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第192話 抱く気持ちは、解らなくもない
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「あなた……本当に何をしてますの」
事情を聞き、把握したミシェラは心の底から呆れ、大きな大きなため息を吐いた。
ミシェラの脳内は、あり得ないという言葉で埋め尽くされていた。
「ぶはっはっはっ!!!! い、いやぁ~~~、マジでこう……本当に最高過ぎるぜ、イシュド」
「だろ、フィリップ」
目の前のバカ二人の様子を見て、ミシェラは再度大きなため息吐き……おそらく、先日からフレア・カルドブラの一件に関してイシュドに伝えていたであろうクリスティールに心の底から同情した。
(先日、クリスティールお姉様がイシュドにこっそり伝えていた一件は、間違いなくカルドブラ王国の王女様の留学。そして、何故イシュドだけにクリスティールお姉様とバイロン先生がこの事を伝えたのかは……おそらく、フレア女王がイシュドに用があるためでしょうね)
こんな粗野で野蛮で下品でデリカシーの欠片もない男にいったい何の用があるというのだろうか……なんて言葉は、万に一つ出てこない。
粗野で野蛮で下品でデリカシーの欠片もないノット・オブ・ノット紳士であったとしても……イシュドには、各学年のトップが三人纏めて挑んだとしても軽くあしらえる程の戦闘力がある。
「…………はぁ~~~~~~~~~~」
「おいおい、ため息吐き過ぎなんじゃねぇの? あんま吐いてばっかだと、幸せが逃げるぜ?」
「うるさいですわ。いったい誰のせいだと思って……それにしても、なぜあなたが戦うのではなく、ガルフとイブキに戦わせたのかしら」
イシュドが紳士的な意味では、もう色々とどうしようもない存在であることは今更な話。
だが、戦闘バカであるイシュドが王女の護衛二人と戦うチャンスを友人に譲るとは思えない。
「俺が戦っても良かったんだが、あいつらがいつまで滞在すんのかは知らねぇけど、俺たちとばっかり戦い続けるのもあれだからな……偶には味変が必要だろ」
「……あなたは偶に解らないようで解るような事を言いますわね」
「結果解ってんなら別に良いだろ。俺の見立てじゃあ、あの二人……ルドラとヘレナだったか。あの二人は、向こうでトップクラスの連中の筈だ。フィリップは置いといて、デカパイだって少しは戦ってみてぇだろ」
「…………興味はありますわ」
まだ四人とも準備運動行っている段階だが、基礎的な動きからキレの違いを感じさせられる。
当然ながら、先日戦った鬼竜・尖より戦闘力は低いものの、一対一で戦うと仮定した場合……確実に勝利出来るイメージまでは湧かなかった。
「それでは、これからガルフ君とイブキさん、ルドラさんとヘレナさんによる二対二の試合を始めます。ポーションは用意していますが、あまりこれが試合だということを忘れない様にお願いいたします」
二対二の審判を務めるのは生徒会長のクリスティール。
試合を行う訓練場に、他の学生たちはいない。
留学生であるルドラとヘレナ、激闘祭トーナメントで平民でありながらベスト八まで上り詰めたガルフと海を越えた大陸から留学してきたイブキが激突するという話は学生たちの間で直ぐに広まったものの……クリスティールは関係のない学生に試合を観せないと決めた。
これがイシュドの判断であれば面と向かって文句を言う者は現れないものの、裏でぐちぐちと文句を垂れる者がいたかもしれないが……学園の女神であるクリスティールの頼みということもあり、是非とも観戦したいと思っていた学生たちは素直に引き下がった。
(ふぅ~~~~……ど、ドキドキするな~~~~)
(この国以外の強者と戦えるとは……やはり、バトレア王国に留学して正解だった)
いきなり王女の護衛である留学生と戦うことに緊張しつつも、イシュド思考に染まりつつあるガルフ。
普通なら戦うことが出来ないである同世代の猛者と戦える機会に、ほんの少しテンションが上がっていた。
イブキはイブキで通常運転であり、奇跡的な巡り合わせに感謝し……ゆっくりと抜刀の構えを取った。
「それでは……始め!!!!」
「「「「ッ!!!!!!」」」」
両者、共に事前に誰の相手をするか決めており、それが見事に合致。
細剣使いであるルドラにはイブキが、大剣使いであるヘレナにはガルフが対応。
「はっはっは!!!! 良いね良いね、出方を窺うことなく全員とりあえず斬り結ぶ……戦る気満々だね~~~~」
(…………この男、自分のせいでそうなってると解ってないのかしら?)
ガルフとイブキのタッグだけではなく、ルドラとヘレナのタッグも対戦相手が普通ではない事をある程度把握していた。
「ッ、刀という武器ですね……あなたが、別大陸から来た、私たちと同じ留学生、ですね」
「えぇ。その通り、です。あなたの様なバトレア王国以外の猛者と、戦える幸運に……イシュドに感謝しなければ、なりませんね」
「あなたの様な方が、何故あの男と交友を深めて、いるのか……失礼ながら、疑問に思ってしまいます、ね」
ルドラの物言いに対し、イブキは怒りが沸点に向けて上昇することはなかった。
フレアの護衛として共に留学してきたルドラの立場を考えれば、イシュドに対して早速負の感情を持ってしまうのは解る。
「人々、力なき偽善者よりも、力のある暴君に惹かれる……といった、ところでしょうか。イシュドは、暴君そのものではありませんが」
「なるほど…………それは是非とも、あなた方を倒し、是非とも手合わせして頂きたい、ものですね!!」
細剣と刀。
的確に狙いを定めて攻撃を放ち、使いこなすのにそれなりの技量が必要となる武器。
しかし、武器の性質や必要な技量が似ていても、戦闘スタイルは異なる。
(数回ほど、細剣を使うイシュドと、模擬戦をしたことがある、が……総合的な技量を含めれば、イシュドに劣っていない……か?)
細剣は全くもってイシュドの専門分野ではないが、戦闘バカであるイシュドは実戦である程度使っているため、細剣使いの学生以上の力量を身に付けていた。
それはイブキも話には聞いていたが……ルドラと刃を交えて数十秒、技量だけなら負けてないと感じ、武士の心が燃え上がる。
事情を聞き、把握したミシェラは心の底から呆れ、大きな大きなため息を吐いた。
ミシェラの脳内は、あり得ないという言葉で埋め尽くされていた。
「ぶはっはっはっ!!!! い、いやぁ~~~、マジでこう……本当に最高過ぎるぜ、イシュド」
「だろ、フィリップ」
目の前のバカ二人の様子を見て、ミシェラは再度大きなため息吐き……おそらく、先日からフレア・カルドブラの一件に関してイシュドに伝えていたであろうクリスティールに心の底から同情した。
(先日、クリスティールお姉様がイシュドにこっそり伝えていた一件は、間違いなくカルドブラ王国の王女様の留学。そして、何故イシュドだけにクリスティールお姉様とバイロン先生がこの事を伝えたのかは……おそらく、フレア女王がイシュドに用があるためでしょうね)
こんな粗野で野蛮で下品でデリカシーの欠片もない男にいったい何の用があるというのだろうか……なんて言葉は、万に一つ出てこない。
粗野で野蛮で下品でデリカシーの欠片もないノット・オブ・ノット紳士であったとしても……イシュドには、各学年のトップが三人纏めて挑んだとしても軽くあしらえる程の戦闘力がある。
「…………はぁ~~~~~~~~~~」
「おいおい、ため息吐き過ぎなんじゃねぇの? あんま吐いてばっかだと、幸せが逃げるぜ?」
「うるさいですわ。いったい誰のせいだと思って……それにしても、なぜあなたが戦うのではなく、ガルフとイブキに戦わせたのかしら」
イシュドが紳士的な意味では、もう色々とどうしようもない存在であることは今更な話。
だが、戦闘バカであるイシュドが王女の護衛二人と戦うチャンスを友人に譲るとは思えない。
「俺が戦っても良かったんだが、あいつらがいつまで滞在すんのかは知らねぇけど、俺たちとばっかり戦い続けるのもあれだからな……偶には味変が必要だろ」
「……あなたは偶に解らないようで解るような事を言いますわね」
「結果解ってんなら別に良いだろ。俺の見立てじゃあ、あの二人……ルドラとヘレナだったか。あの二人は、向こうでトップクラスの連中の筈だ。フィリップは置いといて、デカパイだって少しは戦ってみてぇだろ」
「…………興味はありますわ」
まだ四人とも準備運動行っている段階だが、基礎的な動きからキレの違いを感じさせられる。
当然ながら、先日戦った鬼竜・尖より戦闘力は低いものの、一対一で戦うと仮定した場合……確実に勝利出来るイメージまでは湧かなかった。
「それでは、これからガルフ君とイブキさん、ルドラさんとヘレナさんによる二対二の試合を始めます。ポーションは用意していますが、あまりこれが試合だということを忘れない様にお願いいたします」
二対二の審判を務めるのは生徒会長のクリスティール。
試合を行う訓練場に、他の学生たちはいない。
留学生であるルドラとヘレナ、激闘祭トーナメントで平民でありながらベスト八まで上り詰めたガルフと海を越えた大陸から留学してきたイブキが激突するという話は学生たちの間で直ぐに広まったものの……クリスティールは関係のない学生に試合を観せないと決めた。
これがイシュドの判断であれば面と向かって文句を言う者は現れないものの、裏でぐちぐちと文句を垂れる者がいたかもしれないが……学園の女神であるクリスティールの頼みということもあり、是非とも観戦したいと思っていた学生たちは素直に引き下がった。
(ふぅ~~~~……ど、ドキドキするな~~~~)
(この国以外の強者と戦えるとは……やはり、バトレア王国に留学して正解だった)
いきなり王女の護衛である留学生と戦うことに緊張しつつも、イシュド思考に染まりつつあるガルフ。
普通なら戦うことが出来ないである同世代の猛者と戦える機会に、ほんの少しテンションが上がっていた。
イブキはイブキで通常運転であり、奇跡的な巡り合わせに感謝し……ゆっくりと抜刀の構えを取った。
「それでは……始め!!!!」
「「「「ッ!!!!!!」」」」
両者、共に事前に誰の相手をするか決めており、それが見事に合致。
細剣使いであるルドラにはイブキが、大剣使いであるヘレナにはガルフが対応。
「はっはっは!!!! 良いね良いね、出方を窺うことなく全員とりあえず斬り結ぶ……戦る気満々だね~~~~」
(…………この男、自分のせいでそうなってると解ってないのかしら?)
ガルフとイブキのタッグだけではなく、ルドラとヘレナのタッグも対戦相手が普通ではない事をある程度把握していた。
「ッ、刀という武器ですね……あなたが、別大陸から来た、私たちと同じ留学生、ですね」
「えぇ。その通り、です。あなたの様なバトレア王国以外の猛者と、戦える幸運に……イシュドに感謝しなければ、なりませんね」
「あなたの様な方が、何故あの男と交友を深めて、いるのか……失礼ながら、疑問に思ってしまいます、ね」
ルドラの物言いに対し、イブキは怒りが沸点に向けて上昇することはなかった。
フレアの護衛として共に留学してきたルドラの立場を考えれば、イシュドに対して早速負の感情を持ってしまうのは解る。
「人々、力なき偽善者よりも、力のある暴君に惹かれる……といった、ところでしょうか。イシュドは、暴君そのものではありませんが」
「なるほど…………それは是非とも、あなた方を倒し、是非とも手合わせして頂きたい、ものですね!!」
細剣と刀。
的確に狙いを定めて攻撃を放ち、使いこなすのにそれなりの技量が必要となる武器。
しかし、武器の性質や必要な技量が似ていても、戦闘スタイルは異なる。
(数回ほど、細剣を使うイシュドと、模擬戦をしたことがある、が……総合的な技量を含めれば、イシュドに劣っていない……か?)
細剣は全くもってイシュドの専門分野ではないが、戦闘バカであるイシュドは実戦である程度使っているため、細剣使いの学生以上の力量を身に付けていた。
それはイブキも話には聞いていたが……ルドラと刃を交えて数十秒、技量だけなら負けてないと感じ、武士の心が燃え上がる。
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