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兄の物語[13]毎度のこと

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グレイスたちと夕食を食べた翌日、クライレットたちはまだまだ体力が余っていたため、オークの討伐依頼を受けていた。

「はぁ~~~~、オークキングでも出てこねぇ~~かな~~~~」

「……それがどれだけ悲惨な状況になるか、話したと思うんだけど」

「あれ、そうだっけ? でも、どうせなら早めにBランクの魔物と戦っときたいじゃん」

四人の目標を考えれば、早目に遭遇しておいて損はないものの……四人にとって、Bランクの魔物は普通に脅威となりうる存在。

加えて、同族を引き連れるような魔物であれば……四人が生き残れる可能性がかなり下がる。

「…………そういうバカなことをことを口にするのは、もう少し強くなってからにしなさいよね。ねぇ、クライレット……クライレット?」

「えっ? あぁ……うん、そうだね。今の戦力だと……全員が生き残れるかは怪しいからね」

クライレットとしても、オークキングが率いる群れとの戦闘は避けたいが……バルガスが話題に出したため、脳内で自分ならどう戦うかを真剣に考え込んでしまっていた。

「冒険しないといけない時があると考えても……どうせなら、無茶できる準備をしてからじゃないとね」

「それもそうね。という訳だから、帰ったら新しい武器を探しましょうね」

「うっ……わ、解ってるよ」

起きた段階では、他三人ともクライレットの新しい武器を買うことを忘れており、クライレットの「体力が余ってるなら、軽めの依頼でも受けない?」という言葉に流されてしまった。

(新しい武器、か……今のうちに、考えたほうが良いかな)

ゼルート程では無いにしろ、ある程度の武器を扱える。
見た目以上のパワーを有しているため、バスターソードや大斧を扱うことも可能。

(新しい武器……切り札ではないから、常に使える武器を選ぶべきだよね)

細剣か、それとも長剣か……どちらを選ぶべきか考えていると、お目当てのオークと運良く遭遇。

(……やっぱり、ロングソードかな)

決して心の底から油断していた訳ではないが……クライレットは考え事をしながら遭遇した三体の内、一体を単独で討伐。

「俺も一体受け持つぜ!!!!」

「私も、偶には頑張らないとね」

「……無茶しないでよね」

バルガスはいつも通り。
ただ、フローラは珍しくソロでオークに挑み、ペトラは小さな溜息を吐きながらも、後方で見守りながら他の魔物が乱入してこないかを警戒。

結果として三人共無傷で討伐を終え、無事ドーウルスに帰還。

冒険者ギルドに直行し、依頼達成の報告と素材や魔石の売却。
特に探索中にポーションなどを消費してないこともあり、それなりの収入が懐に入った。

「ん?」

「あぁん??」

「はぁ~~~~……また、ね」

「えっと……僕達に何か用かな」

良い収入が入り、良い気分で酒場に向かおうとしていた四人の前に……複数の冒険者たちが立ちはだかった。

体格が良い同業者たちばかりだが、年齢に関しては殆どクライレットたちと変わらない。

「お前ら……全員Cランクなんだってな」

「あぁ、そうだよ。それで、僕たちに何か用かな」

二十代になる前にCランクに到達出来る人物は……かなり少ない。

Dランクに上がることが出来れば、ある程度人生を生き抜くめどが立つ。
冒険者にとって、生き続けるという目標だけを考えれば……Dランクに上がり、そのランク帯で生き残り続けられる力を手に入れられれば……死にさえしなければ、一般的な職業よりも大金を稼いで生活できる。

だが、まだまだ若く向上心が高い若造たちからすれば……Dランクという場所は、通って……越えて当然のライン。

クライレットたちは……そんなラインを本当に早い段階で越えている。
そして、これはまだ噂の段階ではあるが……もう直ぐBランクへの昇格試験を受けられるという噂もある。

そんな人物……誰の息子で誰の兄であろうと、同年代からすれば色々と疑いたく……蹴落としたい存在であった。
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