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兄の物語[127]一応、組織に属している

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「んじゃ、結果を発表するぜ」

ドーウルスに戻って来てから三日後、予定通りBランク昇格試験の結果が発表される。

「まっ、サラッと言っちまえば、全員合格だ」

ガンツの言葉を聞き……クライレットたちは、多分受かっているだろうとは思いつつも、本当に受かったのだと……自分たちはBランクに昇格したのだと解り、テンションが爆上がり状態となった。

「はしゃぎたい気持ちは解るが、とりあえず一旦落ち着いてくれ。ギルドの方から良かった点、ここを直してほしいって点を伝えていくぞ」

ガンツはクライレットたちのバジリスクとの戦闘光景、バジリスクと遭遇するまで戦ってきたモンスターの戦闘光景など、事細かに覚えていた。

その内容を全て一緒に査定を行う者たちに伝え、一応議論を行った。

全員Bランク冒険者並みの戦闘力を持ってるんだし、別にあれこれ評価しなくても良いよね……とはいかない。
確かにガンツや、査定を行う者たちは学園の教師ではない。

それでも、これから冒険者ギルドにとって貴重な戦力になるからこそ、伝えられるところは伝えておきたい。

「クライレットの策で生まれたバジリスクの隙を見逃さなかったのは良かった。ただ、上にいけばお前より強い冒険者はいるんだ、ジェリス。今回はクライレットたちが譲ってくれたが、いつでも戦闘のメインを張れるわけじゃない。そこんとこ、ちゃんと理解して活動してくれ」

「つまり、対立した連中をうち一人でぶっ倒せるほど強くなれば良いってことね!!! っだっ!!!!????」

「ガンツさんの言いたい事はそうじゃない。このアホたれが」

言いたい事をカルディアが伝えてくれたため、ガンツはカルディアが傍にいれば大丈夫だろうと思い、それ以上口うるさく問題点を口にしなかった。

結局、問題点らしい問題点があったのはジェリスぐらい。
バルガスもややその枠に入るのだが、ジェリスと対立したのは本当に初対面の時ぐらいで、戦闘中でも作戦を無視するような行動を取らなかったこともあり、ペトラたちからすれば珍しく先輩からの注意がなかった。

「ギルドからの評価はこんなところだ。つっても、お前らの中にはそんなのクソ喰らえだって思う奴もいるだろうが、一応冒険者ギルドって組織に属して活動してんだ。気にし過ぎるのも良くないとは思うが、全く気にしないってのもまた違うから、頭の片隅ぐらいには置いといてくれ」

全て実力で黙らせる。
そんな考え自体は悪くないが、それだけで生きられる程、世の中甘くない。

元々そのつもりはないものの、それが解らないクライレットたちではない。

「それじゃあ、一旦ギルドカードを預かるぞ~~」

七人からギルドカードを受け取り、ガンツは一旦退室。

「あぁ~~~、やっとうちらもBランクか~~~」

「十分早い方だ」

「Bランク魔物なら、前から倒してたじゃん」

「…………何はともあれ、もうその話をする必要はない。俺たちはBランクに上がれたのだからな」

「あっはっは! それもそうね。んじゃ、これからはAランク魔物の討伐が目標ね」

「簡単に言うな」

アホがと言いたげな表情を浮かべるも、実際にカルディアたちの次の目標はAランク魔物の討伐であった。

「つっても、Bランクに上がったら、やっぱ次の目標はそこになるよな」

バルガスも自分たちが抱いてる次の目標、そしてジェリスの実力はその眼でしっかり確認しているため、調子に乗り過ぎだと苦言を呈することはなかった。

「挑むには早いけれど、目標は確かにそこね」

普段は慎重に慎重に、丁寧に丁寧に無茶をすべき時以外は無茶をしないようにという考えを持って行動しているペトラだが、決して大きな目標に対して臆してはいなかった。


その後、直ぐにガンツがBランク仕様になったギルドカードを全員に渡し……無事参加者全員がBランクに昇格した祝いの宴会が開かれるのだった。
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