117 / 167
第117話 戦乙女
しおりを挟む「――や、やっと帰ってこれた……」
あの後、なんだかんだあって帰ってくることができた。結構近いところにあってよかった。
「……ま、またここ飛ぶの?」
下にはベットがあるがやっぱり怖い。未来ちゃんは興奮してるようで飛び降りようとしていた。
「ちょちょちょ!未来ちゃん飛ぶの!?」
「うん!飛びたい!」
なんとか止めようとしたけど、未来ちゃんはウッキウキで下へと飛び降りた。
下で未来ちゃんがキャーキャー言っている。……嘘でしょ……未来ちゃんここ飛べるのぉ?
「はよ降りてこい」
下からノアの声が聞こえてくる。……降りれたら降りてるわ!
「ちょい!ハシゴ持ってきてよ!行く時置いてたでしょ!?」
「あれ重いんだよ。飛び降りた方がはやい」
なーんーでーーー!?持ってきてくれたらいーじゃーーん!!こんな所から飛び降りれるわけないジャーン!!
「お姉ちゃん降りれないの?」
「そうだぞー。降りれないのかお姉ちゃーん?」
くっそ!百合ちゃんが参戦してきやがった!回復したのは嬉しいけど腹立つぅ!!
「黙らっしゃい!!お、降りれるしー!これくらい……降りれますぅー!!」
私のプライドが火を噴いた。でも怖いものは怖い。
脚だけをプラプラと降ろしてみる。……なんかお尻がゾワゾワとする。
「うぅ……み、見てろぉ!降りるからなぁ!」
「ママ!!」
「未来!!」
未来ちゃんと荊棘さんが泣きながら抱き合っている。……今かぁ……今感動ムード出すのかぁ。なんか周りのみんなも感動ムード出してるんだけどぉ。私ここでビビり散らしてるんですけどぉ。
私がプルプルと震えていると、感動ムードが終わったみんなが私の方に向いてきた。……そんな見ないで……。
「花音ちゃんそろそろ降りてきなよー」
「そうだよー。降りてきたら頭撫でてあげるわよー」
「あーもー!!真唯さんまで悪ノリしないでー!!」
ちくしょう……小さい女の子が飛べて私が飛べないなんてぇ。情けないぃ……。
「はぁ……仕方ない」
ノアがパンパンと2回手を叩いた。……あれ?これってもしかして……。
「ちょちょっと待ってよ!まだ気持ちが整ってないというか、心が統一されてないというか、脚の調子が悪いというか、心の猫ちゃんがビビってるっていうか――」
足を掴まれた。あーまたこのパターン。ヤダヤダ男の子って野蛮ね。……あはは。
イコライザーに布団の上に叩き落とされた。バフンってなった。体がトランポリンみたいにはねる。
「……も、もうちょっと優しくしてぇ……」
「花音ちゃん。それえっちだからこれから言っちゃダメだよ」
「はい……」
百合ちゃんに頭を撫でられた。……ちきしょー。
「――やっぱりおかしいね」
まくっていた服を戻してお腹を隠す。まだまだ思春期なので素肌を見せるのは恥ずかしい。
私はおじいさんおばあさんに体を見られていた。……これだと誤解されそうだね。怪我がないかを見てもらっていた。
「食道に何か異物があるね……なんだろう」
「……あ、あのぅ……」
女の子に卵を産み付けられたとは言いにくい……。
「……あなたはあっちいってて」
「わかった。ただ病名だけは聞かせてくれよ」
おじいさんがみんなの所に行った。おばあさんが優しいな……。
「……まぁ、言いにくいこともあるわよね。でも治すためには言ってもらわないと。ここには機材もないし」
「……信じてくれます?」
「うん。大丈夫よ。言ってみなさい」
「……卵」
「え?」
「卵を産み付けられました……女の子に……」
おばあさんがポカンと口を開けている。まぁそりゃそうか。私も同じ立場なら同じ状況になる。
「……それ本当よね?」
「はい……お恥ずかしながら……」
「……わかったわ。信じる。こんな状況なんだしありえないこともないわよね……」
くっそ恥ずかしい。エプムーサめ、こんなに時間が経ってもダメージを与えてくるとはぁ……。
「ちょっと服を脱いでくれない?」
言われるがまま上の服を脱いだ。ちょっと肌寒い。冷たい空気が肌にまとわりついた。
おばあさんが私の胸の中心くらいに指を置いてきた。目を瞑って集中しているようだ。
「……確かに卵ね。多分カエルの卵みたいなゼリー状のやつ。でも食道に引っ付いてる。カルシウムの塊が食堂に根を張ってるわ」
「カルシウムって根を張るんですか?」
「ただの比喩よ。……でもちょっとだけね……これくらいならお酢を飲めば溶けて胃に落ちていくわ」
「3日以内に治りますか?」
「もちろん飲む量にもよるけど、これくらいなら頑張って飲めば大丈夫よ」
私は体がパァっと軽くなったのがわかる。これで私はエイリアンみたいなことにならなくて済む!
私は服をきながらおばあさんにお礼を言った。
「あの……おばあさんありがとうございます」
「おばあさんじゃなくて、美代子。川口美代子よ。ちなみに私の夫は川口幸雄よ」
美代子さんはウインクをして私の前にペットボトルに入れられたお酢を置いた。……これを飲むのかぁ。
続く
あの後、なんだかんだあって帰ってくることができた。結構近いところにあってよかった。
「……ま、またここ飛ぶの?」
下にはベットがあるがやっぱり怖い。未来ちゃんは興奮してるようで飛び降りようとしていた。
「ちょちょちょ!未来ちゃん飛ぶの!?」
「うん!飛びたい!」
なんとか止めようとしたけど、未来ちゃんはウッキウキで下へと飛び降りた。
下で未来ちゃんがキャーキャー言っている。……嘘でしょ……未来ちゃんここ飛べるのぉ?
「はよ降りてこい」
下からノアの声が聞こえてくる。……降りれたら降りてるわ!
「ちょい!ハシゴ持ってきてよ!行く時置いてたでしょ!?」
「あれ重いんだよ。飛び降りた方がはやい」
なーんーでーーー!?持ってきてくれたらいーじゃーーん!!こんな所から飛び降りれるわけないジャーン!!
「お姉ちゃん降りれないの?」
「そうだぞー。降りれないのかお姉ちゃーん?」
くっそ!百合ちゃんが参戦してきやがった!回復したのは嬉しいけど腹立つぅ!!
「黙らっしゃい!!お、降りれるしー!これくらい……降りれますぅー!!」
私のプライドが火を噴いた。でも怖いものは怖い。
脚だけをプラプラと降ろしてみる。……なんかお尻がゾワゾワとする。
「うぅ……み、見てろぉ!降りるからなぁ!」
「ママ!!」
「未来!!」
未来ちゃんと荊棘さんが泣きながら抱き合っている。……今かぁ……今感動ムード出すのかぁ。なんか周りのみんなも感動ムード出してるんだけどぉ。私ここでビビり散らしてるんですけどぉ。
私がプルプルと震えていると、感動ムードが終わったみんなが私の方に向いてきた。……そんな見ないで……。
「花音ちゃんそろそろ降りてきなよー」
「そうだよー。降りてきたら頭撫でてあげるわよー」
「あーもー!!真唯さんまで悪ノリしないでー!!」
ちくしょう……小さい女の子が飛べて私が飛べないなんてぇ。情けないぃ……。
「はぁ……仕方ない」
ノアがパンパンと2回手を叩いた。……あれ?これってもしかして……。
「ちょちょっと待ってよ!まだ気持ちが整ってないというか、心が統一されてないというか、脚の調子が悪いというか、心の猫ちゃんがビビってるっていうか――」
足を掴まれた。あーまたこのパターン。ヤダヤダ男の子って野蛮ね。……あはは。
イコライザーに布団の上に叩き落とされた。バフンってなった。体がトランポリンみたいにはねる。
「……も、もうちょっと優しくしてぇ……」
「花音ちゃん。それえっちだからこれから言っちゃダメだよ」
「はい……」
百合ちゃんに頭を撫でられた。……ちきしょー。
「――やっぱりおかしいね」
まくっていた服を戻してお腹を隠す。まだまだ思春期なので素肌を見せるのは恥ずかしい。
私はおじいさんおばあさんに体を見られていた。……これだと誤解されそうだね。怪我がないかを見てもらっていた。
「食道に何か異物があるね……なんだろう」
「……あ、あのぅ……」
女の子に卵を産み付けられたとは言いにくい……。
「……あなたはあっちいってて」
「わかった。ただ病名だけは聞かせてくれよ」
おじいさんがみんなの所に行った。おばあさんが優しいな……。
「……まぁ、言いにくいこともあるわよね。でも治すためには言ってもらわないと。ここには機材もないし」
「……信じてくれます?」
「うん。大丈夫よ。言ってみなさい」
「……卵」
「え?」
「卵を産み付けられました……女の子に……」
おばあさんがポカンと口を開けている。まぁそりゃそうか。私も同じ立場なら同じ状況になる。
「……それ本当よね?」
「はい……お恥ずかしながら……」
「……わかったわ。信じる。こんな状況なんだしありえないこともないわよね……」
くっそ恥ずかしい。エプムーサめ、こんなに時間が経ってもダメージを与えてくるとはぁ……。
「ちょっと服を脱いでくれない?」
言われるがまま上の服を脱いだ。ちょっと肌寒い。冷たい空気が肌にまとわりついた。
おばあさんが私の胸の中心くらいに指を置いてきた。目を瞑って集中しているようだ。
「……確かに卵ね。多分カエルの卵みたいなゼリー状のやつ。でも食道に引っ付いてる。カルシウムの塊が食堂に根を張ってるわ」
「カルシウムって根を張るんですか?」
「ただの比喩よ。……でもちょっとだけね……これくらいならお酢を飲めば溶けて胃に落ちていくわ」
「3日以内に治りますか?」
「もちろん飲む量にもよるけど、これくらいなら頑張って飲めば大丈夫よ」
私は体がパァっと軽くなったのがわかる。これで私はエイリアンみたいなことにならなくて済む!
私は服をきながらおばあさんにお礼を言った。
「あの……おばあさんありがとうございます」
「おばあさんじゃなくて、美代子。川口美代子よ。ちなみに私の夫は川口幸雄よ」
美代子さんはウインクをして私の前にペットボトルに入れられたお酢を置いた。……これを飲むのかぁ。
続く
257
お気に入りに追加
714
あなたにおすすめの小説

(短編)いずれ追放される悪役令嬢に生まれ変わったけど、原作補正を頼りに生きます。
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚約破棄からの追放される悪役令嬢に生まれ変わったと気づいて、シャーロットは王妃様の前で屁をこいた。なのに王子の婚約者になってしまう。どうやら強固な強制力が働いていて、どうあがいてもヒロインをいじめ、王子に婚約を破棄され追放……あれ、待てよ? だったら、私、その日まで不死身なのでは?

【完結】兄の事を皆が期待していたので僕は離れます
まりぃべる
ファンタジー
一つ年上の兄は、国の為にと言われて意気揚々と村を離れた。お伽話にある、奇跡の聖人だと幼き頃より誰からも言われていた為、それは必然だと。
貧しい村で育った弟は、小さな頃より家の事を兄の分までせねばならず、兄は素晴らしい人物で対して自分は凡人であると思い込まされ、自分は必要ないのだからと弟は村を離れる事にした。
そんな弟が、自分を必要としてくれる人に会い、幸せを掴むお話。
☆まりぃべるの世界観です。緩い設定で、現実世界とは違う部分も多々ありますがそこをあえて楽しんでいただけると幸いです。
☆現実世界にも同じような名前、地名、言葉などがありますが、関係ありません。

元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

王家も我が家を馬鹿にしてますわよね
章槻雅希
ファンタジー
よくある婚約者が護衛対象の王女を優先して婚約破棄になるパターンのお話。あの手の話を読んで、『なんで王家は王女の醜聞になりかねない噂を放置してるんだろう』『てか、これ、王家が婚約者の家蔑ろにしてるよね?』と思った結果できた話。ひそかなサブタイは『うちも王家を馬鹿にしてますけど』かもしれません。
『小説家になろう』『アルファポリス』(敬称略)に重複投稿、自サイトにも掲載しています。
異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します
桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

婚約破棄の後始末 ~息子よ、貴様何をしてくれってんだ!
タヌキ汁
ファンタジー
国一番の権勢を誇る公爵家の令嬢と政略結婚が決められていた王子。だが政略結婚を嫌がり、自分の好き相手と結婚する為に取り巻き達と共に、公爵令嬢に冤罪をかけ婚約破棄をしてしまう、それが国を揺るがすことになるとも思わずに。
これは馬鹿なことをやらかした息子を持つ父親達の嘆きの物語である。

『完結済』ポーションが不味すぎるので、美味しいポーションを作ったら
七鳳
ファンタジー
※毎日8時と18時に更新中!
※いいねやお気に入り登録して頂けると励みになります!
気付いたら異世界に転生していた主人公。
赤ん坊から15歳まで成長する中で、異世界の常識を学んでいくが、その中で気付いたことがひとつ。
「ポーションが不味すぎる」
必需品だが、みんなが嫌な顔をして買っていく姿を見て、「美味しいポーションを作ったらバカ売れするのでは?」
と考え、試行錯誤をしていく…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる