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八百五十三話 風の違い?
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「っ、確かにビンゴだったみたいだな。それにしてもヴァジュラ、なんで解ったんだ」
「ウキャァ……ウキャ、ウキャキャ、ウキャ~~~~~」
ジャスチャーを混ぜてアラッドに自分が感じた何かを伝える。
「えっと………………それらしい、風? を感じたってことか?」
「ウキャ!!」
伝えたい事が伝わり、嬉しそうな笑みを浮かべるヴァジュラ。
「風、風、風かぁ~~~……アラッドはあの時点で、何か感じた?」
「いや、全く。でも、もしかしたら戦い? を感じさせる風っていうのがあるのかもしれないな」
視線や殺気に種類があるように、風にも様々な種類があるのかもしれない。
視線などに関してはガルーレもある程度違いが解るため、戦いを感じさせる風というのが解らなくはなかった。
「でも、戦ってるってことは、既に他の冒険者か……それともスティームが戦ってるってことだね」
「そうだな。スティームとファルが戦ってるなら、負けることはないだろう。同業者たちが戦ってたとしても、素早いモンスターのタイプに慣れてる人たちなら……無理ではない筈だ」
カルトロッサにはロッサの密林で探索することを目的に訪れる冒険者も多く、Cランクの中でも上位のパーティーや、Bランクの冒険者たちが訪れてくることは珍しくない。
その為、例のワイバーンを倒せる戦力がアラッドたちしかいないという訳ではなかった。
「ん~~~……でもヴァジュラと戦ってるのをちゃんと観てたけど、結構マジで強いよね? 仮に倒せたとしても、結局被害が出そうだよね~~」
「…………それも、承知の上で冒険者として活動してる筈だ。っと……どうやら、被害は出なさそうだな」
視界の先には、二体のワイバーンと戦うスティームとファルがいた。
「二体、かぁ……良いな~~~。私の方にも一体じゃなくて二体で襲ってきてくれてたら、私も戦えたのに」
「そうだな。それにしても……スティームにしては、珍しく遊んでるな」
「スティームが? ん~~~…………確かに、観る限り……多分、赤雷を使ってないよね」
「だろ」
スティームがどういった心境で戦っているのか、二人には解らない。
だが、実際に例のワイバーンと刃を交えたアラッド、ヴァジュラとの戦闘光景を観たガルーレは、スティームなら赤雷使えば速攻で終わらせられると断言出来る。
(ついでに、ファルの方も……真剣に遊んでるっぽいな)
視線を別方向に移すと、そこには激しい空中戦を繰り広げている例のワイバーンとストームファルコンのファル。
Bランククラスの実力を持つワイバーンが相手ということもあり、Bランクモンスターのストームファルコンであるファルとしては……久しぶりに思いっきり空中戦で戦える相手。
(ねぇねぇ、ファルは随分と楽しそうに戦ってるね)
(そうっすね。いやぁ~~、割と結構空飛ぶトカゲとの戦いは楽しかったっすよ。なんか、姐さんたちの話を聞いてた感じよりも、結構ガツガツ挑んでくるんで)
(みたいだね~~……ご主人に頼んで、風竜と戦ってみようかな~~~)
(ありじゃないっすかね。そっちが遭遇したワイバーンアラッドの兄さんが戦ったみたいじゃないっすか。それに、クロの兄貴なら、あのワイバーンじゃあちょっとなぁ……って感じだと思うんで、風竜ぐらいが丁度良いと思うっすよ)
なんて会話を二人でワゥワゥ、ウキャウキャと話していたクロとヴァジュラ。
「…………そろそろ終わりそうだな」
アラッドは二体の傷口から零れている出血量、既に地面に零れている血だまりから、決着がもう直ぐであることを把握。
「なんで?」
「二人とも、相手の大量出血によるダウンで勝とうとは思わないタイプだろ」
「な~るほどね。確かにそんな勝ち方してもつまらないよね」
同じ考えを持っているのスティームとファルだけではなく、パーティーメンバー全員同じ思考を持っていた。
「疾ッ!!!!」
「キィィィアアッ!!!」
そしてアラッドの予想通り、大量出血でワイバーンがダウンする前にスティームが雷刃で、ファルが風翼で首を斬り裂き、決着。
「お疲れ、スティーム、ファル」
「二人ともお疲れ~~~~」
「ワゥ!」
「ウキャキャ!!」
「あっ、やっぱりアラッドたちだったんだ」
スティームはワイバーンとの戦闘中に、自分たちに視線が向けられていることに気付いていた。
「……ガルーレ。これだぞこれ」
「うっ! わ、分かってるよ!!」
「? 何かあったの?」
「いや、何もなくて良かったなって話だ。それよりスティーム、あのワイバーンを相手に珍しく遊んでたじゃないか」
「い、いや。別に遊んでなんかないよ」
慌てて直ぐに否定するが、途中から出はあるものの、しっかりと例のワイバーンとスティームの戦いっぷりを観ていた二人にはバレバレであった。
「お前なら、赤雷を使えば直ぐに終わらせられただろ」
「だよね~。全身に赤雷を纏っちゃえば、直ぐにスパッと首を斬れてたでしょ」
「そ、それは……ほら、この後風竜と戦うかもしれないし、魔力は出来る限り温存しておいた方が良いでしょ」
「ふ~~~ん。まっ、そういう事にしておくよ」
確かにいざという時の事を考え、魔力を温存して戦うという考え自体は正しいが、例のワイバーンとの戦闘時にスティームが薄っすらと笑みを浮かべていたのを、二人は見逃していなかった。
「ウキャァ……ウキャ、ウキャキャ、ウキャ~~~~~」
ジャスチャーを混ぜてアラッドに自分が感じた何かを伝える。
「えっと………………それらしい、風? を感じたってことか?」
「ウキャ!!」
伝えたい事が伝わり、嬉しそうな笑みを浮かべるヴァジュラ。
「風、風、風かぁ~~~……アラッドはあの時点で、何か感じた?」
「いや、全く。でも、もしかしたら戦い? を感じさせる風っていうのがあるのかもしれないな」
視線や殺気に種類があるように、風にも様々な種類があるのかもしれない。
視線などに関してはガルーレもある程度違いが解るため、戦いを感じさせる風というのが解らなくはなかった。
「でも、戦ってるってことは、既に他の冒険者か……それともスティームが戦ってるってことだね」
「そうだな。スティームとファルが戦ってるなら、負けることはないだろう。同業者たちが戦ってたとしても、素早いモンスターのタイプに慣れてる人たちなら……無理ではない筈だ」
カルトロッサにはロッサの密林で探索することを目的に訪れる冒険者も多く、Cランクの中でも上位のパーティーや、Bランクの冒険者たちが訪れてくることは珍しくない。
その為、例のワイバーンを倒せる戦力がアラッドたちしかいないという訳ではなかった。
「ん~~~……でもヴァジュラと戦ってるのをちゃんと観てたけど、結構マジで強いよね? 仮に倒せたとしても、結局被害が出そうだよね~~」
「…………それも、承知の上で冒険者として活動してる筈だ。っと……どうやら、被害は出なさそうだな」
視界の先には、二体のワイバーンと戦うスティームとファルがいた。
「二体、かぁ……良いな~~~。私の方にも一体じゃなくて二体で襲ってきてくれてたら、私も戦えたのに」
「そうだな。それにしても……スティームにしては、珍しく遊んでるな」
「スティームが? ん~~~…………確かに、観る限り……多分、赤雷を使ってないよね」
「だろ」
スティームがどういった心境で戦っているのか、二人には解らない。
だが、実際に例のワイバーンと刃を交えたアラッド、ヴァジュラとの戦闘光景を観たガルーレは、スティームなら赤雷使えば速攻で終わらせられると断言出来る。
(ついでに、ファルの方も……真剣に遊んでるっぽいな)
視線を別方向に移すと、そこには激しい空中戦を繰り広げている例のワイバーンとストームファルコンのファル。
Bランククラスの実力を持つワイバーンが相手ということもあり、Bランクモンスターのストームファルコンであるファルとしては……久しぶりに思いっきり空中戦で戦える相手。
(ねぇねぇ、ファルは随分と楽しそうに戦ってるね)
(そうっすね。いやぁ~~、割と結構空飛ぶトカゲとの戦いは楽しかったっすよ。なんか、姐さんたちの話を聞いてた感じよりも、結構ガツガツ挑んでくるんで)
(みたいだね~~……ご主人に頼んで、風竜と戦ってみようかな~~~)
(ありじゃないっすかね。そっちが遭遇したワイバーンアラッドの兄さんが戦ったみたいじゃないっすか。それに、クロの兄貴なら、あのワイバーンじゃあちょっとなぁ……って感じだと思うんで、風竜ぐらいが丁度良いと思うっすよ)
なんて会話を二人でワゥワゥ、ウキャウキャと話していたクロとヴァジュラ。
「…………そろそろ終わりそうだな」
アラッドは二体の傷口から零れている出血量、既に地面に零れている血だまりから、決着がもう直ぐであることを把握。
「なんで?」
「二人とも、相手の大量出血によるダウンで勝とうとは思わないタイプだろ」
「な~るほどね。確かにそんな勝ち方してもつまらないよね」
同じ考えを持っているのスティームとファルだけではなく、パーティーメンバー全員同じ思考を持っていた。
「疾ッ!!!!」
「キィィィアアッ!!!」
そしてアラッドの予想通り、大量出血でワイバーンがダウンする前にスティームが雷刃で、ファルが風翼で首を斬り裂き、決着。
「お疲れ、スティーム、ファル」
「二人ともお疲れ~~~~」
「ワゥ!」
「ウキャキャ!!」
「あっ、やっぱりアラッドたちだったんだ」
スティームはワイバーンとの戦闘中に、自分たちに視線が向けられていることに気付いていた。
「……ガルーレ。これだぞこれ」
「うっ! わ、分かってるよ!!」
「? 何かあったの?」
「いや、何もなくて良かったなって話だ。それよりスティーム、あのワイバーンを相手に珍しく遊んでたじゃないか」
「い、いや。別に遊んでなんかないよ」
慌てて直ぐに否定するが、途中から出はあるものの、しっかりと例のワイバーンとスティームの戦いっぷりを観ていた二人にはバレバレであった。
「お前なら、赤雷を使えば直ぐに終わらせられただろ」
「だよね~。全身に赤雷を纏っちゃえば、直ぐにスパッと首を斬れてたでしょ」
「そ、それは……ほら、この後風竜と戦うかもしれないし、魔力は出来る限り温存しておいた方が良いでしょ」
「ふ~~~ん。まっ、そういう事にしておくよ」
確かにいざという時の事を考え、魔力を温存して戦うという考え自体は正しいが、例のワイバーンとの戦闘時にスティームが薄っすらと笑みを浮かべていたのを、二人は見逃していなかった。
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