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千四話 似てる?
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「そういえば……以前、アラッドが騎士の爵位を授与された際、それが気に入らねぇって騎士たちがアラッドと戦ったって話を思い出したぜ」
「……確かに、その様な話を耳にしたことがあるが、本当だったのか」
貴族フェイスのイケメン騎士の記憶が正しければ、国王陛下が爵位を授与する場には騎士団長が複数人いた。
にもかかわらず、彼らの意見を否定するような行動を取ったという事実に、驚きを隠せなかった。
「あれだろ、若い連中からすれば、特にふざけんなって思ったんだろう」
「そういうものか」
「ほら。なんつーか、戦い方も結構貴族っぽく、騎士っぽくなかったみたいだからな」
「呆れた事を……とは、言えないか」
貴族フェイスイケメン騎士は、今でこそどういった戦い方であっても、強さがなければ助けたい者を救えず、助けなければならない民を救えないと……戦い方など、行動が間違っていなければ、気にする事ではないと身に染みて理解している。
しかし、若い頃は……それこそ学生時代や騎士になったばかりの頃は、まだそういった思考が染みついていたため、そのバカ者たちの気持ちが全く解らないわけではないため、なんとも言えない表情を浮かべた。
「んでよ、その時自分が騎士の爵位を受け取ることに文句がある騎士たちを、アラッドは一対一で全員相手にしたらしいんだ」
「男らしいな。この歳だから言えるが、どちらが騎士なんだか」
「だな。それで、アラッドはその騎士たちとの試合を、殆ど一撃で終わらせたらしいんだよ。んで、終わる度に「次」って超冷たい声で促して、自身に文句がある奴と戦うんだよ」
「…………なるほど。その当時の現状と、今の現状が少し似ていると言いたいのだな」
「似てるっつーか、ちょっと思いだしてな」
新卒の騎士たちとはいえ、学生に乾杯するなどあり得ない!!!! ……と、貴族イケメンフェイス騎士が怒りの言葉を零すことはなかった。
決勝戦で激突した学生であるフローレンスが以前から騎士相手に一歩も引けを取らず、彼女が二年生の時に一度トーナメントを征していることもあり、新卒の騎士が学生の負けることはそこまで驚くことではないと解っていた。
「……特に怒っている様子はないと思うが」
「いや、それは俺も解ってるって。ただな、こう……凄ぇ淡々と進めていくだろ。アラッドにそのつもりがなくても、若手の奴らはちょっと萎縮するんじゃねぇかと思ってな」
「ふむ…………騎士になって五年も経つ者たちが約一分で負け始めるとなると、そういった意味でも気後れしてしまうかもしれないな」
騎士としての活動が五年も経てば、一応新人という肩書は消える。
三年も活動していれば後輩に何かを教える機会もあるため、心身共に騎士として新人ではいられなくなる。
だが、アラッドは今年入団した新卒騎士だけではなく、三年目……五年目の騎士も変わらず約一分で手合せを終わらせている。
「なんにしても、俺らはもうちょい粘らねぇとな」
「あぁ、そうだな」
そうこう話しているうちに、騎士歴七年の二人の番が回ってきた。
(ったく……こういう時は、嬉しいって思っとくべきなのかね~)
貴族令息にしては口調が砕けている騎士がアラッドの前に立つと、一瞬でこれまで手合せしてきた騎士たちとは力量が違うと察し、小さく笑みを浮かべる。
(ダラダラと時間を使うのは、後輩に見せる背中じゃねぇよなッ!!!!)
男はやる気を燃え上がらせながらも、木剣を握る力を強過ぎないように……冷静に、そして激しく斬りかかった。
一回、二回、三回と剣撃を受け止め、更に笑みを深め……約三十秒経過すると、アラッドは斬撃を受け流し、攻撃へと転じる。
(ぐッ!!! ある程度、解っちゃあいたが、あまりにも、身体能力が、高いな!!!!!)
これまでアラッドが行ってきた手合わせを観て、ある程度予想はしていたものの、防御や受け流しで手一杯になる。
「ッ……ふぅ~~~、参ったぜ。降参だ降参」
「ありがとうございました。では、次の方どうぞ」
貴族イケメンフェイスがアラッドの前に立ち……アラッドは再び楽し気な笑みを浮かべながら手合せに臨む。
(あいつと同じく、逃げ腰の姿など、後輩には見せられん!!!!)
木製の細剣を使い、同期の男と同じく最初から果敢に攻めるが、それでも変わらず約一分で終了。
それが五十回ほど繰り返され、ようやく手合せは終了。
アラッドも手合わせを五十回ほど繰り返せば、疲労も止まる。
ただ……アラッド手合わせをした騎士たちはアラッドの疲労以上に、深い心労を食らっていた。
「あ、あの」
「? なんですか」
「アラッドさんの様に強くなるためには、どういった鍛錬を積めば良いでしょうか!!!」
最初にアラッドと手合わせを行った若手騎士、バジェスタが勢い良くアラッドの元に近づき、潔く……元気良くどうすればあなたのように強くなれるのかと尋ねた。
「…………俺と皆さんの差は、書類仕事をしたり、見回りとかしなくて良いところですからね。今から強くなる為に何かを行うのであれば、休み返上で鍛錬を行うか……モンスターなどの討伐に忙しい騎士団にい、移動? するのが一番かと」
それが今のアラッドに、騎士たちに対して直ぐに出来るアドバイスだった。
「……確かに、その様な話を耳にしたことがあるが、本当だったのか」
貴族フェイスのイケメン騎士の記憶が正しければ、国王陛下が爵位を授与する場には騎士団長が複数人いた。
にもかかわらず、彼らの意見を否定するような行動を取ったという事実に、驚きを隠せなかった。
「あれだろ、若い連中からすれば、特にふざけんなって思ったんだろう」
「そういうものか」
「ほら。なんつーか、戦い方も結構貴族っぽく、騎士っぽくなかったみたいだからな」
「呆れた事を……とは、言えないか」
貴族フェイスイケメン騎士は、今でこそどういった戦い方であっても、強さがなければ助けたい者を救えず、助けなければならない民を救えないと……戦い方など、行動が間違っていなければ、気にする事ではないと身に染みて理解している。
しかし、若い頃は……それこそ学生時代や騎士になったばかりの頃は、まだそういった思考が染みついていたため、そのバカ者たちの気持ちが全く解らないわけではないため、なんとも言えない表情を浮かべた。
「んでよ、その時自分が騎士の爵位を受け取ることに文句がある騎士たちを、アラッドは一対一で全員相手にしたらしいんだ」
「男らしいな。この歳だから言えるが、どちらが騎士なんだか」
「だな。それで、アラッドはその騎士たちとの試合を、殆ど一撃で終わらせたらしいんだよ。んで、終わる度に「次」って超冷たい声で促して、自身に文句がある奴と戦うんだよ」
「…………なるほど。その当時の現状と、今の現状が少し似ていると言いたいのだな」
「似てるっつーか、ちょっと思いだしてな」
新卒の騎士たちとはいえ、学生に乾杯するなどあり得ない!!!! ……と、貴族イケメンフェイス騎士が怒りの言葉を零すことはなかった。
決勝戦で激突した学生であるフローレンスが以前から騎士相手に一歩も引けを取らず、彼女が二年生の時に一度トーナメントを征していることもあり、新卒の騎士が学生の負けることはそこまで驚くことではないと解っていた。
「……特に怒っている様子はないと思うが」
「いや、それは俺も解ってるって。ただな、こう……凄ぇ淡々と進めていくだろ。アラッドにそのつもりがなくても、若手の奴らはちょっと萎縮するんじゃねぇかと思ってな」
「ふむ…………騎士になって五年も経つ者たちが約一分で負け始めるとなると、そういった意味でも気後れしてしまうかもしれないな」
騎士としての活動が五年も経てば、一応新人という肩書は消える。
三年も活動していれば後輩に何かを教える機会もあるため、心身共に騎士として新人ではいられなくなる。
だが、アラッドは今年入団した新卒騎士だけではなく、三年目……五年目の騎士も変わらず約一分で手合せを終わらせている。
「なんにしても、俺らはもうちょい粘らねぇとな」
「あぁ、そうだな」
そうこう話しているうちに、騎士歴七年の二人の番が回ってきた。
(ったく……こういう時は、嬉しいって思っとくべきなのかね~)
貴族令息にしては口調が砕けている騎士がアラッドの前に立つと、一瞬でこれまで手合せしてきた騎士たちとは力量が違うと察し、小さく笑みを浮かべる。
(ダラダラと時間を使うのは、後輩に見せる背中じゃねぇよなッ!!!!)
男はやる気を燃え上がらせながらも、木剣を握る力を強過ぎないように……冷静に、そして激しく斬りかかった。
一回、二回、三回と剣撃を受け止め、更に笑みを深め……約三十秒経過すると、アラッドは斬撃を受け流し、攻撃へと転じる。
(ぐッ!!! ある程度、解っちゃあいたが、あまりにも、身体能力が、高いな!!!!!)
これまでアラッドが行ってきた手合わせを観て、ある程度予想はしていたものの、防御や受け流しで手一杯になる。
「ッ……ふぅ~~~、参ったぜ。降参だ降参」
「ありがとうございました。では、次の方どうぞ」
貴族イケメンフェイスがアラッドの前に立ち……アラッドは再び楽し気な笑みを浮かべながら手合せに臨む。
(あいつと同じく、逃げ腰の姿など、後輩には見せられん!!!!)
木製の細剣を使い、同期の男と同じく最初から果敢に攻めるが、それでも変わらず約一分で終了。
それが五十回ほど繰り返され、ようやく手合せは終了。
アラッドも手合わせを五十回ほど繰り返せば、疲労も止まる。
ただ……アラッド手合わせをした騎士たちはアラッドの疲労以上に、深い心労を食らっていた。
「あ、あの」
「? なんですか」
「アラッドさんの様に強くなるためには、どういった鍛錬を積めば良いでしょうか!!!」
最初にアラッドと手合わせを行った若手騎士、バジェスタが勢い良くアラッドの元に近づき、潔く……元気良くどうすればあなたのように強くなれるのかと尋ねた。
「…………俺と皆さんの差は、書類仕事をしたり、見回りとかしなくて良いところですからね。今から強くなる為に何かを行うのであれば、休み返上で鍛錬を行うか……モンスターなどの討伐に忙しい騎士団にい、移動? するのが一番かと」
それが今のアラッドに、騎士たちに対して直ぐに出来るアドバイスだった。
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