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七百九十三話 今は、まだ
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(この氷の、装甲!! ちょっと、堅過ぎるんじゃ、ない!!!???)
ヘイルタイガーとの戦闘が始まってから、約五分が経過。
元々マジックアイテムの効果もあり、寒くはなかった。
しかし、ヘイルタイガーとの激しい戦闘が始まり、既に熱いと感じなくもないほど体温は上がっていた。
既にベストパフォーマンスを発揮するのには問題無い体温。
それでも……腹へのめり込む様な蹴り以降、クリティカルヒットと言えるダメージは与えられていない。
「ッ!!!!!!」
「っと!!! 本格的に、不味いかな?」
逆にガルーレの体には、徐々に切傷が増えていた。
(付いていけてない、ことはないと、思うんだけど……ん~~~~。やっぱり、あんまり頼りたく、ないんだよね~~~)
押され気味の戦況であろうとも、ガルーレには劣勢を跳ね返す切り札、ペイル・サーベルスがある。
一定以上のダメージを受けることで身体能力が爆発的に向上し、その間……痛覚も麻痺する。
まさにゴリ押しの戦闘スタイルに適したスキル。
ガルーレはこのスキルを非常に気に入っている。
最高の頼れる切り札だと思っているが……その切り札ばかりに頼っていては、持ち主自信が成長出来ない。
スキルが「私ばかり頼ってないで、自分自身を磨いたら?」と語りかけて来た訳ではない。
最高に頼れる切り札だけに頼らず、己の強さを高めたい。
ガルーレの超個人的な私情である。
「ルゥアアアアア゛ッ!!!!!」
「うわっ!!?? はぁ~~、あんまり贅沢、言ってられないか」
ほんの少しイラつき始めたヘイルタイガー。
自分の魔力量の低さを無視し、氷刃を放ち始めた。
ガルーレとしては……ここでペイル・サーベルスを使いたくないから、アラッドやスティームの手を借りるという選択肢は、あり得ない。
それは目指す目標とは違う。
かといって、このままペイル・サーベルスを使わずに戦い続ければ……最悪、死んでしまう可能性もある。
これまで何度もBランクモンスターを討伐してきた経験があるガルーレ。
だが、どの戦いも決して楽ではなかった。
(そうと決まれば……いつも通り、戦るしかないわね!!!)
最低限のリスクヘッジだけ頭の片隅に置いておき、後は攻めて攻めて攻めまくる。
それがガルーレ本来の戦闘スタイルだった。
「ねぇ、アラッド。もしかして、ガルーレ……自棄になった?」
「ん~~~~……自棄になった、というより戻ったと言った方が正しいかもな。ここ最近のガルーレは、パワーとスピードで攻めるよりも、テクニックに重きを置いた戦い方をしていた……と思う」
ガルーレ自身、決して不器用なタイプではないため、テクニック面を学ぶという方向性は決して間違ってはいなかった。
だが、長年取り続けていた戦闘スタイルとは異なる。
「優等生に近い戦い方……とでも言えば良いのかもしれないな」
「優等生…………失礼だとは解ってるけど、あまりガルーレには似合わないね」
「安心しろ、俺もそう思う。ただ、ガルーレにはそれが出来るほどの器用さと経験値があった……ただ、まだヘイルタイガーをソロで……ペイル・サーベルスを使わずに倒すには、まだ足りなかったというだけだろう」
ペイル・サーベルスの難点とは、自ら発動することが出来ない。
アラッドの狂化の様に理性を失うまでのタイムリミットがあったり、スティームの赤雷の様に魔力の消費量が半端ではないというデメリットはないが……自分の意志で発動出来ないというのは、かなり大きなデメリットではある。
戦闘中、発動すれば痛覚が麻痺するというのも、見方によってはデメリットに移り……アラッドは、ソロ状態で使うにはその言葉通り……諸刃の剣だと感じた。
(迷わず切り替えたということは、俺たちを頼りにしてくれてるってことなのかもな)
普段は戦闘に関して、誰かに頼ることがないアラッドだが、頼られることに関しては素直に嬉しい。
「うりゃ!! とりゃっ!!! そぅ、れッ!!!!!!!」
「っ!? ッ!!!! ガっ!!!???」
最低限のリスクヘッジしか考えずに前に前に出て攻める戦闘スタイルに変化した結果、やはり体に刻まれる切傷の数は増えた。
だが、それと同時にヘイルタイガーの氷の装甲に何度も何度も罅が入る。
「ッ!!!!!!!!」
「っと!!!! やっぱ、そう来るよね!!!!!!」
「ボガっ!!!!????」
爪撃を放つには絶対に動かさなければならない両足が動かない……にもかかわらず、自分を攻撃しようとする殺意だけは感じる。
そんなヘイルタイガーの雰囲気から、ガルーレはブレスが飛んでくることを察知し、なんとかギリギリ回避することに成功。
渾身のアッパーを食らったヘイルタイガーは歯を、牙をバキバキに砕かれ、腹を思いっきり見せる体勢に強制以降。
「ぃよっしゃあああああああああああッ!!!!!!!」
そして丁度出血というダメージがペイル・サーベルス発動のトリガーとなり、ガルーレの身体能力は一気に爆発。
心臓を含め、多数の内臓まで届く剛拳が幾重にも叩き込まれ……ヘイルタイガーは絶命に追い込まれた。
ヘイルタイガーとの戦闘が始まってから、約五分が経過。
元々マジックアイテムの効果もあり、寒くはなかった。
しかし、ヘイルタイガーとの激しい戦闘が始まり、既に熱いと感じなくもないほど体温は上がっていた。
既にベストパフォーマンスを発揮するのには問題無い体温。
それでも……腹へのめり込む様な蹴り以降、クリティカルヒットと言えるダメージは与えられていない。
「ッ!!!!!!」
「っと!!! 本格的に、不味いかな?」
逆にガルーレの体には、徐々に切傷が増えていた。
(付いていけてない、ことはないと、思うんだけど……ん~~~~。やっぱり、あんまり頼りたく、ないんだよね~~~)
押され気味の戦況であろうとも、ガルーレには劣勢を跳ね返す切り札、ペイル・サーベルスがある。
一定以上のダメージを受けることで身体能力が爆発的に向上し、その間……痛覚も麻痺する。
まさにゴリ押しの戦闘スタイルに適したスキル。
ガルーレはこのスキルを非常に気に入っている。
最高の頼れる切り札だと思っているが……その切り札ばかりに頼っていては、持ち主自信が成長出来ない。
スキルが「私ばかり頼ってないで、自分自身を磨いたら?」と語りかけて来た訳ではない。
最高に頼れる切り札だけに頼らず、己の強さを高めたい。
ガルーレの超個人的な私情である。
「ルゥアアアアア゛ッ!!!!!」
「うわっ!!?? はぁ~~、あんまり贅沢、言ってられないか」
ほんの少しイラつき始めたヘイルタイガー。
自分の魔力量の低さを無視し、氷刃を放ち始めた。
ガルーレとしては……ここでペイル・サーベルスを使いたくないから、アラッドやスティームの手を借りるという選択肢は、あり得ない。
それは目指す目標とは違う。
かといって、このままペイル・サーベルスを使わずに戦い続ければ……最悪、死んでしまう可能性もある。
これまで何度もBランクモンスターを討伐してきた経験があるガルーレ。
だが、どの戦いも決して楽ではなかった。
(そうと決まれば……いつも通り、戦るしかないわね!!!)
最低限のリスクヘッジだけ頭の片隅に置いておき、後は攻めて攻めて攻めまくる。
それがガルーレ本来の戦闘スタイルだった。
「ねぇ、アラッド。もしかして、ガルーレ……自棄になった?」
「ん~~~~……自棄になった、というより戻ったと言った方が正しいかもな。ここ最近のガルーレは、パワーとスピードで攻めるよりも、テクニックに重きを置いた戦い方をしていた……と思う」
ガルーレ自身、決して不器用なタイプではないため、テクニック面を学ぶという方向性は決して間違ってはいなかった。
だが、長年取り続けていた戦闘スタイルとは異なる。
「優等生に近い戦い方……とでも言えば良いのかもしれないな」
「優等生…………失礼だとは解ってるけど、あまりガルーレには似合わないね」
「安心しろ、俺もそう思う。ただ、ガルーレにはそれが出来るほどの器用さと経験値があった……ただ、まだヘイルタイガーをソロで……ペイル・サーベルスを使わずに倒すには、まだ足りなかったというだけだろう」
ペイル・サーベルスの難点とは、自ら発動することが出来ない。
アラッドの狂化の様に理性を失うまでのタイムリミットがあったり、スティームの赤雷の様に魔力の消費量が半端ではないというデメリットはないが……自分の意志で発動出来ないというのは、かなり大きなデメリットではある。
戦闘中、発動すれば痛覚が麻痺するというのも、見方によってはデメリットに移り……アラッドは、ソロ状態で使うにはその言葉通り……諸刃の剣だと感じた。
(迷わず切り替えたということは、俺たちを頼りにしてくれてるってことなのかもな)
普段は戦闘に関して、誰かに頼ることがないアラッドだが、頼られることに関しては素直に嬉しい。
「うりゃ!! とりゃっ!!! そぅ、れッ!!!!!!!」
「っ!? ッ!!!! ガっ!!!???」
最低限のリスクヘッジしか考えずに前に前に出て攻める戦闘スタイルに変化した結果、やはり体に刻まれる切傷の数は増えた。
だが、それと同時にヘイルタイガーの氷の装甲に何度も何度も罅が入る。
「ッ!!!!!!!!」
「っと!!!! やっぱ、そう来るよね!!!!!!」
「ボガっ!!!!????」
爪撃を放つには絶対に動かさなければならない両足が動かない……にもかかわらず、自分を攻撃しようとする殺意だけは感じる。
そんなヘイルタイガーの雰囲気から、ガルーレはブレスが飛んでくることを察知し、なんとかギリギリ回避することに成功。
渾身のアッパーを食らったヘイルタイガーは歯を、牙をバキバキに砕かれ、腹を思いっきり見せる体勢に強制以降。
「ぃよっしゃあああああああああああッ!!!!!!!」
そして丁度出血というダメージがペイル・サーベルス発動のトリガーとなり、ガルーレの身体能力は一気に爆発。
心臓を含め、多数の内臓まで届く剛拳が幾重にも叩き込まれ……ヘイルタイガーは絶命に追い込まれた。
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