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八百十九話 お前らこそ
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「買取をお願いします」
「か、かしこまりました。少々お待ちください」
亜空間から取り出された素材の量に、担当受付嬢はほんの少しだけ驚き戸惑うも、直ぐに他の手が空いている同僚を読んでプロの仕事ぶりを発揮。
(……朝とは、向けられる視線が違うな)
どんな依頼書がクエストボードに張られているのかと見に来た時は、恐れとあいつらは誰だ? という疑問の視線が殆どだった。
だが、三人が結局何も依頼書を取らずにギルドを出た後、それなりに実力がある冒険者たちが話し合い……もしやあの人物なのでは? といった流れで答えを得た。
「なんか、注目されてる感じ?」
「僕たちのリーダーが誰か気付いたんじゃないかな」
「……お前ら、もう少し自分たちが強者だということを自覚したらどうだ」
アラッドという名を聞けば、ここ数年の間で圧倒的なスピードで功績を掴み、飛躍した超新星として名が広まっている。
少しでもアラッドと関わったことがある冒険者が、同業者と飯を食べる時に自慢する話の種とするぐらい、アラッドは同業者から注目を集める存在へと成長していた。
ただ、現在そのアラッドと共に行動している二人もずば抜けた実力を持っている。
アラッドの糸は一旦置いておき、狂化のスキルを持っている人物は珍しいものの、驚愕して目玉が飛び出るほどの存在ではない。
しかし……スティームが持つ赤雷は、アラッドの狂化に非にならない程スペシャルな武器である。
「弱いとは思ってないんだけどね」
「そうヴァイパーを一人で斬り潰した奴が何を言ってるんだか」
「アラッドの言う通りよね~~~。スティームは優男って顔してるんだし、もうちょい日頃から自信持った顔をした方が良いわよ」
「……強者としての自信を持ってほしいのは、俺的にはガルーレも同じなんだけどな。スティームと同じでディーマンバを一人で倒しただろ」
ガルーレの切り札、ペイル・サーベルス。
一定以上のダメージを受けることで、全ての身体能力を爆上げし、スキルの効果が切れるまでの間、痛覚が鈍くなる。
元から女戦士、アマゾネスという種族らしく、戦闘大好きな性格であるガルーレは……人間同士の試合であろうとも、躊躇なく体の一部に穴が開くことを気にせず勝利を奪い取る。
狂化を使用するアラッドがバーサーカー、狂戦士と思われるかもしれないが、そのアラッドからすれば……痛みを感じない状態になったとはいえ、躊躇なくその効果を利用して……しかも好戦的な笑みを浮かべながら勝利を奪いに来るガルーレの方がよっぽど凶悪な狂戦士だと思っている。
加えて、ここ最近で意識しながら実戦を繰り返すことで、立体感知という武器を手に入れた。
そして……運悪く、裏の人間と対峙した際に、ガルーレは極限の集中状態に入った。
極限まで集中力が高まるまでならまだしも、ガルーレがその戦いに手に入れたのは、全能感に近く……並みの戦闘者が踏み入れられない領域。
才能ある実力者が運良くその域に一度入れば……それから先、その状態になればと縋ってしまう不安要素がある。
だが、ガルーレにとってはどんな戦いでも楽しんで戦い、最後は勝利を奪い取る。
集中力が極限まで高まる状態など、後から勝手に付いてくる副産物でしかなく……そもそも今、ガルーレは当時に全能感すら忘れていた。
「いやぁ~~~、それはほら…………あれじゃん?」
「全く答えになってないぞ。ったく……ふふ。ほら、やっぱりな」
周囲の同業者たちが話している会話に耳を澄ませたアラッドは、予想通りの会話内容を聞きとり、満足気に笑みを浮かべた。
「お待たせしました。素材の買取金額になります」
「……ありがとうございます」
アラッドの目の前には大量の金貨が並べられ、それに文句がないため直ぐに受け取り、三等分してパーティーメンバーの二人へと渡した。
「おい、あれ……一人分、幾らだ?」
「ざっと、金貨十枚以上はあっただろうな。つか、なんでキッチリ三等分してるんだ?」
即席のパーティーではなく、これから年単位で……もしくは十年以上の単位で共に活動しようと決めているパーティーは、報酬や買取で手に入れた金額の一部はパーティーの貯金にあてる。
そして、残った分をパーティーの人数で等分することが多い。
だが、アラッドたちは受付嬢から受け取った報酬金額をきっちり三等分した。
受付嬢に、パーティーの貯金として幾らか預けたいとも口にしてない。
「あの三人って、即席のパーティー……じゃないんだよな?」
「あっちのアマゾネスの子は……ここ最近? 入った子らしいけど、あのイケメン優男君はもう一年ぐらいは一緒に行動してるらしいわよ」
即席のパーティー一年以上も共に行動することはない。
いったいどういう事だ? と多くの冒険者たちが頭を捻る。
ただ、ある程度……そう、ある程度アラッドの情報を知っている情報力のある冒険者たちだけが、何故パーティーでの貯金をしてないのか知っていた。
「ちょろっと話には聞いてたけど、ありゃまた……太っ腹なリーダーだな」
キャバリオン。
冒険者たちとっては本当に噂程度の存在。
だが、噂通りの存在であれば……リーダーであるアラッドの懐は、一般人が聞けば腰を抜かすほどの額。
情報通の者たちはアラッドではなく、パーティーメンバーであるスティームとガルーレに対して、非常に強い恨めしい感情が湧き上がった。
「か、かしこまりました。少々お待ちください」
亜空間から取り出された素材の量に、担当受付嬢はほんの少しだけ驚き戸惑うも、直ぐに他の手が空いている同僚を読んでプロの仕事ぶりを発揮。
(……朝とは、向けられる視線が違うな)
どんな依頼書がクエストボードに張られているのかと見に来た時は、恐れとあいつらは誰だ? という疑問の視線が殆どだった。
だが、三人が結局何も依頼書を取らずにギルドを出た後、それなりに実力がある冒険者たちが話し合い……もしやあの人物なのでは? といった流れで答えを得た。
「なんか、注目されてる感じ?」
「僕たちのリーダーが誰か気付いたんじゃないかな」
「……お前ら、もう少し自分たちが強者だということを自覚したらどうだ」
アラッドという名を聞けば、ここ数年の間で圧倒的なスピードで功績を掴み、飛躍した超新星として名が広まっている。
少しでもアラッドと関わったことがある冒険者が、同業者と飯を食べる時に自慢する話の種とするぐらい、アラッドは同業者から注目を集める存在へと成長していた。
ただ、現在そのアラッドと共に行動している二人もずば抜けた実力を持っている。
アラッドの糸は一旦置いておき、狂化のスキルを持っている人物は珍しいものの、驚愕して目玉が飛び出るほどの存在ではない。
しかし……スティームが持つ赤雷は、アラッドの狂化に非にならない程スペシャルな武器である。
「弱いとは思ってないんだけどね」
「そうヴァイパーを一人で斬り潰した奴が何を言ってるんだか」
「アラッドの言う通りよね~~~。スティームは優男って顔してるんだし、もうちょい日頃から自信持った顔をした方が良いわよ」
「……強者としての自信を持ってほしいのは、俺的にはガルーレも同じなんだけどな。スティームと同じでディーマンバを一人で倒しただろ」
ガルーレの切り札、ペイル・サーベルス。
一定以上のダメージを受けることで、全ての身体能力を爆上げし、スキルの効果が切れるまでの間、痛覚が鈍くなる。
元から女戦士、アマゾネスという種族らしく、戦闘大好きな性格であるガルーレは……人間同士の試合であろうとも、躊躇なく体の一部に穴が開くことを気にせず勝利を奪い取る。
狂化を使用するアラッドがバーサーカー、狂戦士と思われるかもしれないが、そのアラッドからすれば……痛みを感じない状態になったとはいえ、躊躇なくその効果を利用して……しかも好戦的な笑みを浮かべながら勝利を奪いに来るガルーレの方がよっぽど凶悪な狂戦士だと思っている。
加えて、ここ最近で意識しながら実戦を繰り返すことで、立体感知という武器を手に入れた。
そして……運悪く、裏の人間と対峙した際に、ガルーレは極限の集中状態に入った。
極限まで集中力が高まるまでならまだしも、ガルーレがその戦いに手に入れたのは、全能感に近く……並みの戦闘者が踏み入れられない領域。
才能ある実力者が運良くその域に一度入れば……それから先、その状態になればと縋ってしまう不安要素がある。
だが、ガルーレにとってはどんな戦いでも楽しんで戦い、最後は勝利を奪い取る。
集中力が極限まで高まる状態など、後から勝手に付いてくる副産物でしかなく……そもそも今、ガルーレは当時に全能感すら忘れていた。
「いやぁ~~~、それはほら…………あれじゃん?」
「全く答えになってないぞ。ったく……ふふ。ほら、やっぱりな」
周囲の同業者たちが話している会話に耳を澄ませたアラッドは、予想通りの会話内容を聞きとり、満足気に笑みを浮かべた。
「お待たせしました。素材の買取金額になります」
「……ありがとうございます」
アラッドの目の前には大量の金貨が並べられ、それに文句がないため直ぐに受け取り、三等分してパーティーメンバーの二人へと渡した。
「おい、あれ……一人分、幾らだ?」
「ざっと、金貨十枚以上はあっただろうな。つか、なんでキッチリ三等分してるんだ?」
即席のパーティーではなく、これから年単位で……もしくは十年以上の単位で共に活動しようと決めているパーティーは、報酬や買取で手に入れた金額の一部はパーティーの貯金にあてる。
そして、残った分をパーティーの人数で等分することが多い。
だが、アラッドたちは受付嬢から受け取った報酬金額をきっちり三等分した。
受付嬢に、パーティーの貯金として幾らか預けたいとも口にしてない。
「あの三人って、即席のパーティー……じゃないんだよな?」
「あっちのアマゾネスの子は……ここ最近? 入った子らしいけど、あのイケメン優男君はもう一年ぐらいは一緒に行動してるらしいわよ」
即席のパーティー一年以上も共に行動することはない。
いったいどういう事だ? と多くの冒険者たちが頭を捻る。
ただ、ある程度……そう、ある程度アラッドの情報を知っている情報力のある冒険者たちだけが、何故パーティーでの貯金をしてないのか知っていた。
「ちょろっと話には聞いてたけど、ありゃまた……太っ腹なリーダーだな」
キャバリオン。
冒険者たちとっては本当に噂程度の存在。
だが、噂通りの存在であれば……リーダーであるアラッドの懐は、一般人が聞けば腰を抜かすほどの額。
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