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八百四十六話 上の人に
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「ワイバーンにとって風竜は一応上位種? にあたるから、教えられたら渋々かもしれないけど、実行してもおかしくないか~~……って、どうしたのよ、スティーム。そんな深刻そうな顔してさ」
「…………アラッド。最悪を想定するなら、その群れは、もっと大きくなるよね」
モンスターについてそこまで詳しい知識は持っていないスティーム。
だが、人間という一つの種族と言えど、見た目や特徴が違う人族、エルフ、ドワーフたちなどが同じ言葉で話せている様に、大抵のモンスターは種族が違うと言えど、ある程度意思疎通が出来る。
理由は解らないが……意思疎通が取れてしまうのだ。
「……そうだな。これは俺の憶測でしかないが、もしかしたら既にスティームが考えた最悪の想定まで進んでるかもしれない」
「……ねぇねぇ。バカな私にも解るように説明してよ~~」
「すまん。まず、俺の憶測では、風竜がワイバーンたちに効率的な人間の狩り方を教えてる。そして、スティームはそれが本当なら、最終的に風竜は同じ竜種ではないモンスターにもその方法を教え始めるんじゃないかと考えたんだ」
「あれだね、益々アラッドみたいな事をするね」
「あくまで想像の話だがな」
そう……アラッドの言う通り、これはあくまで創造の話。
まだワイバーンたちがヒット&アウェイ戦法で上手く冒険者たちを殺しているのは、偶々その方法の方が良いと思っただけかもしれない。
ただ、風竜がある程度知恵を持っていると知っている二人からすれば、普通はあり得ないと思える内容も、決して想像が膨らみ過ぎただけと笑い飛ばすことは出来なかった。
「ふ~~~ん…………でも、確かにモンスターが人間みたいに頭を使って戦うようになったら、結構ヤバそうというか……うん、ヤバいね」
ようやくガルーレはスティームが辿り着いた最悪の想定を理解出来た。
アラッド並に……もしくはアラッド以上に熱い戦いが好きなガルーレにとって、技術力がある、上手い戦いが出来るモンスターとの戦闘は、それはそれであり。
しかし、大勢の冒険者たちにとっては、声を大にしてふざけるなと怒鳴り散らしたい。
「もしそうなったら、私たちはともかく、同業者たちは……ヤバいよねぇ~~~」
非常に同業者たちに向けて喧嘩を売る言葉ではあるが、大半の冒険者たちは発言者がBランクモンスターソロで討伐出来るガルーレということもあり、不満を感じたとしても反論出来ない。
「……ねぇ、アラッド。風竜の件、一応ギルドにも報告しておいた方が良いんじゃないかな」
「……………………そうだな。まだ関係性は不明だが、ワイバーンによる被害は出てる。俺たち自身が手掛かりを掴めてない以上、情報共有をしないという選択肢はなしだな」
三人の内、二人は強者との戦闘ウェルカムタイプの冒険者ではあるが、決して人間性が大幅に欠落して、他人に迷惑を掛けても全然構わないというスタンスで活動してはいない。
この後、夕食を食べ終えたアラッドは洋紙に自分たちが持ってる情報、加えて現状から推察できる内容を記し、翌日ギルドの受付嬢に「上の人間に渡してほしい」と伝えて渡した。
(当たり前だけど、上の人間に渡してほしいってことは、私へのラブレターとかじゃないよね~)
冒険者ギルドでアラッドから、あまり一目が向いてないところで手紙を渡された受付嬢。
冒険者が受付嬢に手紙を渡すことなど、基本的にラブレターを渡す時しかない。
受付嬢たちから見て、アラッドという人間は非常に……文字通り喉から手が出るほど欲しい優良物件。
アラッドと夫婦関係を結べるのであれば、第二夫人や第三夫人といった側室でも構わないと思っている者も多い。
当然……アラッドがそういった特に中身のない女性たちに興味を持つことはない。
加えて、今回の手紙は上の人間に渡してほしいと伝えられた物。
そこら辺のDランク冒険者やCランク冒険者であればまだしも、あのアラッドがわざわざ手紙と封筒を用意して渡してきた。
よっぽどの馬鹿、阿呆でなければそれがどれだけ重要な物か理解出来る。
「どうぞ」
「失礼しま~す」
ノック後、入室が許可され、受付嬢は上司がいる部屋に入り、直ぐに要件を伝えた。
「これ、あのアラッドさんから渡された手紙です」
「ふむ? あなたに個人的に渡された手紙ではなく?」
「だったら良かったんですけどね~~。でも、きっちりその手紙を上の人に渡してほしいと言われました」
「そう……ありがとう。ご苦労様」
上司の女性は銀貨を一枚弾いて渡し、受付嬢は失礼しますと礼儀良く退室。
(上の人に渡してほしいと、わざわざ口にして渡した手紙……)
封を開ける彼女の心音は、彼女の意識とは無関係に早まっていた。
「…………………………………………………………ふぅーーーーーーーーー」
じっくりと見逃しが内容に、アラッドから渡された手紙を読み終えた受付嬢たちの上司。
(…………読まなければ良かった、なんて考えるのは冒険者ギルドの組織の人間として、ダメですね)
寧ろ、アラッドが手紙に書かれている様な内容を共有してくれたことに感謝しなければならない。
それは解っているものの、厄介な爆弾が生まれたことに対し、彼女は耐え切れず大きなため息を吐いてしまった。
「…………アラッド。最悪を想定するなら、その群れは、もっと大きくなるよね」
モンスターについてそこまで詳しい知識は持っていないスティーム。
だが、人間という一つの種族と言えど、見た目や特徴が違う人族、エルフ、ドワーフたちなどが同じ言葉で話せている様に、大抵のモンスターは種族が違うと言えど、ある程度意思疎通が出来る。
理由は解らないが……意思疎通が取れてしまうのだ。
「……そうだな。これは俺の憶測でしかないが、もしかしたら既にスティームが考えた最悪の想定まで進んでるかもしれない」
「……ねぇねぇ。バカな私にも解るように説明してよ~~」
「すまん。まず、俺の憶測では、風竜がワイバーンたちに効率的な人間の狩り方を教えてる。そして、スティームはそれが本当なら、最終的に風竜は同じ竜種ではないモンスターにもその方法を教え始めるんじゃないかと考えたんだ」
「あれだね、益々アラッドみたいな事をするね」
「あくまで想像の話だがな」
そう……アラッドの言う通り、これはあくまで創造の話。
まだワイバーンたちがヒット&アウェイ戦法で上手く冒険者たちを殺しているのは、偶々その方法の方が良いと思っただけかもしれない。
ただ、風竜がある程度知恵を持っていると知っている二人からすれば、普通はあり得ないと思える内容も、決して想像が膨らみ過ぎただけと笑い飛ばすことは出来なかった。
「ふ~~~ん…………でも、確かにモンスターが人間みたいに頭を使って戦うようになったら、結構ヤバそうというか……うん、ヤバいね」
ようやくガルーレはスティームが辿り着いた最悪の想定を理解出来た。
アラッド並に……もしくはアラッド以上に熱い戦いが好きなガルーレにとって、技術力がある、上手い戦いが出来るモンスターとの戦闘は、それはそれであり。
しかし、大勢の冒険者たちにとっては、声を大にしてふざけるなと怒鳴り散らしたい。
「もしそうなったら、私たちはともかく、同業者たちは……ヤバいよねぇ~~~」
非常に同業者たちに向けて喧嘩を売る言葉ではあるが、大半の冒険者たちは発言者がBランクモンスターソロで討伐出来るガルーレということもあり、不満を感じたとしても反論出来ない。
「……ねぇ、アラッド。風竜の件、一応ギルドにも報告しておいた方が良いんじゃないかな」
「……………………そうだな。まだ関係性は不明だが、ワイバーンによる被害は出てる。俺たち自身が手掛かりを掴めてない以上、情報共有をしないという選択肢はなしだな」
三人の内、二人は強者との戦闘ウェルカムタイプの冒険者ではあるが、決して人間性が大幅に欠落して、他人に迷惑を掛けても全然構わないというスタンスで活動してはいない。
この後、夕食を食べ終えたアラッドは洋紙に自分たちが持ってる情報、加えて現状から推察できる内容を記し、翌日ギルドの受付嬢に「上の人間に渡してほしい」と伝えて渡した。
(当たり前だけど、上の人間に渡してほしいってことは、私へのラブレターとかじゃないよね~)
冒険者ギルドでアラッドから、あまり一目が向いてないところで手紙を渡された受付嬢。
冒険者が受付嬢に手紙を渡すことなど、基本的にラブレターを渡す時しかない。
受付嬢たちから見て、アラッドという人間は非常に……文字通り喉から手が出るほど欲しい優良物件。
アラッドと夫婦関係を結べるのであれば、第二夫人や第三夫人といった側室でも構わないと思っている者も多い。
当然……アラッドがそういった特に中身のない女性たちに興味を持つことはない。
加えて、今回の手紙は上の人間に渡してほしいと伝えられた物。
そこら辺のDランク冒険者やCランク冒険者であればまだしも、あのアラッドがわざわざ手紙と封筒を用意して渡してきた。
よっぽどの馬鹿、阿呆でなければそれがどれだけ重要な物か理解出来る。
「どうぞ」
「失礼しま~す」
ノック後、入室が許可され、受付嬢は上司がいる部屋に入り、直ぐに要件を伝えた。
「これ、あのアラッドさんから渡された手紙です」
「ふむ? あなたに個人的に渡された手紙ではなく?」
「だったら良かったんですけどね~~。でも、きっちりその手紙を上の人に渡してほしいと言われました」
「そう……ありがとう。ご苦労様」
上司の女性は銀貨を一枚弾いて渡し、受付嬢は失礼しますと礼儀良く退室。
(上の人に渡してほしいと、わざわざ口にして渡した手紙……)
封を開ける彼女の心音は、彼女の意識とは無関係に早まっていた。
「…………………………………………………………ふぅーーーーーーーーー」
じっくりと見逃しが内容に、アラッドから渡された手紙を読み終えた受付嬢たちの上司。
(…………読まなければ良かった、なんて考えるのは冒険者ギルドの組織の人間として、ダメですね)
寧ろ、アラッドが手紙に書かれている様な内容を共有してくれたことに感謝しなければならない。
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