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第194話 いや、出来ない
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「あっちはあっちで、また良い感じに盛り上がってんな」
「細剣対刀……あなたから見て、どちら方が有利なのかしら」
「武器だけ見たらの話か? さぁ、どうだろうな、どっちも似た様な性質してっからなぁ~~~~。超接近なら細剣の突きが有利だろうけど…………相手がイブキってなると、また話は変ってくるだろうな」
武芸百般という言葉が大和にはあり、アカツキ家の者たち……アカツキ家に仕える者たちはメイン武器以外の武器も扱える者が多い。
そして武家に仕えているからといって、全員が刀をメインに扱っている訳でもない。
イシュドと同じく、イブキは相手が扱う得物によって得手不得手と感じることが
ない。
ただ……イシュドがイブキの方が有利だと判断するのには、また別の理由があった。
「単純な刀の技術、ではないのよね?」
「抜刀、居合斬りは確かに細剣にはねぇ高火力の一撃だが、細剣には構えさせねぇ、抜刀させねぇ連続の突きがある……が、イブキの奴は膝を抜くのが上手ぇ」
「膝を、抜く?」
「イブキと模擬戦してて、妙に自分の攻撃が連続で躱されると感じたことあんだろ」
「…………ありますわね」
「あるな~~~~。読みの精度がヤベぇって思てたけど、そうじゃねぇのかよ、イシュド」
「読みの精度がヤベぇってのもあるが、そこに膝を抜いて足を浮かせる? んで移動する技術があるから、あぁやってルドラって奴が攻めの起点となる攻撃を上手く躱せてんだよ」
膝を抜き、足を浮かせて移動する。
その言葉だけではイシュドが何を言いたいのか百パーセントは理解出来ず、二人はイブキの脚の動きに注視する。
「………………っ、なるほど……なんとなく、あなたが何を言いたいのか、解りましたわ」
「そりゃ良かったな。んで、真似出来そうか?」
「っ…………直ぐには、無理ですわ。というか、そういうあなたは出来ますの?」
「いや、出来ねぇな」
「やはりそうでしょうね……………はっ!!!!!?????」
「っ!!?? ぅおい、いきなり大きな声出すなよ」
いくらイシュドと言えど、鼓膜までは鍛えられない。
「も、申し訳ありませんわ……って、あなた出来ないのですの!!??」
「だからそう言ってんだろ」
「………………」
出来ない癖に、先程までの偉そうな態度はなんだったのか、とツッコミたい。
ただ、あまりにも堂々とし過ぎている態度に……言葉が出てこなかった。
「実家に体技メインで闘う奴はいるけど、イブキがやってるあの動きは、武だ」
「武? 刀……短刀を使った技術とはまた違うと」
「俺も詳しくは知らねぇけど、俺が五体で戦う時の動きとは質が異なる。んで、やろうと思っても簡単に出来る動きじゃねぇだろうな」
そもそもイシュドでは、自分の戦闘スタイルと合う動きではないというのもあるが、一朝一夕で会得出来るとは思えなかった。
「…………頭を下げて、教えてもらうべき?」
「どっちでも良いんじゃねぇの? 習ってお前の今の戦闘スタイルが崩れてボロボロになっても知らんけどな」
「ぐっ………………悩みますわね」
イシュドの言葉にイラつきはするものの、彼の様子から……直ぐに真似できない、そして今後も覚えようと……会得する気がないのが窺える。
戦闘大好き異常狂戦士が、そういった技術を会得出来る可能性を得る機会を見逃すとは思えない。
(おそらく、イシュドの戦闘スタイルには、あの技術は合わない……それは私にも言えることかもしれませんわね)
ミシェラはミシェラで強くなることに対して貪欲であるものの、物事を冷静に考えれる頭を持っていない訳ではない。
「全てを取り得たからといって、望む成長を得られるわけではない……慎重に選ぶことだ、ミシェラ」
「そうですわね、バイロン先生……ですが、そうなるとこの男はなんなのですか?」
ミシェラが指すこの男とは、勿論イシュドのことである。
「……始める時期も重要ということだ」
「良い事言うじゃないっすか、バイロン先生。マジで割と重要だと思っすよ。だって……って、どうやら向こうが動いたみてぇだな」
何かを言いかけたイシュド。
しかし、ガルフとヘレナの戦いに変化が起こり、意識がそちらに集中。
ミシェラとバイロンとしては、イシュドが何を言おうとしたのか気になるものの、ガルフとヘレナの戦いが佳境に迫っており、二人もそちらに意識を集中させた。
「ハァアアアアアアアアアッ!!!!!!!」
盛大に吼えながら、ガルフはロングソードを……ではなく、拳を振るっていた。
先程、ガルフの斬撃とヘレナの斬撃がぶつかり、ロングソードと大剣がどちらも耐久値が限界を超えてぶっ壊れてしまった。
だが、異常狂戦士から指導を受けているガルフの反応速度は、ヘレナよりもワンテンポ速かった。
武器が壊れたのであれば、残っている武器を振るえば良い。
イシュド直伝の格闘技を叩き込まれているガルフは顔面は狙わないという紳士的な……相手によっては嘗めてると思われるかもしれない連続打撃を叩き込む。
当然、ヘレナはここでも嘗めていると感じ取られ……更に怒りのボルテージが高まる。
「嘗、めるなァアアアアアアッ!!!!!」
飛来する拳は被弾覚悟で距離を詰め、絶好の距離から……ヘレナはヘッドバット。
女性らしからぬ……いや、剣を扱う者が放つとは思えない一撃。
しかし、当たれば戦況を変えられるどころか、一撃でガルフをノックアウト出来る可能性を秘めている。
「破ッ!!!!!!!!!!!!!」
「ッ!!!!!!!???????」
ただ、冷静さを失わず、距離を測っていたのはヘレナだけではなかった。
被弾覚悟で防御を捨て、体を少しのけ反った瞬間を見逃さず……ガルフはタイミング良くバックステップで距離を取りながら構え……振り下ろされる撃鉄に合わせ、正拳突きを叩き込んだ。
結果……ヘレナは後方へ吹き飛び、壁に激突。
頭部からは血がダラダラと流れているが、命に別状はなかった。
「細剣対刀……あなたから見て、どちら方が有利なのかしら」
「武器だけ見たらの話か? さぁ、どうだろうな、どっちも似た様な性質してっからなぁ~~~~。超接近なら細剣の突きが有利だろうけど…………相手がイブキってなると、また話は変ってくるだろうな」
武芸百般という言葉が大和にはあり、アカツキ家の者たち……アカツキ家に仕える者たちはメイン武器以外の武器も扱える者が多い。
そして武家に仕えているからといって、全員が刀をメインに扱っている訳でもない。
イシュドと同じく、イブキは相手が扱う得物によって得手不得手と感じることが
ない。
ただ……イシュドがイブキの方が有利だと判断するのには、また別の理由があった。
「単純な刀の技術、ではないのよね?」
「抜刀、居合斬りは確かに細剣にはねぇ高火力の一撃だが、細剣には構えさせねぇ、抜刀させねぇ連続の突きがある……が、イブキの奴は膝を抜くのが上手ぇ」
「膝を、抜く?」
「イブキと模擬戦してて、妙に自分の攻撃が連続で躱されると感じたことあんだろ」
「…………ありますわね」
「あるな~~~~。読みの精度がヤベぇって思てたけど、そうじゃねぇのかよ、イシュド」
「読みの精度がヤベぇってのもあるが、そこに膝を抜いて足を浮かせる? んで移動する技術があるから、あぁやってルドラって奴が攻めの起点となる攻撃を上手く躱せてんだよ」
膝を抜き、足を浮かせて移動する。
その言葉だけではイシュドが何を言いたいのか百パーセントは理解出来ず、二人はイブキの脚の動きに注視する。
「………………っ、なるほど……なんとなく、あなたが何を言いたいのか、解りましたわ」
「そりゃ良かったな。んで、真似出来そうか?」
「っ…………直ぐには、無理ですわ。というか、そういうあなたは出来ますの?」
「いや、出来ねぇな」
「やはりそうでしょうね……………はっ!!!!!?????」
「っ!!?? ぅおい、いきなり大きな声出すなよ」
いくらイシュドと言えど、鼓膜までは鍛えられない。
「も、申し訳ありませんわ……って、あなた出来ないのですの!!??」
「だからそう言ってんだろ」
「………………」
出来ない癖に、先程までの偉そうな態度はなんだったのか、とツッコミたい。
ただ、あまりにも堂々とし過ぎている態度に……言葉が出てこなかった。
「実家に体技メインで闘う奴はいるけど、イブキがやってるあの動きは、武だ」
「武? 刀……短刀を使った技術とはまた違うと」
「俺も詳しくは知らねぇけど、俺が五体で戦う時の動きとは質が異なる。んで、やろうと思っても簡単に出来る動きじゃねぇだろうな」
そもそもイシュドでは、自分の戦闘スタイルと合う動きではないというのもあるが、一朝一夕で会得出来るとは思えなかった。
「…………頭を下げて、教えてもらうべき?」
「どっちでも良いんじゃねぇの? 習ってお前の今の戦闘スタイルが崩れてボロボロになっても知らんけどな」
「ぐっ………………悩みますわね」
イシュドの言葉にイラつきはするものの、彼の様子から……直ぐに真似できない、そして今後も覚えようと……会得する気がないのが窺える。
戦闘大好き異常狂戦士が、そういった技術を会得出来る可能性を得る機会を見逃すとは思えない。
(おそらく、イシュドの戦闘スタイルには、あの技術は合わない……それは私にも言えることかもしれませんわね)
ミシェラはミシェラで強くなることに対して貪欲であるものの、物事を冷静に考えれる頭を持っていない訳ではない。
「全てを取り得たからといって、望む成長を得られるわけではない……慎重に選ぶことだ、ミシェラ」
「そうですわね、バイロン先生……ですが、そうなるとこの男はなんなのですか?」
ミシェラが指すこの男とは、勿論イシュドのことである。
「……始める時期も重要ということだ」
「良い事言うじゃないっすか、バイロン先生。マジで割と重要だと思っすよ。だって……って、どうやら向こうが動いたみてぇだな」
何かを言いかけたイシュド。
しかし、ガルフとヘレナの戦いに変化が起こり、意識がそちらに集中。
ミシェラとバイロンとしては、イシュドが何を言おうとしたのか気になるものの、ガルフとヘレナの戦いが佳境に迫っており、二人もそちらに意識を集中させた。
「ハァアアアアアアアアアッ!!!!!!!」
盛大に吼えながら、ガルフはロングソードを……ではなく、拳を振るっていた。
先程、ガルフの斬撃とヘレナの斬撃がぶつかり、ロングソードと大剣がどちらも耐久値が限界を超えてぶっ壊れてしまった。
だが、異常狂戦士から指導を受けているガルフの反応速度は、ヘレナよりもワンテンポ速かった。
武器が壊れたのであれば、残っている武器を振るえば良い。
イシュド直伝の格闘技を叩き込まれているガルフは顔面は狙わないという紳士的な……相手によっては嘗めてると思われるかもしれない連続打撃を叩き込む。
当然、ヘレナはここでも嘗めていると感じ取られ……更に怒りのボルテージが高まる。
「嘗、めるなァアアアアアアッ!!!!!」
飛来する拳は被弾覚悟で距離を詰め、絶好の距離から……ヘレナはヘッドバット。
女性らしからぬ……いや、剣を扱う者が放つとは思えない一撃。
しかし、当たれば戦況を変えられるどころか、一撃でガルフをノックアウト出来る可能性を秘めている。
「破ッ!!!!!!!!!!!!!」
「ッ!!!!!!!???????」
ただ、冷静さを失わず、距離を測っていたのはヘレナだけではなかった。
被弾覚悟で防御を捨て、体を少しのけ反った瞬間を見逃さず……ガルフはタイミング良くバックステップで距離を取りながら構え……振り下ろされる撃鉄に合わせ、正拳突きを叩き込んだ。
結果……ヘレナは後方へ吹き飛び、壁に激突。
頭部からは血がダラダラと流れているが、命に別状はなかった。
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