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少年期[1036]見分けられない
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ゼルートたちはブラッドタラテクトの糸を採集してほしいという依頼を受け、その日のうちにブラッドタラテクトの目撃情報のある森へと向かっていた。
「…………」
「どうしたんだよ、ルウナ。つまらなさそうな顔して」
「遭遇するかもしれない魔物がブラッドタラテクトだからでしょ」
アレナの言う通り、メリルはこれから遭遇するであろう魔物が、ブラッドタラテクトという蜘蛛系の魔物だからこそ、あまり楽しそうではなかった。
「ふふ、そういう事か。まぁ、確かにルウナが戦いたいと思うタイプの魔物じゃないか」
「……解っている。冒険者としては、戦う魔物がどういった魔物であろうと、戦うべきなのは解っている。ただなぁ~~~……あまりにも、こう……少しも戦ってみたいという気持ちが起きない」
「蜘蛛系の魔物は粘着性の糸を飛ばして、毒液を吐き散らかして攻撃するのがメイン攻撃だかな。あまり力と力、速さと速さがぶつかり合う様な戦いにはならないな」
「ゼルートの言う通り、そういった勝負にはならないけど、あまり油断して良い魔物じゃないのよ」
テンションが下がっているルウナと、知識不足のゼルートに対して注意を促す。
「もしかして、アレナはブラッドタラテクトって魔物と戦り合ったことがあるのか?」
「かなり昔にね。でも、当時の私は本当にサポートみたいな役割しかしてなかったわ。メインで戦ってたのは、当時滞在してた街を拠点として活動しているBランク冒険者の人たちよ」
「……油断して良い魔物ではないというのは、毒が強力だからか?」
ルウナも、ゼルートと出会ったばかりの頃と比べて、強くなった自信はある。
とはいえ……Bランクの魔物を相手に、油断してても勝てると思っているほど、甘い考えは持っていなかった。
「毒が強力なのは勿論だけど、性格が狂暴なの。糸や毒を使うだけじゃなくて、積極的に脚を振り下ろしてくるの」
「その脚先が、割と鋭いってことか」
「そうよ。脚先から毒を注入することも出来る。勿論、嚙みついて毒を流すことも可能よ。後……発射して来る糸に毒を含むことも出来る」
「糸に毒を…………それは、うん。対処すりゃ良い話なんだろうけど、普通に考えて、中々嫌な光景だな」
まだ出会ってないが、ゼルートは対処出来る自身がある。
ただ、放たれる多数の糸、一本一本に毒が注入されているのを想像すると……半端ではない圧を感じる。
「むむ……しかし、糸程度に含まれている毒で、あれば触れるだけで体内に入ってくることはないのではないか?」
「ちゃんと魔力を纏っていれば問題無いでしょうね。でも、注入する毒の量はブラッドタラテクトが調整できる」
「油断していれば、その隙を突かれて多くの毒を含んだ毒の糸に触れ、毒に侵されてしまうということか」
ようやく、ルウナもどれだけ圧が感じる攻撃なのか理解した。
しかし、それなら自分の火で燃やしてしまえば良いのでは思った。
だが、そう考えるだろうと、アレナに予想されていた。
「言っておくけど、毒が注入された糸を燃やすのは良くないわ」
「……毒が霧に変化する可能性があるからか?」
「その通りよ、ゼルート。勿論、ガッツリ燃やしてしまえば大丈夫だけど、それだけの魔力を使用するのは勿体ないでしょう」
魔力操作が自身を持って得意とは言えないルウナは、小さく頷くしかなかった。
(毒、毒か……毒の魔力を纏ってるとかじゃなくて、毒っていう……物質? 液体? なんだもんな。そうなると、実際にその攻撃に対峙してみないことには、どう判断すれば良いのか解らないな)
糸によって注入されている毒の量に差があるとしても、ゼルートも初見でそれを見分けられる気がしなかった。
「つまり、魔力を纏った刃物で纏めて切断するのが一番ってことか」
「基本的にはその攻撃方法が良いわね。火の攻撃を使うのが悪いってわけじゃないけど、それだと納品に必要な糸までうっかり燃やしてしまうかもしれないでしょ」
もっともな説明に、ゲイルたちも含めて頷くしかなかった。
「…………」
「どうしたんだよ、ルウナ。つまらなさそうな顔して」
「遭遇するかもしれない魔物がブラッドタラテクトだからでしょ」
アレナの言う通り、メリルはこれから遭遇するであろう魔物が、ブラッドタラテクトという蜘蛛系の魔物だからこそ、あまり楽しそうではなかった。
「ふふ、そういう事か。まぁ、確かにルウナが戦いたいと思うタイプの魔物じゃないか」
「……解っている。冒険者としては、戦う魔物がどういった魔物であろうと、戦うべきなのは解っている。ただなぁ~~~……あまりにも、こう……少しも戦ってみたいという気持ちが起きない」
「蜘蛛系の魔物は粘着性の糸を飛ばして、毒液を吐き散らかして攻撃するのがメイン攻撃だかな。あまり力と力、速さと速さがぶつかり合う様な戦いにはならないな」
「ゼルートの言う通り、そういった勝負にはならないけど、あまり油断して良い魔物じゃないのよ」
テンションが下がっているルウナと、知識不足のゼルートに対して注意を促す。
「もしかして、アレナはブラッドタラテクトって魔物と戦り合ったことがあるのか?」
「かなり昔にね。でも、当時の私は本当にサポートみたいな役割しかしてなかったわ。メインで戦ってたのは、当時滞在してた街を拠点として活動しているBランク冒険者の人たちよ」
「……油断して良い魔物ではないというのは、毒が強力だからか?」
ルウナも、ゼルートと出会ったばかりの頃と比べて、強くなった自信はある。
とはいえ……Bランクの魔物を相手に、油断してても勝てると思っているほど、甘い考えは持っていなかった。
「毒が強力なのは勿論だけど、性格が狂暴なの。糸や毒を使うだけじゃなくて、積極的に脚を振り下ろしてくるの」
「その脚先が、割と鋭いってことか」
「そうよ。脚先から毒を注入することも出来る。勿論、嚙みついて毒を流すことも可能よ。後……発射して来る糸に毒を含むことも出来る」
「糸に毒を…………それは、うん。対処すりゃ良い話なんだろうけど、普通に考えて、中々嫌な光景だな」
まだ出会ってないが、ゼルートは対処出来る自身がある。
ただ、放たれる多数の糸、一本一本に毒が注入されているのを想像すると……半端ではない圧を感じる。
「むむ……しかし、糸程度に含まれている毒で、あれば触れるだけで体内に入ってくることはないのではないか?」
「ちゃんと魔力を纏っていれば問題無いでしょうね。でも、注入する毒の量はブラッドタラテクトが調整できる」
「油断していれば、その隙を突かれて多くの毒を含んだ毒の糸に触れ、毒に侵されてしまうということか」
ようやく、ルウナもどれだけ圧が感じる攻撃なのか理解した。
しかし、それなら自分の火で燃やしてしまえば良いのでは思った。
だが、そう考えるだろうと、アレナに予想されていた。
「言っておくけど、毒が注入された糸を燃やすのは良くないわ」
「……毒が霧に変化する可能性があるからか?」
「その通りよ、ゼルート。勿論、ガッツリ燃やしてしまえば大丈夫だけど、それだけの魔力を使用するのは勿体ないでしょう」
魔力操作が自身を持って得意とは言えないルウナは、小さく頷くしかなかった。
(毒、毒か……毒の魔力を纏ってるとかじゃなくて、毒っていう……物質? 液体? なんだもんな。そうなると、実際にその攻撃に対峙してみないことには、どう判断すれば良いのか解らないな)
糸によって注入されている毒の量に差があるとしても、ゼルートも初見でそれを見分けられる気がしなかった。
「つまり、魔力を纏った刃物で纏めて切断するのが一番ってことか」
「基本的にはその攻撃方法が良いわね。火の攻撃を使うのが悪いってわけじゃないけど、それだと納品に必要な糸までうっかり燃やしてしまうかもしれないでしょ」
もっともな説明に、ゲイルたちも含めて頷くしかなかった。
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