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第29話 結果として
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「お待たせしました」
「全然待ってないっすよ」
「へぇ~~~、マジでクリスティールさんが飯奢ってくれるんすね」
前回の面子に加えて、ゲルギオス公爵家の四男、フィリップも今回の夕食に参加。
「偶々です。さて、行きましょうか」
面子を考えれば、目的の店まで場所で移動するものだが、四人は歩いて移動していた。
「フィリップ、最近はちゃんと起きて座学を受けていますか?」
「えっ、いやぁ~~~~……ボチボチっすね」
「全く……答えになってませんよ」
フィリップ・ゲルギオス。
公爵家の令息に相応しい顔面偏差値に加え、金髪の天パ持ちの青年。
貴族は基本的に天パを直すが、フィリップは直そうとしても直らなかったため、本人が面倒だと諦め、放置している。
しかし、本人の緩い雰囲気に相まって隠れファンが多い。
「教師から度々苦情が入ってくるのですよ」
「うへぇ~~~、マジっすか。つか、なんでクリスティールさんのところに?」
「腐れ縁だからでしょう。家の付き合いもありますしね。そんな私としては、是非座学の時間であっても起きてほしいとお願いしたいところですが」
「えぇ~~~。別に良いじゃないっすか、座学の試験結果は別に悪くないし」
この男、座学……だけではなく、実戦訓練などに関してもあまり本気で取り組んでいないにも関わらず、常に成績は上位をキープ。
普段の貴族らしくない態度も相まって、教師だけではなく同級生達からもあまり好かれていない。
「イシュドだって座学は寝てなんぼだろ?」
「イシュドさんはフィリップと違って、ちゃんと座学の授業でも起きてますよ」
「ッ!!!??? イシュド、お前ぇ……裏切ったな!!!」
「いや、何をだよ。別に俺たち絶対座学は寝る同盟とか組んでないだろ」
「だって、お前……絶対に座学は寝る見た目だろ!!!」
フィリップの言葉に、クリスティールは顔にこそ出さなかったが、心の中で同意していた。
「失礼な奴だな。まっ、そう思うのは解るけどよ。けど、そういう態度ばっか取ってると、やっぱり辺境の蛮族はどうたらこうたらってバカが言い始めるだろ」
「そりゃそうだな。バカは本当にバカだから、陰口で盛り上がるしか能がねぇ」
「だろ。そんな気にしなきゃ良いって話なんだろうけど、俺の家族までバカにされてる様に感じるからな……陰口をたたいてる奴らを発見した際に全員ぶん殴って良いなら今みたいに頑張らねぇけど、そういう訳にはいかんからな」
「生徒会長としては、そういった対応を取っていただけて感謝しています」
イシュドからすれば、当然座学など基本的に興味がない。
がっつり寝てしまいたい気持ちもあるが……毎度ギリギリのところで耐えている。
座学の試験数週間前から焦りたくないという事情もあり、今のところ授業中に落ちたことは一度もない。
「こちらが、本日夕食を食べる店です」
「…………」
移動中から緊張していたガルフ。
ここ最近は高級料理店など行くことはなく、休日はイシュドと……途中からフィリップと共に狩って狩って狩りまくっての日々を送り、夕食は酒場でそれはそれで美味さがある料理ばかりを食べていた。
そんな中で、再び自分がこれからの人生で二度と訪れることはないであろう店を目の前にし……緊張死しそうになる。
「おいおい、ガルフ。今更何ビビってんだよ。この前だってがっつり食べてただろ」
「そ、そうだね」
「今日も遠慮せずにじゃんじゃん食べようぜ!!!!」
店内に入ると直ぐに個室へ案内され、イシュドは店員にメニュー表を見せて……普通ではない頼み方をした。
「とりあえず端から端まで一品ずつお願いします」
「「「っ!!??」」」
この頼み方にはさすがのフィリップも驚きを隠せず、自分が何を注文しようとしていたのかすっかり忘れてしまった。
「そういえばイシュドさん、あなたは激闘祭に参加するのですか?」
激闘祭とは、フラベルト学園を含め、王都の学園に在籍する生徒たちが参加する闘技大会。
タイマン勝負のトーナメント戦であり、公平にするために一年生と二年生、三年生と参加トーナメントの学年は別れている。
「ん~~~~……止めといた方が良いだろ。俺が参加しようとしたら、まずうちの学園から大舞台で実力を騎士団とかに見せられる参加権を失うだろ。んで、俺がそのトーナメントに参加すれば、まず面白い試合にならないっすよ」
「イシュドが手加減したら良いだろ? お前、意外と器用なんだから、それぐらいできるだろ」
「出来るか出来ないかで言えば、出来るな。けど、そんな事を何試合も続けるのは疲れるっつーか……クソ退屈だ」
退屈……それが本音だった。
そして傲慢とも思える本音は、実際のところ本当にイシュドが参加すれば退屈な結果になってしまう。
「……イシュドさん、あなたの気持ちはお察しするところですが、参加しないのであればまた裏で色々と言われる形になると思いますが」
「あぁ~~~~……つってもなぁ~~。本当につまらない結果にしかならないっすよ」
イシュド的には同級生の中でガルフ、そしてフィリップは楽しみな存在ではあるものの、それは将来的な話。
今戦ったところでという話である。
「しかし、あなたを学園に誘った学園長にとっても、イシュドさんには是非激闘祭に参加してほしいでしょう」
「なんか、参加するんじゃなくて、関わるだけで済んだりしませんか?」
「関わる、ですか。それは運営にという訳ではありませんよね」
「俺にそんなノウハウないっすよ。そうっすね…………どの学園でも良いんすけど、三次転職してる教師とのエキシビションマッチとかどうっすか」
「…………なるほど。学園側としては当然、トーナメントに参加してほしいでしょうが……実質的に最強はフラベルド学園だと証明出来るのであれば、学園側としても悪くはない、ですね」
イシュドとしては適当に提案した案だったものの、上から少々頼まれごとをされているクリスティールとしては、悪くない妥協案。
(どういう形になるかは分かりませんが、結果として学園にとって悪くない結果になるでしょうし……学園に戻ったら、早速伝えないと)
と、あれこれ話し合っている間に四人が注文したメニューが到着。
クリスティールにとっては素直に喜べない光景であるものの……味は以前食べに来た時と同じく、美味なままであった。
「全然待ってないっすよ」
「へぇ~~~、マジでクリスティールさんが飯奢ってくれるんすね」
前回の面子に加えて、ゲルギオス公爵家の四男、フィリップも今回の夕食に参加。
「偶々です。さて、行きましょうか」
面子を考えれば、目的の店まで場所で移動するものだが、四人は歩いて移動していた。
「フィリップ、最近はちゃんと起きて座学を受けていますか?」
「えっ、いやぁ~~~~……ボチボチっすね」
「全く……答えになってませんよ」
フィリップ・ゲルギオス。
公爵家の令息に相応しい顔面偏差値に加え、金髪の天パ持ちの青年。
貴族は基本的に天パを直すが、フィリップは直そうとしても直らなかったため、本人が面倒だと諦め、放置している。
しかし、本人の緩い雰囲気に相まって隠れファンが多い。
「教師から度々苦情が入ってくるのですよ」
「うへぇ~~~、マジっすか。つか、なんでクリスティールさんのところに?」
「腐れ縁だからでしょう。家の付き合いもありますしね。そんな私としては、是非座学の時間であっても起きてほしいとお願いしたいところですが」
「えぇ~~~。別に良いじゃないっすか、座学の試験結果は別に悪くないし」
この男、座学……だけではなく、実戦訓練などに関してもあまり本気で取り組んでいないにも関わらず、常に成績は上位をキープ。
普段の貴族らしくない態度も相まって、教師だけではなく同級生達からもあまり好かれていない。
「イシュドだって座学は寝てなんぼだろ?」
「イシュドさんはフィリップと違って、ちゃんと座学の授業でも起きてますよ」
「ッ!!!??? イシュド、お前ぇ……裏切ったな!!!」
「いや、何をだよ。別に俺たち絶対座学は寝る同盟とか組んでないだろ」
「だって、お前……絶対に座学は寝る見た目だろ!!!」
フィリップの言葉に、クリスティールは顔にこそ出さなかったが、心の中で同意していた。
「失礼な奴だな。まっ、そう思うのは解るけどよ。けど、そういう態度ばっか取ってると、やっぱり辺境の蛮族はどうたらこうたらってバカが言い始めるだろ」
「そりゃそうだな。バカは本当にバカだから、陰口で盛り上がるしか能がねぇ」
「だろ。そんな気にしなきゃ良いって話なんだろうけど、俺の家族までバカにされてる様に感じるからな……陰口をたたいてる奴らを発見した際に全員ぶん殴って良いなら今みたいに頑張らねぇけど、そういう訳にはいかんからな」
「生徒会長としては、そういった対応を取っていただけて感謝しています」
イシュドからすれば、当然座学など基本的に興味がない。
がっつり寝てしまいたい気持ちもあるが……毎度ギリギリのところで耐えている。
座学の試験数週間前から焦りたくないという事情もあり、今のところ授業中に落ちたことは一度もない。
「こちらが、本日夕食を食べる店です」
「…………」
移動中から緊張していたガルフ。
ここ最近は高級料理店など行くことはなく、休日はイシュドと……途中からフィリップと共に狩って狩って狩りまくっての日々を送り、夕食は酒場でそれはそれで美味さがある料理ばかりを食べていた。
そんな中で、再び自分がこれからの人生で二度と訪れることはないであろう店を目の前にし……緊張死しそうになる。
「おいおい、ガルフ。今更何ビビってんだよ。この前だってがっつり食べてただろ」
「そ、そうだね」
「今日も遠慮せずにじゃんじゃん食べようぜ!!!!」
店内に入ると直ぐに個室へ案内され、イシュドは店員にメニュー表を見せて……普通ではない頼み方をした。
「とりあえず端から端まで一品ずつお願いします」
「「「っ!!??」」」
この頼み方にはさすがのフィリップも驚きを隠せず、自分が何を注文しようとしていたのかすっかり忘れてしまった。
「そういえばイシュドさん、あなたは激闘祭に参加するのですか?」
激闘祭とは、フラベルト学園を含め、王都の学園に在籍する生徒たちが参加する闘技大会。
タイマン勝負のトーナメント戦であり、公平にするために一年生と二年生、三年生と参加トーナメントの学年は別れている。
「ん~~~~……止めといた方が良いだろ。俺が参加しようとしたら、まずうちの学園から大舞台で実力を騎士団とかに見せられる参加権を失うだろ。んで、俺がそのトーナメントに参加すれば、まず面白い試合にならないっすよ」
「イシュドが手加減したら良いだろ? お前、意外と器用なんだから、それぐらいできるだろ」
「出来るか出来ないかで言えば、出来るな。けど、そんな事を何試合も続けるのは疲れるっつーか……クソ退屈だ」
退屈……それが本音だった。
そして傲慢とも思える本音は、実際のところ本当にイシュドが参加すれば退屈な結果になってしまう。
「……イシュドさん、あなたの気持ちはお察しするところですが、参加しないのであればまた裏で色々と言われる形になると思いますが」
「あぁ~~~~……つってもなぁ~~。本当につまらない結果にしかならないっすよ」
イシュド的には同級生の中でガルフ、そしてフィリップは楽しみな存在ではあるものの、それは将来的な話。
今戦ったところでという話である。
「しかし、あなたを学園に誘った学園長にとっても、イシュドさんには是非激闘祭に参加してほしいでしょう」
「なんか、参加するんじゃなくて、関わるだけで済んだりしませんか?」
「関わる、ですか。それは運営にという訳ではありませんよね」
「俺にそんなノウハウないっすよ。そうっすね…………どの学園でも良いんすけど、三次転職してる教師とのエキシビションマッチとかどうっすか」
「…………なるほど。学園側としては当然、トーナメントに参加してほしいでしょうが……実質的に最強はフラベルド学園だと証明出来るのであれば、学園側としても悪くはない、ですね」
イシュドとしては適当に提案した案だったものの、上から少々頼まれごとをされているクリスティールとしては、悪くない妥協案。
(どういう形になるかは分かりませんが、結果として学園にとって悪くない結果になるでしょうし……学園に戻ったら、早速伝えないと)
と、あれこれ話し合っている間に四人が注文したメニューが到着。
クリスティールにとっては素直に喜べない光景であるものの……味は以前食べに来た時と同じく、美味なままであった。
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