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少年期[882]直感の先に

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「……向こう、か?」

直感を頼りに、その場から少し動いたゼルート。

「ッ!! ゼルート、その辺りだけ不自然に匂いが消えている」

「マジか……どんなヤバいマジックアイテムを使ってるんだよ」

ぶつぶつと呟きながら、丁度匂いが不自然に消えている場所の雪を火で溶かす。

「それっぽい扉があるな」

「もしかして、その下に何かがいるってこと?」

「おそらく、そういうことだな。付け加えるなら、何かなんて曖昧な存在じゃなくて、間違いなく組織の人間たちが
いるだろうな」

いったいどんな組織なのか、ゼルートにも分からない。

ただただ嫌な予感だけがする。

「そんでだな……おそらく、俺たちが開けようとしても、開けられないようになってる」

「限られた人間しか開けられないってことね」

「だな……まっ、無理矢理開けられないことはない」

こちらもマジックアイテムによって、ゼルートたちの想像通り、限られた人間しか地下に続く扉を開けられない。

「ゼルートなら出来るでしょうね」

「いや、アレナだって出来ると思うぞ」

「私はまだまだあなたみたいに桁外れな怪物じゃないのよ……多分」

自分で言っておきながら、ゼルートと出会ってからの経験を思い出し、少々言葉が鈍った。

「サンレイズを使えばいけるって」

「……と、とにかく。怪しい集団の拠点地が解かったなら、街に戻って報告しましょう」

「ん~~~~……俺としては、このまま突撃したいと思ってるんだけど」

「ちょ、いくらなんでもそれ、は…………なじじゃないわね」

「だろ」

直ぐに冷静になり、戻ってギルドに報告する意味の無さを思い出す。

「というか、俺たちがこの場に辿り着いた時点で、向こうに存在を知られてるかもしれない。そういうのを考えると、無理矢理突入してぶっ潰すのが一番良いだろ」

「……それもそうね」

「よし! という訳で、アレナ! 頼んだぞ!!」

なんで私が!? といった顔になるが、渋々引き受けたアレナはサンレイズを引き抜き、刀身に火と雷を纏い……思いっきり地面を斬り裂いた。

「お見事」

「お見事だな」

「この聖剣が凄いだけよ」

謙虚に返すアレナだが、確実に剣術の腕はレベルアップしていた。

「それじゃ、中にいる連中を潰しに行くぞ」

自分たちなら誰が相手でも勝てる。
そんな傲慢にも思える自信を持ちつつ、万が一の可能性は頭から捨てていない。

「明かりがついてる……アンデットらしい匂いはしないな」

「そうだな。となると、やはりこの場所に潜んでいるのは、人間か」

「はぁ~~~~、戦う前から頭痛くなってきた」

「そのストレスは、全部ここで何か企んでる馬鹿共にぶつけるんだ」

「それが一番発散出来そうね」

慎重に頬を進めていくゼルート。
どう見ても人工物であろう地下室を歩み続ける、数メートル離れた場所に分かれ道が見えた。

(どっちに進もうか……やっぱり、タッグで別れて調べるのが賢明か)

そう考え、アレナとルウナに伝えようとした瞬間、壁に備えられていた魔道具の光が同時に消えた。

「「「っ!?」」」

「随分手荒い歓迎だな」

マジックアイテムの光を消し、視界という情報を遮断して優位に立つ。
その策は悪くなかった。

ただ、ゼルートは何故マジックアイテムの光が消えたのか、一瞬で把握。
ライトボールを発動し、逆に襲い掛かってきた者たちに眩しさを食らわせた。

ほんの数瞬とはいえ、敵の動きが止まってしまえばこちらのもの。

三人は得物を抜き、襲撃者たちの腕を斬り裂き、強制的に武器と手放させた。

「っ!!!???」

「ぎっ!!!!」

「ぐっ!! こ、の……」

「戦闘スタイル的には、後衛の連中ばかりいるのかと思ってたけど、どうやらそんなことはないみたいだな」

襲撃者たちは、どこからどう見ても動きやすさ、殺りやすさを重視した見た目。
身体能力も明らかにそちら寄りだった。

「とりあえず、お前らは殺しても良いか」

圧倒的に堅気には見えない為、ゼルートは彼らに一欠けらの慈悲を与えることもなく、その首を刎ね……焼いた。
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