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八百五十七話 言い争う内容ではない
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風竜の死体を解体するついでに、四体のワイバーンの死体も解体。
街に戻る時間にはいつもより早いが、アラッドたちはカルトロッサに訪れた目的を達成したこともあり、もう今日は動こうという気になれず、街に帰還。
そして素材買い取りカウンターに並び、カウンターに風竜、討伐成功。っと、なんとか文字を逆さにして記し、周囲にバレることなく受付嬢に伝えることに成功。
「っ!! 奥にご案内します」
事前に上の者から事情を聞かされており、受付嬢は慌てることなく三人を上司の元へ案内した。
「アラッドさん、スティームさん、ガルーレさんをお連れしました」
「入れてくれ」
入室許可の声が聞こえ、ドアを開けて三人に中へ入る様に促す。
受付嬢の仕事はここまでである。
「初めまして。私はセストだ。受付嬢たちには、君たちが風竜を討伐した際に、ここに通してほしいと伝えていた。その君たちがこの部屋に来たということは……良い報告を聞けると思って良いのかな」
「えぇ。まず、例の風竜を討伐することに成功しました」
「そうか……そうか…………ありがとう」
反対側のソファーに座っている三人に対し、セストは深く感謝の意を込めてありがとうと伝えた。
風竜となれば、Bランクのドラゴンでるのは確実。
カルトロッサを拠点に活動している冒険者たちの中にも、風竜を討伐出来るパーティーは存在する。
しかし……カルトロッサの冒険者ギルドとしては、なるべくカルトロッサを拠点に活動してる実力の高い冒険者たちは失いたくない。
ある種、差別と取れる考えだが、できればアラッドたちに討伐してほしい……そう考えてしまうのは、特におかしいことではなかった。
そんな考えを理解出来るアラッドは、ギルドのお偉いさんからの感謝の気持ちを素直に受け取った。
「報告したのは俺たちですからね」
そう言いながら、アラッドは亜空間から五つの魔石を取り出した。
「っ、それが風竜……と、例のワイバーンの魔石、か?」
「その通りです。最初に例のワイバーンと遭遇し、その後に偶々運良く風竜と遭遇することが出来ました」
「そうか………………なるほど。確かに、過去に見たことがあるワイバーンの魔石よりも一回りか二回り大きいな」
セストは元冒険者ではないが、過去に実戦経験がある人物であるため、目の前の魔石が通常のワイバーンの魔石とは異なることを見抜いた。
「そのワイバーンですが、身体能力に関しては、Bランクモンスターに引けを取らないものでした」
「ッ!! やはり、冒険者を殺して成長していたという事か。もしかせずとも、それは一体だけではなく……四体、全てのワイバーンがBランククラスの身体能力を有していたのか」
セストの言葉通りだと、スティームとガルーレも頷いた。
「ふぅーーーーーー……報告では、ワイバーンは奇襲と回避を主に戦うと聞いている。実際のところ、どうだった」
「末端とはいえドラゴン。ドラゴンとしてのプライドは忘れていない。そう感じました」
「本来の戦いは忘れてないという訳か。これ以上驚きたくないのだが、やはり風竜の助言によって、ワイバーンたちは効率的な狩猟を行えるようになったのか」
噓をつく必要はない。
情報は、性格に伝えなければならない。
三人は同時に頷き、予想通りであったことを伝えた。
「…………………………」
無情の肯定。
頭痛を感じるも、今すぐ早退して家に帰ることは出来ない。
「幸いにも、まだゴリディア帝国の者達とは接触していなかったようです」
「それは不幸中の幸い、というべきか……いや、君たちが無事例のワイバーン四体、そして元凶の風竜を討伐してくれたのだ。不幸中というのはよろしくないな」
例のワイバーンたちによる被害自体は起きており、ここ最近でDランクとCランクの冒険者が合計十人以上は亡くなっていた。
この中にBランクの冒険者がいなかったことを良しと判断すべきか否か……そこは今言い争う内容ではない。
「因みにですが、元凶の風竜は俺のAランクの従魔、クロと戦り合えていました」
「……つまり、Bランクの中でも上位、もしくは最上位の力を得ていたということか。だが、風竜に関しては…………そうか。別の地域で活動していれば……頭の回る個体だ。それぐらいは考え付くか」
セストは冒険者出身ではないものの、常識を大切にしてはいるが、常識に囚われない思考力を持っている。
同族に効率的な狩猟方法を教える風竜が討伐された。
では、これ以上そういったクソ厄介なモンスターが現れることはない……なんて楽観視してないからこそ、焦りや不安といった感情が消えず、ついでに頭痛も消えなかった。
「仮に、それらの個体がゴリディア帝国に協力するといった流れになっていれば、多くの使者が出たことだろうな」
「同感です。同族とはいえ、亜竜にあのような戦い方を仕込んだドラゴンです。最悪、ドラゴンといった種族関係無しに、見込みのある個体に同じ事を教えていたかもしれません」
「ッ、なる……ほどな。ふぅーーーー……………………ありがとう。これは、ギルドが討伐者の為に用意していた臨時報酬だ。遠慮せず受け取っておいてほしい」
本当に最悪の可能性を知らされた。
だが、ここでなんでそんな事を教えるんだと逆ギレに近い騒ぎ方をする程、セストは無能ではなかった。
街に戻る時間にはいつもより早いが、アラッドたちはカルトロッサに訪れた目的を達成したこともあり、もう今日は動こうという気になれず、街に帰還。
そして素材買い取りカウンターに並び、カウンターに風竜、討伐成功。っと、なんとか文字を逆さにして記し、周囲にバレることなく受付嬢に伝えることに成功。
「っ!! 奥にご案内します」
事前に上の者から事情を聞かされており、受付嬢は慌てることなく三人を上司の元へ案内した。
「アラッドさん、スティームさん、ガルーレさんをお連れしました」
「入れてくれ」
入室許可の声が聞こえ、ドアを開けて三人に中へ入る様に促す。
受付嬢の仕事はここまでである。
「初めまして。私はセストだ。受付嬢たちには、君たちが風竜を討伐した際に、ここに通してほしいと伝えていた。その君たちがこの部屋に来たということは……良い報告を聞けると思って良いのかな」
「えぇ。まず、例の風竜を討伐することに成功しました」
「そうか……そうか…………ありがとう」
反対側のソファーに座っている三人に対し、セストは深く感謝の意を込めてありがとうと伝えた。
風竜となれば、Bランクのドラゴンでるのは確実。
カルトロッサを拠点に活動している冒険者たちの中にも、風竜を討伐出来るパーティーは存在する。
しかし……カルトロッサの冒険者ギルドとしては、なるべくカルトロッサを拠点に活動してる実力の高い冒険者たちは失いたくない。
ある種、差別と取れる考えだが、できればアラッドたちに討伐してほしい……そう考えてしまうのは、特におかしいことではなかった。
そんな考えを理解出来るアラッドは、ギルドのお偉いさんからの感謝の気持ちを素直に受け取った。
「報告したのは俺たちですからね」
そう言いながら、アラッドは亜空間から五つの魔石を取り出した。
「っ、それが風竜……と、例のワイバーンの魔石、か?」
「その通りです。最初に例のワイバーンと遭遇し、その後に偶々運良く風竜と遭遇することが出来ました」
「そうか………………なるほど。確かに、過去に見たことがあるワイバーンの魔石よりも一回りか二回り大きいな」
セストは元冒険者ではないが、過去に実戦経験がある人物であるため、目の前の魔石が通常のワイバーンの魔石とは異なることを見抜いた。
「そのワイバーンですが、身体能力に関しては、Bランクモンスターに引けを取らないものでした」
「ッ!! やはり、冒険者を殺して成長していたという事か。もしかせずとも、それは一体だけではなく……四体、全てのワイバーンがBランククラスの身体能力を有していたのか」
セストの言葉通りだと、スティームとガルーレも頷いた。
「ふぅーーーーーー……報告では、ワイバーンは奇襲と回避を主に戦うと聞いている。実際のところ、どうだった」
「末端とはいえドラゴン。ドラゴンとしてのプライドは忘れていない。そう感じました」
「本来の戦いは忘れてないという訳か。これ以上驚きたくないのだが、やはり風竜の助言によって、ワイバーンたちは効率的な狩猟を行えるようになったのか」
噓をつく必要はない。
情報は、性格に伝えなければならない。
三人は同時に頷き、予想通りであったことを伝えた。
「…………………………」
無情の肯定。
頭痛を感じるも、今すぐ早退して家に帰ることは出来ない。
「幸いにも、まだゴリディア帝国の者達とは接触していなかったようです」
「それは不幸中の幸い、というべきか……いや、君たちが無事例のワイバーン四体、そして元凶の風竜を討伐してくれたのだ。不幸中というのはよろしくないな」
例のワイバーンたちによる被害自体は起きており、ここ最近でDランクとCランクの冒険者が合計十人以上は亡くなっていた。
この中にBランクの冒険者がいなかったことを良しと判断すべきか否か……そこは今言い争う内容ではない。
「因みにですが、元凶の風竜は俺のAランクの従魔、クロと戦り合えていました」
「……つまり、Bランクの中でも上位、もしくは最上位の力を得ていたということか。だが、風竜に関しては…………そうか。別の地域で活動していれば……頭の回る個体だ。それぐらいは考え付くか」
セストは冒険者出身ではないものの、常識を大切にしてはいるが、常識に囚われない思考力を持っている。
同族に効率的な狩猟方法を教える風竜が討伐された。
では、これ以上そういったクソ厄介なモンスターが現れることはない……なんて楽観視してないからこそ、焦りや不安といった感情が消えず、ついでに頭痛も消えなかった。
「仮に、それらの個体がゴリディア帝国に協力するといった流れになっていれば、多くの使者が出たことだろうな」
「同感です。同族とはいえ、亜竜にあのような戦い方を仕込んだドラゴンです。最悪、ドラゴンといった種族関係無しに、見込みのある個体に同じ事を教えていたかもしれません」
「ッ、なる……ほどな。ふぅーーーー……………………ありがとう。これは、ギルドが討伐者の為に用意していた臨時報酬だ。遠慮せず受け取っておいてほしい」
本当に最悪の可能性を知らされた。
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