転生者、有名な辺境貴族の元に転生。筋肉こそ、力こそ正義な一家に生まれた良い意味な異端児……三世代ぶりに学園に放り込まれる。

Gai

文字の大きさ
上 下
166 / 271

第166話 誰が対応する?

しおりを挟む
「いやぁ~~~~、マジで最高だよな~~、これ」

準備が整ったイシュドたちはイシュドが所有している空飛ぶ絨毯に乗り、目的地へと出発。

「……なんだか、ズルしてる気分になりますわね」

ミシェラもイシュドが所有している空飛ぶ絨毯を使用して移動することには賛成ではあるが……本来は学園が所有している場所を使う、もしくは自分たちで手配して移動するのが一般的な移動方法。

「別に良いじゃねぇ~かよ。俺達は冒険者じゃねぇし、冒険者の……ほら、あれだ。昇格試験って訳でもねぇんだから、気楽に考えれば良いじゃねぇか」

フィリップの言う通り、移動方法に関しては特に評価される部分には入らない。

なので、特にズルい移動方法という訳でもない。

「つかさ、イシュド。現地に着いたらさ、その街を拠点に活動してる冒険者とぶつかったりしねぇか」

「どうだろうな。多分するんじゃねぇか」

サラッとおそらくぶつかるだろう発言をするイシュド。

「どう対処しますか」

それはそれで面倒ではあるものの、ある程度そうなるかもしれないと予想はしているので、特にイブキは焦らずどう対処すべきか尋ねた。

「……まぁ、一応リーダーな訳だし、そこら辺は俺がなんとかしておくよ。多分、お前らじゃ上手く対応出来ねぇしな」

「むっ! 決め付けるのは早過ぎるのではなくて?」

「じゃあ逆に聞くけど、デカパイは平民の冒険者に絡まれて、上手く受け流せるのかよ」

「それは……………………」

絡まれた際に言われるであろう言葉を脳内で思い浮かべ、何度も返答のシミュレーションを行う。

「……………………くッ」

「だろ」

「イシュド、フィリップであれば上手く出来ると思いますが」

イブキが自分よりもフィリップの力を評価している事に追加でダメージを受けるデカパイ……を無視し、イシュドはその問いに対して答える。

「フィリップはなぁ~~~~~…………言葉は上手いと思うが、チャラくてイケメンだからなぁ……野郎が相手だと、無理だと思うな~」

「おいおいイシュド、それってちょっと理不尽過ぎねぇか?」

「世の中そんなもんだろ。良い顔と身分と戦闘力を持ってんだぜ? 平民からすれば、逆にお前は何を持ってないんだよ!! って叫び散らかしたいはずだぜ」

もうかなり昔のことではあるが、イシュドも前世では……持っている側とは言い難かったため、平民たちの貴族に対する想いは良く解る。

「そいつは……そうなんかもしれねぇけど……あっ、でもよ! 同じ平民のガルフなら、向こうもこっちの話を聞いてくれるんじゃねぇか」

「ガルフはガルフで、逆に無理だろうな」

「えぇ~~~~~~~~。なんだよそれ、厳し過ぎねぇか?」

「あくまで俺の予想だけど、同じ平民なのに同世代の貴族と一緒に行動してる……ってのが、クソほど気に入らないんじゃねぇかな」

これはこれでまた理不尽な理由であり……それに関して真っ先に反応したのは、以外にもミシェラだった。

「……ガルフが、何も努力してないと、彼らは捉えるのね」

「俺の個人的な予想だけどな。つっても、超絶クソバカじゃないんだから、妬むのは運の部分だろうな」

運という言葉を聞き、ガルフは真っ先にイシュドとの出会いが浮かんだ。

学園に入学出来たとしても、イシュドがいなければ……と考えるだけで、体が震える。

「運とは、努力を積み重ね続けてきた者の頭上にのみ降りてくる要素だというのに」

「俺も似た様な考えだよ、イブキ。ベテランの冒険者たちは同じ考えを持ってる奴が多いと思うが、若い連中ほどそういう考えに至れていない」

「んじゃあよ、イブキならどうだ? なんかこう……イブキなら、いけそうな感じがあるだろ」

「その気持ちは解らなくもねぇけど…………あれだぞ、マジで個人的な考えだからな。野郎は女に正論をぶちかまされたら、余計に引き下がれなくなるんだよ」

イシュドの個人的な考えを聞いて……まず、ミシェラが面白いほど顔を歪ませる。

同じ野郎であるフィリップに関しては、その感覚が解らなくもないため、「あぁ~~~、なるほどなるほど」といった納得の表情を浮かべた。

そして同じく野郎であるガルフはフィリップほどあっさり納得は出来なかった。
ただ、男として女に負けたくない……そういったしょうもない理由ではあるが、男が抱えている本能的な部分に関して解らなくもないため、非常に難しい表情にある。

「……つまり、やはりイシュドが一番対応出来るということね」

そして大和では……ザ・男尊女卑の風潮が根付いているという訳ではないが、そういった思考を持つ者が一定数存在しているため、女性でありながら野郎たちの感情に対して、イブキは一定の理解を持っていた。
しおりを挟む
感想 41

あなたにおすすめの小説

聖女召喚されて『お前なんか聖女じゃない』って断罪されているけど、そんなことよりこの国が私を召喚したせいで滅びそうなのがこわい

金田のん
恋愛
自室で普通にお茶をしていたら、聖女召喚されました。 私と一緒に聖女召喚されたのは、若くてかわいい女の子。 勝手に召喚しといて「平凡顔の年増」とかいう王族の暴言はこの際、置いておこう。 なぜなら、この国・・・・私を召喚したせいで・・・・いまにも滅びそうだから・・・・・。 ※小説家になろうさんにも投稿しています。

こちらの異世界で頑張ります

kotaro
ファンタジー
原 雪は、初出勤で事故にあい死亡する。神様に第二の人生を授かり幼女の姿で 魔の森に降り立つ 其処で獣魔となるフェンリルと出合い後の保護者となる冒険者と出合う。 様々の事が起こり解決していく

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

病弱が転生 ~やっぱり体力は無いけれど知識だけは豊富です~

於田縫紀
ファンタジー
 ここは魔法がある世界。ただし各人がそれぞれ遺伝で受け継いだ魔法や日常生活に使える魔法を持っている。商家の次男に生まれた俺が受け継いだのは鑑定魔法、商売で使うにはいいが今一つさえない魔法だ。  しかし流行風邪で寝込んだ俺は前世の記憶を思い出す。病弱で病院からほとんど出る事無く日々を送っていた頃の記憶と、動けないかわりにネットや読書で知識を詰め込んだ知識を。  そしてある日、白い花を見て鑑定した事で、俺は前世の知識を使ってお金を稼げそうな事に気付いた。ならば今のぱっとしない暮らしをもっと豊かにしよう。俺は親友のシンハ君と挑戦を開始した。  対人戦闘ほぼ無し、知識チート系学園ものです。

婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪

naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。 「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」 まっ、いいかっ! 持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

冤罪をかけられた上に婚約破棄されたので、こんな国出て行ってやります

真理亜
恋愛
「そうですか。では出て行きます」 婚約者である王太子のイーサンから謝罪を要求され、従わないなら国外追放だと脅された公爵令嬢のアイリスは、平然とこう言い放った。  そもそもが冤罪を着せられた上、婚約破棄までされた相手に敬意を表す必要など無いし、そんな王太子が治める国に未練などなかったからだ。  脅しが空振りに終わったイーサンは狼狽えるが、最早後の祭りだった。なんと娘可愛さに公爵自身もまた爵位を返上して国を出ると言い出したのだ。  王国のTOPに位置する公爵家が無くなるなどあってはならないことだ。イーサンは慌てて引き止めるがもう遅かった。

爺さんの異世界建国記 〜荒廃した異世界を農業で立て直していきます。いきなりの土作りはうまくいかない。

秋田ノ介
ファンタジー
  88歳の爺さんが、異世界に転生して農業の知識を駆使して建国をする話。  異世界では、戦乱が絶えず、土地が荒廃し、人心は乱れ、国家が崩壊している。そんな世界を司る女神から、世界を救うように懇願される。爺は、耳が遠いせいで、村長になって村人が飢えないようにしてほしいと頼まれたと勘違いする。  その願いを叶えるために、農業で村人の飢えをなくすことを目標にして、生活していく。それが、次第に輪が広がり世界の人々に希望を与え始める。戦争で成人男性が極端に少ない世界で、13歳のロッシュという若者に転生した爺の周りには、ハーレムが出来上がっていく。徐々にその地に、流浪をしている者たちや様々な種族の者たちが様々な思惑で集まり、国家が出来上がっていく。  飢えを乗り越えた『村』は、王国から狙われることとなる。強大な軍事力を誇る王国に対して、ロッシュは知恵と知識、そして魔法や仲間たちと協力して、その脅威を乗り越えていくオリジナル戦記。  完結済み。全400話、150万字程度程度になります。元は他のサイトで掲載していたものを加筆修正して、掲載します。一日、少なくとも二話は更新します。  

処理中です...