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少年期[344]慣れと遺伝子

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「おはようさん」

「おはよう」

「あはよう、相変わらずゼルートは起きるのが一番最後だな」

時間は午前八時。本来ならばもう一時間から二時間程寝ているのだが、今日は生徒達の護衛依頼と言う訳で九時に街を出発する事になっている。

「・・・・・・二人共昨日は酒を飲んで潰れてたくせに二日酔いにはなってないんだな」

「私は過去に何回も同じような事になったことがあるから自然と慣れたのよ」

「私は父親が酒に強かった記憶が薄っすらと残っている。おそらく父親の血の影響でまだそこまで強くは無いが、ある程度耐性があるとみた」

二人にもし二日酔いの症状が出ているのなら、状態異常を回復させる魔法を使って治そうとゼルートは思っていたが、どうやら杞憂だったようだ。

「そうか。俺はまだそこら辺はいまいち分らないな。ってそんな事はどうでも良いか。とりあえず朝飯を食べてボウドさん達やソン達と合流だ」

下への食堂へ降りると、既に全員が降りていた。
そしてゼルート達は先生方やソン達が集まっているテーブルへと向かう。

「おはようございます。みんな起きるのが早いんだな」

「依頼を受けていない時はゆっくりと寝てるが、依頼を受ける時とか良い依頼が無いかギルドへ探しに行くときは基本的に早く起きないといけないからな。ゼルートだって良い依頼を探そうとするときは早く起きるだろ?」

「いや、俺達は・・・・・・というより俺が基本的に依頼の内容や報酬にそこまでおいしい物を求めないから普通にぐっすりと朝は寝てるぞ」

ゼルートの言葉にデック達だけでは無くボウド達までもが呆気に取られた表情になる。
それを見たアレナはやっぱりそういう表情になるわよねと思い、苦笑いしながら小さく笑っていた。

「ちょっと前に受けた依頼はサーベルタイガーの討伐依頼だったけど、ランクCのサーベルタイガーが討伐対象の割にはそこまで報酬が良くなかった気がするしな」

ランクCの中でも純粋な身体能力や依頼中のイレギュラー等を考えれば依頼書に書かれていた報酬金額では本来やや不十分なのだが、ゼルートとしてはサーベルタイガーの素材や魔石に肉が手に入るだけで満足だった。

「まぁ・・・・・・その時の討伐依頼は結構イレギュラーが起こったけどな」

「討伐依頼中のイレギュラーか・・・・・・それは興味があるな。一体どんな事が起こったんだ?」

「まずサーベルタイガーの目撃情報がある場所へと向かいました。探索一日目はサーベルタイガーの影すら見つからなかったんですけど近くの街に行ったら結構びっくりな情報を教えて貰ったんですよ」

「びっくりな情報ですか。それはサーベルタイガーが関係している情報なのですよね」

シェナンが首を可愛く傾げながらゼルートに尋ねる。

「ああ。街のそこまで遠くない場所にサーベルタイガーを飼っている盗賊団がいたんだよ」

「盗賊団が魔物を・・・・・・それはかなり珍しいケースだな」

そういったケースを耳にしたことが無かったソンはゼルートの話に俄然興味が湧いたのか朝食を食べるてを止める。

「だよな。そんで翌朝に盗賊団のアジトに攻め込もうとするんだけど道中に見つけた盗賊団らしき奴らからちょっと面倒な情報を聞いたんだ。そいつらはそこで全滅させたんだけどな。そんで盗賊団のアジトに辿り着くと・・・・・・そこにはサーベルタイガーじゃなくてその上位種にあたるサーロングタイガーがいたんだよ」

「・・・・・・はッ!!?? いや待て、それは流石に嘘だろ」

盗賊団がサーベルタイガーを飼っていた。そこまではそんな話も無くは無いだろうと思っていたダンだが、サーベルタイガーがサーロングタイガーへと進化していたのは流石に嘘だろと思ってしまった。

「嘘じゃねぇっての。つか、俺だって最初見た時は結構びっくりしたんだぞ。聞いてた話と違うじゃねぇかって。でもサーロングタイガーはゲイルが相手をして中の盗賊団はそこまで強くなかったから俺とアレナとラームで圧勝。サーロングタイガーもサーベルタイガーから進化したてなのか、そこまで強くなかったってゲイルが言ってたしな」

「・・・・・・いやーーーー、俺だったら即座に引き返して街のギルドに相談する内容だがそのまま討伐しちまうのか。はっはっは、朝から面白い話が聞けたぜ。これだから冒険者は良いんだよな」

自分達がゼルートの状況に置き換わりたいとは思わないが、そういっ話は冒険者でなければ聞けない話が多いため、アレナも含めてソン達は皆ボウドの言葉に頷いていた。
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