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少年期[373]そうでもないのでは?

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屋敷を出てから貴族街を歩き、表通りに出たゼルート達はまだ時間に余裕があるのでのんびりと歩きながら今夜の夕食を食べる飲食店を探す。

「・・・・・・やっぱりいろんな種族が多いな」

「夕食を食べる店を探さないのか?」

「それは勿論探してるよ。でも街を行きかう人達の種族がドーウルスより多いなと思ってさ」

獣人族の中で珍しい有翼人やゼルートの頭の中では百獣の王というイメージが強いライオンの獣人、獅子人。
そして竜人族に鬼人族など、ドーウルスの街ではあまり数が多くない冒険者が王都ではちらほら見かける。

「差別が消えた訳では無いけれど、昔よりはかなりまっしになったらしいのよ。だから個人個人によると思うけど、人族以外の種族にとっても多少は住みやすい街になったんじゃないのかしら?」

「昔よりは、か・・・・・・あの人なら馬鹿な事をする貴族を見つければ容赦なく裁くかもな」

一度だけ会った事がある国王の性格を思い出し、アレナの言葉が本当であるとゼルートは理解する。
貴族の子供同士が国王の前で決めた賭けの内容を絶対に守らせる。
そんな王が他国との争いになるかもしれない行いに対して厳しくない訳が無い。そう思わずにはいられないゼルート。

「ゼルートの過去の事件が事件だから中々に信用性のある言葉だな。それにしても、ドーウルスより多くの種族はいるが、冒険者の質は王都と言えどかなりまばらだな」

「王都の近辺はそこまで魔物がいる訳では無いのよ。少し離れた場所に行けばそれなりの魔物はいるでしょうけど、新人にはきついでしょうね」

「それを解っていない冒険者の英雄譚に憧れるて来てしまった新人達のせいでルウナの言う通り、質がまばらに思えるのか?」

「だと私は思うわね。完璧に新人の冒険者には何かしらのバックが無いと最初は討伐依頼や採集依頼ですら受ける事は難しいんじゃないかしら」

経験も技術もないド素人が成り上がるには適していない街。
その事にゼルートはなるほどと思いつつも、友人が冒険者に必要な事を教える学校に通っている事を思い出す。

(未来の冒険者を育てる学校ってあいつらが通っているところだけじゃないよな。だったら王都で冒険者としてスタートする奴らはある程度知恵と経験と実力がある者が殆どじゃないのか?)

面積が広く人材や物資が豊富という事はそれだけ素人に何かを教える教室も他の街に比べて王都は多いので、一概に素人に厳しいとは言えない。

「・・・・・・まぁ、そうかもしれないな。あっ、あそこにしないか」

「うむ。美味そうな匂いが外まで漂って来るな。私は大丈夫だ」

「ちょっと高そうだけど、私もこの店で良いわ」

一瞬だけ躊躇しそうになったアレナだが直ぐにパーティーリーダーが冒険者としては規格外な金持ちで太っ腹なのを思い出し、ゼルートに提案に賛成する。
ランクが高い冒険者もやって来るため従魔を待機させるスペースがあり、そこにゲイル達を待機させる。

料理店の中に入ると中は外装と同じように内装は一般的な冒険者にとっては少し敷居が高いものになっていた。

ゼルート達を見つけた従業員が営業スマイルで駆けよって来る。
だがゼルートとの距離が近くなるとその笑顔が少し崩れる。

しかしそこはプロなのか直ぐに営業スマイルへと戻った。
その様子を見ていたアレナとルウナはその従業員のスマイルに少しだけ変化を感じる。

「お客様は三名様でご来店でしょうか」

「ああ、三名だ。けど従魔用のスペースに三体いる。小型のドラゴンとリザードマンとスライムだ。あいつら器用だからこれで食べられる料理を出してやってください。お願いします」

ゲイル達の料理代とチップをゼルートから貰った従業員はゼルート達を案内した後、他の従業員や客とぶつからない様に早足で厨房へと向かった。

「・・・・・・ゼルート、あなた何をしたの」

「大したことはしてないぞ。単に白金貨を手の中で遊んでいただけだ」

威圧感を出せば従業員をビビらせるだけでは無く、周囲の人間に何がとかと思い目を向けてくる者もいるだろうと考えたゼルートは一番平和的な解決方法を取った。
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