897 / 1,023
八百九十五話 脅威の数は幾つ?
しおりを挟む
「仮に、俺たちの考えが正しかったとして、闇竜がどういった基準で闇の力を与える相手を選んでるかが問題だな」
「手当たり次第に与えているのか、それとも丁度良いと……才のある個体にしか与えていないのか、ということですね」
食事が届いてからも、両パーティーのリーダーであるアラッドとフローレンスは話しを続ける。
「どちらも厄介だとは思いますけど、個人的には後者ではないかと考えています」
「考えてることは同じみたいだな。俺たちも後者だと思っている。アンドーラ山岳やその周りで遭遇したモンスターの中に、戦闘力だけならそれなりの個体はそこそこいた。なっ、ガルーレ」
「……っ、ぷは~~~! えっと、サラマンダー以外のモンスターについて、だっけ?」
「あぁ、そうだ」
「そうだね~~~、割と時間は掛けなかったけど、ラバーゴートとか戦闘力は高かったと思う」
「ガルーレが真正面から突進を受け止めて、更に押し返したモンスターだね」
「「「「「「っ!!!!????」」」」」」
スティームの言葉を聞き、ソルたちは思わず吹き出しかける、喉を詰まらせそうになった。
「げほっ、ごほっ……が、ガルーレ。そ、そんな事したの?」
「えぇ!! なんかやれそうだったから、頑張ってみたのよ!!!」
ガルーレの事は嫌いじゃなく、その実力も当然認めているソル。
ガルーレが見た目以上にパワーがあることは知っている。
だが、ソルたちもアンドーラ山岳付近でラバーゴートと戦闘をしたことがあるため、どれだけガルーレが自殺行為とも言えることしたのか解るだけに、受けた驚きは大きかった。
「そ、そう、なのね」
「でも、やっぱり闇の力を持ってたのは、ヴァジュラが討伐したサラマンダーだけだったよね~~……あっ、そう言えばさ、一人一殺したグレートウルフの事、アラッドとスティームは怪しんでなかった?」
「っ……そういえば、そんな奴らもいたな」
「どういった個体だったのですか?」
「……特別珍しいところはなかった。ただ、体格差が殆どないにもかかわらず、三体で行動していた。種としてのプライドからか、三体とも逃げようとはしなかった」
今思い出すと、何かしらの繋がりがあってもおかしくないと思える。
「闇の力は感じられなかったが、それはサラマンダーも似た様なものだった。あの時はグレートウルフを統率できるウルフ系のモンスターがいるのかと思っていたが、どうやら繋がりは闇竜の方にありそうだな」
「基本的に、Cランクモンスター以上の個体に力を付与していると考えて良さそうですね」
実際に闇の力を付与されたCランクモンスター、オーガの戦闘力をその眼で観たからこそ、フローレンスは非常に渋い表情を浮かべてた。
「……アラッド。闇竜が闇の力を与えるモンスターを選んでいると仮定して、いったい今……何体ほど支配下に置かれているモンスターがいるでしょうか」
「そうだな………………いつからそういう事が出来るようになったかとかにもよるが、ゴルドスにまだそういったモンスターの目撃情報が多くないってことは、そこまで数は多くない……正確には、与えられた闇の力を完全に自分のものに出来ている個体は少ない筈だ」
ソルたちが戦った肌が黒色のオーガの様な個体は少ない。
スティームや、フローレンスよりも歳上の騎士たちも同じことを考えていた。
「ただ、闇竜本体がどれほどの戦闘力を有してるのかは解らないが、Bランクモンスターとも利害関係を結べるところを考えると、闇の力を使いこなせていないからといって、油断は出来ないと考えた方が良い」
「そうですね……そう考えると、やはり闇竜はAランククラスの実力を有していると考えた方が妥当でしょうか」
「……その可能性があると、頭の片隅に置いておいた方が良いのは確かだな。ただ、何かしらのステータスがAランク並みであれば、従えられる可能性は十分にある」
「必要以上に警戒するというのもあれですね」
「そういう事だ……なんにしろ、前回の戦闘と比べて大分厄介なことになった、スティーム、ガルーレ」
「だね。早めにアラッドが何とかしようと動いて良かったなと思うよ」
丁寧な所作でステーキを切り分けながら、スティームはサラッと自分たちのリーダーをよいしょする。
「スティームの言う通りね。だって……ほら! 元々ウィラーナに行こうって言いだしたのはアラッドでしょ」
「……そういえば、そうだったかもしれないな」
「これから寒くなるのに寒い地域に行こうっていう発想がなかったら、まず行かないだろうし、そしたらグレイスさんから情報を得られなかった訳だし」
「? グレイスさん、というのは……人間なのですか?」
「違いますよ。グレイスさんはドラゴン、雪竜です」
「「「「「「っ!!!???」」」」」」
酒場などではなく、こういう時こそマナーが問われる場ということもあり、ソルやルーナたちは今度こそ粗相をしない様にと心がけていたのだが、再び不意を突かれて吹き出しそうになっってしまった。
「手当たり次第に与えているのか、それとも丁度良いと……才のある個体にしか与えていないのか、ということですね」
食事が届いてからも、両パーティーのリーダーであるアラッドとフローレンスは話しを続ける。
「どちらも厄介だとは思いますけど、個人的には後者ではないかと考えています」
「考えてることは同じみたいだな。俺たちも後者だと思っている。アンドーラ山岳やその周りで遭遇したモンスターの中に、戦闘力だけならそれなりの個体はそこそこいた。なっ、ガルーレ」
「……っ、ぷは~~~! えっと、サラマンダー以外のモンスターについて、だっけ?」
「あぁ、そうだ」
「そうだね~~~、割と時間は掛けなかったけど、ラバーゴートとか戦闘力は高かったと思う」
「ガルーレが真正面から突進を受け止めて、更に押し返したモンスターだね」
「「「「「「っ!!!!????」」」」」」
スティームの言葉を聞き、ソルたちは思わず吹き出しかける、喉を詰まらせそうになった。
「げほっ、ごほっ……が、ガルーレ。そ、そんな事したの?」
「えぇ!! なんかやれそうだったから、頑張ってみたのよ!!!」
ガルーレの事は嫌いじゃなく、その実力も当然認めているソル。
ガルーレが見た目以上にパワーがあることは知っている。
だが、ソルたちもアンドーラ山岳付近でラバーゴートと戦闘をしたことがあるため、どれだけガルーレが自殺行為とも言えることしたのか解るだけに、受けた驚きは大きかった。
「そ、そう、なのね」
「でも、やっぱり闇の力を持ってたのは、ヴァジュラが討伐したサラマンダーだけだったよね~~……あっ、そう言えばさ、一人一殺したグレートウルフの事、アラッドとスティームは怪しんでなかった?」
「っ……そういえば、そんな奴らもいたな」
「どういった個体だったのですか?」
「……特別珍しいところはなかった。ただ、体格差が殆どないにもかかわらず、三体で行動していた。種としてのプライドからか、三体とも逃げようとはしなかった」
今思い出すと、何かしらの繋がりがあってもおかしくないと思える。
「闇の力は感じられなかったが、それはサラマンダーも似た様なものだった。あの時はグレートウルフを統率できるウルフ系のモンスターがいるのかと思っていたが、どうやら繋がりは闇竜の方にありそうだな」
「基本的に、Cランクモンスター以上の個体に力を付与していると考えて良さそうですね」
実際に闇の力を付与されたCランクモンスター、オーガの戦闘力をその眼で観たからこそ、フローレンスは非常に渋い表情を浮かべてた。
「……アラッド。闇竜が闇の力を与えるモンスターを選んでいると仮定して、いったい今……何体ほど支配下に置かれているモンスターがいるでしょうか」
「そうだな………………いつからそういう事が出来るようになったかとかにもよるが、ゴルドスにまだそういったモンスターの目撃情報が多くないってことは、そこまで数は多くない……正確には、与えられた闇の力を完全に自分のものに出来ている個体は少ない筈だ」
ソルたちが戦った肌が黒色のオーガの様な個体は少ない。
スティームや、フローレンスよりも歳上の騎士たちも同じことを考えていた。
「ただ、闇竜本体がどれほどの戦闘力を有してるのかは解らないが、Bランクモンスターとも利害関係を結べるところを考えると、闇の力を使いこなせていないからといって、油断は出来ないと考えた方が良い」
「そうですね……そう考えると、やはり闇竜はAランククラスの実力を有していると考えた方が妥当でしょうか」
「……その可能性があると、頭の片隅に置いておいた方が良いのは確かだな。ただ、何かしらのステータスがAランク並みであれば、従えられる可能性は十分にある」
「必要以上に警戒するというのもあれですね」
「そういう事だ……なんにしろ、前回の戦闘と比べて大分厄介なことになった、スティーム、ガルーレ」
「だね。早めにアラッドが何とかしようと動いて良かったなと思うよ」
丁寧な所作でステーキを切り分けながら、スティームはサラッと自分たちのリーダーをよいしょする。
「スティームの言う通りね。だって……ほら! 元々ウィラーナに行こうって言いだしたのはアラッドでしょ」
「……そういえば、そうだったかもしれないな」
「これから寒くなるのに寒い地域に行こうっていう発想がなかったら、まず行かないだろうし、そしたらグレイスさんから情報を得られなかった訳だし」
「? グレイスさん、というのは……人間なのですか?」
「違いますよ。グレイスさんはドラゴン、雪竜です」
「「「「「「っ!!!???」」」」」」
酒場などではなく、こういう時こそマナーが問われる場ということもあり、ソルやルーナたちは今度こそ粗相をしない様にと心がけていたのだが、再び不意を突かれて吹き出しそうになっってしまった。
540
お気に入りに追加
6,108
あなたにおすすめの小説
子爵家の長男ですが魔法適性が皆無だったので孤児院に預けられました。変化魔法があれば魔法適性なんて無くても無問題!
八神
ファンタジー
主人公『リデック・ゼルハイト』は子爵家の長男として産まれたが、検査によって『魔法適性が一切無い』と判明したため父親である当主の判断で孤児院に預けられた。
『魔法適性』とは読んで字のごとく魔法を扱う適性である。
魔力を持つ人間には差はあれど基本的にみんな生まれつき様々な属性の魔法適性が備わっている。
しかし例外というのはどの世界にも存在し、魔力を持つ人間の中にもごく稀に魔法適性が全くない状態で産まれてくる人も…
そんな主人公、リデックが5歳になったある日…ふと前世の記憶を思い出し、魔法適性に関係の無い変化魔法に目をつける。
しかしその魔法は『魔物に変身する』というもので人々からはあまり好意的に思われていない魔法だった。
…はたして主人公の運命やいかに…
その聖女は身分を捨てた
メカ喜楽直人
ファンタジー
ある日突然、この世界各地に無数のダンジョンが出来たのは今から18年前のことだった。
その日から、この世界には魔物が溢れるようになり人々は武器を揃え戦うことを覚えた。しかし年を追うごとに魔獣の種類は増え続け武器を持っている程度では倒せなくなっていく。
そんな時、神からの掲示によりひとりの少女が探し出される。
魔獣を退ける結界を作り出せるその少女は、自国のみならず各国から請われ結界を貼り廻らせる旅にでる。
こうして少女の活躍により、世界に平和が取り戻された。
これは、平和を取り戻した後のお話である。
おばあちゃん(28)は自由ですヨ
美緒
ファンタジー
異世界召喚されちゃったあたし、梅木里子(28)。
その場には王子らしき人も居たけれど、その他大勢と共にもう一人の召喚者ばかりに話し掛け、あたしの事は無視。
どうしろっていうのよ……とか考えていたら、あたしに気付いた王子らしき人は、あたしの事を鼻で笑い。
「おまけのババアは引っ込んでろ」
そんな暴言と共に足蹴にされ、あたしは切れた。
その途端、響く悲鳴。
突然、年寄りになった王子らしき人。
そして気付く。
あれ、あたし……おばあちゃんになってない!?
ちょっと待ってよ! あたし、28歳だよ!?
魔法というものがあり、魔力が最も充実している年齢で老化が一時的に止まるという、謎な法則のある世界。
召喚の魔法陣に、『最も力――魔力――が充実している年齢の姿』で召喚されるという呪が込められていた事から、おばあちゃんな姿で召喚されてしまった。
普通の人間は、年を取ると力が弱くなるのに、里子は逆。年を重ねれば重ねるほど力が強大になっていくチートだった――けど、本人は知らず。
自分を召喚した国が酷かったものだからとっとと出て行き(迷惑料をしっかり頂く)
元の姿に戻る為、元の世界に帰る為。
外見・おばあちゃんな性格のよろしくない最強主人公が自由気ままに旅をする。
※気分で書いているので、1話1話の長短がバラバラです。
※基本的に主人公、性格よくないです。言葉遣いも余りよろしくないです。(これ重要)
※いつか恋愛もさせたいけど、主人公が「え? 熟女萌え? というか、ババ專!?」とか考えちゃうので進まない様な気もします。
※こちらは、小説家になろう、カクヨムにも投稿しています。
「魔王のいない世界には勇者は必要ない」と王家に追い出されたので自由に旅をしながら可愛い嫁を探すことにしました
夢幻の翼
ファンタジー
「魔王軍も壊滅したし、もう勇者いらないよね」
命をかけて戦った俺(勇者)に対して魔王討伐の報酬を出し渋る横暴な扱いをする国王。
本当ならばその場で暴れてやりたかったが今後の事を考えて必死に自制心を保ちながら会見を終えた。
元勇者として通常では信じられないほどの能力を習得していた僕は腐った国王を持つ国に見切りをつけて他国へ亡命することを決意する。
その際に思いついた嫌がらせを国王にした俺はスッキリした気持ちで隣町まで駆け抜けた。
しかし、気持ちの整理はついたが懐の寒かった俺は冒険者として生計をたてるために冒険者ギルドを訪れたがもともと勇者として経験値を爆あげしていた僕は無事にランクを認められ、それを期に国外へと向かう訳あり商人の護衛として旅にでることになった。
といった序盤ストーリーとなっております。
追放あり、プチだけどざまぁあり、バトルにほのぼの、感動と恋愛までを詰め込んだ物語となる予定です。
5月30日までは毎日2回更新を予定しています。
それ以降はストック尽きるまで毎日1回更新となります。
悪役令嬢になるのも面倒なので、冒険にでかけます
綾月百花
ファンタジー
リリーには幼い頃に決められた王子の婚約者がいたが、その婚約者の誕生日パーティーで婚約者はミーネと入場し挨拶して歩きファーストダンスまで踊る始末。国王と王妃に謝られ、贈り物も準備されていると宥められるが、その贈り物のドレスまでミーネが着ていた。リリーは怒ってワインボトルを持ち、美しいドレスをワイン色に染め上げるが、ミーネもリリーのドレスの裾を踏みつけ、ワインボトルからボトボトと頭から濡らされた。相手は子爵令嬢、リリーは伯爵令嬢、位の違いに国王も黙ってはいられない。婚約者はそれでも、リリーの肩を持たず、リリーは国王に婚約破棄をして欲しいと直訴する。それ受け入れられ、リリーは清々した。婚約破棄が完全に決まった後、リリーは深夜に家を飛び出し笛を吹く。会いたかったビエントに会えた。過ごすうちもっと好きになる。必死で練習した飛行魔法とささやかな攻撃魔法を身につけ、リリーは今度は自分からビエントに会いに行こうと家出をして旅を始めた。旅の途中の魔物の森で魔物に襲われ、リリーは自分の未熟さに気付き、国営の騎士団に入り、魔物狩りを始めた。最終目的はダンジョンの攻略。悪役令嬢と魔物退治、ダンジョン攻略等を混ぜてみました。メインはリリーが王妃になるまでのシンデレラストーリーです。
私は、忠告を致しましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。
ロマーヌ様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
追放された薬師でしたが、特に気にもしていません
志位斗 茂家波
ファンタジー
ある日、自身が所属していた冒険者パーティを追い出された薬師のメディ。
まぁ、どうでもいいので特に気にもせずに、会うつもりもないので別の国へ向かってしまった。
だが、密かに彼女を大事にしていた人たちの逆鱗に触れてしまったようであった‥‥‥
たまにやりたくなる短編。
ちょっと連載作品
「拾ったメイドゴーレムによって、いつの間にか色々されていた ~何このメイド、ちょっと怖い~」に登場している方が登場したりしますが、どうぞ読んでみてください。
幼い公女様は愛されたいと願うのやめました。~態度を変えた途端、家族が溺愛してくるのはなぜですか?~
朱色の谷
ファンタジー
公爵家の末娘として生まれた6歳のティアナ
お屋敷で働いている使用人に虐げられ『公爵家の汚点』と呼ばれる始末。
お父様やお兄様は私に関心がないみたい。愛されたいと願い、愛想よく振る舞っていたが一向に興味を示してくれない…
そんな中、夢の中の本を読むと、、、
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる