冒険がしたい創造スキル持ちの転生者

Gai

文字の大きさ
215 / 1,083
連載

少年期[376]入る事に興味は無い

しおりを挟む
(こいつら・・・・・・どうしてこんなところで声を掛けてくるんだよ。周囲の人間とアレナの反応を見る限り、王都の中ではそこそこ大きなクランなんだろう。そんな奴らがこんな大勢の人がいる場所で声を掛けてきたら否が応でも目立つだろ)

相手の都合を全く考えないデーバックの行動にゼルートは普通に腹が立っていた。

「クランへの勧誘ねぇ・・・・・・まずなんで俺らみたいなDランクの冒険者をクランに誘うんだ?」

「例えランクが低くても、才能や伸びしろがあると感じれば早い段階でスカウトするのは特に珍しくないよ。それで君達を勧誘した理由についてだね。少し前にドーウルスの街から少し離れたところでオークとゴブリンの大群が発見され、それに対して大規模の討伐が行われた」

王都からドーウルスまでにかなりの距離が離れているが、それぐらいの情報は出来事が起こってからの日数を考えればその情報が伝わっていても可笑しくない。

「その討伐での立役者がDランクの君達だ。なんでもオークキングを単独で倒したとか」

デーバックの発言に周囲の騒がしさが加速する。
そしてゼルートの眉間にますます皺が寄る。

「そんな君を放っておくクランはそうそういないと思うね」

ドーウルスでは全く勧誘された事が無いゼルートだが、それにはゼルートの容赦のなさなどが広まっているのでクラン内の揉め事を避ける為に誘うクランがいない状態になっていた。

「・・・・・・まぁ、仮にその情報が正しかったとしよう。ただ、俺があんたらのクランに入る理由にはならない。誘ってくれたことは光栄な事なんだろうが、断らせて貰う」

ゼルートとデーバックの会話を食事の手を止めて聞いていた客達はまさかの返答に驚きを隠せず、口をあんぐりと空けてフォークを落としてしまう者もいた。

だがアレナとルウナだけはその返答が当たり前とだと解っているため、特に表情に変化は無くウンウンと頷いている。

「そうか・・・・・・理由を聞いても良いかな?」

「上からあれこれ指示を受けたくない、おそらく同年代や年上の連中と仲良くできない。というか・・・・・・そもそもクランに興味は無い」

「大手のクランに入れば色々と場面場面で有利になる事があったとしても?」

ハッキリとクランには入らない、興味が無いと伝えたのにも関わらず、まだ勧誘を諦めないデーバックに対してゼルートは苛立ちを募らせながらもそれを敵意や殺気には変えずに我慢する。

「だから言っただろ。まだ冒険者になったばかりのルーキーだとしてもそんな事は知ってる。それを踏まえて興味が無いって言ったんだよ」

「興味が無い、か。ふぅーーーーー・・・・・・分った。これ以上勧誘するのは止めるよ」

「そうか。次狙うならもう少し欲がある奴を狙えよ。あと・・・・・・俺に権力が無いと勘違いするなよ」

威圧感を出し、最後だけ声量を小さくしてデーバックだけに聞こえる様に伝える。
自身だけに向けられた明確な威圧にデーバックは思わず体を震わせてしまう。
その瞬間に自分の物差しで測っていた目の前の少年が噂通り、ランクに当てはまらない規格外な冒険者なのだと認識させられる。

「んじゃ帰るぞアレナ、ルウナ」

席から立ち上がり、会計を済ませたゼルート達は何事も無かったような表情で店から出て行く。
ゼルートが店から出て行った後、デーバックの後ろにいたクランのメンバーが不満を隠さない表情のまま話しかける。

「なんて生意気なルーキーなんでしょうか!!! 私には態度だけがデカく、後ろの二人の力を良いように利用して自分まで強くなっているようにしか見えません!!!!」

「それは違うよ、フーラ」

「えっ、えっと・・・・・・私にはあの子供がオークキングを単独で倒せる様には、まっっったく見えませんでしたけど、そうでは無いという事ですか?」

フーラはクラン内で信頼でき、尊敬している先輩であるデーバックから自身の考えを否定され、その理由が全く解らなかった。

「そういう事だよ。最後に彼は僕だけに伝わる威圧感を出して帰った。狙った対象だけに威圧感や敵意に殺意を与える。それが出来るだけで彼の力量が解る。それに彼は思っていたよりも大人なようだ」

「見た目は子供っすけど態度がという大人っすか」

豹の獣人の青年はデーバック何を言っているのかちょっと解らなかった。
隣に未だ不満顔の人族のフーラも同様な考え。

「態度は・・・・・・ちょっと違うかもしれないね。ただ、彼は最後まで雰囲気を崩さなかった。多分、彼は僕に勧誘された事自体を鬱陶しく思っていたようだ。にも関わらず感じとれる者ならば感じ取れる威圧感を出そうとしなかった」

不快に思い、感じている事に対してある程度の強者ならば体から自然と魔力や不快感が混じった威圧が出てしまう。
それをゼルートは会話が終わるまで我慢し続けていた。

「個人的には、あの歳であの域に達するまでに潜った修羅場が気になるところだけど、あまり関わろうとすると余計な怒りを買うかもしれないから諦めよう」

既に食事を終えていたデーバック達も会計を済ませてから店を出た。
デーバックは面白い物を見つけた少年の様な顔をしていたが、フーラだけはゼルートのデーバックに対する態度に納得が出来ず、クランハウスに着いてからも不機嫌な表情が変わる事は無かった。

しおりを挟む
感想 685

あなたにおすすめの小説

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

三歳で婚約破棄された貧乏伯爵家の三男坊そのショックで現世の記憶が蘇る

マメシバ
ファンタジー
貧乏伯爵家の三男坊のアラン令息 三歳で婚約破棄され そのショックで前世の記憶が蘇る 前世でも貧乏だったのなんの問題なし なによりも魔法の世界 ワクワクが止まらない三歳児の 波瀾万丈

【完結】辺境に飛ばされた子爵令嬢、前世の経営知識で大商会を作ったら王都がひれ伏したし、隣国のハイスペ王子とも結婚できました

いっぺいちゃん
ファンタジー
婚約破棄、そして辺境送り――。 子爵令嬢マリエールの運命は、結婚式直前に無惨にも断ち切られた。 「辺境の館で余生を送れ。もうお前は必要ない」 冷酷に告げた婚約者により、社交界から追放された彼女。 しかし、マリエールには秘密があった。 ――前世の彼女は、一流企業で辣腕を振るった経営コンサルタント。 未開拓の農産物、眠る鉱山資源、誠実で働き者の人々。 「必要ない」と切り捨てられた辺境には、未来を切り拓く力があった。 物流網を整え、作物をブランド化し、やがて「大商会」を設立! 数年で辺境は“商業帝国”と呼ばれるまでに発展していく。 さらに隣国の完璧王子から熱烈な求婚を受け、愛も手に入れるマリエール。 一方で、税収激減に苦しむ王都は彼女に救いを求めて―― 「必要ないとおっしゃったのは、そちらでしょう?」 これは、追放令嬢が“経営知識”で国を動かし、 ざまぁと恋と繁栄を手に入れる逆転サクセスストーリー! ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

没落した貴族家に拾われたので恩返しで復興させます

六山葵
ファンタジー
生まれて間も無く、山の中に捨てられていた赤子レオン・ハートフィリア。 彼を拾ったのは没落して平民になった貴族達だった。 優しい両親に育てられ、可愛い弟と共にすくすくと成長したレオンは不思議な夢を見るようになる。 それは過去の記憶なのか、あるいは前世の記憶か。 その夢のおかげで魔法を学んだレオンは愛する両親を再び貴族にするために魔法学院で魔法を学ぶことを決意した。 しかし、学院でレオンを待っていたのは酷い平民差別。そしてそこにレオンの夢の謎も交わって、彼の運命は大きく変わっていくことになるのだった。 ※2025/12/31に書籍五巻以降の話を非公開に変更する予定です。 詳細は近況ボードをご覧ください。

腹違いの妹にすべてを奪われた薄幸の令嬢が、義理の母に殴られた瞬間、前世のインテリヤクザなおっさんがぶちギレた場合。

灯乃
ファンタジー
十二歳のときに母が病で亡くなった途端、父は後妻と一歳年下の妹を新たな『家族』として迎え入れた。 彼らの築く『家族』の輪から弾き出されたアニエスは、ある日義母の私室に呼び出され――。 タイトル通りのおっさんコメディーです。

転生したら領主の息子だったので快適な暮らしのために知識チートを実践しました

SOU 5月17日10作同時連載開始❗❗
ファンタジー
不摂生が祟ったのか浴槽で溺死したブラック企業務めの社畜は、ステップド騎士家の長男エルに転生する。 不便な異世界で生活環境を改善するためにエルは知恵を絞る。 14万文字執筆済み。2025年8月25日~9月30日まで毎日7:10、12:10の一日二回更新。

辺境領主は大貴族に成り上がる! チート知識でのびのび領地経営します

潮ノ海月@2025/11月新刊発売予定!
ファンタジー
旧題:転生貴族の領地経営~チート知識を活用して、辺境領主は成り上がる! トールデント帝国と国境を接していたフレンハイム子爵領の領主バルトハイドは、突如、侵攻を開始した帝国軍から領地を守るためにルッセン砦で迎撃に向かうが、守り切れず戦死してしまう。 領主バルトハイドが戦争で死亡した事で、唯一の後継者であったアクスが跡目を継ぐことになってしまう。 アクスの前世は日本人であり、争いごとが極端に苦手であったが、領民を守るために立ち上がることを決意する。 だが、兵士の証言からしてラッセル砦を陥落させた帝国軍の数は10倍以上であることが明らかになってしまう 完全に手詰まりの中で、アクスは日本人として暮らしてきた知識を活用し、さらには領都から避難してきた獣人や亜人を仲間に引き入れ秘策を練る。 果たしてアクスは帝国軍に勝利できるのか!? これは転生貴族アクスが領地経営に奮闘し、大貴族へ成りあがる物語。 《作者からのお知らせ!》 ※2025/11月中旬、  辺境領主の3巻が刊行となります。 今回は3巻はほぼ全編を書き下ろしとなっています。 【貧乏貴族の領地の話や魔導車オーディションなど、】連載にはないストーリーが盛りだくさん! ※また加筆によって新しい展開になったことに伴い、今まで投稿サイトに連載していた続話は、全て取り下げさせていただきます。何卒よろしくお願いいたします。

貴族令嬢、転生十秒で家出します。目指せ、おひとり様スローライフ

ファンタジー
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞を頂きました。ありがとうございます! 貴族令嬢に転生したリルは、前世の記憶に混乱しつつも今世で恵まれていない環境なことに気が付き、突発で家出してしまう。 前世の社畜生活で疲れていたため、山奥で魔法の才能を生かしスローライフを目指すことにした。しかししょっぱなから魔物に襲われ、元王宮魔法士と出会ったり、はては皇子までやってきてと、なんだかスローライフとは違う毎日で……?

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。