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七百七十九話 だが断る
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(これが、四十を越えた人の、動きなのか!!!!)
現在、使える範囲内の技、スキルを用いてフールに斬り掛かるも、絶妙なタイミングで動かれ、攻撃する筈の片方を防御に使用しなければならない。
そういった状況が何度も繰り返されていた。
(考えろ、考えろ考えろ考えろ!!!!!)
戦闘者として……どうしても負けたくないという思いが湧き上がり、赤雷を使用したくなる。
しかし、それでは折角あのフールと模擬戦出来るという機会が無駄になってしまう。
加えて……………スティームは先程のガルーレと同じく、赤雷を使用したからといって、フールに勝てるイメージが湧かない。
そのため、無茶な勝ちを捨て……学びに徹した。
(こ、ここだっ!!!!」
「っ! ぅおっとっと。ふふ、中々良い読みしてるじゃないか」
「ど、どうも」
自身の動きがフールに当らないのは、自分の動きを読まれており……尚且つ絶秒な動きで攻撃に移るタイミングを潰されていたから。
それを把握したスティームは敢えて途中までの動きは買えず、フールが自分の攻撃を潰してくる絶秒なタイミングで、攻撃方法を斬撃から斬撃刃に切り替えた。
(悪くない……タイミング、動きだった筈。なのに……まるでそれが出来ると思っていたかのような表情……背が見えない!!!!)
昔から、ある程度の自信を持っていた。
それは冒険者として活動を始めてからも変わらない。
アラッドという怪物に出会ったが、その怪物に出会えたお陰で、更に強くなれた。
しかし……フールという剣鬼の前では、強制的にその自信をかき消されそうになる。
「うっ!!?? っ……参り、ました」
「うん、スティーム君もやっぱり強いね。君の歳で、あそこまで直ぐに把握して読める子は中々いないよ」
褒めるところは褒める。
そういったケアを忘れないフールだが……互いに本気を出さないという条件とはいえ、それでも背中すら……足元すら見えないという現実に……少し現実を想いしらされたという感覚を受けた。
「スティーム君には赤雷があるんだろ? これからの成長次第で、今よりもずっと使える時間が長くなる。そうなれば、うちの息子みたいにソロでAランクモンスターを倒すのも夢ではなく現実として捉えられるよ」
「あ、ありがとうございます」
「さて……………どうする、アラッド。久しぶりに僕と戦ってみるかい?」
流れ的には、ガルーレとスティームの二人と模擬戦を行った後、二人のパーティーメンバーであるアラッドにも声を掛けるのは……至極当然と言えた。
「「「「「「「「「「「っ!!!!????」」」」」」」」」」
その流れを期待していた者たちもいた。
だが、いざフールが実際にアラッドへ声を掛けると……期待よりも、恐れに近い衝撃が勝った。
(これは……失礼なのは解ってるんだが、まさに人の皮を被った猛獣……………いや、ドラゴンといった方が適切か?)
父からの誘いを受けたアラッドの口端は大きく吊り上がり、その背中だけしか見てないまだ小さな子供たちが今の顔を見れば、一発でアウト。
それほどまでに、アラッドのテンションは一気に沸点を越えた。
「…………せっかくの嬉しい誘いだけど、断らせてもらうよ、父さん」
だが、以外にもアラッドはフールからの提案を断った。
「「「「「「「「「「っ!!!!????」」」」」」」」」」
それもまた、周囲の者たちに大きな衝撃を与えた。
「おや、なんと言うか……珍しいね。アラッドなら、絶対に受けてくれると思ってたんだけど」
「確かに、ワクワク感はある。冒険者になる前と比べて、一回りは強くなれたと思う……だからこそ、余計な欲が湧いてしまう」
同世代の者たちからすれば、十分過ぎるほどの怪物であるアラッドから見ても、フールは正真正銘の猛者、絶対強者である。
だが、あの頃よりも成長したと実感しているからこそ……アラッドの心には、どうしても「本気でやれば……」という炎が灯ってしまう。
「本気になってしまったら、どうするんですか、父さん」
「あ、アッラド。やるとしても模擬戦、じゃないの?」
「生意気かもしれないが……つい、欲が零れてしまうかもしれない」
「…………ねぇ、それならここじゃなくて、ちゃんと騎士や兵士たちが訓練してる場所で戦ればいいんじゃないの?」
「ガルーレ、訓練場をついぶっ壊してしまったらどうするんだよ」
訓練場をぶっ壊してしまう。
侯爵家にある訓練場をぶっ壊すなど、どう考えてもあり得ない。
あり得ないのだが………先程の戦いでも全く底を見せていないフール。
加えて、ある程度の本気こそ見たことがあるアラッドの戦闘力。
(私の時みたいに、互いに素手で戦うだけなら、地面がベコベコに凹むだけで済む?)
(もし、真剣で戦うのであれば……な、ないとは思うけど、真剣の中でも自分の得物を抜く、なら…………た、確かに訓練場が、斬れてしまうかも)
フールがどういった武器を持っているのかは知らない。
しかし、アラッドが持つ渦雷、剛柔、羅刹……まだ剛柔、羅刹を本気で扱う光景は見たことがないものの、どちらも並ではない武器……の中でも、更に並ではないことが窺える。
「って訳だ、父さん。安心してくれ。もう五年……もしくはもう少し経てば、本気で挑んでくれる奴が目の前に来てくれる」
「後六、七年、か…………ふ、ふっふっふ。それなら、もっと長く現役でいられるように頑張らないとね」
子供たちの中で才能、センス、思考、向上心など全てを考慮した結果……一番強いのは、間違いなくアラッドだった。
しかし、それでも決して……フールは期待していなかった訳ではなかった。
兄弟姉妹たちの中で、誰よりも自分を越えようという意志を持つ子を。
現在、使える範囲内の技、スキルを用いてフールに斬り掛かるも、絶妙なタイミングで動かれ、攻撃する筈の片方を防御に使用しなければならない。
そういった状況が何度も繰り返されていた。
(考えろ、考えろ考えろ考えろ!!!!!)
戦闘者として……どうしても負けたくないという思いが湧き上がり、赤雷を使用したくなる。
しかし、それでは折角あのフールと模擬戦出来るという機会が無駄になってしまう。
加えて……………スティームは先程のガルーレと同じく、赤雷を使用したからといって、フールに勝てるイメージが湧かない。
そのため、無茶な勝ちを捨て……学びに徹した。
(こ、ここだっ!!!!」
「っ! ぅおっとっと。ふふ、中々良い読みしてるじゃないか」
「ど、どうも」
自身の動きがフールに当らないのは、自分の動きを読まれており……尚且つ絶秒な動きで攻撃に移るタイミングを潰されていたから。
それを把握したスティームは敢えて途中までの動きは買えず、フールが自分の攻撃を潰してくる絶秒なタイミングで、攻撃方法を斬撃から斬撃刃に切り替えた。
(悪くない……タイミング、動きだった筈。なのに……まるでそれが出来ると思っていたかのような表情……背が見えない!!!!)
昔から、ある程度の自信を持っていた。
それは冒険者として活動を始めてからも変わらない。
アラッドという怪物に出会ったが、その怪物に出会えたお陰で、更に強くなれた。
しかし……フールという剣鬼の前では、強制的にその自信をかき消されそうになる。
「うっ!!?? っ……参り、ました」
「うん、スティーム君もやっぱり強いね。君の歳で、あそこまで直ぐに把握して読める子は中々いないよ」
褒めるところは褒める。
そういったケアを忘れないフールだが……互いに本気を出さないという条件とはいえ、それでも背中すら……足元すら見えないという現実に……少し現実を想いしらされたという感覚を受けた。
「スティーム君には赤雷があるんだろ? これからの成長次第で、今よりもずっと使える時間が長くなる。そうなれば、うちの息子みたいにソロでAランクモンスターを倒すのも夢ではなく現実として捉えられるよ」
「あ、ありがとうございます」
「さて……………どうする、アラッド。久しぶりに僕と戦ってみるかい?」
流れ的には、ガルーレとスティームの二人と模擬戦を行った後、二人のパーティーメンバーであるアラッドにも声を掛けるのは……至極当然と言えた。
「「「「「「「「「「「っ!!!!????」」」」」」」」」」
その流れを期待していた者たちもいた。
だが、いざフールが実際にアラッドへ声を掛けると……期待よりも、恐れに近い衝撃が勝った。
(これは……失礼なのは解ってるんだが、まさに人の皮を被った猛獣……………いや、ドラゴンといった方が適切か?)
父からの誘いを受けたアラッドの口端は大きく吊り上がり、その背中だけしか見てないまだ小さな子供たちが今の顔を見れば、一発でアウト。
それほどまでに、アラッドのテンションは一気に沸点を越えた。
「…………せっかくの嬉しい誘いだけど、断らせてもらうよ、父さん」
だが、以外にもアラッドはフールからの提案を断った。
「「「「「「「「「「っ!!!!????」」」」」」」」」」
それもまた、周囲の者たちに大きな衝撃を与えた。
「おや、なんと言うか……珍しいね。アラッドなら、絶対に受けてくれると思ってたんだけど」
「確かに、ワクワク感はある。冒険者になる前と比べて、一回りは強くなれたと思う……だからこそ、余計な欲が湧いてしまう」
同世代の者たちからすれば、十分過ぎるほどの怪物であるアラッドから見ても、フールは正真正銘の猛者、絶対強者である。
だが、あの頃よりも成長したと実感しているからこそ……アラッドの心には、どうしても「本気でやれば……」という炎が灯ってしまう。
「本気になってしまったら、どうするんですか、父さん」
「あ、アッラド。やるとしても模擬戦、じゃないの?」
「生意気かもしれないが……つい、欲が零れてしまうかもしれない」
「…………ねぇ、それならここじゃなくて、ちゃんと騎士や兵士たちが訓練してる場所で戦ればいいんじゃないの?」
「ガルーレ、訓練場をついぶっ壊してしまったらどうするんだよ」
訓練場をぶっ壊してしまう。
侯爵家にある訓練場をぶっ壊すなど、どう考えてもあり得ない。
あり得ないのだが………先程の戦いでも全く底を見せていないフール。
加えて、ある程度の本気こそ見たことがあるアラッドの戦闘力。
(私の時みたいに、互いに素手で戦うだけなら、地面がベコベコに凹むだけで済む?)
(もし、真剣で戦うのであれば……な、ないとは思うけど、真剣の中でも自分の得物を抜く、なら…………た、確かに訓練場が、斬れてしまうかも)
フールがどういった武器を持っているのかは知らない。
しかし、アラッドが持つ渦雷、剛柔、羅刹……まだ剛柔、羅刹を本気で扱う光景は見たことがないものの、どちらも並ではない武器……の中でも、更に並ではないことが窺える。
「って訳だ、父さん。安心してくれ。もう五年……もしくはもう少し経てば、本気で挑んでくれる奴が目の前に来てくれる」
「後六、七年、か…………ふ、ふっふっふ。それなら、もっと長く現役でいられるように頑張らないとね」
子供たちの中で才能、センス、思考、向上心など全てを考慮した結果……一番強いのは、間違いなくアラッドだった。
しかし、それでも決して……フールは期待していなかった訳ではなかった。
兄弟姉妹たちの中で、誰よりも自分を越えようという意志を持つ子を。
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