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九百二十七話 正念場
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「「「「「ッ!!!!!」」」」」
闇の力を授かったモンスターたちの意識が変わった。
戦況的には一応拮抗していたものの、先程までは七対九と数で勝っていた。
戦闘力で劣っていることはなく、強いて言えば経験値などが劣っていた程度。
気は抜けない、油断は出来ない。
それでも、このまま後ろの黒い巨狼が仕掛けてこないのであれば、自分たちの勝利。
そう思っていたオークジェネラルたちだったが、状況が一変し……数が七対五と、自分たちの方が追い詰められ始めた。
気は抜けない油断出来ない相手だと認めているからこそ、襲い掛かってくる焦りは大きかった。
だからこそ……ここからは死に物狂いで、自分の未来など考えずに殺しにくる。
「ここからが正念場よッ!!!!!!」
精霊なのによくそんな言葉を知ってるな……と、ツッコむ余裕がある者は一人もいない。
安全を考えず、リスクを背負って襲い掛かってくる相手は、人間であってもモンスターであっても恐ろしい。
相手が自分たちと同等か、それ以上の戦闘力を有していれば尚更である。
「ウィンドロープッ!!!!!」
「「ッ!!!???」」
だが、本気になった、死に物狂いになった……そんな状態で、いつも通りの動きが出来るかどうかは別問題。
ルーナは風のロープを生み出した。
基本的に救助用の魔法としか考えられてない魔法を、罠として設置。
完全に固定するのを強く意識する為、集中するためにその場から動けなくなるが、そこは他のメンバーたちがカバーする。
「フンッ!!!」
「ヌゥウウアアアアアアッ!!!!!」
ウィリアスの放った光の散針がブラックウルフに突き刺さり、ソルの狂刃がオークジェネラルの首を切断した。
これで……残りはガーゴイルとヒポグリフ、そしてホワイトスネークのみ。
ここまでくれば、完全に形勢は逆転したと言える。
しかし、極端に人数が少なったからこそ、残ったモンスターたちは素早く行動を開始。
「「ッ!!」」
ガーゴイルとヒポグリフの二体は出来る限り上に飛び、飛べないホワイトスネークは自分の攻撃では死なない……魔力を大量に消費すれば死ぬと解っていながらも、ルーナたちに向かって大量の毒液を吐きだした。
ブレスなどと比べて速さは劣るものの、絶妙な距離から繰り出された毒液は、ソルたちが対処するにも間に合わず、散開する時間も与えなかった。
「はぁああああぁぁああああああああああああッ!!!!!!!」
ルーナは残りの魔力量をほとんど無視し、突風の発動に魔力と神経を集中させた。
毒液の量、持続時間が長く、尚且つ他の場所で戦っているメンバーの元に届かない様に調整しなければならない。
ただ吹き飛ばせば良い訳ではないという部分に、物凄く真剣を削らなければならないところを……ルーナは汗を滝のように流しながらも、見事やり切った。
「「ーーーーーッ!!!!!」」
だが、先程ウィリアスが取った行動と同じく、倒したり行動不能に出来ればホワイトスネークとしては御の字であり、本来の目的は足止め。
その隙にガーゴイルとヒポグリフが渾身の闇風による遠距離攻撃を放っていた。
ウィリアスはその動きに気付いており、光のバリアを展開してやり過ごそうと思っていたが、それよりも先にまだ狂化を継続中のソルが飛び出した。
「ァァアアアアアア゛ア゛ア゛ッ!!!!!!!!」
宙に跳び、全力で大剣を振り回して対抗。
まだ狂化が継続中ということもあり、ウィリアスが大剣に付与した光属性も継続中。
それでも、ホワイトスネークと同じく後先考えずに魔力を消費して放たれた遠距離攻撃は凄まじい威力であり、打ち勝つことは出来なかった。
しかし、ウィリアスはなんとか放たれた遠距離攻撃の軌道を逸らすことに成功。
「ぐっ!!!???」
空中で殆ど押し負けた形となり、衝撃で上手く着地出来ず、背中から地面に落下したものの狂化を使用していたことで打撲程度で済み、背骨骨折などには至らなかった。
「せぇええあああッ!!!!」
「これで終わりよッ!!!!!」
そして最後にレパレスが相棒である槍を全力でぶん投げてガーゴイルの胸を貫き、ウィリアスが放った光の霊鳥がヒポグリフの体を貫いた。
他のメンバーがホワイトスネークも見逃さずバッチリ仕留め…………これにて、ようやく大混戦と呼べる戦場が終幕を迎えた。
「はぁ、はぁ、はぁ…………私、は」
「大丈夫? 立てる、ソル?」
「ルーナ……私は、ちゃんと戦えてた?」
記憶が飛んでいた訳ではない。
ただ、なんとなく朧気にしか覚えていなかった。
「勿論、ちゃんと戦えてたよ」
「そう…………それなら、良かった」
他のメンバーたちの方に顔を向け、自分が斬ってしまったであろう傷は見当たらず、ホッと一安心。
やってしまったのであれば、後で謝れば良いと覚悟を決めて狂化を使用した。
だが、それはそれで、もし本当にやってしまったらという不安は残っていた。
(う~~~ん……あの子たち、どうやらちゃんと成長してるみたいね。そういえば、大丈夫だと思うけどフローレンスはっ!!!!????)
主人はどうなっているか、大丈夫そうなら魔力がそろそろ限界ということもあり、一度戻ろうかと思っていたウィリアスだったが、そうは言ってられない……ソルの狂暴性とは比べ物にならない圧を、存在感を感じ取り、状況を把握する前にソルたちの武器に慌てて光属性を付与し直した。
闇の力を授かったモンスターたちの意識が変わった。
戦況的には一応拮抗していたものの、先程までは七対九と数で勝っていた。
戦闘力で劣っていることはなく、強いて言えば経験値などが劣っていた程度。
気は抜けない、油断は出来ない。
それでも、このまま後ろの黒い巨狼が仕掛けてこないのであれば、自分たちの勝利。
そう思っていたオークジェネラルたちだったが、状況が一変し……数が七対五と、自分たちの方が追い詰められ始めた。
気は抜けない油断出来ない相手だと認めているからこそ、襲い掛かってくる焦りは大きかった。
だからこそ……ここからは死に物狂いで、自分の未来など考えずに殺しにくる。
「ここからが正念場よッ!!!!!!」
精霊なのによくそんな言葉を知ってるな……と、ツッコむ余裕がある者は一人もいない。
安全を考えず、リスクを背負って襲い掛かってくる相手は、人間であってもモンスターであっても恐ろしい。
相手が自分たちと同等か、それ以上の戦闘力を有していれば尚更である。
「ウィンドロープッ!!!!!」
「「ッ!!!???」」
だが、本気になった、死に物狂いになった……そんな状態で、いつも通りの動きが出来るかどうかは別問題。
ルーナは風のロープを生み出した。
基本的に救助用の魔法としか考えられてない魔法を、罠として設置。
完全に固定するのを強く意識する為、集中するためにその場から動けなくなるが、そこは他のメンバーたちがカバーする。
「フンッ!!!」
「ヌゥウウアアアアアアッ!!!!!」
ウィリアスの放った光の散針がブラックウルフに突き刺さり、ソルの狂刃がオークジェネラルの首を切断した。
これで……残りはガーゴイルとヒポグリフ、そしてホワイトスネークのみ。
ここまでくれば、完全に形勢は逆転したと言える。
しかし、極端に人数が少なったからこそ、残ったモンスターたちは素早く行動を開始。
「「ッ!!」」
ガーゴイルとヒポグリフの二体は出来る限り上に飛び、飛べないホワイトスネークは自分の攻撃では死なない……魔力を大量に消費すれば死ぬと解っていながらも、ルーナたちに向かって大量の毒液を吐きだした。
ブレスなどと比べて速さは劣るものの、絶妙な距離から繰り出された毒液は、ソルたちが対処するにも間に合わず、散開する時間も与えなかった。
「はぁああああぁぁああああああああああああッ!!!!!!!」
ルーナは残りの魔力量をほとんど無視し、突風の発動に魔力と神経を集中させた。
毒液の量、持続時間が長く、尚且つ他の場所で戦っているメンバーの元に届かない様に調整しなければならない。
ただ吹き飛ばせば良い訳ではないという部分に、物凄く真剣を削らなければならないところを……ルーナは汗を滝のように流しながらも、見事やり切った。
「「ーーーーーッ!!!!!」」
だが、先程ウィリアスが取った行動と同じく、倒したり行動不能に出来ればホワイトスネークとしては御の字であり、本来の目的は足止め。
その隙にガーゴイルとヒポグリフが渾身の闇風による遠距離攻撃を放っていた。
ウィリアスはその動きに気付いており、光のバリアを展開してやり過ごそうと思っていたが、それよりも先にまだ狂化を継続中のソルが飛び出した。
「ァァアアアアアア゛ア゛ア゛ッ!!!!!!!!」
宙に跳び、全力で大剣を振り回して対抗。
まだ狂化が継続中ということもあり、ウィリアスが大剣に付与した光属性も継続中。
それでも、ホワイトスネークと同じく後先考えずに魔力を消費して放たれた遠距離攻撃は凄まじい威力であり、打ち勝つことは出来なかった。
しかし、ウィリアスはなんとか放たれた遠距離攻撃の軌道を逸らすことに成功。
「ぐっ!!!???」
空中で殆ど押し負けた形となり、衝撃で上手く着地出来ず、背中から地面に落下したものの狂化を使用していたことで打撲程度で済み、背骨骨折などには至らなかった。
「せぇええあああッ!!!!」
「これで終わりよッ!!!!!」
そして最後にレパレスが相棒である槍を全力でぶん投げてガーゴイルの胸を貫き、ウィリアスが放った光の霊鳥がヒポグリフの体を貫いた。
他のメンバーがホワイトスネークも見逃さずバッチリ仕留め…………これにて、ようやく大混戦と呼べる戦場が終幕を迎えた。
「はぁ、はぁ、はぁ…………私、は」
「大丈夫? 立てる、ソル?」
「ルーナ……私は、ちゃんと戦えてた?」
記憶が飛んでいた訳ではない。
ただ、なんとなく朧気にしか覚えていなかった。
「勿論、ちゃんと戦えてたよ」
「そう…………それなら、良かった」
他のメンバーたちの方に顔を向け、自分が斬ってしまったであろう傷は見当たらず、ホッと一安心。
やってしまったのであれば、後で謝れば良いと覚悟を決めて狂化を使用した。
だが、それはそれで、もし本当にやってしまったらという不安は残っていた。
(う~~~ん……あの子たち、どうやらちゃんと成長してるみたいね。そういえば、大丈夫だと思うけどフローレンスはっ!!!!????)
主人はどうなっているか、大丈夫そうなら魔力がそろそろ限界ということもあり、一度戻ろうかと思っていたウィリアスだったが、そうは言ってられない……ソルの狂暴性とは比べ物にならない圧を、存在感を感じ取り、状況を把握する前にソルたちの武器に慌てて光属性を付与し直した。
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