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連載
少年期[350]休日出勤
しおりを挟む「・・・・・・なんで酒を飲んでないのに頭が痛いんだろうな」
昨夜珍しくデックやボウド達と夜遅くまで話し合っていたゼルート。
この世界の成人という概念は基本的に十五だが、しかし十五歳よりも前の年齢でも酒を飲んでいる者は多々いる。
酒の味には興味があるゼルートだがそれでも十五を超えるまでは酒を飲まない様にしようと決めている。
なので二日酔いが襲って来る訳は無い。
だがそれでも少し頭が重いと感じていた。
「多分朝食の時間は既に過ぎてるだろうな・・・・・・二人共いないし」
隣のベットを見るとアレナとルウナは既にいなかった。
代わりに机に一枚の紙が置いてある。
「えっと・・・・・・生徒達に頼まれてギルドの訓練場に行ってきます。ゼルートも興味があれば来てね・・・・・・俺らの依頼って護衛だよな。普通は休日に生徒の自主練に付き合う必要は無いと思うが・・・・・・一先ず朝食を食べて俺の訓練を終えてからもう一度考えるか」
一つ大きな欠伸をしてからゼルートはゆっくりと階段を下りて食堂に向かう。
「あ、おはようございます! お連れの二人はもうギルドに向かいましたよ」
「おはようございます。丁寧に机の上に置き紙されてました。軽い物を食べて用を済ませたら自分も向かいます」
「分りました! 少し待っていてくださいね」
(軽い物って頼んで、それではずれが来ないんだから凄いよなぁ。前世なら軽い物を頼む、なんて注文の仕方した事無いし)
大人が入るような店、行きつけの店ならばそういった注文の仕方があるのかもしれない。
そう考えるゼルートだが、値段を見ずにメニューを頼む神経が・・・・・・最近になって解った気がしなくもない。
(懐に余裕があれば、それだけ心にも余裕が現れるって事だな)
店員が持ってきた朝食を食べながらゼルートはギルドの訓練場へ行くかどうかを考える。
(正直俺に利益が無さ過ぎる。デックやソン達と摸擬戦をしていた方がよっぽど有意義だ。というか、普通は体を休めるものじゃないのか? それとも・・・・・・・・・・・・そんなに体を痛めつけてでもあいつらに勝ちたいのか)
入学したばかりの一年でありながら圧倒的な強さを持つゼルートの友人の四人。
ゼルートの予想では四人の中で一番遠距離タイプのリルでさえ、今回課外演習にやって来た生徒達の中で前衛に特化した生徒と戦えば今までの経験を活かして勝てると思っている。
(前も思ったが、考えてなさ過ぎなんだよな。攻撃は確かに当たらなければ意味が無い。それは正しいけど自身と同等かそれより上の実力を持つ相手に攻撃を当てるまでの過程を考えずに勝てる訳無いだろ。まぐれのヒットはあるかもしれないけどさ)
プロのボクサーに素人のパンチが当たるかもしれない、そのような可能性はあるがそれと勝てるかはまだ別問題。
(そういうアドバイスは冒険者になる前に結構してたからな。ゴーランもそういう話はしっかりと聞いてくれてたし。あの勘違いした生徒達が一日や二日で考えが変わるのか・・・・・・とりあえず見てみない事には始まらないか)
朝食を食べ終えたゼルートは宿の外に出て拓けた場所を見つけて自主練を始めた。
三十分程で自主練を終え、ゼルートは露店で食べ物をつまみながらギルドへ向かう。
朝食をしっかりと食べたとはいえ、自主練を終えれば多少の腹が減る。
「・・・・・・近くまで来たけど、中から元気の良い声が聞こえるな」
ゼルートは元気な声と言うが、その声には決して嬉しさ等が含まれている訳では無く、必死さが伝わる声しか上がっていない。
ギルドの中へ入り、訓練場に向かうゼルートの絡もうとする冒険者は特にいない。
ゼルートの傍にはいつもアレナとルウナがいる為、朝からギルドにいる冒険者達は何故ゼルートがここへ来たのかなんとなく予想がついていた。
「生徒達は・・・・・・全員いるな。そんで・・・・・・先生達やデック達も含めて全員出席とは・・・・・・全員休日出勤ってところか」
ここはたとえ休日出勤になろうとも空気を読んで自主練に参加した方が良いのだろうと思い、何を教えるのかを考えながらアレナ達の元へ歩く。
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