いてもらって良いですか」
「・・・・・・何となく察しは付いた。そうだな・・・・・・・・・・・・一先ずアリクとの決闘を見てから判断する。それで構わないか?」
流石父さん、俺の願いが言わなくても分かっているみたいだな。てか、会話が何となく俺が勝つ前提で話している気がするけど、それは俺の気のせい?
「そういうわけだ。決闘は・・・・・・昼食前に行う。十二時に訓練場に来い。審判は俺が行う」
「分かりました」
「分かったぜ父さん。ラガス!!! 逃げるんじゃねぇぞ!!! 安心しろ、直ぐに終わらせてやるからよ!!」
捨て台詞を吐いて去っていくアリクの背中を見て、俺は父さんに一つ尋ねる。
「・・・・・・父さん、なんでアリクはとてつもなく馬鹿なのにも関わらず、あんなに自信があるんでしょうか」
「そこは俺にも分からん。確かに俺の息子なだけに剣の才能はあるかもしれないが、そこまで自身に満ち溢れる程突出したものでは無いんだがな。寧ろラガスの方が才能の面で言えば上だと思うぞ」
それはそれで普通に嬉しいが・・・・・・少しだけアリクが可哀想に思えなくもないな。
これから倒す事に変わりはないが。
第十二回ファンタジー大賞に応募しています。
是非投票をお願いします!
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確かに男と男が決闘する場合、己のプライドの為に戦うかお互いに何かを賭けて戦うのが普通らしい。
誰が本を基本的に読まないアリクにそんな事を教えたんだ?
まぁ、そこは今どうでもいい。
こいつがその決闘に何を賭けるかが問題だ。
「あっそ。それでお前は決闘に何を賭けるんだ。メリルに釣り合うほどの何かを用意できるのか?」
「おいおい、もしかしてラガス。お前・・・・・・俺に勝てる気でいるのか。そんな事あり得ないんだからお前はただ頷いて決闘を受ければ良いんだよ!!!」
・・・・・・駄目だこいつ。それがもし事実だとすれば俺に一切のメリットが無いんだから頷く筈ないだろ。
それにそんな大きな声を出して誰にもバレないとでも思ってんのか?
俺とアリクから見えない位置で使用人達がどうしたらいいのか分からず、おろおろしてるのにさ。
まぁ、まずこいつからの決闘は拒否しよう。
「話をずらさないでくれるか。お前が言う決闘はお互いに何かを賭ける決闘何だろう。それで俺は仮にメリルを賭けるとして、お前は何を賭けるんだ。どっちが絶対に勝つ負けるどうこうの話じゃなくて、そもそもそこが決まっていないなら俺が承諾する訳無いだろ。俺より二歳も上なんだからもう少し頭を使ったらどうだ阿保アリク」
「お、お前!!! 兄に向かってその口の利き方はなんだ!!!」
「碌に敬語も使えないバカが何偉そうな事言ってるんだよ。それよりお前は何を賭けるんだ。早く答えろよカスアリク」
普段は乱暴な言葉を使わない俺だけど、アリクと話す時だけは口が物凄く悪くなる。
こんな奴相手に敬語を使うなんて絶対に無理だ。吐き気がする。
あっ、・・・・・・ふふ。良いところで来てくれた。
多分俺達の会話を聞いていた使用人の誰かが読んだみたいだな。
「随分と廊下で大声を出して話していたみたいだが、いったい何を話していたんだ?」
「と、父さん。な、なんでここに」
父さんが現れた途端に怯えだしたなこいつ。
てか、父さんが現れ理由ぐらい本当に分からないのか?
「お前があれだ大きな声を出していたんだから、近くにいた使用人の誰かが父さんを呼びに行ったんだろ」
「ラガスの言う通りだ。お前の声は随分と響いていたぞ」
俺の言葉を父さんが肯定した事でアリクは周囲を見渡して、使用人の姿を探す。
・・・・・・やっぱりこいつ阿保だな。もう自分の仕事に戻ってるに決まってるだろ。
「父さん、なんとなくでもどんな事を話していたのか分かってるんじゃないんですか」
「・・・・・・お前に嘘は通用しないみたいだな」
「そんな事無いですよ。ただ少し感が良いだけですよ」
父さんの表情を見た時に少し口角が上がっていたから、なんとなく察せたんだよな。
さて、父さんから見下ろされているアリクは俯いて手が震えている。
本当に後先考えずに行動していたみたいだな。
こういうのを・・・・・・猪突猛進って言うんだっけ?
「さて、ラガスの言う通り話は大体分かっている。ラガス、お前はアリクからの決闘を受けるのか?」
「それ自体は別に大丈夫ですよ。ただ・・・・・・こいつがメリルと釣り合う何かを賭ける事が出来るならの話ですけが」
「確かにそれは大事な事だな。アリク、お前はラガスの専属メイドであるメリルと釣り合う何かを用意する事が出来るのか?」
父さんが一応といった表情でアリクに尋ねる。そんな価値のある物をアリクが持っていない事ぐらい父さんも分かっているみたいだ。
ただ・・・・・・考えようによってはこの状況、こいつが賭ける物を用意できな代わりに俺が父さんに何かを要求する事は可能か?
「父さん、こいつがメリルと釣り合う物なんて持っている筈ないですよ。だから、俺が勝ったら俺の願いを一つ聞いてもらって良いですか」
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流石父さん、俺の願いが言わなくても分かっているみたいだな。てか、会話が何となく俺が勝つ前提で話している気がするけど、それは俺の気のせい?
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「分かりました」
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捨て台詞を吐いて去っていくアリクの背中を見て、俺は父さんに一つ尋ねる。
「・・・・・・父さん、なんでアリクはとてつもなく馬鹿なのにも関わらず、あんなに自信があるんでしょうか」
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