115 / 167
第115話 おかしい割合
しおりを挟む
「割と大きな街で……活気もあるな」
王都を離れて十数日。
アストは店を開くのに丁度良い街……アプストに到着。
(とりあえず、宿を確保しないとな)
金に余裕があるアストはそれなりに質の高い宿の部屋を、ひとまず十日間分の確保。
青年が一人で行動してるという状況に、従業員は「本当にこいつは払えるのか?」という気持ちがほんの少しだけ顔に出ていたが、大量の金貨を見たことで直ぐに引っ込んだ。
「…………やけに、強い感じの女性が多いな」
ただ筋肉質のメスゴリラが大量にいるという訳ではなく、剣士としての切れ味、魔術師がかもし出す魔力の重厚な雰囲気。
そういった様々な面で、道を歩く女性たちから強さを感じる。
勿論、男性の冒険者などもちらほらと見かけるが……やや数が少ないように見える。
(アマゾネスの集落が近いとか……か?)
アプストに到着した日は特に冒険者として、バーテンダーとしても働くことなく街を散策し、酒場で飯を食って一日を終えた。
翌日、バーを開らなかったこともあり、普段よりも早く目が覚めたアストは朝食を食べ終えた後、のんびりとした足取りで冒険者ギルドへ向かった。
「ん~~~~~…………昨日、俺が感じた感覚は間違ってなかったみたいだな」
朝早い時間帯ということもあり、冒険者ギルドのロビーには多くの冒険者たちがいた。
ざっと確認した限り……冒険者の男女の割合が五対五。
(あまり気にせずここまで来たが、もう少し情報収集しておくべきだったか?)
戦闘職である冒険者は、一攫千金を目指すことが出来なくもない職業ではあるが、女性であるなら冒険者よりも冒険者ギルドの華である受付嬢になりたいと願う。
基本的に命が危機に晒されることはなく、一般的な職業と比べてかなり給金が高い。
(……男の冒険者たちは、中には少し戸惑ってる者たちもいるが、大半の者たちは慣れているみたいだな)
理由は解らない。
事前情報がないため、理由は解らないが……そこまで悩み、恐れる必要はない。
そう判断したアストをクエストボードから少し離れた位置まで進み、貼り付けられている依頼書を眺め始めた。
(依頼書の数が多いな。討伐系が多いのは勿論だが、採集系の依頼もそこそこある………………今更後悔しても仕方ないな)
もっと事前に情報を集めておけば良かったと思いつつも、今更遅い。
アストは諦めて自分一人でも達成出来そうな依頼を探し始めた。
「………………あれにするか」
見つけた依頼は、フォレストウルフの毛皮の納品依頼。
数は一体だけであり、今日中に終わらせられる可能性が非常に高い。
「あっ」
「…………どうぞ」
「えっ、良いの?」
アストと同じ依頼書を狙っていたアマゾネスの女性冒険者。
二人ともギリギリのところで手が止まったが、アストは絶対に受けたい依頼……報酬金額超魅力的だったという訳でもないため、直ぐに諦めて冒険者ギルドから出て行った。
(今日は適当に狩ろう)
冒険者ギルドに素材を売却すれば、一応冒険者として働いていることにはなる。
その考え自体は間違ってないが、街を出て森に入ってから数時間後……アストはほんの少し、後悔していた。
「はぁ~~~~……なんだこの森。ちょっとモンスターが多すぎないか?」
現在、アストの足元にはコボルトの上位種とオークの死体が複数転がっている。
因みに、これが森に入ってから初めての戦闘ではなく、既に五回ほど野性のモンスターとエンカウントしている。
(とりあえず解体するか~~~)
アイテムバッグの中から結界を展開するマジックアイテムを取り出し、展開。
血抜きをし、使える素材を捌いていくこと約十分後……あるモンスターがアストをロックオンした。
「……なんで別の獲物を探しに行かないんだよ」
結界の中にいるアストをロックオンしているモンスターは……朝、アストが受けようかと思っていた納品依頼の為に討伐しなければならないモンスター、フォレストウルフだった。
(しょうがない、サクッとやるか)
ひとまずは存在を無視して残っている死体の解体を行い、売却できる素材をアイテムバッグに入れた後……結界を解除する前に、一つの武器を取り出した。
「ワゥッ!!!!!!!!」
アストが結界を解除した瞬間、フォレストウルフは速攻で距離を詰めて直接斬り裂くのではなく、その場で跳躍し……一回転しながら旋風の斬撃刃を放った。
(やっぱり、賢い個体だな)
展開していた結界であれば、なんとCランクモンスターの攻撃であっても余裕で弾き飛ばす。
しかし、当然ながら結界内での用事が終われば、解除して移動しなければならない。
フォレストウルフは人間の動きをそこまで理解していたからこそ、結界を張られていようが気にせず獲物が動くのを待ち続けていた。
「フッ!!!!!!!」
「ッ……っ…………」
ただ、距離を詰めるのか、それとも遠距離から攻撃を放つのか。
それさえ分かってしまえば……刀による斬撃が全てを断つ。
「…………マジで良い武器をゲット出来たよな」
同じく旋風の斬撃刃を放ったアスト。
威力の差により、フォレストウルフが放った遠距離攻撃は霧散し、地面に着地する前にアストが放った斬撃刃が真っ二つにその体を斬り裂いた。
王都を離れて十数日。
アストは店を開くのに丁度良い街……アプストに到着。
(とりあえず、宿を確保しないとな)
金に余裕があるアストはそれなりに質の高い宿の部屋を、ひとまず十日間分の確保。
青年が一人で行動してるという状況に、従業員は「本当にこいつは払えるのか?」という気持ちがほんの少しだけ顔に出ていたが、大量の金貨を見たことで直ぐに引っ込んだ。
「…………やけに、強い感じの女性が多いな」
ただ筋肉質のメスゴリラが大量にいるという訳ではなく、剣士としての切れ味、魔術師がかもし出す魔力の重厚な雰囲気。
そういった様々な面で、道を歩く女性たちから強さを感じる。
勿論、男性の冒険者などもちらほらと見かけるが……やや数が少ないように見える。
(アマゾネスの集落が近いとか……か?)
アプストに到着した日は特に冒険者として、バーテンダーとしても働くことなく街を散策し、酒場で飯を食って一日を終えた。
翌日、バーを開らなかったこともあり、普段よりも早く目が覚めたアストは朝食を食べ終えた後、のんびりとした足取りで冒険者ギルドへ向かった。
「ん~~~~~…………昨日、俺が感じた感覚は間違ってなかったみたいだな」
朝早い時間帯ということもあり、冒険者ギルドのロビーには多くの冒険者たちがいた。
ざっと確認した限り……冒険者の男女の割合が五対五。
(あまり気にせずここまで来たが、もう少し情報収集しておくべきだったか?)
戦闘職である冒険者は、一攫千金を目指すことが出来なくもない職業ではあるが、女性であるなら冒険者よりも冒険者ギルドの華である受付嬢になりたいと願う。
基本的に命が危機に晒されることはなく、一般的な職業と比べてかなり給金が高い。
(……男の冒険者たちは、中には少し戸惑ってる者たちもいるが、大半の者たちは慣れているみたいだな)
理由は解らない。
事前情報がないため、理由は解らないが……そこまで悩み、恐れる必要はない。
そう判断したアストをクエストボードから少し離れた位置まで進み、貼り付けられている依頼書を眺め始めた。
(依頼書の数が多いな。討伐系が多いのは勿論だが、採集系の依頼もそこそこある………………今更後悔しても仕方ないな)
もっと事前に情報を集めておけば良かったと思いつつも、今更遅い。
アストは諦めて自分一人でも達成出来そうな依頼を探し始めた。
「………………あれにするか」
見つけた依頼は、フォレストウルフの毛皮の納品依頼。
数は一体だけであり、今日中に終わらせられる可能性が非常に高い。
「あっ」
「…………どうぞ」
「えっ、良いの?」
アストと同じ依頼書を狙っていたアマゾネスの女性冒険者。
二人ともギリギリのところで手が止まったが、アストは絶対に受けたい依頼……報酬金額超魅力的だったという訳でもないため、直ぐに諦めて冒険者ギルドから出て行った。
(今日は適当に狩ろう)
冒険者ギルドに素材を売却すれば、一応冒険者として働いていることにはなる。
その考え自体は間違ってないが、街を出て森に入ってから数時間後……アストはほんの少し、後悔していた。
「はぁ~~~~……なんだこの森。ちょっとモンスターが多すぎないか?」
現在、アストの足元にはコボルトの上位種とオークの死体が複数転がっている。
因みに、これが森に入ってから初めての戦闘ではなく、既に五回ほど野性のモンスターとエンカウントしている。
(とりあえず解体するか~~~)
アイテムバッグの中から結界を展開するマジックアイテムを取り出し、展開。
血抜きをし、使える素材を捌いていくこと約十分後……あるモンスターがアストをロックオンした。
「……なんで別の獲物を探しに行かないんだよ」
結界の中にいるアストをロックオンしているモンスターは……朝、アストが受けようかと思っていた納品依頼の為に討伐しなければならないモンスター、フォレストウルフだった。
(しょうがない、サクッとやるか)
ひとまずは存在を無視して残っている死体の解体を行い、売却できる素材をアイテムバッグに入れた後……結界を解除する前に、一つの武器を取り出した。
「ワゥッ!!!!!!!!」
アストが結界を解除した瞬間、フォレストウルフは速攻で距離を詰めて直接斬り裂くのではなく、その場で跳躍し……一回転しながら旋風の斬撃刃を放った。
(やっぱり、賢い個体だな)
展開していた結界であれば、なんとCランクモンスターの攻撃であっても余裕で弾き飛ばす。
しかし、当然ながら結界内での用事が終われば、解除して移動しなければならない。
フォレストウルフは人間の動きをそこまで理解していたからこそ、結界を張られていようが気にせず獲物が動くのを待ち続けていた。
「フッ!!!!!!!」
「ッ……っ…………」
ただ、距離を詰めるのか、それとも遠距離から攻撃を放つのか。
それさえ分かってしまえば……刀による斬撃が全てを断つ。
「…………マジで良い武器をゲット出来たよな」
同じく旋風の斬撃刃を放ったアスト。
威力の差により、フォレストウルフが放った遠距離攻撃は霧散し、地面に着地する前にアストが放った斬撃刃が真っ二つにその体を斬り裂いた。
277
お気に入りに追加
714
あなたにおすすめの小説

(短編)いずれ追放される悪役令嬢に生まれ変わったけど、原作補正を頼りに生きます。
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚約破棄からの追放される悪役令嬢に生まれ変わったと気づいて、シャーロットは王妃様の前で屁をこいた。なのに王子の婚約者になってしまう。どうやら強固な強制力が働いていて、どうあがいてもヒロインをいじめ、王子に婚約を破棄され追放……あれ、待てよ? だったら、私、その日まで不死身なのでは?

冷遇妻に家を売り払われていた男の裁判
七辻ゆゆ
ファンタジー
婚姻後すぐに妻を放置した男が二年ぶりに帰ると、家はなくなっていた。
「では開廷いたします」
家には10億の価値があったと主張し、妻に離縁と損害賠償を求める男。妻の口からは二年の事実が語られていく。

兄がやらかしてくれました 何をやってくれてんの!?
志位斗 茂家波
ファンタジー
モッチ王国の第2王子であった僕は、将来の国王は兄になると思って、王弟となるための勉学に励んでいた。
そんなある日、兄の卒業式があり、祝うために家族の枠で出席したのだが‥‥‥婚約破棄?
え、なにをやってんの兄よ!?
…‥‥月に1度ぐらいでやりたくなる婚約破棄物。
今回は悪役令嬢でも、ヒロインでもない視点です。
※ご指摘により、少々追加ですが、名前の呼び方などの決まりはゆるめです。そのあたりは稚拙な部分もあるので、どうかご理解いただけるようにお願いしマス。

婚約破棄され、平民落ちしましたが、学校追放はまた別問題らしいです
かぜかおる
ファンタジー
とある乙女ゲームのノベライズ版悪役令嬢に転生いたしました。
強制力込みの人生を歩み、冤罪ですが断罪・婚約破棄・勘当・平民落ちのクアドラプルコンボを食らったのが昨日のこと。
これからどうしようかと途方に暮れていた私に話しかけてきたのは、学校で歴史を教えてるおじいちゃん先生!?

もしかして寝てる間にざまぁしました?
ぴぴみ
ファンタジー
令嬢アリアは気が弱く、何をされても言い返せない。
内気な性格が邪魔をして本来の能力を活かせていなかった。
しかし、ある時から状況は一変する。彼女を馬鹿にし嘲笑っていた人間が怯えたように見てくるのだ。
私、寝てる間に何かしました?

勝手に召喚され捨てられた聖女さま。~よっしゃここから本当のセカンドライフの始まりだ!~
楠ノ木雫
ファンタジー
IT企業に勤めていた25歳独身彼氏無しの立花菫は、勝手に異世界に召喚され勝手に聖女として称えられた。確かにステータスには一応〈聖女〉と記されているのだが、しばらくして偽物扱いされ国を追放される。まぁ仕方ない、と森に移り住み神様の助けの元セカンドライフを満喫するのだった。だが、彼女を追いだした国はその日を境に天気が大荒れになり始めていき……
※他の投稿サイトにも掲載しています。

ねえ、今どんな気持ち?
かぜかおる
ファンタジー
アンナという1人の少女によって、私は第三王子の婚約者という地位も聖女の称号も奪われた
彼女はこの世界がゲームの世界と知っていて、裏ルートの攻略のために第三王子とその側近達を落としたみたい。
でも、あなたは真実を知らないみたいね
ふんわり設定、口調迷子は許してください・・・

追放された薬師でしたが、特に気にもしていません
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。
まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。
だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥
たまにやりたくなる短編。
ちょっと連載作品
「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる