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八百三十四話 巻き込まないで
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(まぁ……なるようになるよな)
ハヌマーン、改めてヴァジュラがガルーレの従魔となった。
これでアラッド、スティーム、ガルーレの三人、全員が従魔を得た。
しかも……全ての従魔が、Bランク以上の猛者ばかり。
「ねぇ、アラッド」
「なんだ」
「パーティーメンバーが全員従魔ってパートナーがいるのって、僕たちが初めてなんじゃないかな」
「……かもしれないな」
「しかも、全員がBランク以上のモンスターだよね」
「つまり、今まで以上に目立つことになるかもしれないって言いたいのか」
「そうだね」
アラッドはあまり自分から進んで目立とうとするタイプではないことを知っているスティーム。
故に、そこは大丈夫なのかという疑問があった。
「……もう、今更の話だ。Bランクのモンスターを討伐して、ユニコーンと出会って、Aランクのドラゴンに出会って…………今更そこを気にしても仕方ないだろう」
「なになに!!! アラッドって、あんまり目立ちたくなかったの!?」
「自ら目立とうという気持ちに関しては、ないな」
「あれだけやらかしてるのに!!!!????」
「やらかしてるというのは、語弊があるだろ」
心底驚いた顔を浮かべるガルーレに対し、アラッドは冷静にやらかしてはいないと返した。
「強いモンスターと戦いたい、冒険をしたい。面白い同業者たちと関われたら嬉しい。そんな気持ちは持ってた。その気持ちは今でも持ってる。けど、別に勝算や人気が欲しいわけじゃないんだ」
「ほほ~~~?? 解らないような、解るような…………それじゃあ、今の状況? には不満があるってわけなの?」
「仕方ないとは思ってる。そもそも……冒険者になる前に、学園の方で盛大に目立った」
トーナメントで優勝すれば、騎士の称号を得られ、特例として一年生の時点で卒業出来る。
それを目標に、トーナメントの決勝戦で激闘を繰り広げた。
それまでアラッドの名前は親族が広めていただけで、実際に顔を合わせたことがある者は限りなく少なく……ある種、幻の存在とも言えた。
「それ以降、表舞台で活動するのであれば、目立たずに冒険者としてやりたい事をやるのは……思いっきり矛盾が生じる。でもまぁ……今はお前らと一緒に行動してるから、特に不満はないな」
冒険者として活動しているからこそ、共に行動していて楽しいと思える者たちに出会えた。
その出会いに、アラッドは心の底から感謝していた。
「ふふ……嬉しい事言ってくれるね、アラッド」
「だね~~~。へっへっへ」
「けどさ、アラッド。ガルーレがハヌマーン、ヴァジュラって従魔を従えたから、これからはアラッドに負けず劣らずガルーレも目立つから、アラッドが負の感情や視線を向けられることは減るんじゃないかな」
なんだかんだで、アラッドと共に行動するようになり、スティームの名前もアルバース王国で広まりつつある。
単純にあのアラッドと共に行動しているからという理由もあるが、過去にアラッドの母校であるパロスト学園に訪れた際に……アラッドの学友であるレイを模擬戦とはいえ、瞬殺したのも一つの理由である。
レイにとって、歳はスティームの方が少し上とはいえ、どういった手札を持っているのか解らないとはいえ、瞬殺されるのは非常に悔しい結果だった。
それでも……その結果を受け入れるのがレイであり、同級生たちとの会話でアラッドの話が出ると、スティームの話を零すことがよくある。
レイと共に行動している面子もスティームの強さを認め、受け入れているため渋るといった考えが脳裏に思い浮かぶことなく、その強さを他者に伝えていた。
「目立つ、か~~。良い男が寄ってくるかな? それなら、全然ありだけどね~~」
「「…………」」
ガルーレが口にする良い男とは恋愛的な意味ではなく、肉体的な意味での良い男。
加えて、交わったとしても、その相手と付き合うつもりは、今のところ全くない。
「……因みにだが、寄ってきた男の中に、恋愛的な意味でその気になる男がいたら、どうするんだ?」
「恋愛的な意味で~~?? ん~~~~…………ただヤりたいってだけじゃなくて、そいつの子供を産みたいって思ったら、結構悩むね~~」
「ガルーレの事が、本気で好きだって人が現れたら?」
性に奔放なガルーレだが、見た目スタイル共に良し。
正確に裏表はなく、野郎たちとしても話しやすく……初心な相手ほど、恋心が芽生える可能性がある。
これまで何度か本気で同業者の男から告白をされたことがあるガルーレだが、これまで私にタイマン勝負で勝ったらという条件を提示し……全ての勝負に勝利してきた。
「これまで私に勝ったらって条件を提示してきたから、これからも変わらないかな~~~……もしくは、スティームやアラッド以上に面白かったり強かったりすれば、結構考えるかな」
「「っ!!!!????」」
ガルーレの特に深く考えてない発言に、二人はギョッとした表情を浮かべた。
「ガルーレ……お前の色恋事情に、俺たちを巻き込むのは止めてくないか」
「アラッドと同じく、ちょっと止めてほしいかな」
「えぇ~~~~~。まっ、別にいっか」
守られたい、そんな軟弱な気持ちで冒険者として活動しておらず、ガルーレとしてもその過程で強者と本気で戦えるのであれば、そういった状況もありだった。
ハヌマーン、改めてヴァジュラがガルーレの従魔となった。
これでアラッド、スティーム、ガルーレの三人、全員が従魔を得た。
しかも……全ての従魔が、Bランク以上の猛者ばかり。
「ねぇ、アラッド」
「なんだ」
「パーティーメンバーが全員従魔ってパートナーがいるのって、僕たちが初めてなんじゃないかな」
「……かもしれないな」
「しかも、全員がBランク以上のモンスターだよね」
「つまり、今まで以上に目立つことになるかもしれないって言いたいのか」
「そうだね」
アラッドはあまり自分から進んで目立とうとするタイプではないことを知っているスティーム。
故に、そこは大丈夫なのかという疑問があった。
「……もう、今更の話だ。Bランクのモンスターを討伐して、ユニコーンと出会って、Aランクのドラゴンに出会って…………今更そこを気にしても仕方ないだろう」
「なになに!!! アラッドって、あんまり目立ちたくなかったの!?」
「自ら目立とうという気持ちに関しては、ないな」
「あれだけやらかしてるのに!!!!????」
「やらかしてるというのは、語弊があるだろ」
心底驚いた顔を浮かべるガルーレに対し、アラッドは冷静にやらかしてはいないと返した。
「強いモンスターと戦いたい、冒険をしたい。面白い同業者たちと関われたら嬉しい。そんな気持ちは持ってた。その気持ちは今でも持ってる。けど、別に勝算や人気が欲しいわけじゃないんだ」
「ほほ~~~?? 解らないような、解るような…………それじゃあ、今の状況? には不満があるってわけなの?」
「仕方ないとは思ってる。そもそも……冒険者になる前に、学園の方で盛大に目立った」
トーナメントで優勝すれば、騎士の称号を得られ、特例として一年生の時点で卒業出来る。
それを目標に、トーナメントの決勝戦で激闘を繰り広げた。
それまでアラッドの名前は親族が広めていただけで、実際に顔を合わせたことがある者は限りなく少なく……ある種、幻の存在とも言えた。
「それ以降、表舞台で活動するのであれば、目立たずに冒険者としてやりたい事をやるのは……思いっきり矛盾が生じる。でもまぁ……今はお前らと一緒に行動してるから、特に不満はないな」
冒険者として活動しているからこそ、共に行動していて楽しいと思える者たちに出会えた。
その出会いに、アラッドは心の底から感謝していた。
「ふふ……嬉しい事言ってくれるね、アラッド」
「だね~~~。へっへっへ」
「けどさ、アラッド。ガルーレがハヌマーン、ヴァジュラって従魔を従えたから、これからはアラッドに負けず劣らずガルーレも目立つから、アラッドが負の感情や視線を向けられることは減るんじゃないかな」
なんだかんだで、アラッドと共に行動するようになり、スティームの名前もアルバース王国で広まりつつある。
単純にあのアラッドと共に行動しているからという理由もあるが、過去にアラッドの母校であるパロスト学園に訪れた際に……アラッドの学友であるレイを模擬戦とはいえ、瞬殺したのも一つの理由である。
レイにとって、歳はスティームの方が少し上とはいえ、どういった手札を持っているのか解らないとはいえ、瞬殺されるのは非常に悔しい結果だった。
それでも……その結果を受け入れるのがレイであり、同級生たちとの会話でアラッドの話が出ると、スティームの話を零すことがよくある。
レイと共に行動している面子もスティームの強さを認め、受け入れているため渋るといった考えが脳裏に思い浮かぶことなく、その強さを他者に伝えていた。
「目立つ、か~~。良い男が寄ってくるかな? それなら、全然ありだけどね~~」
「「…………」」
ガルーレが口にする良い男とは恋愛的な意味ではなく、肉体的な意味での良い男。
加えて、交わったとしても、その相手と付き合うつもりは、今のところ全くない。
「……因みにだが、寄ってきた男の中に、恋愛的な意味でその気になる男がいたら、どうするんだ?」
「恋愛的な意味で~~?? ん~~~~…………ただヤりたいってだけじゃなくて、そいつの子供を産みたいって思ったら、結構悩むね~~」
「ガルーレの事が、本気で好きだって人が現れたら?」
性に奔放なガルーレだが、見た目スタイル共に良し。
正確に裏表はなく、野郎たちとしても話しやすく……初心な相手ほど、恋心が芽生える可能性がある。
これまで何度か本気で同業者の男から告白をされたことがあるガルーレだが、これまで私にタイマン勝負で勝ったらという条件を提示し……全ての勝負に勝利してきた。
「これまで私に勝ったらって条件を提示してきたから、これからも変わらないかな~~~……もしくは、スティームやアラッド以上に面白かったり強かったりすれば、結構考えるかな」
「「っ!!!!????」」
ガルーレの特に深く考えてない発言に、二人はギョッとした表情を浮かべた。
「ガルーレ……お前の色恋事情に、俺たちを巻き込むのは止めてくないか」
「アラッドと同じく、ちょっと止めてほしいかな」
「えぇ~~~~~。まっ、別にいっか」
守られたい、そんな軟弱な気持ちで冒険者として活動しておらず、ガルーレとしてもその過程で強者と本気で戦えるのであれば、そういった状況もありだった。
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