冒険がしたい創造スキル持ちの転生者

Gai

文字の大きさ
1,079 / 1,083
連載

少年期[1102]共に散る

しおりを挟む
「最近のゼルートにしては、かなり冷たかったな」

「そうか?」

ギリヌスたちとの試合が終わった後、三人は特に依頼を受けることはなくインヴェス山岳へと向かっていた。

「…………まぁ、少し冷たかったかもな。ただなぁ~~~……うん。ウザいものはウザい」

ゼルートは基本的にウザ絡み、ダル絡みしてきた相手にはそれ相応の態度で返し、これまで叩き潰してきた。
それでも、潰されてきた者たちの話を他の者たちが聞いたとしても「そんな事があったのか……少なくとも、態度に出すのは止めとかないとな」とはならない。

そうなってくれれば一番楽ではあるが、世の中そう簡単に上手くはいかない。

「その人の根っこに染み付いてしまってるものね」

「だから、噂程度じゃ変えられないってことだよな」

ウザいウザい、クソ面倒と思いながらも、現実がそう簡単に変えられないことはゼルートも冒険者として活動を始めてから、嫌という程解っていた。

(根っこに染みついた常識……常識………………確か、洗脳された人の考えを世間一般常識に戻すためには、洗脳し直す……しかないんだったけ?)

前世で聞いたことがある内容を薄っすらと思い出すゼルート。

(……苦労が大き過ぎるというか……Sランク魔物を複数体同時に倒すよりも現実味の無い話だな)

どうにかしようとするだけ無駄だと、いつもの地点に思考が到着。

「また悩み事」

「そうだな。考えても無駄なことを考えてしまった」

「……どうする? これから先、あぁいう輩が近寄ってきたら、私とルウナでなんとかしても良いけれど」

もう普通の仲間、パーティーメンバー……ではあるものの、アレナはぜるに自身の人生を救ってもらったという大恩を忘れたことはない。

「バカが近寄ってきた際、私とルウナで威圧するという事か。相手が突き抜けたバカであればそのまま戦えて…………い、一石二鳥? というやつだな」

「それはルウナだけでしょう。それで、どうかしらゼルート」

「……二人の気持ちは嬉しいけど、これからもなるべく俺自身の力でなんとかするよ」

本当に二人の気持ちは嬉しいと思っているゼルート。
ただ、結局は裏で自分がどうこう言われる光景が容易に想像出来てしまう。

加えて……あと数年、五年も経てば自然と解決する事だと思っている。

(そうだよ。あと数年経てば自然と解決出来る問題なんだ。あと数年…………あと数年、か)

改めてあと数年と考えると、思ったよりも長いと感じたゼルート。

ゼルートは冒険者として活動を始めてから、まだ二年目。
まだ二年目ではあるが……相当濃い冒険者生活を送っていた。

濃いと感じる人生を送っていれば、その期間だけ妙に長いと感じてしまう。

(……ガキではあるから仕方ないのかもだけど、苛立ってるんだよな……それじゃあ、頑張って大人になるしかないか)

ゼルートが多才でとんでもない財力を有していても、時を望む年数まで飛ばすことは出来ない。

「そう……でも、辛くなったら何時でも言ってね。こんな事言われると嫌かもしれないけど、あなたはまだ子供なんだから」

「ふふ、そうだな。ありがとう、アレナ」

改めて仲間の暖かさを感じ、笑みを零す。

その日は死鬼に繋がる手掛かりを手に入れることは出来なかったが、それでもゼルートにとって……悪くないと思える一日となった。






「ギリヌス様!!!! お逃げ、ください!!!!」

「そうは、いかんッ!!!!!!」

ゼルートと衝突してから五日後、ギリヌスたちはゼルートに負けた日から決めた通り、自分たちだけでインヴェス山岳に向かい、当初の目的を果たそうとしていた。

衝突の後、多くの冷たい視線を向けられてきたが、そんな事知ったことかとギリヌスは目的に向かって突き進んでいた。

だが……終わりというのは、突然訪れる。

(なんなのだ、この、魔物は!!!!????)

死ぬわけにはいかない。
それでも……ギリヌスは従者であるドルグとニルセースを置いて逃げるという真似はせず……共に散るのだった。
しおりを挟む
感想 685

あなたにおすすめの小説

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

ファンタジーは知らないけれど、何やら規格外みたいです 神から貰ったお詫びギフトは、無限に進化するチートスキルでした

渡琉兎
ファンタジー
『第3回次世代ファンタジーカップ』にて【優秀賞】を受賞! 2024/02/21(水)1巻発売! 2024/07/22(月)2巻発売!(コミカライズ企画進行中発表!) 2024/12/16(月)3巻発売! 2025/04/14(月)4巻発売! 応援してくださった皆様、誠にありがとうございます!! 刊行情報が出たことに合わせて02/01にて改題しました! 旧題『ファンタジーを知らないおじさんの異世界スローライフ ~見た目は子供で中身は三十路のギルド専属鑑定士は、何やら規格外みたいです~』 ===== 車に轢かれて死んでしまった佐鳥冬夜は、自分の死が女神の手違いだと知り涙する。 そんな女神からの提案で異世界へ転生することになったのだが、冬夜はファンタジー世界について全く知識を持たないおじさんだった。 女神から与えられるスキルも遠慮して鑑定スキルの上位ではなく、下位の鑑定眼を選択してしまう始末。 それでも冬夜は与えられた二度目の人生を、自分なりに生きていこうと転生先の世界――スフィアイズで自由を謳歌する。 ※05/12(金)21:00更新時にHOTランキング1位達成!ありがとうございます!

お飾りの妻として嫁いだけど、不要な妻は出ていきます

菻莅❝りんり❞
ファンタジー
貴族らしい貴族の両親に、売られるように愛人を本邸に住まわせている其なりの爵位のある貴族に嫁いだ。 嫁ぎ先で私は、お飾りの妻として別棟に押し込まれ、使用人も付けてもらえず、初夜もなし。 「居なくていいなら、出ていこう」 この先結婚はできなくなるけど、このまま一生涯過ごすよりまし

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。