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八百五十二話 素材は何?
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「……」
「ワフゥ?」
「大丈夫だよ、クロ」
アラッドはワイバーンの死体をそのまま回収し、再びクロの背に乗ってまだ他にいるであろうワイバーンの探索を再開。
(ん? ……結構、大きい戦闘音だったよな、今の)
走行中、気になる戦闘音がアラッドとクロの耳に入った。
その方向に嗅覚を集中させたクロも、何か感じる者があり、アラッドにそちらに行くことを進める。
「…………やっぱりだったか」
気になる方向に向かってみると、そこにはアラッドが先程戦ったワイバーンと同じく、通常個体よりも高い身体能力と魔力量を持つ個体とヴァジュラが戦っていた。
「ギィイイアアアアアッ!!!!!」
「ウッ、キャオッ!!!!!!」
「そこだーーー!!! いけーー、ヴァジュラーーー!!!!」
(……楽しそうでなによりだな)
ガルーレがヴァジュラに戦闘を譲っている事に珍しいと感じながらも、後方で応援しているガルーレに不満な様子は感じられなかった。
(それにしても……敵が宙に飛んでいても、随分上手く戦えてるな…………もしかしてだが、過去に戦り合った経験があるのか?)
アラッドの感覚が正しければ、ヒット&アウェイを繰り返して冒険者たちを襲撃していたワイバーンたちは、決して楽な相手を狙っていた訳ではない。
(モンスターまで狙っていたのであれば、Dランクだけではなく、同じCランクのモンスター……隙があると感じれば、Bランクのモンスターも狙う……か?)
ヴァジュラは非常に慣れた様子で棒を振るい、毛を針に変えて飛ばしたりして、戦っていた。
一方……アラッドから見て、対戦相手のワイバーンも……そういった攻撃に対して上手く対処している様に見えなくもなかった。
「ッ!! ーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!」
「ウキャキャキャキャキャッ!!!!!」
(……流石槍……棒使いだな)
アラッドが風の斬撃刃で対処したワイバーンのブレスに対し、ヴァジュラは特にスキルなどは使わず、体の前で棒を高速回転させて防いだ。
だが、そうなると解っていたのか、ワイバーンはブレスでゴリ押ししようとはせず、直ぐにブレスを煙幕代わりにして急接近。
「ヴァジュラ!!」
「ッ、ウギャ!!!!!!」
急に側面から現れたワイバーンに、ガルーレの声があってギリギリ反応。
強烈な咬みつきを、なんとか棒を口の間に挟みこませることでガブリと食い千切られずに済んだ。
(あの棒…………何が素材となって造られたのか気になるな。ワイバーンの咬みつきを防いでも、咬み後……すら残ってない?)
ワイバーンの基本的な武器は咬みつき、爪撃、尾撃、ブレスの四つ。
当然ながら、ある程度生きてきたワイバーン咬みつきのスキルを会得している。
口に得物を挟んで防御するというのは、対応手段の中でも最後の防御方法である。
「ウキャオッ!!!!!」
予想外の反撃を食らって……寧ろテンションが上がり、その後も戦いは白熱。
そして数分後、ヴァジュラが振るった棒を回避できず、脳天に直撃。
そのまま脳が物理的にダメージを受け、決着が着いた。
「ウキャッキャッキャ」
白熱した戦いを終えたヴァジュラは、アラッドと同じ様に……言葉が届いているか否かなど気にせず、お前との戦いは楽しかったぞと伝えた。
「お疲れい! ヴァジュラ!!」
「ウキャキャ!!」
「良い戦いだったな」
「ぉわっ!? アラッド、クロ……いつから観てたの?」
「ちょっと前からな。確かにヴァジュラとワイバーンの戦いは見応えのある戦いだったが、さすがに周囲の気配察知を怠り過ぎだぞ、ガルーレ」
邪魔にならない様に、離れた場所から観戦していたアラッドとクロだったが、本気で姿を消してはいなかった。
普段のガルーレであれば、二人の存在に気付いていた筈だが、気付かないほど目の前で行われていた相棒と亜竜の戦いを観戦するのに夢中になっていた。
「うっ、それは確かに悪いね。ごめんね、ヴァジュラ」
「ウキャ?」
あまり理解していないヴァジュラに対し、普段はちょっと抜けているところがあるガルーレは、自分のやらかしをしっかり理解していた。
同世代の冒険者たちよりも頭二つ三つ抜けた実力を持つガルーレだが、ロッサの密林に生息するモンスターの中には、ハヌマーンことヴァジュラの様に互角以上の強さを持つ個体も生息している。
ガルーレが魔力を纏い、強化スキルを発動……ペイル・サーベルスまで発動している状態であればともかく、何も強化を行っていない状態であれば、パワータイプのCランクモンスターの攻撃を食らえばかなり良いダメージを貰ってしまう。
「まぁ、ガルーレなら実際に狙われ、襲撃されたら上手く反応出来るとは思うけど、あまり油断し過ぎないようにな」
アラッドも本気で説教したい訳ではなく、ガルーレが周囲への警戒に対する重要性を解ってないとも思っていない。
ただ、ロッサの密林はその油断が手痛いダメージに繋がるケースが決して少なくなかった。
「うん、ちゃんと気を付けるよ。そういえば、アラッドはワイバーンと遭遇できたの?」
「あぁ、なんとか遭遇出来てな……? ヴァジュラ、どうしたんだ」
明後日の方向に顔を向けるヴァジュラ。
そして数秒後、何かを確信したのか、アラッドたちに向こうへ行ってみないかと提案した。
「ワフゥ?」
「大丈夫だよ、クロ」
アラッドはワイバーンの死体をそのまま回収し、再びクロの背に乗ってまだ他にいるであろうワイバーンの探索を再開。
(ん? ……結構、大きい戦闘音だったよな、今の)
走行中、気になる戦闘音がアラッドとクロの耳に入った。
その方向に嗅覚を集中させたクロも、何か感じる者があり、アラッドにそちらに行くことを進める。
「…………やっぱりだったか」
気になる方向に向かってみると、そこにはアラッドが先程戦ったワイバーンと同じく、通常個体よりも高い身体能力と魔力量を持つ個体とヴァジュラが戦っていた。
「ギィイイアアアアアッ!!!!!」
「ウッ、キャオッ!!!!!!」
「そこだーーー!!! いけーー、ヴァジュラーーー!!!!」
(……楽しそうでなによりだな)
ガルーレがヴァジュラに戦闘を譲っている事に珍しいと感じながらも、後方で応援しているガルーレに不満な様子は感じられなかった。
(それにしても……敵が宙に飛んでいても、随分上手く戦えてるな…………もしかしてだが、過去に戦り合った経験があるのか?)
アラッドの感覚が正しければ、ヒット&アウェイを繰り返して冒険者たちを襲撃していたワイバーンたちは、決して楽な相手を狙っていた訳ではない。
(モンスターまで狙っていたのであれば、Dランクだけではなく、同じCランクのモンスター……隙があると感じれば、Bランクのモンスターも狙う……か?)
ヴァジュラは非常に慣れた様子で棒を振るい、毛を針に変えて飛ばしたりして、戦っていた。
一方……アラッドから見て、対戦相手のワイバーンも……そういった攻撃に対して上手く対処している様に見えなくもなかった。
「ッ!! ーーーーーーーーーーーーーーーッ!!!!!!」
「ウキャキャキャキャキャッ!!!!!」
(……流石槍……棒使いだな)
アラッドが風の斬撃刃で対処したワイバーンのブレスに対し、ヴァジュラは特にスキルなどは使わず、体の前で棒を高速回転させて防いだ。
だが、そうなると解っていたのか、ワイバーンはブレスでゴリ押ししようとはせず、直ぐにブレスを煙幕代わりにして急接近。
「ヴァジュラ!!」
「ッ、ウギャ!!!!!!」
急に側面から現れたワイバーンに、ガルーレの声があってギリギリ反応。
強烈な咬みつきを、なんとか棒を口の間に挟みこませることでガブリと食い千切られずに済んだ。
(あの棒…………何が素材となって造られたのか気になるな。ワイバーンの咬みつきを防いでも、咬み後……すら残ってない?)
ワイバーンの基本的な武器は咬みつき、爪撃、尾撃、ブレスの四つ。
当然ながら、ある程度生きてきたワイバーン咬みつきのスキルを会得している。
口に得物を挟んで防御するというのは、対応手段の中でも最後の防御方法である。
「ウキャオッ!!!!!」
予想外の反撃を食らって……寧ろテンションが上がり、その後も戦いは白熱。
そして数分後、ヴァジュラが振るった棒を回避できず、脳天に直撃。
そのまま脳が物理的にダメージを受け、決着が着いた。
「ウキャッキャッキャ」
白熱した戦いを終えたヴァジュラは、アラッドと同じ様に……言葉が届いているか否かなど気にせず、お前との戦いは楽しかったぞと伝えた。
「お疲れい! ヴァジュラ!!」
「ウキャキャ!!」
「良い戦いだったな」
「ぉわっ!? アラッド、クロ……いつから観てたの?」
「ちょっと前からな。確かにヴァジュラとワイバーンの戦いは見応えのある戦いだったが、さすがに周囲の気配察知を怠り過ぎだぞ、ガルーレ」
邪魔にならない様に、離れた場所から観戦していたアラッドとクロだったが、本気で姿を消してはいなかった。
普段のガルーレであれば、二人の存在に気付いていた筈だが、気付かないほど目の前で行われていた相棒と亜竜の戦いを観戦するのに夢中になっていた。
「うっ、それは確かに悪いね。ごめんね、ヴァジュラ」
「ウキャ?」
あまり理解していないヴァジュラに対し、普段はちょっと抜けているところがあるガルーレは、自分のやらかしをしっかり理解していた。
同世代の冒険者たちよりも頭二つ三つ抜けた実力を持つガルーレだが、ロッサの密林に生息するモンスターの中には、ハヌマーンことヴァジュラの様に互角以上の強さを持つ個体も生息している。
ガルーレが魔力を纏い、強化スキルを発動……ペイル・サーベルスまで発動している状態であればともかく、何も強化を行っていない状態であれば、パワータイプのCランクモンスターの攻撃を食らえばかなり良いダメージを貰ってしまう。
「まぁ、ガルーレなら実際に狙われ、襲撃されたら上手く反応出来るとは思うけど、あまり油断し過ぎないようにな」
アラッドも本気で説教したい訳ではなく、ガルーレが周囲への警戒に対する重要性を解ってないとも思っていない。
ただ、ロッサの密林はその油断が手痛いダメージに繋がるケースが決して少なくなかった。
「うん、ちゃんと気を付けるよ。そういえば、アラッドはワイバーンと遭遇できたの?」
「あぁ、なんとか遭遇出来てな……? ヴァジュラ、どうしたんだ」
明後日の方向に顔を向けるヴァジュラ。
そして数秒後、何かを確信したのか、アラッドたちに向こうへ行ってみないかと提案した。
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