上 下
780 / 1,015
連載

少年期[937]人間ではなく、スライム

しおりを挟む
ゼルートによって放たれた複数のウィンドランスは殆ど躱されたが、シーサーペントを一体討伐に成功。

「ゼルート、僕が戦る!!!!」

「オッケー!! 楽しんでこい!!!」

「うんっ!!!!」

ラームは満面の笑みを浮かべ、ルウナとゲイルとラルの方に渡し、勢い良く海へとダイブ。

「んじゃ、俺たちは邪魔なシーサーペントを潰すぞ」

「「「「了解」」」」

全員勢い良く海に飛び込み、瞬く前にシーサーペントを瞬殺していく、
海の中でもシーサーペントも中々に厄介な魔物ではあるが、全員でおおよそ一体を討伐する……つまり、戦う相手はCランクの魔物だけということで、全くもってゼルートたちの遊び相手にはならない。

「陸と違って、ラームとブルーシーサーペントの戦闘光景がしっかり見えないな」

「そりゃ陸からそれなりに離れた場所だからな。ちょっと深く潜られると、姿は見えなくなって当然だ」

至極当然のことを口にするゼルートだが、立体感知を広範囲に使えば、おおよそラームとブルーシーサーペントがどう戦っている解る。
一応動きは解るのだが……普通に疲れる。

ラームはブルーシーサーペントの動きに合わせて自由に戦っており、時おり発見時とは離れた場所から海上に飛び出る。
そしてラームはがっつりブルーシーサーペントとの戦いを楽しむつもりなので、戦闘時間がそれなりに長くなると予想出来る。

「ねぇ……思ったんだけど、あそこまであっ、戻ってきた……って、また離れたわね。あんなに行ったり来たり、自由に動き回ってたら、私たちがシーサーペントを倒した意味ってないわよね?」

「あぁ~~~……いや、あれだろ。ラームとブルーシーサーペントの戦いに付いてこれる奴なんて、そうそう現れないだろうから、意外とそこら辺は大丈夫なんじゃないか?」

動き回っている二体だが、片方のラームは冒険者……ではなく、人間でもない。
魔物が好んで襲う種族ではないこともあり、すれ違う魔物たちが驚くことはあっても、両方を……どちらかに襲い掛かるということもない。

いきなり自分の近くを高速で通り過ぎた二体に怒りを抱く個体もいるが、二人の戦いぶりを見れば腰が引けてしまうというもの。

ブルーシーサーペントは長い体を使ったタックル、体の先端を使ったテールアタック。
口から放たれる水のブレスや、角に水の魔力を纏っての突貫などの技を主に行い、ラームを倒すことに必死。

そんなブルーシーサーペントの猛攻にラームは笑いながら海中を自由自在に泳ぎ回り、偶に触手を大きくしてタックルやテールアタックを止めて相手を驚かせる。

そして鋭い触手や水魔法、風魔法を使って適度にブルーシーサーペントに攻撃を仕掛ける。

(はっはっは!!! 本当に速いっ!!!)

基本的に陸で移動し続けているため、ラームも水中での移動ではここ最近慣れたところ。
今では水中での動きに楽しさを感じ、心の底からブルーシーサーペントとの戦闘を楽しんでた。

そんなラームに対して……ガチバトルが始まってから約五分が経過。
スタミナに関しては問題無い。
魔力に関してもまだ余裕がある。

ただ……しっかりと顔を把握出ない。
把握出来ないが、おちょくられてる感が消えない。
本能的にこの攻撃を完全に食らえば自分は死ぬ、そう思う瞬間が何度もあった。
その度にギリギリ、本当に紙一重で躱せるのだが……その繰り返しが、確実にイライラを蓄積させる要因となっていた。

しかし、ブルーシーサーペントの思考に撤退という選択肢はない。

逆に挑発を意思を込め、殺気を全開で放ち……口に膨大の魔力を溜め始める。

(力比べ!? よっしゃああああっ!!!!)

真っ向からの力比べに燃え上がるラームは、ブルーシーサーペントの作戦に敢えて乗っかり、ブレスの準備を行う。

そして十数秒後、海上まで余波が噴き出す衝撃が起こった。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

勘当貴族なオレのクズギフトが強すぎる! ×ランクだと思ってたギフトは、オレだけ使える無敵の能力でした

赤白玉ゆずる
ファンタジー
【第2巻が発売されました!】 今回も改稿や修正を頑張りましたので、皆様どうぞよろしくお願いいたします。 イラストは蓮禾先生が担当してくださいました。サクヤとポンタ超可愛いですよ。ゾンダールもシブカッコイイです! 素晴らしいイラストの数々が載っておりますので、是非見ていただけたら嬉しいです。 【ストーリー紹介】 幼い頃、孤児院から引き取られた主人公リュークは、養父となった侯爵から酷い扱いを受けていた。 そんなある日、リュークは『スマホ』という史上初の『Xランク』スキルを授かる。 養父は『Xランク』をただの『バツランク』だと馬鹿にし、リュークをきつくぶん殴ったうえ、親子の縁を切って家から追い出す。 だが本当は『Extraランク』という意味で、超絶ぶっちぎりの能力を持っていた。 『スマホ』の能力――それは鑑定、検索、マップ機能、動物の言葉が翻訳ができるほか、他人やモンスターの持つスキル・魔法などをコピーして取得が可能なうえ、写真に撮ったものを現物として出せたり、合成することで強力な魔導装備すら製作できる最凶のものだった。 貴族家から放り出されたリュークは、朱鷺色の髪をした天才美少女剣士アニスと出会う。 『剣姫』の二つ名を持つアニスは雲の上の存在だったが、『スマホ』の力でリュークは成り上がり、徐々にその関係は接近していく。 『スマホ』はリュークの成長とともにさらに進化し、最弱の男はいつしか世界最強の存在へ……。 どん底だった主人公が一発逆転する物語です。 ※別小説『ぶっ壊れ錬金術師(チート・アルケミスト)はいつか本気を出してみたい 魔導と科学を極めたら異世界最強になったので、自由気ままに生きていきます』も書いてますので、そちらもどうぞよろしくお願いいたします。

全裸追放から始まる成り上がり生活!〜育ててくれた貴族パーティーから追放されたので、前世の記憶を使ってイージーモードの生活を送ります〜

仁徳
ファンタジー
テオ・ローゼは、捨て子だった。しかし、イルムガルト率いる貴族パーティーが彼を拾い、大事に育ててくれた。 テオが十七歳になったその日、彼は鑑定士からユニークスキルが【前世の記憶】と言われ、それがどんな効果を齎すのかが分からなかったイルムガルトは、テオをパーティーから追放すると宣言する。 イルムガルトが捨て子のテオをここまで育てた理由、それは占い師の予言でテオは優秀な人間となるからと言われたからだ。 イルムガルトはテオのユニークスキルを無能だと烙印を押した。しかし、これまでの彼のユニークスキルは、助言と言う形で常に発動していたのだ。 それに気付かないイルムガルトは、テオの身包みを剥いで素っ裸で外に放り出す。 何も身に付けていないテオは町にいられないと思い、町を出て暗闇の中を彷徨う。そんな時、モンスターに襲われてテオは見知らぬ女性に助けられた。 捨てる神あれば拾う神あり。テオは助けてくれた女性、ルナとパーティーを組み、新たな人生を歩む。 一方、貴族パーティーはこれまであったテオの助言を失ったことで、効率良く動くことができずに失敗を繰り返し、没落の道を辿って行く。 これは、ユニークスキルが無能だと判断されたテオが新たな人生を歩み、前世の記憶を生かして幸せになって行く物語。

【完結】追放された子爵令嬢は実力で這い上がる〜家に帰ってこい?いえ、そんなのお断りです〜

Nekoyama
ファンタジー
魔法が優れた強い者が家督を継ぐ。そんな実力主義の子爵家の養女に入って4年、マリーナは魔法もマナーも勉学も頑張り、貴族令嬢にふさわしい教養を身に付けた。来年に魔法学園への入学をひかえ、期待に胸を膨らませていた矢先、家を追放されてしまう。放り出されたマリーナは怒りを胸に立ち上がり、幸せを掴んでいく。

大好きな母と縁を切りました。

むう子
ファンタジー
7歳までは家族円満愛情たっぷりの幸せな家庭で育ったナーシャ。 領地争いで父が戦死。 それを聞いたお母様は寝込み支えてくれたカルノス・シャンドラに親子共々心を開き再婚。 けれど妹が生まれて義父からの虐待を受けることに。 毎日母を想い部屋に閉じこもるナーシャに2年後の政略結婚が決定した。 けれどこの婚約はとても酷いものだった。 そんな時、ナーシャの生まれる前に亡くなった父方のおばあさまと契約していた精霊と出会う。 そこで今までずっと近くに居てくれたメイドの裏切りを知り……

【完結】妖精を十年間放置していた為SSSランクになっていて、何でもあり状態で助かります

すみ 小桜(sumitan)
ファンタジー
 《ファンタジー小説大賞エントリー作品》五歳の時に両親を失い施設に預けられたスラゼは、十五歳の時に王国騎士団の魔導士によって、見えていた妖精の声が聞こえる様になった。  なんと十年間放置していたせいでSSSランクになった名をラスと言う妖精だった!  冒険者になったスラゼは、施設で一緒だった仲間レンカとサツナと共に冒険者協会で借りたミニリアカーを引いて旅立つ。  ラスは、リアカーやスラゼのナイフにも加護を与え、軽くしたりのこぎりとして使えるようにしてくれた。そこでスラゼは、得意なDIYでリアカーの改造、テーブルやイス、入れ物などを作って冒険を快適に変えていく。  そして何故か三人は、可愛いモモンガ風モンスターの加護まで貰うのだった。

とんでもないモノを招いてしまった~聖女は召喚した世界で遊ぶ~

こもろう
ファンタジー
ストルト王国が国内に発生する瘴気を浄化させるために異世界から聖女を召喚した。 召喚されたのは二人の少女。一人は朗らかな美少女。もう一人は陰気な不細工少女。 美少女にのみ浄化の力があったため、不細工な方の少女は王宮から追い出してしまう。 そして美少女を懐柔しようとするが……

ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜

望月かれん
ファンタジー
 中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。 戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。 暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。  疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。 なんと、ぬいぐるみが喋っていた。 しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。     天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。  ※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。

【二章開始】『事務員はいらない』と実家からも騎士団からも追放された書記は『命名』で生み出した最強家族とのんびり暮らしたい

斑目 ごたく
ファンタジー
 「この騎士団に、事務員はいらない。ユーリ、お前はクビだ」リグリア王国最強の騎士団と呼ばれた黒葬騎士団。そこで自らのスキル「書記」を生かして事務仕事に勤しんでいたユーリは、そう言われ騎士団を追放される。  さらに彼は「四大貴族」と呼ばれるほどの名門貴族であった実家からも勘当されたのだった。  失意のまま乗合馬車に飛び乗ったユーリが辿り着いたのは、最果ての街キッパゲルラ。  彼はそこで自らのスキル「書記」を生かすことで、無自覚なまま成功を手にする。  そして彼のスキル「書記」には、新たな能力「命名」が目覚めていた。  彼はその能力「命名」で二人の獣耳美少女、「ネロ」と「プティ」を生み出す。  そして彼女達が見つけ出した伝説の聖剣「エクスカリバー」を「命名」したユーリはその三人の家族と共に賑やかに暮らしていく。    やがて事務員としての仕事欲しさから領主に雇われた彼は、大好きな事務仕事に全力に勤しんでいた。それがとんでもない騒動を巻き起こすとは知らずに。  これは事務仕事が大好きな余りそのチートスキルで無自覚に無双するユーリと、彼が生み出した最強の家族が世界を「書き換えて」いく物語。  火・木・土曜日20:10、定期更新中。  この作品は「小説家になろう」様にも投稿されています。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。