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九百五十二話 足手纏いにはなりたくない
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「なぁ、ガルーレ」
「ん? 何々」
「お前はさ、この男となら一緒に居ても良いなって奴と出会ったことはないのか?」
闇竜デネブを討伐してから数日後、準備を整えたアラッドたちは既にゴルドスから次の街、パプクーラへと向かっていた。
その道中、アラッドは先日ガルーレにしてやられた分に嫌がらせ……などではなく、本当に何となく思った事を尋ねた。
「何々、アラッドも恋バナしたくなっちゃった感じ?」
「元々恋バナは嫌いじゃない」
「そうだったっけ? まっ、いいや。それで、私がこれまで出会って来た男の中で、この人となら一緒に居ても良いなって思う奴はいなかったのかって話だっけ」
「そうだ」
「ん~~、っとね~~~~~……………………いたには、いたかな~~~」
特に隠すことはなく、ガルーレはそう思える存在が居たことを口にした。
「まっ、その人とはやれなかったんだけどね~~~~」
「ほぅ? それは何と言うか……珍しい、で合ってるか?」
「あっはっは!!! そうね。多分珍しいと思う」
アラッドから見て、ガルーレは女性的に魅力のある人間である。
アマゾネス特有の褐色の肌に、元気ハツラツな容姿に、出るとこは出ていて、引き締まるところは引き締まっているナイスボディの持ち主。
好みが違うといった理由なども持たない限り、誘われれば基本的に断られる野郎はいない……そう思える女性である。
「……もしかして、既に恋人がいたのか、それとも既婚者だったのか?」
「そういうんじゃなかったかな~~。ただ、そこそこ歳が離れてたんだよね」
「なるほど? ……人族じゃない感じか?」
「正解!!!」
直感で口にした内容ではあったが、アラッドが口にした人族じゃないというのが、まさかの正解だった。
「こう、結構割と本気でビビッと来たんだけど私、まだその時は今ほど強くなかったんだよね~~~」
冒険者になりたての頃から、そこら辺のルーキー以上の戦闘力を持っていたガルーレだが、Bランクモンスターをソロで討伐出来るようになったのは、ここ最近の話である。
「私が傍にいたら、この人の迷惑になるだろうな~~って……そう思ったら、結構あっさり割り切れたんだよね」
「なるほど……ガルーレらしいな」
ガルーレも一人の乙女ではあるが、それよりも前に戦闘民族のアマゾネス。
伴侶となる者の足を自分が引っ張ってしまうというのは、プライドが許さなかった。
「傍に居つつも、相応しくなる為に強くなる……っていう選択肢はなかったの?」
ガルーレの考えが解らないわけではないスティーム。
しかし、さすがに判断が早過ぎるのではないかとも思った。
「私が傍に居る間に、その人の足を引っ張らないって保証はないでしょ?」
「それは……そうかもしれないけど」
「それに、その人と出会った時は、まだ私も今より若かったし、これから先もっと良い出会いがあるかもって感じじゃん」
「……早い内に結婚する人たちの判断を否定するつもりはないけど、確かにそうだね」
貴族であるスティームとしては、早い内に婚約、結婚するといったこと自体は珍しくない。
だが、貴族の令息や令嬢という立場ゆえに、多くの異性と出会えないというのも事実。
それを思うと、ガルーレの判断を多くの意味で正しいとも思えてきた。
「まっ、これまで出会って来た人の中で、今者だけどやりたくなっちゃったとかは全然あるけどね~~」
「ふっふっふ。なんと言うか、らしいな」
「え、えっと……でも、その……至らなかったんだよね?」
「あっはっは!!! 勿論、やらなかったわよ~~。私もそこら辺の常識はあるからね~~~」
この世界の法律では、不倫した場合慰謝料を云々といった法律などはない。
だが、白い眼で見られるのは間違いなく、場合によっては刺されても全くおかしくない。
元々アマゾネスの集落で生活していたガルーレとはいえ、先輩アマゾネスたちから、その辺りの常識はキッチリ教わっていた。
「……口ぶりから察するに、そこら辺の常識がなく、やらかしてしまったアマゾネスもいそうだな」
「解ってるじゃん、アラッド。集落に戻って来た人なんだけど、そういうあれでやらかしたって笑いながら話してるんだよね~~」
頭おかしんじゃないかと、ドン引きする……ことはなかった二人。
勿論、不倫という不貞行為を許容するというわけではなく、ただガルーレと共に行動する中で、アマゾネスという種族の特徴をある程度理解してきたからこそ……アマゾネスなら、そういうやらかしをしても笑って話すだろうなと、一種の諦めの境地に至っていた。
「でも、知り合った冒険者が気になってた相手って知らなくてやっちゃって、後で訓練場でバチバチに戦りあったことは何回かあったね~~~」
「「…………」」
本当に知らなかったのかと、アラッドとスティームはツッコまなかった。
そういった部分で嘘を付くことはないだろうと、二人はガルーレの事を……一応、信用していた。
(……ないとは思うが、ゴリディア帝国の連中に仕掛けられる前に、ガルーレに恨みを持つ女性冒険者から仕掛けられる、なんてことはないよな?)
ほんの少し背筋が震えるも、今更ガルーレをパーティーから追い出すつもりはなく、二人は揃ってため息を吐き……仕方ないと、苦笑いを浮かべながら諦めた。
「ん? 何々」
「お前はさ、この男となら一緒に居ても良いなって奴と出会ったことはないのか?」
闇竜デネブを討伐してから数日後、準備を整えたアラッドたちは既にゴルドスから次の街、パプクーラへと向かっていた。
その道中、アラッドは先日ガルーレにしてやられた分に嫌がらせ……などではなく、本当に何となく思った事を尋ねた。
「何々、アラッドも恋バナしたくなっちゃった感じ?」
「元々恋バナは嫌いじゃない」
「そうだったっけ? まっ、いいや。それで、私がこれまで出会って来た男の中で、この人となら一緒に居ても良いなって思う奴はいなかったのかって話だっけ」
「そうだ」
「ん~~、っとね~~~~~……………………いたには、いたかな~~~」
特に隠すことはなく、ガルーレはそう思える存在が居たことを口にした。
「まっ、その人とはやれなかったんだけどね~~~~」
「ほぅ? それは何と言うか……珍しい、で合ってるか?」
「あっはっは!!! そうね。多分珍しいと思う」
アラッドから見て、ガルーレは女性的に魅力のある人間である。
アマゾネス特有の褐色の肌に、元気ハツラツな容姿に、出るとこは出ていて、引き締まるところは引き締まっているナイスボディの持ち主。
好みが違うといった理由なども持たない限り、誘われれば基本的に断られる野郎はいない……そう思える女性である。
「……もしかして、既に恋人がいたのか、それとも既婚者だったのか?」
「そういうんじゃなかったかな~~。ただ、そこそこ歳が離れてたんだよね」
「なるほど? ……人族じゃない感じか?」
「正解!!!」
直感で口にした内容ではあったが、アラッドが口にした人族じゃないというのが、まさかの正解だった。
「こう、結構割と本気でビビッと来たんだけど私、まだその時は今ほど強くなかったんだよね~~~」
冒険者になりたての頃から、そこら辺のルーキー以上の戦闘力を持っていたガルーレだが、Bランクモンスターをソロで討伐出来るようになったのは、ここ最近の話である。
「私が傍にいたら、この人の迷惑になるだろうな~~って……そう思ったら、結構あっさり割り切れたんだよね」
「なるほど……ガルーレらしいな」
ガルーレも一人の乙女ではあるが、それよりも前に戦闘民族のアマゾネス。
伴侶となる者の足を自分が引っ張ってしまうというのは、プライドが許さなかった。
「傍に居つつも、相応しくなる為に強くなる……っていう選択肢はなかったの?」
ガルーレの考えが解らないわけではないスティーム。
しかし、さすがに判断が早過ぎるのではないかとも思った。
「私が傍に居る間に、その人の足を引っ張らないって保証はないでしょ?」
「それは……そうかもしれないけど」
「それに、その人と出会った時は、まだ私も今より若かったし、これから先もっと良い出会いがあるかもって感じじゃん」
「……早い内に結婚する人たちの判断を否定するつもりはないけど、確かにそうだね」
貴族であるスティームとしては、早い内に婚約、結婚するといったこと自体は珍しくない。
だが、貴族の令息や令嬢という立場ゆえに、多くの異性と出会えないというのも事実。
それを思うと、ガルーレの判断を多くの意味で正しいとも思えてきた。
「まっ、これまで出会って来た人の中で、今者だけどやりたくなっちゃったとかは全然あるけどね~~」
「ふっふっふ。なんと言うか、らしいな」
「え、えっと……でも、その……至らなかったんだよね?」
「あっはっは!!! 勿論、やらなかったわよ~~。私もそこら辺の常識はあるからね~~~」
この世界の法律では、不倫した場合慰謝料を云々といった法律などはない。
だが、白い眼で見られるのは間違いなく、場合によっては刺されても全くおかしくない。
元々アマゾネスの集落で生活していたガルーレとはいえ、先輩アマゾネスたちから、その辺りの常識はキッチリ教わっていた。
「……口ぶりから察するに、そこら辺の常識がなく、やらかしてしまったアマゾネスもいそうだな」
「解ってるじゃん、アラッド。集落に戻って来た人なんだけど、そういうあれでやらかしたって笑いながら話してるんだよね~~」
頭おかしんじゃないかと、ドン引きする……ことはなかった二人。
勿論、不倫という不貞行為を許容するというわけではなく、ただガルーレと共に行動する中で、アマゾネスという種族の特徴をある程度理解してきたからこそ……アマゾネスなら、そういうやらかしをしても笑って話すだろうなと、一種の諦めの境地に至っていた。
「でも、知り合った冒険者が気になってた相手って知らなくてやっちゃって、後で訓練場でバチバチに戦りあったことは何回かあったね~~~」
「「…………」」
本当に知らなかったのかと、アラッドとスティームはツッコまなかった。
そういった部分で嘘を付くことはないだろうと、二人はガルーレの事を……一応、信用していた。
(……ないとは思うが、ゴリディア帝国の連中に仕掛けられる前に、ガルーレに恨みを持つ女性冒険者から仕掛けられる、なんてことはないよな?)
ほんの少し背筋が震えるも、今更ガルーレをパーティーから追い出すつもりはなく、二人は揃ってため息を吐き……仕方ないと、苦笑いを浮かべながら諦めた。
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