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少年期[631]まだまだ反抗期
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「へ~~~……マジで大きいな」
「大手クランだからな。大きくなければ、他のクランから嘗められる」
「なるほど。面倒だけどそうなるのは必然か」
銀獅子の皇の本部に到着したゼルートはクランの大きさに若干驚かされていた。
(それなりに大きいだろうとは思ってたけど……通常の宿の何倍だ? これを建てる為にいったい幾ら金が掛かったのか気になるところだ)
クランハウスの大きさに圧倒されながらも、ポーカーフェイスを保ちながら中へと入る。
「そういえば……王都に行った時も規模が大きいクランのマスターと会ったな」
「王都のクラン……いったいどのクランだ?」
王都で規模の大きいクランといえば、それなりに候補が浮かんでくる。
「確か……強獣の精鋭、ライオットって名前だった筈」
「ッ!!! …………それは、本当か」
既にクランハウスの中に入っているのだが、周囲の反応など無視して素の表情が出てしまった。
「あぁ、本当だ。ちょっと家族絡みで王都に行く機会があったからな。その時に……色々とあったんだよ」
「そ、そうか……当然、勧誘は受けただろう」
「受けたよ。てか、勧誘なら赤竜の宴ってクランからも受けたな」
「……いや、そうだな。お前たちの戦力を考えれば当たり前か」
二つとも名前を聞いたことがある。
どちらも大手のクランであり、マスターがオーラスと同等の実力を持っている。
(やはりこの男は規格外だな。俺たち銀獅子の皇を含め、それだけのクランから誘いを受けて全て断るとは……まぁ、縛られるのが嫌いな冒険者には多いタイプか)
その考えは見事的中しており、ゼルートは縛られること嫌う。
クランに入る、貴族に仕える。
どれも自身の自由が制限される。
制限が限りなく緩かったとしても、緊急事態が起これば従わなければならない。
「ここがいつもクランメンバーたちが使っている訓練場だ」
「……随分と良いところだな」
空調が完備されており、広さも申し分ない。
(大手クランと自ら言うだけのことはあるって感じだな。それで、あいつらが俺に不満を持つ冒険者たちか)
訓練場には既に多数の冒険者たちが集まっている。
ただ、全員が全員ゼルートに恨みや妬みを持っている訳ではなく、単純にルーキーたちとゼルートの模擬戦が気になって観に来ているベテランもいる。
「こいつらの相手をすれば良いんだよな」
一纏めにこいつらと呼ばれたルーキー達の顔に青筋が浮かぶ。
初めて見た者が多く、ゼルートの姿を見て早速悪口が漏れ始める。
ただのガキ。
バックに大きな権力があるから粋がってるだけ。
実際は大したことない。
仲間におんぶ抱っこのヒモ野郎。
様々な悪口が漏れる漏れる。
本人たちは小声で話しているのでゼルートに聞こえていないと思っているが、聴力がそれなりに優れているゼルートの前では全て把握されていた。
(……言いたい放題言ってくれるな。見た目に関しての丸口は仕方ない、それはもう完全に諦めてるが……ヒモってなんだよ、ヒモって!!! ガッツリ動いて稼いでるっつの!!!!)
実際に見た目はまだまだ子供なので、それについてとやかく言われる事には慣れもする。
だが……ヒモという言葉だけは聞き捨てならなかった。
確かに自身は動かず、仲間に魔物の相手を任せる時はある。
だが、基本的に冒険の最中はそれなりに自身も戦っている。
それにもかかわらず、ヒモと呼ばれるのは心外だった。
「お前ら、静かにしろ。ゼルートさんは貴重な休日を使ってお前たちの相手をしてくれるのだ。もう少し礼儀を持って接しろ」
その言葉は正しいのだが、第一線で戦っているアルゼルガを尊敬しているルーキーたちにとって、さん付けで呼ばれるているゼルートのことが更に気に入らなくなる。
「おい……なんか逆に機嫌悪くなってないか?」
「はぁーーー、悪いな。どうやらまだまだ反抗期らしい。とりあえず、適当にこいつらの相手をしてやってくれ。模擬戦が終われば直ぐに報酬を渡そう」
「分かった。俺なりのやり方で相手してやるよ」
アルゼルガに出来るのはルーキー達の心が折れないのを祈ることだけだった。
「大手クランだからな。大きくなければ、他のクランから嘗められる」
「なるほど。面倒だけどそうなるのは必然か」
銀獅子の皇の本部に到着したゼルートはクランの大きさに若干驚かされていた。
(それなりに大きいだろうとは思ってたけど……通常の宿の何倍だ? これを建てる為にいったい幾ら金が掛かったのか気になるところだ)
クランハウスの大きさに圧倒されながらも、ポーカーフェイスを保ちながら中へと入る。
「そういえば……王都に行った時も規模が大きいクランのマスターと会ったな」
「王都のクラン……いったいどのクランだ?」
王都で規模の大きいクランといえば、それなりに候補が浮かんでくる。
「確か……強獣の精鋭、ライオットって名前だった筈」
「ッ!!! …………それは、本当か」
既にクランハウスの中に入っているのだが、周囲の反応など無視して素の表情が出てしまった。
「あぁ、本当だ。ちょっと家族絡みで王都に行く機会があったからな。その時に……色々とあったんだよ」
「そ、そうか……当然、勧誘は受けただろう」
「受けたよ。てか、勧誘なら赤竜の宴ってクランからも受けたな」
「……いや、そうだな。お前たちの戦力を考えれば当たり前か」
二つとも名前を聞いたことがある。
どちらも大手のクランであり、マスターがオーラスと同等の実力を持っている。
(やはりこの男は規格外だな。俺たち銀獅子の皇を含め、それだけのクランから誘いを受けて全て断るとは……まぁ、縛られるのが嫌いな冒険者には多いタイプか)
その考えは見事的中しており、ゼルートは縛られること嫌う。
クランに入る、貴族に仕える。
どれも自身の自由が制限される。
制限が限りなく緩かったとしても、緊急事態が起これば従わなければならない。
「ここがいつもクランメンバーたちが使っている訓練場だ」
「……随分と良いところだな」
空調が完備されており、広さも申し分ない。
(大手クランと自ら言うだけのことはあるって感じだな。それで、あいつらが俺に不満を持つ冒険者たちか)
訓練場には既に多数の冒険者たちが集まっている。
ただ、全員が全員ゼルートに恨みや妬みを持っている訳ではなく、単純にルーキーたちとゼルートの模擬戦が気になって観に来ているベテランもいる。
「こいつらの相手をすれば良いんだよな」
一纏めにこいつらと呼ばれたルーキー達の顔に青筋が浮かぶ。
初めて見た者が多く、ゼルートの姿を見て早速悪口が漏れ始める。
ただのガキ。
バックに大きな権力があるから粋がってるだけ。
実際は大したことない。
仲間におんぶ抱っこのヒモ野郎。
様々な悪口が漏れる漏れる。
本人たちは小声で話しているのでゼルートに聞こえていないと思っているが、聴力がそれなりに優れているゼルートの前では全て把握されていた。
(……言いたい放題言ってくれるな。見た目に関しての丸口は仕方ない、それはもう完全に諦めてるが……ヒモってなんだよ、ヒモって!!! ガッツリ動いて稼いでるっつの!!!!)
実際に見た目はまだまだ子供なので、それについてとやかく言われる事には慣れもする。
だが……ヒモという言葉だけは聞き捨てならなかった。
確かに自身は動かず、仲間に魔物の相手を任せる時はある。
だが、基本的に冒険の最中はそれなりに自身も戦っている。
それにもかかわらず、ヒモと呼ばれるのは心外だった。
「お前ら、静かにしろ。ゼルートさんは貴重な休日を使ってお前たちの相手をしてくれるのだ。もう少し礼儀を持って接しろ」
その言葉は正しいのだが、第一線で戦っているアルゼルガを尊敬しているルーキーたちにとって、さん付けで呼ばれるているゼルートのことが更に気に入らなくなる。
「おい……なんか逆に機嫌悪くなってないか?」
「はぁーーー、悪いな。どうやらまだまだ反抗期らしい。とりあえず、適当にこいつらの相手をしてやってくれ。模擬戦が終われば直ぐに報酬を渡そう」
「分かった。俺なりのやり方で相手してやるよ」
アルゼルガに出来るのはルーキー達の心が折れないのを祈ることだけだった。
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