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少年期[980]全力でサポートするだけ

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「おぉ~~~~……なんか、珍しくないか?」

「そう、だな。アレナが模擬戦であそこまで真剣なのは……かなり珍しいな」

ギルドの訓練場などで行う際、決して手を抜いていた訳ではない。

ただ、訓練は訓練なのだと割り切った感覚で模擬戦を行っていた。
しかし……今のアレナからは普段の模擬戦からは考えられない真剣な表情でガレンと剣を交えていた。

「ねぇ、ゼルートお兄様。もしかして、お父様はアレナさんに負けてしまうの?」

「ん~~~……父さんも割と真剣な表情をしてるけど、それでもまだ父さんに分があるかな」

真面目に積んできた経験というのは、中々錆びることがない。

時折変則的な動きでガレンの虚を突くも、ガレンは動じることなく即座に対応。

(っ! これが年の功、というやつなのかしら!!!)

ここ最近の経験を考えれば、アレナの身体能力は決してガレンに劣っていない。
若さを考えれば、身体能力の面では後数年もすれば完全に追い越すだろう。

しかし……長年培ってきた戦闘勘だけに限っては、いつ追い越せるか解らない。
元々培ってきた長さに加えて、一年ほど前から毎日毎日ブラッソと模擬戦を行っている。

模擬戦は時々模擬戦という枠を飛び越えそうになり、勝負勘だけは日々磨かれ続けている。

「ッ!! ……参りました」

「はっはっは! すまいね。アレナ君があまりにも強かったから、つい本気になってしまったよ」

「いえ、それを願っていたので、私としても有難い対応でした」

模擬戦の結果はガレンが剣先をアレナの首元に突き付けて勝利。

「……ゼルートお兄様、私も訓練したい!!!」

「おっ、やるか! っしゃ、お兄ちゃんがいくらでも手伝うぞ!!!」

可愛い妹にはそういうことに手を出してほしくない……と思わない。
可愛い子には旅をさせろという訳ではないが、妹にその気があれば間違わない様に伸ばしてあげたい。

それにセラルは母親であるレミアに似て、魔法が得意なタイプ。
あまり剣や槍を振るうタイプではない……と思っていたゼルート。
しかし妹に頼まれたのは魔力のコントロールの訓練などではなく、剣術の訓練だった。

(ま、まぁ……姉さんもやってたし、別に驚くことじゃないか)

まだ十歳にもなっていないが、セラルは自分がどういった分野が得意なのか本能的に理解している。
魔法の訓練は嫌いどころか大好きであり、毎日レミアと共に訓練を行っている。

ただ……父親、そして先日の戦争で大活躍した兄、そしてもう一人の兄が剣を使っていることもあり、当然と言えば当然の様に剣に対する憧れを持っていた。

(とはいっても、剣とかの訓練だとやれることは超限られてるからな)

まだ全く体が出来上がっていないセラルが出来ることとはいえ、素振りのみ。

勿論セラルは無理にもっと凄いことがしたいなどとは言わず、黙々とゼルートにアドバイスを受け入れ、必死に直そうと素振りを繰り返す。

「はぁ、はぁ、はぁ……つ、疲れたまし、た」

「お疲れ様、セラル。良く頑張ったな」

「へへへ」

はにかむ妹がたまらなく可愛く、ついつい頭を撫でる手が伸びてしまう。

「よし、体力が戻ったらラームと模擬戦してみるか?」

「良いの!!??」

「あぁ、勿論だ」

ラームに了承を取っていないが、それぐらいの頼みをラームが断るわけがなく、十分後に模擬戦を行う。

「やっ!! えい!! とうっ!!!」

まだまだ魔法の方が技量は上だが、セラルはそんなことお構いなしに専用の木剣を振るう。

(……あれかな。ゼルートの妹みたいな子を、将来が楽しみ? って言うのかな)

柔らか~い触手で弾き、偶に攻撃を行う。
当然、セラルに当たっても殆ど痛くない様に速さと硬さを調整している。

「はぁ、はぁ……よ、よ~~~し!!!」

両腕に限界を感じ始めたセラルはラームから距離を取り、詠唱を開始。

そして詠唱後に放たれた魔法は……中々に可愛くない威力だった。
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