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七百七十五話 全て使ってくれて構わない
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「袋の中に、金が入っている」
「お、おぉう。そうか……えっと、見ても良いのか?」
いきなりドンっとテーブルの上に置かれた袋。
置かれたと同時にジャラジャラという音が聞こえ、相当な枚数の硬貨が入っているのが窺える。
「えぇ、勿論です」
「んじゃ、失礼し、て…………………………………」
「ぎ、ギルドマスター、どうしたのですか?」
完全に固まってしまったギルドマスター、ダルスタを心配して声を掛ける秘書。
すると、ダルスタはそっと……そっと、袋の中身を秘書に見せた。
「っ!!!!!?????」
堪えた。
秘書として、防音機能が部屋に付与されているとはいえ、はしたない声を上げる訳にはいかなかった。
「一応、百枚入ってます」
「「っ!!!!????」」
大量に入っている。それは解っていたが、具体的な枚数は聞いていなかったため、二人は連続で驚かされた。
「えっと…………これをテーブルに置いてくれたってことは、冒険者ギルドが、貰っても良いってこと、なのか?」
「えぇ、そうです。俺は、今回の討伐に参加しませんのね」
「討伐…………あぁ~~~、タラテクトの件か。いや、あれはまだ可能性の話だぞ」
直ぐにアラッドが何の討伐の話をしているのか把握。
当然、ギルドマスターであるダルスタの耳にも入ってるが、まだタラテクトが領地内に潜んでいるという確証はない。
「……ギルドマスターは、鉱山の件を知っていますか」
「鉱山の件って言うと、鉱山として復活した件か?」
「えぇ、その件です」
「おぅ、一応お前の親父さんから聞いてるぞ」
「そうですか。では問題ありませんね。実は、ある方から厄介な気配を感じたと、教えてもらいました」
「……………………マジ?」
「はい。マジのガチです」
諸々の正確な単語はしっかりと抑えてるものの、戦闘力だけでギルドマスターになった訳ではないダルスタは、また直ぐにアラッドが何を伝えたいのかを把握した。
「そう、か…………んで、確実に討伐出来る様に、この金を使って欲しいってことか」
「簡単に言うと、そういう事です。状態異常回復のポーション、報奨金などに使ってもらえれば」
「なる、ほど、なぁ……」
もう一度袋の中に入っている大量の白金貨を見て、ダルスタはどういった顔をすれば良いのか困った。
「んで、わざわざ黒曜金貨一枚分の金を用意してくれたと」
「はい」
「……ってことは、チラッと話は聞いてたが、討伐には参加しないんだな」
「えぇ、そう決めました」
あのアラッドが、討伐に参加しない。
アラッドとアラッドの顔見知りの冒険者が話していた内容もある程度は知っている為、ギルドマスターは無理に参加してほしいとは言えなかった。
「…………俺の記憶では、お前は強敵との戦いを好むタイプだと思ってたんだけどな」
「その認識で合っています。蜘蛛系のモンスターは俺望むタイプではありませんが、タラテクトクラスであれば、満足出来る戦いになるでしょう」
「……それでも、参加しないのは先輩たちの思いを汲み取って、か」
「ギルドマスターは元冒険者だと聞いています」
「そうだな。一応自慢になるが、これでもAランクまで登ったよ」
「であれば、後輩の前でカッコつけたい時などはなかったでしょうか」
言いたい事は、解る。
正確には違う状況ではあるが、目の前の二回り以上後輩の青年が何を言いたいのか……痛い程解る。
「あったな。女の前でも後輩の前でもカッコつけたい時はあったな…………オッケー、オッケー。いや、真面目な話、本当にありがたい」
「そう言ってもらえると嬉しいです」
「因みに、一応訊くけどこいつは……アラッド自身の金、なんだよな」
「勿論」
「……なんつ~か。さっきも言ったが、マジで助かる。けど、割と過保護なんだな」
ダルスタの言葉に、アラッドは特に過剰反応することはなかった。
寧ろ、その通りだろうと、自分でも思っている。
「そうですね。こういう事をする冒険者は、あまりいないでしょう」
「あまりどころか、アラッドだけなんじゃねぇか? だって、こいつが百枚だろ…………そのつもりがないのは解ってるんだが、後から返してくれとか言わないよな」
「言う訳ないじゃないですか」
解っている。ダルスタは今回がアラッドと初対面ではあるが、これまで耳にして来た情報から、後になって返してくれと言う様な性格の持ち主ではないことは解っている。
しかし……額が額である。
ギルドマスターという職業上……元Aランク冒険者という経歴も含めて、白金貨という硬貨は見たことがある。
勿論、使用したこともある。
ただ……百枚も一か所にある光景は、ほとんど見たことがない。
「個人的に、ただ懐に眠らせておくだけではといった思いもあって」
「そういえば、冒険者業以外でもがっぽり稼いでるんだったな。確かに、金は使わなきゃ、世の中回らねぇからな……有難く使わせてもらう」
「余ったら、訓練場の改装費とか修繕費に使ってください」
「良いのか? 俺らとしては嬉しい限りなんだが」
「えぇ、本当に構いませんよ」
討伐に参加するであろうメンバーのポーションや報奨金の準備に使用しても、基本的に余る。
大雑把な計算をしても、絶対に余る事が予想される。
(なんともまぁ……太っ腹すぎるぜ)
ダルスタは去って行くアラッドの背中が雄大に感じた。
「お、おぉう。そうか……えっと、見ても良いのか?」
いきなりドンっとテーブルの上に置かれた袋。
置かれたと同時にジャラジャラという音が聞こえ、相当な枚数の硬貨が入っているのが窺える。
「えぇ、勿論です」
「んじゃ、失礼し、て…………………………………」
「ぎ、ギルドマスター、どうしたのですか?」
完全に固まってしまったギルドマスター、ダルスタを心配して声を掛ける秘書。
すると、ダルスタはそっと……そっと、袋の中身を秘書に見せた。
「っ!!!!!?????」
堪えた。
秘書として、防音機能が部屋に付与されているとはいえ、はしたない声を上げる訳にはいかなかった。
「一応、百枚入ってます」
「「っ!!!!????」」
大量に入っている。それは解っていたが、具体的な枚数は聞いていなかったため、二人は連続で驚かされた。
「えっと…………これをテーブルに置いてくれたってことは、冒険者ギルドが、貰っても良いってこと、なのか?」
「えぇ、そうです。俺は、今回の討伐に参加しませんのね」
「討伐…………あぁ~~~、タラテクトの件か。いや、あれはまだ可能性の話だぞ」
直ぐにアラッドが何の討伐の話をしているのか把握。
当然、ギルドマスターであるダルスタの耳にも入ってるが、まだタラテクトが領地内に潜んでいるという確証はない。
「……ギルドマスターは、鉱山の件を知っていますか」
「鉱山の件って言うと、鉱山として復活した件か?」
「えぇ、その件です」
「おぅ、一応お前の親父さんから聞いてるぞ」
「そうですか。では問題ありませんね。実は、ある方から厄介な気配を感じたと、教えてもらいました」
「……………………マジ?」
「はい。マジのガチです」
諸々の正確な単語はしっかりと抑えてるものの、戦闘力だけでギルドマスターになった訳ではないダルスタは、また直ぐにアラッドが何を伝えたいのかを把握した。
「そう、か…………んで、確実に討伐出来る様に、この金を使って欲しいってことか」
「簡単に言うと、そういう事です。状態異常回復のポーション、報奨金などに使ってもらえれば」
「なる、ほど、なぁ……」
もう一度袋の中に入っている大量の白金貨を見て、ダルスタはどういった顔をすれば良いのか困った。
「んで、わざわざ黒曜金貨一枚分の金を用意してくれたと」
「はい」
「……ってことは、チラッと話は聞いてたが、討伐には参加しないんだな」
「えぇ、そう決めました」
あのアラッドが、討伐に参加しない。
アラッドとアラッドの顔見知りの冒険者が話していた内容もある程度は知っている為、ギルドマスターは無理に参加してほしいとは言えなかった。
「…………俺の記憶では、お前は強敵との戦いを好むタイプだと思ってたんだけどな」
「その認識で合っています。蜘蛛系のモンスターは俺望むタイプではありませんが、タラテクトクラスであれば、満足出来る戦いになるでしょう」
「……それでも、参加しないのは先輩たちの思いを汲み取って、か」
「ギルドマスターは元冒険者だと聞いています」
「そうだな。一応自慢になるが、これでもAランクまで登ったよ」
「であれば、後輩の前でカッコつけたい時などはなかったでしょうか」
言いたい事は、解る。
正確には違う状況ではあるが、目の前の二回り以上後輩の青年が何を言いたいのか……痛い程解る。
「あったな。女の前でも後輩の前でもカッコつけたい時はあったな…………オッケー、オッケー。いや、真面目な話、本当にありがたい」
「そう言ってもらえると嬉しいです」
「因みに、一応訊くけどこいつは……アラッド自身の金、なんだよな」
「勿論」
「……なんつ~か。さっきも言ったが、マジで助かる。けど、割と過保護なんだな」
ダルスタの言葉に、アラッドは特に過剰反応することはなかった。
寧ろ、その通りだろうと、自分でも思っている。
「そうですね。こういう事をする冒険者は、あまりいないでしょう」
「あまりどころか、アラッドだけなんじゃねぇか? だって、こいつが百枚だろ…………そのつもりがないのは解ってるんだが、後から返してくれとか言わないよな」
「言う訳ないじゃないですか」
解っている。ダルスタは今回がアラッドと初対面ではあるが、これまで耳にして来た情報から、後になって返してくれと言う様な性格の持ち主ではないことは解っている。
しかし……額が額である。
ギルドマスターという職業上……元Aランク冒険者という経歴も含めて、白金貨という硬貨は見たことがある。
勿論、使用したこともある。
ただ……百枚も一か所にある光景は、ほとんど見たことがない。
「個人的に、ただ懐に眠らせておくだけではといった思いもあって」
「そういえば、冒険者業以外でもがっぽり稼いでるんだったな。確かに、金は使わなきゃ、世の中回らねぇからな……有難く使わせてもらう」
「余ったら、訓練場の改装費とか修繕費に使ってください」
「良いのか? 俺らとしては嬉しい限りなんだが」
「えぇ、本当に構いませんよ」
討伐に参加するであろうメンバーのポーションや報奨金の準備に使用しても、基本的に余る。
大雑把な計算をしても、絶対に余る事が予想される。
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