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第84話 面倒は任せた
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「イシュド、私もあなたの実家に行きますわ!!!!」
「………………」
堂々とお前の実家に行くと宣言したミシェラに対し、イシュドはポカーンとした表情を浮かべていた。
「…………っ。そ、それで、どうなんですの! 私はあなたの実家に行っても良いのですの!?」
「あっ、すまん。ポカーンとしてた」
ミシェラをおちょくる為に、敢えて黙っていた訳ではない。
本人が言った通り、イシュドは本気でポカーンとしていた。
「いや、別にうちに来るのは構わねぇんだけどよ、良いのか?」
「実家への帰省のこと? でしたら、フィリップと同じく手紙を送れば問題ありませんわ!!!!」
(ふ~~~~ん? 本人がそう言うならそうなのかもしれんけど…………なんか、超意外だな)
イシュドから見たミシェラは、貴族らしく体裁などもしっかり気にする令嬢。
そんな令嬢が長期休暇とはいえ、他家に……まだ世間一般的には、蛮族……野蛮というイメージが残っている場所へ向かう。
その意味が解らないミシェラではない。
(……つか、ミシェラが実家に手紙を送ったところで、侯爵家の人間たちは納得するのか?)
下手したら面倒な問題に発展するのでは? そう思ったイシュドだったが…………あれこれ考える方が面倒だと思い、それ以上考えるのを止めた。
「まっ、いいや。んじゃ、別にうちに来ても良いけど、面倒が起こったらそっちはお前が対処してくれよ」
「当たり前ですわ!!!!!!」
堂々と自分が絡んだ面倒は自分がなんとかすると宣言したミシェラにガルフとイブキはカッコ良さを感じなくもなかったが……フィリップだけは心の中で「ちょっとこいつ暴走気味になってねぇか?」と首を傾げた。
(イシュドはなんか……考えるのを止めたって顔してるよな。そうなると、本当にこのバカ乳だけで面倒を相手にすんだよな……無理じゃねぇか?)
自分が気にすることではない……そう思いながらも、フィリップは頭の中で何かを考え始め……後日、行動に移した。
「イシュド君、良ければ私も長期休暇、ご実家に行ってもよろしいでしょうか」
「右に同じだ、イシュド」
「………………ちょっと待て。真面目に良く解らねぇんだけど」
後日、イシュドの前にはフラベルト学園の生徒会長、クリスティールと激闘祭、二年の部で見事優勝したダスティン・ワビルがいた。
「私はもう来年には学園を卒業します。それを考えると、一度イシュド君が育った場所で強さの根幹を体験出来るのはありだなと思いまして」
「俺も似た様な考えだ! 卒業するのはまだ先だが、来年も優勝して連覇することを考えれば、長期休暇は有意義に使わなければならない!!!」
(……言いたい事は解るんだが、いや…………良いのか?)
イシュドは目の前の光景に対し、本当に何が何だか解らなかった。
勿論、目の前の状況をつくったのはフィリップである。
ミシェラと仲が良いクリスティールも同じくイシュドの実家へ向かう……だけでは不安が残るため、激闘祭の特別試合でクリスティールと一緒に戦ったダスティンも付いて行く。
(今更だけど、なんで俺がバカ乳の為に動き回ったんだが……つっても、あっさり事が進んだからそんな面倒ではなかったけど)
ここ数日、フィリップが一人で行動している時間がそれなりにあったことをイシュドは当然知っているが……フィリップがミシェラの為に? 動くようなことは全く想像していなかった。
加えて、目の前の光景的に……ただ単純に二人が更に強さを求めて頼み込んで来た、というだけでも納得は出来る。
「……解ったっすよ。別に多少増えても問題ねぇし」
「ありがとうございます」
「はっはっは!!! よろしく頼むぞ、イシュド!!!!」
空飛ぶ魔法の絨毯はまだあるため、運ぶ人数が増えても基本的に問題はない。
(……一応、あの人には連絡しておくか)
あの人とはそう……苦労人担当のバイロンである。
「っていう事なんで、夏休みの間はそんな感じで過ごそうと思ってるんですよ」
「…………」
イシュドから個人的な話があると言われたバイロン。
他の生徒などに知られると面倒になるかもしれないと思い、個室に移動してからその個人的な話を聞いた。
(個室に移動して正解だったな)
教師として活動している状態であっても、貴族界隈の情報というのは自然と流れてくる。
そしてクリスティールとミシェラが令息たちから絶大な人気を集めていることなど、常に情報収集を意識していなくても耳に入ってくる。
「そうなるのではと思ってはいたい。ただ、ミシェラやクリスティールまでお前の実家に向かうとはな」
「そこは俺もクソ疑問に思ったんすよ。いや、あれっすよ。あの金髪デカパイが強くなることに対して必死なのは解ってるんすけど……俺ちゃんとした貴族界隈で生きてきてないからあんまり詳しく解らないっすけど、歳頃の令嬢が令息の実家に行くって、結構面倒なことになるっすよね」
イシュドの頭の中では、ミシェラやクリスティールが自分の実家に来たという話は……前世で女性アイドルや女優がヤクザに家に入り浸っているという認識である。
「そういう覚悟? を了承してまでうちに来ようとするのは、ほんとにビックリって感じっす」
「……ガルフやフィリップ、他校の生徒ではあるがダスティン・ワビルもいるのだろ。であれば、大半の者たちは強くなる為にレグラ家に向かったのだろうと考えるだろうが……一部の者は、下手に騒ぐかもしれないな」
「クソみたいな承認欲求がある連中とかっすよね。俺は関係ないんであれっすけど、基本的に死ねば良いのにって感じっすね」
前世の知識を持つイシュドだからか……言葉に棘どころかギザギザの刃が大量に付いていた。
「…………そう思うなら、断るという選択肢はなかったのか?」
「ミシェラがうちに来たいって言う前に、イブキが来るのを了承しちゃってるんすよ。それに、真面目に強さを求めてるのは解ってるんで、そういう奴の頼みを断るのは~~~って感じで…………つっても、俺の前で面倒は自分で対処してくれるって言ってたんで、俺はそこら辺の細かい事を考えなくて良いんすけどね」
(……言葉巧みに操ったのかは解らないが、こういった話を聞けばもう誰もこの男を蛮族とは言えないな)
改めてイシュドはただの狂戦士ではないと思うと同時に、バイロンはミシェラのチョロさが少し心配に思えた。
「………………」
堂々とお前の実家に行くと宣言したミシェラに対し、イシュドはポカーンとした表情を浮かべていた。
「…………っ。そ、それで、どうなんですの! 私はあなたの実家に行っても良いのですの!?」
「あっ、すまん。ポカーンとしてた」
ミシェラをおちょくる為に、敢えて黙っていた訳ではない。
本人が言った通り、イシュドは本気でポカーンとしていた。
「いや、別にうちに来るのは構わねぇんだけどよ、良いのか?」
「実家への帰省のこと? でしたら、フィリップと同じく手紙を送れば問題ありませんわ!!!!」
(ふ~~~~ん? 本人がそう言うならそうなのかもしれんけど…………なんか、超意外だな)
イシュドから見たミシェラは、貴族らしく体裁などもしっかり気にする令嬢。
そんな令嬢が長期休暇とはいえ、他家に……まだ世間一般的には、蛮族……野蛮というイメージが残っている場所へ向かう。
その意味が解らないミシェラではない。
(……つか、ミシェラが実家に手紙を送ったところで、侯爵家の人間たちは納得するのか?)
下手したら面倒な問題に発展するのでは? そう思ったイシュドだったが…………あれこれ考える方が面倒だと思い、それ以上考えるのを止めた。
「まっ、いいや。んじゃ、別にうちに来ても良いけど、面倒が起こったらそっちはお前が対処してくれよ」
「当たり前ですわ!!!!!!」
堂々と自分が絡んだ面倒は自分がなんとかすると宣言したミシェラにガルフとイブキはカッコ良さを感じなくもなかったが……フィリップだけは心の中で「ちょっとこいつ暴走気味になってねぇか?」と首を傾げた。
(イシュドはなんか……考えるのを止めたって顔してるよな。そうなると、本当にこのバカ乳だけで面倒を相手にすんだよな……無理じゃねぇか?)
自分が気にすることではない……そう思いながらも、フィリップは頭の中で何かを考え始め……後日、行動に移した。
「イシュド君、良ければ私も長期休暇、ご実家に行ってもよろしいでしょうか」
「右に同じだ、イシュド」
「………………ちょっと待て。真面目に良く解らねぇんだけど」
後日、イシュドの前にはフラベルト学園の生徒会長、クリスティールと激闘祭、二年の部で見事優勝したダスティン・ワビルがいた。
「私はもう来年には学園を卒業します。それを考えると、一度イシュド君が育った場所で強さの根幹を体験出来るのはありだなと思いまして」
「俺も似た様な考えだ! 卒業するのはまだ先だが、来年も優勝して連覇することを考えれば、長期休暇は有意義に使わなければならない!!!」
(……言いたい事は解るんだが、いや…………良いのか?)
イシュドは目の前の光景に対し、本当に何が何だか解らなかった。
勿論、目の前の状況をつくったのはフィリップである。
ミシェラと仲が良いクリスティールも同じくイシュドの実家へ向かう……だけでは不安が残るため、激闘祭の特別試合でクリスティールと一緒に戦ったダスティンも付いて行く。
(今更だけど、なんで俺がバカ乳の為に動き回ったんだが……つっても、あっさり事が進んだからそんな面倒ではなかったけど)
ここ数日、フィリップが一人で行動している時間がそれなりにあったことをイシュドは当然知っているが……フィリップがミシェラの為に? 動くようなことは全く想像していなかった。
加えて、目の前の光景的に……ただ単純に二人が更に強さを求めて頼み込んで来た、というだけでも納得は出来る。
「……解ったっすよ。別に多少増えても問題ねぇし」
「ありがとうございます」
「はっはっは!!! よろしく頼むぞ、イシュド!!!!」
空飛ぶ魔法の絨毯はまだあるため、運ぶ人数が増えても基本的に問題はない。
(……一応、あの人には連絡しておくか)
あの人とはそう……苦労人担当のバイロンである。
「っていう事なんで、夏休みの間はそんな感じで過ごそうと思ってるんですよ」
「…………」
イシュドから個人的な話があると言われたバイロン。
他の生徒などに知られると面倒になるかもしれないと思い、個室に移動してからその個人的な話を聞いた。
(個室に移動して正解だったな)
教師として活動している状態であっても、貴族界隈の情報というのは自然と流れてくる。
そしてクリスティールとミシェラが令息たちから絶大な人気を集めていることなど、常に情報収集を意識していなくても耳に入ってくる。
「そうなるのではと思ってはいたい。ただ、ミシェラやクリスティールまでお前の実家に向かうとはな」
「そこは俺もクソ疑問に思ったんすよ。いや、あれっすよ。あの金髪デカパイが強くなることに対して必死なのは解ってるんすけど……俺ちゃんとした貴族界隈で生きてきてないからあんまり詳しく解らないっすけど、歳頃の令嬢が令息の実家に行くって、結構面倒なことになるっすよね」
イシュドの頭の中では、ミシェラやクリスティールが自分の実家に来たという話は……前世で女性アイドルや女優がヤクザに家に入り浸っているという認識である。
「そういう覚悟? を了承してまでうちに来ようとするのは、ほんとにビックリって感じっす」
「……ガルフやフィリップ、他校の生徒ではあるがダスティン・ワビルもいるのだろ。であれば、大半の者たちは強くなる為にレグラ家に向かったのだろうと考えるだろうが……一部の者は、下手に騒ぐかもしれないな」
「クソみたいな承認欲求がある連中とかっすよね。俺は関係ないんであれっすけど、基本的に死ねば良いのにって感じっすね」
前世の知識を持つイシュドだからか……言葉に棘どころかギザギザの刃が大量に付いていた。
「…………そう思うなら、断るという選択肢はなかったのか?」
「ミシェラがうちに来たいって言う前に、イブキが来るのを了承しちゃってるんすよ。それに、真面目に強さを求めてるのは解ってるんで、そういう奴の頼みを断るのは~~~って感じで…………つっても、俺の前で面倒は自分で対処してくれるって言ってたんで、俺はそこら辺の細かい事を考えなくて良いんすけどね」
(……言葉巧みに操ったのかは解らないが、こういった話を聞けばもう誰もこの男を蛮族とは言えないな)
改めてイシュドはただの狂戦士ではないと思うと同時に、バイロンはミシェラのチョロさが少し心配に思えた。
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