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第32話 頑丈ではある
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「さて、気を引き締めていこうか」
休憩後、再度走って移動し続けたアストたち。
余力を残しながら、目的の森へ到着。
(……聞いてた話通り、雰囲気がある場所だな)
冒険者歴はまだ三年ではあるが、転生者故に色々とフライングしていたアストの命を懸けた経験年数は……三年よりも長い。
「…………偶に、騎士学校の学生たちが、遠征に来てるんだったな」
「あぁ~~~。そんな話も聞いたことあんな。人間相手に訓練してきたがキンチョたちが、いきなりこういった場所で普段通り戦えるとは思えねぇけどな」
「学園側としては、それが目的なんじゃないのか?」
「ふむ、気になる話題だ。詳しく聞かせてもらっても良いか、アスト」
「そんな大層な考えがある訳じゃないんだが……騎士を育成する学園に入学するぐらいなんだから、モンスターとの戦闘経験は俺たちより少なくても、それなりに頑丈な体は持ってる筈だろ。だから、危機に遭遇しても早々死ぬことはない。教師たちとしては、その危機から世の中の広さ、自分の小ささ的なものを知ってもらおうと考えてるんじゃねぇのかと思ってな」
アストの説明にロクターは深く頷きながら楽し気な笑みを浮かべ、アストに次のような提案をした。
「アストは冒険者を引退した後、指導者としての道もありそうだな」
「俺は何言ってんのかいまいち解んなかったけど、ロクターがうんうんって頷いてたし、そういう小難しいことを考えられる頭を持ってんなら、そういう道もあるんだろうな」
「……二人とも、そうやって褒めてくれるのは嬉しいが、引退後もバーテンダーを続けるというのは決めてるんだ」
冒険者歴三年程度ではあるが、その三年の中で同世代のルーキーたちにアドバイスを行いながら共に訓練をする時があり。ギルド職員たちもその光景を見ていた。
同世代のルーキー同士が、自分たちの足りないところを話し合いながら訓練を行う……そういった光景は偶に見る。
珍しい光景ではあるが、全く見られない光景という訳でもない。
しかし、そこにアストがいる場合……アストだけが他のルーキーにアドバイスを送り、共に訓練というよりは指導に近い形になる。
「教師なのに、午後はバーテンダー……ギャップ? ってやつでモテそうね。今度は教え子から刺されるのかしら」
「いや、だからなんでそうなるんだよ。つか、生徒に手を出すのはアウト過ぎるだろ」
前世の記憶があるアストにとって、教師が生徒に出すというのは……一発でアウトという印象が強く残っている。
この世界に成人している男が十八歳以下の女性に手を出したら云云かんぬんといった法律はないものの……バレれば、イメージダウンは免れず、信用も失うだろう。
「歳取ってからもモテモテなんて、男にとっちゃ最高なんじゃないの?」
「まだ大して歳を取ってないから解らないっての。つか、冒険者を引退するぐらいの年齢になったら……そこら辺も落ち着いてるだろ」
最後の最後までバーテンダーとして生きると決めているアストではあるが、それでも冒険者業が嫌いなわけではない。
続けられるなら、もう本当に限界だと思う時まで続けようと考えている。
(つっても、前世だと……芸能人とか、五十過ぎても元気な人は元気っぽいし……いやいやいや、それでも仮に引退後に指導者、教職に就いて教え子に手を出すのはアウトだろ)
やましい妄想を頭の中から掻き消しながらも、アストはしっかりと周囲の警戒を続けている。
「っと、どうやら客みてぇだな。どうするリーダー? いつも通り、誰か一人……もしくはタッグで戦うか?」
「いや、今回は全員で戦うぞ。依頼の内容的に、どんな時でも余力は残しておきたい」
「あぃよッ!!!!!!!」
五人の前に現れたモンスターは巨体と鋭い牙を持つ虎。
Cランクモンスターのファングタイガー。
鋭い牙と、ネコ科特有の瞬微さが厄介なモンスターだが、この場にファングタイガーを恐れる者は誰一人いない。
(さてと、適当に狙うか)
アストは愛剣に魔力を纏わせ、移動しながらファングタイガーを狙い……刺突を放つ。
放たれた魔力の刺突は、魔力を纏いながら強化スキルを使用しているファングタイガーを容易に貫くことはないが、間違いなく体に突き刺さる。
ファングタイガーからすればできれば食らいたくない一撃。
しかしその刺突を避ける……もしくは裂爪で弾こうとすれば……強力な一撃を有するロルバとガリアスの猛攻に捕まってしまう。
「はっはっは!!! マジで呆気なく終わっちまったな」
「ナイス援護だった、アスト!!」
「どうも。けど、二人の攻撃があってこそだ。流石もうすぐBランクのメンバーだな」
最終的に全員で仕留めるつもりではあったが、アストとロルバ、ガリアスの三人だけで仕留め終わってしまった。
今回の戦いでアストは遠距離からのサポートしか行っておらず、二人の攻撃だけで決して低くないファングタイガーの防御力をぶち破った。
(今回の面子なら、イレギュラーが起こっても問題無く対処出来そうだな)
休憩後、再度走って移動し続けたアストたち。
余力を残しながら、目的の森へ到着。
(……聞いてた話通り、雰囲気がある場所だな)
冒険者歴はまだ三年ではあるが、転生者故に色々とフライングしていたアストの命を懸けた経験年数は……三年よりも長い。
「…………偶に、騎士学校の学生たちが、遠征に来てるんだったな」
「あぁ~~~。そんな話も聞いたことあんな。人間相手に訓練してきたがキンチョたちが、いきなりこういった場所で普段通り戦えるとは思えねぇけどな」
「学園側としては、それが目的なんじゃないのか?」
「ふむ、気になる話題だ。詳しく聞かせてもらっても良いか、アスト」
「そんな大層な考えがある訳じゃないんだが……騎士を育成する学園に入学するぐらいなんだから、モンスターとの戦闘経験は俺たちより少なくても、それなりに頑丈な体は持ってる筈だろ。だから、危機に遭遇しても早々死ぬことはない。教師たちとしては、その危機から世の中の広さ、自分の小ささ的なものを知ってもらおうと考えてるんじゃねぇのかと思ってな」
アストの説明にロクターは深く頷きながら楽し気な笑みを浮かべ、アストに次のような提案をした。
「アストは冒険者を引退した後、指導者としての道もありそうだな」
「俺は何言ってんのかいまいち解んなかったけど、ロクターがうんうんって頷いてたし、そういう小難しいことを考えられる頭を持ってんなら、そういう道もあるんだろうな」
「……二人とも、そうやって褒めてくれるのは嬉しいが、引退後もバーテンダーを続けるというのは決めてるんだ」
冒険者歴三年程度ではあるが、その三年の中で同世代のルーキーたちにアドバイスを行いながら共に訓練をする時があり。ギルド職員たちもその光景を見ていた。
同世代のルーキー同士が、自分たちの足りないところを話し合いながら訓練を行う……そういった光景は偶に見る。
珍しい光景ではあるが、全く見られない光景という訳でもない。
しかし、そこにアストがいる場合……アストだけが他のルーキーにアドバイスを送り、共に訓練というよりは指導に近い形になる。
「教師なのに、午後はバーテンダー……ギャップ? ってやつでモテそうね。今度は教え子から刺されるのかしら」
「いや、だからなんでそうなるんだよ。つか、生徒に手を出すのはアウト過ぎるだろ」
前世の記憶があるアストにとって、教師が生徒に出すというのは……一発でアウトという印象が強く残っている。
この世界に成人している男が十八歳以下の女性に手を出したら云云かんぬんといった法律はないものの……バレれば、イメージダウンは免れず、信用も失うだろう。
「歳取ってからもモテモテなんて、男にとっちゃ最高なんじゃないの?」
「まだ大して歳を取ってないから解らないっての。つか、冒険者を引退するぐらいの年齢になったら……そこら辺も落ち着いてるだろ」
最後の最後までバーテンダーとして生きると決めているアストではあるが、それでも冒険者業が嫌いなわけではない。
続けられるなら、もう本当に限界だと思う時まで続けようと考えている。
(つっても、前世だと……芸能人とか、五十過ぎても元気な人は元気っぽいし……いやいやいや、それでも仮に引退後に指導者、教職に就いて教え子に手を出すのはアウトだろ)
やましい妄想を頭の中から掻き消しながらも、アストはしっかりと周囲の警戒を続けている。
「っと、どうやら客みてぇだな。どうするリーダー? いつも通り、誰か一人……もしくはタッグで戦うか?」
「いや、今回は全員で戦うぞ。依頼の内容的に、どんな時でも余力は残しておきたい」
「あぃよッ!!!!!!!」
五人の前に現れたモンスターは巨体と鋭い牙を持つ虎。
Cランクモンスターのファングタイガー。
鋭い牙と、ネコ科特有の瞬微さが厄介なモンスターだが、この場にファングタイガーを恐れる者は誰一人いない。
(さてと、適当に狙うか)
アストは愛剣に魔力を纏わせ、移動しながらファングタイガーを狙い……刺突を放つ。
放たれた魔力の刺突は、魔力を纏いながら強化スキルを使用しているファングタイガーを容易に貫くことはないが、間違いなく体に突き刺さる。
ファングタイガーからすればできれば食らいたくない一撃。
しかしその刺突を避ける……もしくは裂爪で弾こうとすれば……強力な一撃を有するロルバとガリアスの猛攻に捕まってしまう。
「はっはっは!!! マジで呆気なく終わっちまったな」
「ナイス援護だった、アスト!!」
「どうも。けど、二人の攻撃があってこそだ。流石もうすぐBランクのメンバーだな」
最終的に全員で仕留めるつもりではあったが、アストとロルバ、ガリアスの三人だけで仕留め終わってしまった。
今回の戦いでアストは遠距離からのサポートしか行っておらず、二人の攻撃だけで決して低くないファングタイガーの防御力をぶち破った。
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