転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。

Gai

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第185話 報告会

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「う~~~~す」

「お帰りなさい、皆」

謎の個体、その正体を突き止め、戦い、仕留めた五人はレポートを纏めた後は直ぐに王都へと帰還。

馬車に乗れば……二十日間という依頼に使える期間を過ぎてしまうが、イシュドが持つ空飛ぶ絨毯のお陰で期間内に帰還することが出来た。

「その様子だと、依頼は達成出来たと思って良いのでしょうか」

「そうだな。正体を調べるどころか、実際に戦った訳だしな」

「…………ひとまず、例の個体に関する資料を見せてもらっても良いでしょうか」

「はいよ」

イシュドたちがただ調査するだけで終わらず、例の個体と戦うことはなんとなく予想出来ていたものの、クリスティールたちからすれば……安全面を考えると、可能なら避けてほしかった。

「「「「…………………………」」」」

他の生徒会メンバーたちも同時に報告書類を黙々と読んでいく。
ただ、所々で表情が面白く崩れ、イシュドやスティームはそれを見る度に笑っていた。

しかし生徒会員たちは一々気にすることなく、訊きたいことを纏めて尋ねたいため、イシュドたちがまとめたレポートを真剣に読み進めていく。

「…………ふぅ~~~~~~~~。皆が纏めてくれたレポート、読ませていただきました。さて………………どこから尋ねた方が良いでしょうか?」

生徒会メンバー、同僚にそう尋ねるも、生徒会員たちもどこから尋ねれば良いのか非常に迷っていた。

「……まず、本当に例の個体の名前が鬼竜・尖なのか。ここからでしょう」

「おいおい、インテリメガネパイセン、そこを疑ってんのか? 遭遇した時、ちゃんとこのマジックアイテムを使って調べたぜ」

アイテムバッグの中からイシュドは実際に使用した鑑定効果が付与されたモノクルを取り出した。

「むむ、これは…………是非とも、欲しいと思ってしまうほど良質なモノクルだな」

「だろだろ。つか、これは俺の実家周辺で遭遇したモンスターの話だけど、オーガから進化して剣鬼って名前になった元オーガがいたんだぜ」

イシュドの説明に、その場にいたクリスティールが同意するように頷く。

「いましたね。そう考えると、こういった名前のモンスターがいてもおかしくないのですが……オーガとリザードマンの特徴を持ち合わせている個体、ですか……本当に、このような個体がいるのですね」

オーガが剣鬼といった存在に進化する。
元のオーガと、進化した剣鬼の姿を見たことがあるため、そこまではまだ理解……納得出来るクリスティール。

だが、二体のモンスターの特徴を併せ持つモンスターという存在は初耳だった。

「間違いなく、Bランクモンスター並みの力を持ってた。最初はガルフたち四人がかりで戦って互角だった」

「……では、次にそこに関して訊きましょうか。この学習能力の高さ……実際に、どれほど恐ろしのかイシュド君の口から聞きたいですね」

「酒場でも話したんだが、王都とか規模が大きくてマジで戦力が揃ってる様な街は無理だろうが、普通の街なら一人で潰せるぐらいの頭は持ってたと思うぜ」

「っ!!! それは……真なのか」

「真っすよインテリメガネパイセ~~ン。対峙した相手を倒すだけ倒して殺さないようにしてたみたいっすけど、野心もりもりの状態になったら、どうすれば俺たち人間の動きが止まってしまうのかとか速攻で思い付いて実行するだろうな」

そういった思考を持っているからという訳ではなく、インテリメガネパイセンことネルス・アサームはこれまでの経験から屑が取る行動を知っていた。

「モンスターの考えとか解らねぇけど、あの個体が野心もりもりなタイプじゃなくて良かったっすね。最悪、最寄りの街どころからもう一個ぐらい街が潰されてたんじゃねぇかな」

「……恐ろしいモンスターがいたものだ」

「ねぇねぇ、思考力がモンスターのそれじゃないってのは確かにヤバいけどさ~~。私としては、やっぱりこの心臓が二つあるってのがヤバ過ぎると思うんだけど」

元気系女子である書記の発言に、クリスティールたちだけではなくイシュドたちも全員頷いた。

「あら、イシュド君もこれには驚いたのね」

「心臓や重要な器官が複数ある……それがデフォルトのモンスター自体とは戦ったことがある。だから、それに関しては驚くことはねぇけど、例の個体である鬼竜・尖が心臓を二つ持ってるとは全く予想してなかったよ」

「……そういったイレギュラー要素を持つ個体と遭遇したことはなかったのね」

「腕が複数生えてたり、第三の眼持つイレギュラー個体となら遭遇したことはあるけど、心臓を二つ持ってるイレギュラーなモンスターとは一度も遭遇したことなかったな」

「せっかくミシェラが尻尾にしがみついてケツの臭さに我慢して切断して、その隙を突いて俺らも頑張ってガルフがロングソードで貫いたんだけどな~~~」

「……っ!!!!!!!!!! ふぃ、フィリップッ!!!!!!!!! な、なんてこと言うのよ!!!!!!!」

一応……一応、フィリップの説明は間違っていない。

しがみついて尾の根本付近を切断するとなれば、必然的に顔から鬼竜・尖の肛門までの距離が近い。

「おいお~~~い、俺はタダお前の泥臭さマックスの根性を褒めただけじゃねぇ~かよ。な~にそんなに怒ってんだよ。なぁ~、ガルフ。お前もそう思うだろ?」

「えっ? い、いや……えっと……ど、どうだろ?」

泥臭さマックスの根性。
それはガルフにとって、褒め言葉に該当する。
しかし……貴族令嬢が、人やモンスターなど関係無しに、肛門近くまで顔を近付けたという表現に関して……あまりよろしくない事ぐらいはガルフも解っていた。

「二人とも、喧嘩は一度中断しなさい。まだ終わってないのよ」

基本的にフィリップが悪いという事はクリスティールも理解しているが、話しが進まなくなるので、ひとまず両者の言い分を聞かずにぶった切った。

ただ……後でフィリップの頭に拳骨を振り下ろすのは、クリスティールの中で確定していた。
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