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第57話 一度やってみたかった
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「おめでとう、フィリップ」
「どうも。つーか、おめでとうはあんたもでしょ」
一年生のトーナメントでは、ベストフォーの四分の三がフラベルト学園の生徒。
そして決勝戦で戦った生徒もフラベルト学園の生徒であるフィリップとアドレアス。
決勝戦では短くも濃い激闘を制止、フィリップが勝利を捥ぎ取った。
「よくまぁ、あんな強い奴に勝てましたね」
クリスティールの決勝の相手はライザード学園の生徒、ナルスト・シート。
一次職が騎士見ならない、二次職が魔法騎士というエリート中のエリート街道を進んでおり、面が良い非常にナルシストの三年生。
同性の生徒からはあまり好かれていないが、異性からの人気は高い。
ただ、クリスティールとの決勝戦では……そんな女子生徒たちも半分程はクリスティールの応援に回っていた。
「みんなの応援があったからですよ」
「…………あれを見てると、そう言うのも解らなくなねぇな」
女性が憧れる女性ということもあって、普段はナルストのファンである女子生徒もクリスティールの応援に回ってしまい、会場の七割から八割はクリスティールに声援を送っていた。
ちなみに、イシュドもクリスティールにはあれこれあって飯を奢って貰った件もあり、ガルフやイシュドに送る声援と同内容の声援を送っていた。
「一年生と三年生の優勝者、共にフラベルト学園の生徒だったか」
「ち~~っす、ダスティン先輩」
身長は百九十を超えており、どう考えても普通サイズではない制服を着ている強面イケメンな生徒、ダスティン・ワビル。
サンバル学園の二年生であり、激闘祭の二年生トーナメントで優勝した人物。
一次職が戦士、二次職が重戦士で得物は大斧。
豪快な腕力と大斧で対戦者たちを蹴散らし、見事二年生トップの座を手に入れた。
「噂では聞いていたが、まさか本当に激闘祭に参加していたのだな……しかも優勝。ついに、騎士の道に進む意志を固めたか」
「いや、そういう訳じゃないっす。なんつ~~か…………流れ的に?」
「………………その言葉、他の生徒たちの前では口に出すのではないぞ」
ほんの少しだけ抱いていた期待はあっさりと砕かれた。
今現在、フィリップがそういう人間だという事には気付いていたため、あまり大きいショックではなかった。
「ところで、何故俺たちは決勝が終わった後、傷の治癒と魔力回復ポーションだけではなく、体力回復のポーションまで貰ったのだ?」
「「…………」」
ダスティンの疑問は最もだった。
これまでの激闘祭、試合終了後は傷を癒してもらい、魔力切れでぶっ倒れないように魔力回復のポーションを貰っていた。
しかし、今回……優勝者は全員、完全治癒に加えて魔力、体力。共にフル回復出来る上等なポーションを貰った。
「もしや、最後の最後に現役の騎士と……隊長クラスの騎士と戦う。そんなスペシャルマッチがある、ということか」
「さぁ、どうでしょうか……ですが、私たち三人、同時にリングに上がってほしいと
伝えれました。それを考えれば、何かしらのサプライズはあるかもしれません」
ダスティンが気付いているかいないかはさておき、クリスティールは知らない体で通す。
「サプライズねぇ~~~……面倒じゃないのだと良いんすけどねぇ」
当然、フィリップもクリスティールに合わせて知らない体で通し、リングへと向かう。
各学年の優勝者である三人の姿が現れると、会場中の観客たちは理由は解らずとも、無意識に歓声を送る。
「えぇ~~~、三人共。同学年の猛者たちを相手に激闘を繰り広げ、ここまで勝ち抜いてきたことを称賛する……だが、まだお前たちは真の猛者とは戦っていない。今ここで三人で力を合わせ、真の猛者に勝利してみせよ…………ってのが、運営からの言葉だ」
「……つまり、今から誰かと戦うということか?」
ダスティンが審判の男に真実を確認しようとした瞬間……上空から、誰かの声が聞こえた。
「うぅううおら、ッシャアアアアアアアッ!!!!!!!!!!!!!」
「「「ッ!!!!!?????」」」
「「「「「「「「「「っ!!!!!?????」」」」」」」」」」
誰かの声が聞こえた。それと共に、何かが割れる音が会場中に響き渡る。
「あのバカ者が……」
声の主が何をしたのか直ぐに察したバイロンは額に青筋を浮かべ、とりあえず
後で声の主に拳骨を振り下ろすと決めた。
「俺、参上!!!!!!!! ……なんつってな! 一度やってみたかったんだよな~~~、この登場の仕方」
着地後、某桃鬼と同じポーズを取り、参上したイシュド。
「「「…………」」」
当然、ダスティンは上手く状況が飲み込めていなかった。
ただそれはダスティンだけではなく、決勝戦後……イシュドと戦うことを事前に知っていたフィリップとクリスティールでさえ、現実を受け入れるのに少し時間が必要だった。
今、こいつは……何をして登場したのかと。
「おいおい、何フリーズしてんだ? そっちの二年生のチャンプはともかく、フィリップと生徒会長先輩は知ってただろ」
「い、いや……そりゃそう、なんだけどよ」
「………………改めて、思い知らされましたね」
イシュドは闘技場の上から跳び、どうやってリングに着地したのか。
闘技場には結界を張るマジックアイテムが展開されており、そのお陰で観客たちは自分たちに及ぶかもしれない被害を気にせず観戦に集中出来る。
だが……イシュドは闘技場の端から跳んで着地する際、その結界を両拳を合わせ……鉄槌を振り下ろして破壊。
それが声と共に聞こえた、何かが割れた音の正体だった。
「おっと、まずは観客たちにも挨拶しないとあれだな。すぅーーー……レディース&ジェントルメン!!!!! ボーイズ&ガールズ!!!! どうも、初めまして。俺はフラベルト学園の一年生……イシュド・レグラです」
「「「「「「「「「「っ!!!???」」」」」」」」」」
ここ最近、噂になっていた人物ではあるが、会場にはフラベルト学園の生徒以外の者たちも多いため、あれが噂のレグラ家の人間だと初めて知る者が多かった。
「今回、俺は一般生徒枠として参加する訳にはいかなく、こうして最後の最後に……各学年の優勝者が手を組み戦う、ラスボス枠として参加しました。色々と思うところはあるでしょうが……ごゆるりと、俺たちの戦いを楽しんでください……ってところで、もう始めちゃっても良いよな」
挨拶は済んだ。これ以上口だけを動かす必要はない。
観客たちにもある程度の説明は済んだため……これで今回の激闘祭、最後の戦いがいよいよ始まる。
「どうも。つーか、おめでとうはあんたもでしょ」
一年生のトーナメントでは、ベストフォーの四分の三がフラベルト学園の生徒。
そして決勝戦で戦った生徒もフラベルト学園の生徒であるフィリップとアドレアス。
決勝戦では短くも濃い激闘を制止、フィリップが勝利を捥ぎ取った。
「よくまぁ、あんな強い奴に勝てましたね」
クリスティールの決勝の相手はライザード学園の生徒、ナルスト・シート。
一次職が騎士見ならない、二次職が魔法騎士というエリート中のエリート街道を進んでおり、面が良い非常にナルシストの三年生。
同性の生徒からはあまり好かれていないが、異性からの人気は高い。
ただ、クリスティールとの決勝戦では……そんな女子生徒たちも半分程はクリスティールの応援に回っていた。
「みんなの応援があったからですよ」
「…………あれを見てると、そう言うのも解らなくなねぇな」
女性が憧れる女性ということもあって、普段はナルストのファンである女子生徒もクリスティールの応援に回ってしまい、会場の七割から八割はクリスティールに声援を送っていた。
ちなみに、イシュドもクリスティールにはあれこれあって飯を奢って貰った件もあり、ガルフやイシュドに送る声援と同内容の声援を送っていた。
「一年生と三年生の優勝者、共にフラベルト学園の生徒だったか」
「ち~~っす、ダスティン先輩」
身長は百九十を超えており、どう考えても普通サイズではない制服を着ている強面イケメンな生徒、ダスティン・ワビル。
サンバル学園の二年生であり、激闘祭の二年生トーナメントで優勝した人物。
一次職が戦士、二次職が重戦士で得物は大斧。
豪快な腕力と大斧で対戦者たちを蹴散らし、見事二年生トップの座を手に入れた。
「噂では聞いていたが、まさか本当に激闘祭に参加していたのだな……しかも優勝。ついに、騎士の道に進む意志を固めたか」
「いや、そういう訳じゃないっす。なんつ~~か…………流れ的に?」
「………………その言葉、他の生徒たちの前では口に出すのではないぞ」
ほんの少しだけ抱いていた期待はあっさりと砕かれた。
今現在、フィリップがそういう人間だという事には気付いていたため、あまり大きいショックではなかった。
「ところで、何故俺たちは決勝が終わった後、傷の治癒と魔力回復ポーションだけではなく、体力回復のポーションまで貰ったのだ?」
「「…………」」
ダスティンの疑問は最もだった。
これまでの激闘祭、試合終了後は傷を癒してもらい、魔力切れでぶっ倒れないように魔力回復のポーションを貰っていた。
しかし、今回……優勝者は全員、完全治癒に加えて魔力、体力。共にフル回復出来る上等なポーションを貰った。
「もしや、最後の最後に現役の騎士と……隊長クラスの騎士と戦う。そんなスペシャルマッチがある、ということか」
「さぁ、どうでしょうか……ですが、私たち三人、同時にリングに上がってほしいと
伝えれました。それを考えれば、何かしらのサプライズはあるかもしれません」
ダスティンが気付いているかいないかはさておき、クリスティールは知らない体で通す。
「サプライズねぇ~~~……面倒じゃないのだと良いんすけどねぇ」
当然、フィリップもクリスティールに合わせて知らない体で通し、リングへと向かう。
各学年の優勝者である三人の姿が現れると、会場中の観客たちは理由は解らずとも、無意識に歓声を送る。
「えぇ~~~、三人共。同学年の猛者たちを相手に激闘を繰り広げ、ここまで勝ち抜いてきたことを称賛する……だが、まだお前たちは真の猛者とは戦っていない。今ここで三人で力を合わせ、真の猛者に勝利してみせよ…………ってのが、運営からの言葉だ」
「……つまり、今から誰かと戦うということか?」
ダスティンが審判の男に真実を確認しようとした瞬間……上空から、誰かの声が聞こえた。
「うぅううおら、ッシャアアアアアアアッ!!!!!!!!!!!!!」
「「「ッ!!!!!?????」」」
「「「「「「「「「「っ!!!!!?????」」」」」」」」」」
誰かの声が聞こえた。それと共に、何かが割れる音が会場中に響き渡る。
「あのバカ者が……」
声の主が何をしたのか直ぐに察したバイロンは額に青筋を浮かべ、とりあえず
後で声の主に拳骨を振り下ろすと決めた。
「俺、参上!!!!!!!! ……なんつってな! 一度やってみたかったんだよな~~~、この登場の仕方」
着地後、某桃鬼と同じポーズを取り、参上したイシュド。
「「「…………」」」
当然、ダスティンは上手く状況が飲み込めていなかった。
ただそれはダスティンだけではなく、決勝戦後……イシュドと戦うことを事前に知っていたフィリップとクリスティールでさえ、現実を受け入れるのに少し時間が必要だった。
今、こいつは……何をして登場したのかと。
「おいおい、何フリーズしてんだ? そっちの二年生のチャンプはともかく、フィリップと生徒会長先輩は知ってただろ」
「い、いや……そりゃそう、なんだけどよ」
「………………改めて、思い知らされましたね」
イシュドは闘技場の上から跳び、どうやってリングに着地したのか。
闘技場には結界を張るマジックアイテムが展開されており、そのお陰で観客たちは自分たちに及ぶかもしれない被害を気にせず観戦に集中出来る。
だが……イシュドは闘技場の端から跳んで着地する際、その結界を両拳を合わせ……鉄槌を振り下ろして破壊。
それが声と共に聞こえた、何かが割れた音の正体だった。
「おっと、まずは観客たちにも挨拶しないとあれだな。すぅーーー……レディース&ジェントルメン!!!!! ボーイズ&ガールズ!!!! どうも、初めまして。俺はフラベルト学園の一年生……イシュド・レグラです」
「「「「「「「「「「っ!!!???」」」」」」」」」」
ここ最近、噂になっていた人物ではあるが、会場にはフラベルト学園の生徒以外の者たちも多いため、あれが噂のレグラ家の人間だと初めて知る者が多かった。
「今回、俺は一般生徒枠として参加する訳にはいかなく、こうして最後の最後に……各学年の優勝者が手を組み戦う、ラスボス枠として参加しました。色々と思うところはあるでしょうが……ごゆるりと、俺たちの戦いを楽しんでください……ってところで、もう始めちゃっても良いよな」
挨拶は済んだ。これ以上口だけを動かす必要はない。
観客たちにもある程度の説明は済んだため……これで今回の激闘祭、最後の戦いがいよいよ始まる。
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