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少年期[802]過剰では?

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「ふん!!!!!」

飛んできた攻撃は氷のドラゴン。

大人のドラゴンほどの大きさはないが、それでもそれなりの威力を持つ攻撃魔法だった。
レミアも少し気合を入れて相殺しよう。

そう思ってたいのだが……ブラッソが手に持っていたミスリル製の棘棍棒を思いっきりぶん投げた。

棘棍棒は一直線に氷のドラゴンまで飛んでいき、そのまま砕いてしまった。

「「「「ッ!!!???」」」」

その光景を見ていた者たちはオルディア王国側の者、敵国側の者関係無しに一瞬驚き固まってしまった。

「ふぅーーー」

ミスリル製の棍棒には帰還……一瞬で手元に帰ってくる効果が付与されており、棘棍棒は即座にブラッソの手に帰ってきた。

暴れたりない状態であったブラッソとしては、今の一撃で少々スッキリできた。

「ブラッソ……今のは私が迎撃しようと思ってたのよ」

「ふむ、そうだったか。すまない。だが、魔力の温存などを考えれば、あれぐらいは俺が相殺した方が良かったはずだ」

攻撃が当たった瞬間に、広範囲を凍らせる一撃だったため、強力で厄介な攻撃だったのだが……ブラッソからすればその程度の攻撃。

(ブラッソさんの投擲……私たちの中級魔法よりも強いのでは?)

レミアと前衛のサポート、もしくは直接敵を倒している魔法使いはそんな事を思った。

どう考えても、短時間で氷のドラゴンを相殺することは自分たちに不可能。
しかしブラッソは思いっきり棘棍棒を投げただけで粉砕してしまった。

「それはそうかもしれないけど、子供たちに話せる自慢が欲しかったのよ!」

なんとも子供っぽい理由。

ただ、そんな理由を話しながらもしっかりと攻撃魔法を放ち続け、味方を援護しながら敵の殲滅も同時進行している。

「そうか……それなら、次はレミアに譲るとしよう」

「そうしてちょうだい。って、ブラッソ。良い感じの相手が来たんじゃないかしら」

「……どうだろうな」

巨体ながら上手いぐらいに動き、敵を潰しながら巨人族の男がレミアの砲撃止めようと現れた。

「ちっ!! 大きさからして反則だろ」

レミアと魔法使い組だけならもしかしたら、という思いはあった。

だが、傍には最強の護衛……ブラッドオーガがいる。
巨人族の男は人族と比べて大きな体を持つが、オーガの亜種であるブラッソの体はそこら辺のオーガよりも断然大きい。

「一瞬で終わらせてやろう」

慈悲を口にしながら、ブラッソは数秒だけ身体強化のスキルを使用し、巨人族の男と一気に距離を詰める。

「ッ!!!! ……ぐ、そ」

男も手に持つ一般的な大剣よりも大きいサイズの大剣を振るったが、振り切る前にブラッソの棍棒が巨人族をぶっ飛ばした。

その巨体から放たれるスイングと巨人族の体が潰れる音に、味方すらも寒感を感じた。

「さて、護衛に戻らなければ……いや、手を出してはいけなかったな」

レミアとブラッソたちの方向に、またまた強力な攻撃魔法が飛んできた。

ただ、その攻撃魔法は先程のものとは一味違った。

(あれは……あの二人の娘が放った攻撃と同じか)

二つの魔法を合体させる超高等技術……センスがある者でも難しい技、ユニゾンマジック。

飛んでくる攻撃魔法は天雷の狼。

「中々強力ね」

そう呟くと、レミアは高速で詠唱を開始し、余裕で間に合わせる。

「カイザーボルケニオン。ブラッソ!!!」

「……了解」

レミアが完成させた攻撃魔法はカイザーボルケニオン。

超高熱で超高火力の三つ矛の槍。
火魔法の中でもトップクラスの攻撃力を持つ魔法。

(これはさすがに……過剰攻撃ではないのか?)

そんな疑問を持ちながらもブラッソはレミアの糸をくみ取り、棘棍棒でカイザーボルケニオンを打ち飛ばした。

ジャストミートで飛んでいった三つ矛の炎槍は天雷の狼を余裕で貫き、相殺で終わらずそのまま飛んでいき……敵兵や冒険者が何とか相殺しようとするが間に合わず、一気に十人以上の死者を出した。
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