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第152話 以前よりは楽しみ
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「お前ら、俺より先に行けよ」
学園に戻る前、イシュドはアドレアスとディムナにそう伝えた。
「どうしてだい?」
「どうしても何も、学園の連中はお前らが夏休み間、うちの実家に来てたの知らねぇだろ」
クリスティールやダスティンと関係があるのは、もうバレても良いと思っているイシュド。
しかし、ディムナと……特にアドレアスと関りがあると知られれば、腰巾着虫が湧いてくるのが眼に見えている。
「遠慮なくその場でぶっ潰しても良いならそうするけどよ、本当にバカが絡んできたら殴り潰しても良いのか」
「あぁ~~~~…………そう、だね。うん、解った。なるべく、極力バレないように努力するよ」
「なるべく、極力じゃなくて絶対だバカ野郎。仮に取り巻き腰巾着共にバレたら、お前場どうにかしろよ、王子様」
「解ってるよ」
ディムナも了承し、二人は先に街から出て王都へと出発。
イシュドは一日遅れで出発。
その間……また離れるため、ヴァルツやリュネと試合を何度も何度も繰り返し行っていた。
「っし、さすがに休め~、水分ちゃんと取れよ~」
「「は、はい」」
当然と言えば当然ながら、既に二次転職を果たしているとはいえ、二人が本当の意味でイシュドの戦い相手になるのは……まだまだ先。
今日も今日とて遊ばれていた。
「また明日から、学園に戻るんだよね」
「おぅ、そうだな。王都の飯も美味いから良いっちゃ良いんだけど……まっ、しゃあねぇよな」
激闘祭のエキシビションマッチに参加し、蛮族だの貴族にあるまじき品のない連中など、色々と陰で言われていたレグラ家の力を見せ付けたところで……イシュドの中で、自主退学しても良いのでは? という思いが芽生えた。
だが、学園にはガルフやフィリップたちがいる。
(ガルフも強くなったけど……いざとなったら、本気の暴力で全部の厄介事を解決は出来ないだろうからな)
親友たちとの学園生活も悪くないと思えた。
「……イシュド兄さん、もしかして学園に通うの、楽しみですか?」
「さぁ~~~、どうだろうな。面倒に思う部分はあるけど、入学する前ほどではないかもな」
「そうなんですね……それは、学園に気になる人がいるから、ですか?」
「…………ん???」
いきなりリュネが何を言い出したのか分からず、思わず首を捻るイシュド。
「もしかして、俺に異性的な意味で気になる人がいるから、って思ってるのか、リュネ」
「はい。そうです。この前、メイドたちと話してたんですけど、イシュド兄さんがもう学園に通わなくても良いのでは? という話を持ち出さないのは、異性的な意味で気になる人がいるのでは? という結論に至りました」
リュネがメイドたちと話し合って至った結論は……納得出来なくはない。
あのイシュドが、っと意外性がある内容ではあるが、意外だからこそ納得出来る部分がある。
「そ、そうか。期待に添えねぇ? かもしれねぇけど、別にそういう理由で学園に通うのが割と嫌じゃないってわけじゃねぇ」
「そうでしたか……」
「……リュネってさぁ、もしかしてイシュド兄さんの友達の中で、気になる人でも出来た?」
ヴァルツにとっては、ただ気軽に質問しただけだった。
ただ、リュネにとっては核心を突かれた……と言うのは大袈裟だが、ヴァルツの鋭い質問に驚きが表情に零れてしまった。
「正直なところ、レグラ家の人間……レグラ家の領地で暮らす男性以外に、あそこまで本気で強さを求められる人たちがいるとは思いませんでした」
「世の中広いから、それは大袈裟な感想かもしれねぇえが…………確かに、少なくとも学園の中で骨のある連中は大して多くなかったか。んで、リュネ。気になる人ってのは誰なんだよ」
「いえ、特にこれといった人はいません。ただ……いずれ婿を取るのであれば、あの方々の内、誰かが良いなとは思いました」
「な~~るほどなぁ~~~~。一部面倒な連中もいるが、解らなくはねぇな」
イシュドとしては、父親が面倒を全て対処してくれるのであれば、王族であるアドレアスがリュネ旦那としてレグラ家に来ても構わないと……一応思っている。
「それで、イシュド兄さんは結局のところ、良いと思う人はいらっしゃらないのですか?」
「特にねぇな!!!! まだまだ身を固めるのは早ぇと思ってるからな」
「もっともっと遊ぶってこと?」
あまり深くは解っていないが、イシュドがどういった事を考えているのかある程度は予想出来たヴァルツ。
「はっはっは!!!! まっ、そんな感じだ。ぶっちゃけ、結婚したからって俺がやることってあんまり変わらねぇだろうからな。結婚するなら、しっかりそこに付いてきて来れる人じゃねぇとな」
レグラ家が抱える問題が解決できたのであればまだしも、解決出来ない日々が続いてるのであれば、一人だけ別の地に腰を下ろすことなんて出来るわけがない。
「やっぱり、第一に求めるのは強さなんですね」
「強さ…………そうだな。強さも大事だが、それ以上にメンタルが強い人を望むかな」
イシュドが伴侶に望む条件の中に当然強さは入っているが、それ以上に強いメンタルが必要だった。
今現在、イシュドはAランクのモンスターをソロで倒せるまでに成長しているが、当然ながらこれまで何度も死の危機に瀕したことがある。
強敵との戦闘後にぶっ倒れ、共に行動していた騎士がいなければモンスターに食われてたかもしれない……なんてケースも少なくない。
要は、そこら辺の騎士よりも断然死ぬ可能性が高い。
夫に先立たれる可能性は十分にあり、妻は妻で戦地に赴くタイプであれば、イシュドが妻に先立たれる可能性もある。
「でもさ、イシュド兄さんぐらい強くてカッコ良かったら、他国の王族のお姫様とかから求婚? されることもあるんじゃないかな」
「…………さぁな。ともかく、先過ぎる未来の事は解らねぇよ」
一切の持ち上げ感がない弟の言葉に嬉しさは感じたものの、仮に本当にヴァルツが口にした言葉通りになると……全くもって素直に喜べない。
(本当にそうなったら、そりゃ他国がいざという時にレグラ家の力を借りたいがための政略的な申し込みだろうな)
考えたところで正解らしい答えが出る訳がないと解っており、二人に休憩は終わりだと伝え、日が暮れるまで試合を繰り返した。
学園に戻る前、イシュドはアドレアスとディムナにそう伝えた。
「どうしてだい?」
「どうしても何も、学園の連中はお前らが夏休み間、うちの実家に来てたの知らねぇだろ」
クリスティールやダスティンと関係があるのは、もうバレても良いと思っているイシュド。
しかし、ディムナと……特にアドレアスと関りがあると知られれば、腰巾着虫が湧いてくるのが眼に見えている。
「遠慮なくその場でぶっ潰しても良いならそうするけどよ、本当にバカが絡んできたら殴り潰しても良いのか」
「あぁ~~~~…………そう、だね。うん、解った。なるべく、極力バレないように努力するよ」
「なるべく、極力じゃなくて絶対だバカ野郎。仮に取り巻き腰巾着共にバレたら、お前場どうにかしろよ、王子様」
「解ってるよ」
ディムナも了承し、二人は先に街から出て王都へと出発。
イシュドは一日遅れで出発。
その間……また離れるため、ヴァルツやリュネと試合を何度も何度も繰り返し行っていた。
「っし、さすがに休め~、水分ちゃんと取れよ~」
「「は、はい」」
当然と言えば当然ながら、既に二次転職を果たしているとはいえ、二人が本当の意味でイシュドの戦い相手になるのは……まだまだ先。
今日も今日とて遊ばれていた。
「また明日から、学園に戻るんだよね」
「おぅ、そうだな。王都の飯も美味いから良いっちゃ良いんだけど……まっ、しゃあねぇよな」
激闘祭のエキシビションマッチに参加し、蛮族だの貴族にあるまじき品のない連中など、色々と陰で言われていたレグラ家の力を見せ付けたところで……イシュドの中で、自主退学しても良いのでは? という思いが芽生えた。
だが、学園にはガルフやフィリップたちがいる。
(ガルフも強くなったけど……いざとなったら、本気の暴力で全部の厄介事を解決は出来ないだろうからな)
親友たちとの学園生活も悪くないと思えた。
「……イシュド兄さん、もしかして学園に通うの、楽しみですか?」
「さぁ~~~、どうだろうな。面倒に思う部分はあるけど、入学する前ほどではないかもな」
「そうなんですね……それは、学園に気になる人がいるから、ですか?」
「…………ん???」
いきなりリュネが何を言い出したのか分からず、思わず首を捻るイシュド。
「もしかして、俺に異性的な意味で気になる人がいるから、って思ってるのか、リュネ」
「はい。そうです。この前、メイドたちと話してたんですけど、イシュド兄さんがもう学園に通わなくても良いのでは? という話を持ち出さないのは、異性的な意味で気になる人がいるのでは? という結論に至りました」
リュネがメイドたちと話し合って至った結論は……納得出来なくはない。
あのイシュドが、っと意外性がある内容ではあるが、意外だからこそ納得出来る部分がある。
「そ、そうか。期待に添えねぇ? かもしれねぇけど、別にそういう理由で学園に通うのが割と嫌じゃないってわけじゃねぇ」
「そうでしたか……」
「……リュネってさぁ、もしかしてイシュド兄さんの友達の中で、気になる人でも出来た?」
ヴァルツにとっては、ただ気軽に質問しただけだった。
ただ、リュネにとっては核心を突かれた……と言うのは大袈裟だが、ヴァルツの鋭い質問に驚きが表情に零れてしまった。
「正直なところ、レグラ家の人間……レグラ家の領地で暮らす男性以外に、あそこまで本気で強さを求められる人たちがいるとは思いませんでした」
「世の中広いから、それは大袈裟な感想かもしれねぇえが…………確かに、少なくとも学園の中で骨のある連中は大して多くなかったか。んで、リュネ。気になる人ってのは誰なんだよ」
「いえ、特にこれといった人はいません。ただ……いずれ婿を取るのであれば、あの方々の内、誰かが良いなとは思いました」
「な~~るほどなぁ~~~~。一部面倒な連中もいるが、解らなくはねぇな」
イシュドとしては、父親が面倒を全て対処してくれるのであれば、王族であるアドレアスがリュネ旦那としてレグラ家に来ても構わないと……一応思っている。
「それで、イシュド兄さんは結局のところ、良いと思う人はいらっしゃらないのですか?」
「特にねぇな!!!! まだまだ身を固めるのは早ぇと思ってるからな」
「もっともっと遊ぶってこと?」
あまり深くは解っていないが、イシュドがどういった事を考えているのかある程度は予想出来たヴァルツ。
「はっはっは!!!! まっ、そんな感じだ。ぶっちゃけ、結婚したからって俺がやることってあんまり変わらねぇだろうからな。結婚するなら、しっかりそこに付いてきて来れる人じゃねぇとな」
レグラ家が抱える問題が解決できたのであればまだしも、解決出来ない日々が続いてるのであれば、一人だけ別の地に腰を下ろすことなんて出来るわけがない。
「やっぱり、第一に求めるのは強さなんですね」
「強さ…………そうだな。強さも大事だが、それ以上にメンタルが強い人を望むかな」
イシュドが伴侶に望む条件の中に当然強さは入っているが、それ以上に強いメンタルが必要だった。
今現在、イシュドはAランクのモンスターをソロで倒せるまでに成長しているが、当然ながらこれまで何度も死の危機に瀕したことがある。
強敵との戦闘後にぶっ倒れ、共に行動していた騎士がいなければモンスターに食われてたかもしれない……なんてケースも少なくない。
要は、そこら辺の騎士よりも断然死ぬ可能性が高い。
夫に先立たれる可能性は十分にあり、妻は妻で戦地に赴くタイプであれば、イシュドが妻に先立たれる可能性もある。
「でもさ、イシュド兄さんぐらい強くてカッコ良かったら、他国の王族のお姫様とかから求婚? されることもあるんじゃないかな」
「…………さぁな。ともかく、先過ぎる未来の事は解らねぇよ」
一切の持ち上げ感がない弟の言葉に嬉しさは感じたものの、仮に本当にヴァルツが口にした言葉通りになると……全くもって素直に喜べない。
(本当にそうなったら、そりゃ他国がいざという時にレグラ家の力を借りたいがための政略的な申し込みだろうな)
考えたところで正解らしい答えが出る訳がないと解っており、二人に休憩は終わりだと伝え、日が暮れるまで試合を繰り返した。
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