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八百八十六話 魔性の令息?
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「そういえばさ、アラッド」
「なんだ?」
「アッシュ君って、あれからリエラさんと何かしらの発展とかあったのかな」
昼食中、ガルーレはふとナルターク王国で出会った学生最強の貴族令嬢を思い出した。
「実家にいる間に、特に手紙は送られてきてないから、何も発展してないと思うぞ」
「そっか~~~……お兄ちゃんとしては、どうせなら発展してほしいと思う感じ?」
「…………そうだな。あいつはあいつで、目標を見つけたら突っ走るタイプだからな」
兄貴あるある。
妹の男関係には厳しいが、弟には寧ろそういう相手が出来てほしいと思う。
「とはいえ、仮にそういう関係になれたとしても、基本的に錬金術にしか興味がないアッシュに寄り添い続けられるか……それに、リエラ嬢は立場がある人間だろ」
「リエラさんは、確か侯爵家のご令嬢だったね」
「となると、交流戦に選ばれたことも考えれば、あの時点で就職する騎士団が決まってる筈だ」
「それもそっか……ってなると、是非ともアッシュ君をナルターク王国に連れていきたくなるな~~」
「……別に、バカで高飛車という印象は感じなかった。こっちも同じ侯爵家で、父さんの存在とかも考えれば、無理矢理連れていこうとはしないだろ」
「ん~~~~~……それなら、やっぱりリエラさんが色々蹴って、こっちに来る感じかな!!!」
ガルーレは普段通りの様子でもしもの流れを口にするが、それを聞いたアラッドはとてもとても渋い表情になり、同じ貴族であるスティームもアラッドの心情が理解出来てしまうため、同じくとても渋い表情を浮かべる。
「あっ…………やっぱりそうなると、不味い感じになるのかな」
さすがにそこまで渋い表情をされると、そういうのに疎いガルーレでもあまりよろしくない事だと解る。
「……リエラ嬢の実家、カルバトラ家だったか。まず、そこがどう考えるかにもよるな」
「アルバース王国のパーシバル家と縁を結べるのであればと、了承する可能性もあり得そうだけど……でも、貴族の中にも自分の娘を溺愛する人もいるからね」
「そうだな。後は……既に就職先が決まってるであろう、騎士団の人たちがどういう反応をするかだ」
交流戦が終わった後、交流戦ではアッシュのナイスな奇襲によって実力を発揮できなかったリエラの実力を確認出来たが、アラッドの眼から視ても……大抵の騎士団は欲するだろうと思える戦闘力を有していた。
「アラッドは、どう反応すると思う」
「当然、ふざけんなって反応を示すと思ってる…………それに、そもそもリエラ嬢は卒業すれば直ぐに就職だろ……アッシュは一応高等部を卒業するまで学園にいる訳だし、どうするんだろうな」
「「…………」」
アラッドの言う通り、リエラは半年も経てば学園を卒業して予定通りであれば、就職が決定している騎士団に入団する。
だが、アッシュは半年が経てば……中等部の二年生から三年生に上がるだけ。
仮に……本当にリエラがアッシュにぞっこんになってしまった場合、後四年は待つ必要がある。
「……リエラさんはアッシュ君が錬金術に強い興味を持ってるって解ってるから、冒険者として活動しながら、アッシュ君に質の高い素材を送り続ける……えっと……ぱ、パトロン? みたいになって活動するとか?」
「…………立場なんて関係無しに、行動力がある人は、本当に行動力を持ってそうだから……真面目に、それはないって断言は出来ないな」
侯爵家の令息でありながら、子供の頃から騎士ではなく冒険者を目指そうとして……結局半年も学園に通わずトーナメントで優勝して騎士の爵位を得たアラッドが何をおっしゃる。
という言葉を口には出さなかったものの、スティームは思わず顔で思いっ切り語ってしまった。
「全く会わないって言うのは無理だろうから、定期的にアッシュに会いに行きそうだな……」
「もしかして、通い妻ってやつ?」
「「ぶっ!!!!!!」」
通い妻というワードを聞き、二人は思わず昼食を吹き出してしまった。
「ゲホゲホっ……ガルーレ、いきなりそういう……衝撃的な言葉を言わないでくれ」
「ごめん? でも、大体合ってるよね」
「……かもしれないな」
侯爵家の令嬢が、通い妻となる。
普通に考えて……もう、色々とアウトである。
(あいつ、割と多くの令嬢から告白されてたと言ってたな…………無自覚な、魔性の令息、か…………やはり、色んな意味で末恐ろしいな)
恐ろしいと思うと同時に、アッシュ本人やシルフィーに話を聞いている限り、基本的にアッシュ本人から何かアクションを起こしている訳ではない。
鈍感ハーレム主人公の様に、そういう素振りを見せるだけ見せて、鈍感さを利用して好意をスルーするような極悪非道な真似はしてないため、アラッドも一応何かあれば守ってやりたいという思いはあった。
(……そういえば、ラディア嬢はリエラ嬢と仲が良かったな……聞いてみるか)
まずはリエラ嬢が、本当にアッシュに対してその気があるのかと調べようと決めた。
「ん? …………今夜の夕食は、羊肉か」
まだ昼食中のアラッドたちの元に、一体のモンスター猛ダッシュで突進してきた。
「なんだ?」
「アッシュ君って、あれからリエラさんと何かしらの発展とかあったのかな」
昼食中、ガルーレはふとナルターク王国で出会った学生最強の貴族令嬢を思い出した。
「実家にいる間に、特に手紙は送られてきてないから、何も発展してないと思うぞ」
「そっか~~~……お兄ちゃんとしては、どうせなら発展してほしいと思う感じ?」
「…………そうだな。あいつはあいつで、目標を見つけたら突っ走るタイプだからな」
兄貴あるある。
妹の男関係には厳しいが、弟には寧ろそういう相手が出来てほしいと思う。
「とはいえ、仮にそういう関係になれたとしても、基本的に錬金術にしか興味がないアッシュに寄り添い続けられるか……それに、リエラ嬢は立場がある人間だろ」
「リエラさんは、確か侯爵家のご令嬢だったね」
「となると、交流戦に選ばれたことも考えれば、あの時点で就職する騎士団が決まってる筈だ」
「それもそっか……ってなると、是非ともアッシュ君をナルターク王国に連れていきたくなるな~~」
「……別に、バカで高飛車という印象は感じなかった。こっちも同じ侯爵家で、父さんの存在とかも考えれば、無理矢理連れていこうとはしないだろ」
「ん~~~~~……それなら、やっぱりリエラさんが色々蹴って、こっちに来る感じかな!!!」
ガルーレは普段通りの様子でもしもの流れを口にするが、それを聞いたアラッドはとてもとても渋い表情になり、同じ貴族であるスティームもアラッドの心情が理解出来てしまうため、同じくとても渋い表情を浮かべる。
「あっ…………やっぱりそうなると、不味い感じになるのかな」
さすがにそこまで渋い表情をされると、そういうのに疎いガルーレでもあまりよろしくない事だと解る。
「……リエラ嬢の実家、カルバトラ家だったか。まず、そこがどう考えるかにもよるな」
「アルバース王国のパーシバル家と縁を結べるのであればと、了承する可能性もあり得そうだけど……でも、貴族の中にも自分の娘を溺愛する人もいるからね」
「そうだな。後は……既に就職先が決まってるであろう、騎士団の人たちがどういう反応をするかだ」
交流戦が終わった後、交流戦ではアッシュのナイスな奇襲によって実力を発揮できなかったリエラの実力を確認出来たが、アラッドの眼から視ても……大抵の騎士団は欲するだろうと思える戦闘力を有していた。
「アラッドは、どう反応すると思う」
「当然、ふざけんなって反応を示すと思ってる…………それに、そもそもリエラ嬢は卒業すれば直ぐに就職だろ……アッシュは一応高等部を卒業するまで学園にいる訳だし、どうするんだろうな」
「「…………」」
アラッドの言う通り、リエラは半年も経てば学園を卒業して予定通りであれば、就職が決定している騎士団に入団する。
だが、アッシュは半年が経てば……中等部の二年生から三年生に上がるだけ。
仮に……本当にリエラがアッシュにぞっこんになってしまった場合、後四年は待つ必要がある。
「……リエラさんはアッシュ君が錬金術に強い興味を持ってるって解ってるから、冒険者として活動しながら、アッシュ君に質の高い素材を送り続ける……えっと……ぱ、パトロン? みたいになって活動するとか?」
「…………立場なんて関係無しに、行動力がある人は、本当に行動力を持ってそうだから……真面目に、それはないって断言は出来ないな」
侯爵家の令息でありながら、子供の頃から騎士ではなく冒険者を目指そうとして……結局半年も学園に通わずトーナメントで優勝して騎士の爵位を得たアラッドが何をおっしゃる。
という言葉を口には出さなかったものの、スティームは思わず顔で思いっ切り語ってしまった。
「全く会わないって言うのは無理だろうから、定期的にアッシュに会いに行きそうだな……」
「もしかして、通い妻ってやつ?」
「「ぶっ!!!!!!」」
通い妻というワードを聞き、二人は思わず昼食を吹き出してしまった。
「ゲホゲホっ……ガルーレ、いきなりそういう……衝撃的な言葉を言わないでくれ」
「ごめん? でも、大体合ってるよね」
「……かもしれないな」
侯爵家の令嬢が、通い妻となる。
普通に考えて……もう、色々とアウトである。
(あいつ、割と多くの令嬢から告白されてたと言ってたな…………無自覚な、魔性の令息、か…………やはり、色んな意味で末恐ろしいな)
恐ろしいと思うと同時に、アッシュ本人やシルフィーに話を聞いている限り、基本的にアッシュ本人から何かアクションを起こしている訳ではない。
鈍感ハーレム主人公の様に、そういう素振りを見せるだけ見せて、鈍感さを利用して好意をスルーするような極悪非道な真似はしてないため、アラッドも一応何かあれば守ってやりたいという思いはあった。
(……そういえば、ラディア嬢はリエラ嬢と仲が良かったな……聞いてみるか)
まずはリエラ嬢が、本当にアッシュに対してその気があるのかと調べようと決めた。
「ん? …………今夜の夕食は、羊肉か」
まだ昼食中のアラッドたちの元に、一体のモンスター猛ダッシュで突進してきた。
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