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九百五十一話 どうだったの
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「……アラッド、最後に一つお聞きしても良いですか」
「? 何を聞きたいんだ」
もうそろそろフローレンスたちが泊っている宿に到着する。
そんなタイミングで、フローレンスは真剣な表情でアラッドに一つ尋ねた。
「アラッドは……戦争に対して、どのように思いますか」
「…………訊きたい事が、山ほどあるって感じだな」
「ふふ、そうとも言えますね」
アラッドの言う通り、フローレンスはアラッドに尋ねてみたいことがまだまだ他にもあった。
だが、もうそろそろ宿に着くと解っているからこそ、一つだけ尋ねることにした。
「基本的に、民がそれ望ことではない。勿論、俺たち貴族や権力者たちの中にも、望まない者はいる」
ハッキリと、権力者たちの児戯……とはさすがに言わなかったアラッド。
「とはいえ、今回俺たちは流れ的に攻められる側だ。であれば、受けて立つしか道はない」
「そう、なりますね」
「…………俺は、少しでも早く終わらせるために動く」
「なるべく敵と遭遇せずに、ですか?」
「物事は、そう上手くいかないだろう。だからこそ、遭遇した者たちは、基本的に殺す」
躊躇うことはなく、アラッドは戦場で遭遇した同業者や騎士を殺すと口にした。
「そこを躊躇えば……逃げた者たちが、知り合いたちを殺すかもしれない」
アラッドには冒険者の知り合いだけではなく、騎士の知り合いたちもいる。
手負いの獣は恐ろしく、アラッドの知人たちであっても、殺られる可能性は決して低くない。
「多分、良い気分ではないだろうな。それでも、それは早く終わらせることでしか、不満を解消することは出来ない」
盗賊という人間を殺すのとでは訳が違う。
ここまで平然とした表情で語っているアラッドではあるが、思うところが全くないわけではない。
「……ですね」
「フローレンス、お前は……殺れるか?」
「勿論、殺れます」
アラッドの問いに、フローレンスは真っすぐ……凛とした表情で答えた。
フローレンスも同じく、戦場と言う場とはいえ、罪もない者を殺すことに関して、思うところはある。
だが、その思いが……弱さが、民を……同僚を殺してしまうかもしれない。
それが解らない程、愚かではなく、脳内がお花畑でもなかった。
「ふふ、そうか」
あれこれ話している内に、フローレンスたちが泊っている宿に到着した。
「では、また」
「……そうだな。またな」
また近いうちに会う。
それを解っているからこそ、アラッドは素直にまたなと返し、自身が泊っている宿へと向かった。
「で、どうだったの」
「何がだよ」
翌朝、朝食を食べている際、ガルーレは身を乗り出しながら尋ねた。
昨日……フローレンスと何かなかったのかと。
「アラッドのことだから、フローレンスさんを宿まで送ってってあげたんでしょ」
「そうだな。あいつに勝てる男なんて殆どいないだろうが、一応夜道ではあるからな」
実際に本気でぶつかり合った事があるアラッドだからこそ、本当にフローレンスに敵う男など、殆どいないと思っている。
「で、どうだったのさ」
「どうだったって……何がだ。言っておくが、ただ話しながら、あいつを泊っている宿まで送っていっただけだぞ」
「……ちぇっ、な~~~んだ。つまんないの」
なんとなくアラッドは噓を付いてにないと解り、ガルーレは本当につまらなさそうにため息を吐いた。
「お前な~~~……俺とあいつは、なんもないんだよ」
「本当~~? ぶっちゃけ、お風呂上がりのフローレンスにドキっとしたりしたんじゃないの?」
「あいつが風呂上がりでも綺麗なのは認めるが、そういう感覚はなかったな」
アラッドは基本的にこれまで社交界に殆ど参加せず、他の貴族たちと比べて腹芸が得意ではない。
だが、全く噓が付けないという訳ではなく、堂々と風呂上がりのフローレンスにドキっとしたことを隠した。
「ふ~~~~ん? あっ、そういえば昨日スティームに聞いたんだけど、次は虎竜を探しに行くんだって?」
「そうだ。ワクワクしてくるだろ」
「勿論!!!」
満面の笑みを浮かべるガルーレに釣られ、アラッドとスティームも笑みを零す。
風竜ルスト、闇竜デネブの討伐に関しては、本当に依頼を受けた上での討伐……使命といった感覚が近かった。
しかし、虎竜……この特殊なドラゴンに関しては、探す上で冒険という感覚が強い。
だからこそ、三人とも冒険者としての血が騒いでいた。
「今回アラッドが戦った闇竜も強かったけど、多分虎竜はもっと強いよね!!」
「まぁ……かもしれないな」
虎竜を探す、討伐する。
その事に関してワクワクしているのは間違いなく、否定出来ない。
しかし、実際に本気になった闇竜デネブと戦った事があるアラッドからすると……闇竜デネブは、本当に強かった。
だからこそ、あれ以上強いとなると……自分たちが遭遇するまでに起こるであろう被害が心配になる。
(自己責任とはいえ、デネブより強いとなるとなぁ………………いや、でも……うん、強いだろうな~~~~~~)
竜虎相まみえる……といった言葉として、強者の存在として用いられる竜と虎。
そんな二つの存在の特徴を併せ持つモンスターなど、強くないわけがなかった。
「? 何を聞きたいんだ」
もうそろそろフローレンスたちが泊っている宿に到着する。
そんなタイミングで、フローレンスは真剣な表情でアラッドに一つ尋ねた。
「アラッドは……戦争に対して、どのように思いますか」
「…………訊きたい事が、山ほどあるって感じだな」
「ふふ、そうとも言えますね」
アラッドの言う通り、フローレンスはアラッドに尋ねてみたいことがまだまだ他にもあった。
だが、もうそろそろ宿に着くと解っているからこそ、一つだけ尋ねることにした。
「基本的に、民がそれ望ことではない。勿論、俺たち貴族や権力者たちの中にも、望まない者はいる」
ハッキリと、権力者たちの児戯……とはさすがに言わなかったアラッド。
「とはいえ、今回俺たちは流れ的に攻められる側だ。であれば、受けて立つしか道はない」
「そう、なりますね」
「…………俺は、少しでも早く終わらせるために動く」
「なるべく敵と遭遇せずに、ですか?」
「物事は、そう上手くいかないだろう。だからこそ、遭遇した者たちは、基本的に殺す」
躊躇うことはなく、アラッドは戦場で遭遇した同業者や騎士を殺すと口にした。
「そこを躊躇えば……逃げた者たちが、知り合いたちを殺すかもしれない」
アラッドには冒険者の知り合いだけではなく、騎士の知り合いたちもいる。
手負いの獣は恐ろしく、アラッドの知人たちであっても、殺られる可能性は決して低くない。
「多分、良い気分ではないだろうな。それでも、それは早く終わらせることでしか、不満を解消することは出来ない」
盗賊という人間を殺すのとでは訳が違う。
ここまで平然とした表情で語っているアラッドではあるが、思うところが全くないわけではない。
「……ですね」
「フローレンス、お前は……殺れるか?」
「勿論、殺れます」
アラッドの問いに、フローレンスは真っすぐ……凛とした表情で答えた。
フローレンスも同じく、戦場と言う場とはいえ、罪もない者を殺すことに関して、思うところはある。
だが、その思いが……弱さが、民を……同僚を殺してしまうかもしれない。
それが解らない程、愚かではなく、脳内がお花畑でもなかった。
「ふふ、そうか」
あれこれ話している内に、フローレンスたちが泊っている宿に到着した。
「では、また」
「……そうだな。またな」
また近いうちに会う。
それを解っているからこそ、アラッドは素直にまたなと返し、自身が泊っている宿へと向かった。
「で、どうだったの」
「何がだよ」
翌朝、朝食を食べている際、ガルーレは身を乗り出しながら尋ねた。
昨日……フローレンスと何かなかったのかと。
「アラッドのことだから、フローレンスさんを宿まで送ってってあげたんでしょ」
「そうだな。あいつに勝てる男なんて殆どいないだろうが、一応夜道ではあるからな」
実際に本気でぶつかり合った事があるアラッドだからこそ、本当にフローレンスに敵う男など、殆どいないと思っている。
「で、どうだったのさ」
「どうだったって……何がだ。言っておくが、ただ話しながら、あいつを泊っている宿まで送っていっただけだぞ」
「……ちぇっ、な~~~んだ。つまんないの」
なんとなくアラッドは噓を付いてにないと解り、ガルーレは本当につまらなさそうにため息を吐いた。
「お前な~~~……俺とあいつは、なんもないんだよ」
「本当~~? ぶっちゃけ、お風呂上がりのフローレンスにドキっとしたりしたんじゃないの?」
「あいつが風呂上がりでも綺麗なのは認めるが、そういう感覚はなかったな」
アラッドは基本的にこれまで社交界に殆ど参加せず、他の貴族たちと比べて腹芸が得意ではない。
だが、全く噓が付けないという訳ではなく、堂々と風呂上がりのフローレンスにドキっとしたことを隠した。
「ふ~~~~ん? あっ、そういえば昨日スティームに聞いたんだけど、次は虎竜を探しに行くんだって?」
「そうだ。ワクワクしてくるだろ」
「勿論!!!」
満面の笑みを浮かべるガルーレに釣られ、アラッドとスティームも笑みを零す。
風竜ルスト、闇竜デネブの討伐に関しては、本当に依頼を受けた上での討伐……使命といった感覚が近かった。
しかし、虎竜……この特殊なドラゴンに関しては、探す上で冒険という感覚が強い。
だからこそ、三人とも冒険者としての血が騒いでいた。
「今回アラッドが戦った闇竜も強かったけど、多分虎竜はもっと強いよね!!」
「まぁ……かもしれないな」
虎竜を探す、討伐する。
その事に関してワクワクしているのは間違いなく、否定出来ない。
しかし、実際に本気になった闇竜デネブと戦った事があるアラッドからすると……闇竜デネブは、本当に強かった。
だからこそ、あれ以上強いとなると……自分たちが遭遇するまでに起こるであろう被害が心配になる。
(自己責任とはいえ、デネブより強いとなるとなぁ………………いや、でも……うん、強いだろうな~~~~~~)
竜虎相まみえる……といった言葉として、強者の存在として用いられる竜と虎。
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