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九百四十五話 三コンボ

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「こ、こちらがお会計の金額になります」

「分かりました……………………これで、丁度かと」

アラッドはアイテムバッグから先程ギルドマスターから貰った特別報酬の袋を取り出し、その中から会計ピッタリの金額を支払った。

「は、はい…………確かに丁度、頂きました」

今回も今回でアラッドたちは当然のことながら大量に料理を食べ、クロたちも値段を気にせず店の料理を注文して食べていた。

そのため、余裕で白金貨数枚が吹き飛んだ。

「「「「「「…………」」」」」」

「ん? お前ら、なんて顔してんだよ。美味かっただろ?」

「いや、それは勿論そうなんだが……あれだ、とりあえず、ご馳走になった」

ソルがぺこりと頭を下げると、他のメンバーも頭を下げた。

当たり前だが、白金貨というのは騎士や貴族からしても非常に大金である。
合計で十人と三体の食事代とはいえ、白金貨十枚以上もの料理を食べることなど、まずない。

そんな大金をポンと支払うアラッドの姿に何とも言えない気持ちを抱きながらも、一先ずソルたちは感謝の意を伝えた。

「いやぁ~~、食べた食べた~~~。この店も美味しかったね」

ポッコリと膨れたお腹をポンポンと叩きながら、ガルーレは非常に満足気な笑顔を浮かべていた。

「そうだね……それにしても、本当にあの報酬から支払って良かったのかい?」

スティームも満足気な表情を浮かべてはいるが、本当にアラッドが受け取った特別報酬から支払っても良かったのかと思っていた。

スティームやガルーレも、錬金術などには興味がないため、脳や心臓などに関しては全て売却していた為、それなりの金額が懐に入っていた。

「大丈夫だって言ってるだろ」

「そうは言うけど、あれは主に闇竜を討伐したアラッドへの特別報酬でしょ?」

「何言ってんだ。あれは闇竜とその他のモンスターを纏めて討伐した、俺たちへの特別報酬だ。だからこそ、盛大に使って構わないんだよ」

確かに、今回アラッドたちが戦ったモンスターの中で一番強いモンスターとはいえば、間違いなく闇竜デネブが一番強かった。

だが、スティームたちが戦った黒色モンスターたちも十分脅威的なモンスターであったのは間違いない。

故に、アラッドはギルドマスターから貰った特別報酬が、自分だけの物だとは全く思っていなかった。

「んじゃ、帰るぞ」

満腹状態で一旦宿に帰還。

アラッドはワインを呑んでいたことで多少酔いもあったが、就寝前に大浴場向かった。
ガルーレやスティームも同じく、多少の酔いは残っていたが……それでもまず風呂に入っておきたいと思い、アラッドと主に大浴場へ向かった。

そんな中フローレンスたちは……フローレンスも同じく多少酔ってはいたが、問題無く歩くことが出来た。
だが、ソルたちは半黒色のオークジェネラルたちとの戦闘による疲労、美味い料理を腹一杯まで食べた満腹感に、ワインを呑んだことで襲ってきた酔いの三コンボによって撃沈。

全員部屋に入ることは出来たが、何名かは地面に倒れて寝てしまい、もう何名かは……ベッドに辿り着くことは出来たが、鎧などを外し終えるも……寝間着に着替えることは出来ず、ベッドに倒れた。



「あっ、フローレンスさんじゃん」

「奇遇ですね。ガルーレも……アラッドたちも大浴場に?」

「そうですよ。寝る前に風呂に入りたいよね~~ってなって」

ガルーレの後にフローレンスが着替え室に入ってきた。
ばったり出会った二人は直ぐに素っ裸になり、大浴場へと向かう。

「あぁ~~~~、癒される~~~~~」

体を洗い、髪を洗った後、二人は湯に浸かり、ガルーレは戦闘後の……食事後の風呂を満喫していた。

「そうですね。疲れが流れ落ちるようです」

「ですよね~~~~……フローレンスさんたちは、数日後には帰るんですか?」

「えぇ、そうですね。さすがに明日出発は無理そうなので、体調を整えてから戻ろうと思っています」

フローレンスの予想では、ソルたちが二日酔い状態になっているため、元々帰還するための準備が必要ということもあり、まだ数日間はゴルドスに滞在するつもりだった。

「ガルーレたちはどうするのですか?」

「ん~~……多分、フローレンスさんと同じく、数日間はゴルドスにいると思います。色々と準備が整ったら、次のドラゴンを討伐しに行こうかなって感じです」

「そうですか…………羨ましいですね」

「? フローレンスさんも、やっぱりソロでBランクモンスターを討伐して、ドラゴンスレイヤーになりたいんですか?」

今回は流れでアラッドが闇竜と戦ったが、本来相性という点を考慮すれば、フローレンスが戦うべきであった。

アラッドが狂気を刺激され、飲まれそうになった要因を生んだ幻惑効果に関しても、フローレンスが精霊同化でウィリアスと一つになっていれば、そもそも食らうことがなかった。

「いえ、そういう訳では……そうですね。一人の騎士として、その気持ちは多少はあります。ただ、私はガルーレたちの様に身軽に動くことが出来ず、一旦拠点に戻って報告しなければなりません」

報連相はしっかりとしなければならない。

まだ伝達技術が低い時代だからこそ、報連相を怠れば、それだけで騎士としての評価が下がると言っても過言ではない。
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