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七百四十四話 根っこが違うから
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「が、ガルーレ……そ、それは本当……ですの?」
リエラはまだ学生であり、自分で金を稼いでいない。
それでも実家の爵位は高く、親から毎月それなりの小遣いを貰っている。
使う時には使うが、普段から散財するようなタイプではないリエラでも……どう考えても手を出せない額。
そんな金額の商品を、ガルーレはアラッドなら……ちょっと高いけど、買えそうだよね……と言った内容の言葉を口にした。
「え、いや……だって、アラッドってこれまでのBランクモンスターをソロで倒したり、私と出会う前にはAランクのモンスターとか倒してたじゃん。プライベートでもBランクのモンスターを倒して、それなりに規模が多い盗賊団をスティームと潰したりしてるって言ってたし、これぐらいなら払えなくもないと思って……だよね?」
「そうだな…………うん、そうだな。買えなくはないな」
リバーシやキャバリオンで儲けている額を除いた自身の財産をざっと思い浮かべ……ガルーレの言う通り、目の前のネックレスは購入出来なくはないと判断。
「そ、そうでし、たわね……それなら、納得ですわ」
モンスターの素材がランクによって高額で買い取られることはリエラも知っている。
プライベートでBランクモンスターを狩ったり、盗賊団を潰しているという情報は初耳ではあるが、アラッドの戦闘力の高さを実際に目にしたため、納得出来なくはない。
「それで、購入しますの?」
「いや、買わないかな」
従業員が細かい効果を説明しようとしたところで、アラッドは速攻で購入しないと口にし、従業員ははっきりと解るぐらい肩を落とした。
「そうですの? やはり、冒険者ですから……ダンジョンの宝箱から手に入れたい、といったところかしら」
「そうだな……そういう流れで見つけたのであれば、自分が身に付けることに違和感はない」
「口ぶりから察するに、あまりこういった店ではマジックアイテムや武器を購入したくない……と言ってるように聞こえますが」
リエラの言葉に、悪意や苛立ちはない。
ただ、アラッドが何を考えているのか知りたかった。
「いや、この前は……不可抗力ではあるが、別の店で一つ武器を購入した。全く買わないという訳ではないが、確かにあまり自分の為に購入しないようにしたいとは、思ってるな」
「? ラディア、冒険者は自分の装備にお金をかけるものではなくて?」
「基本はそうね。でも…………うん、解らなくはないかな」
「どういう事ですの?
「アラッドは、多分だけどあまり武器やマジックアイテムの性能に頼りたくないんだよね」
「簡単に言うと、そういう事になる」
道具の性能に頼りたくない。
その答えを聞き……リエラは納得出来るような、納得出来ないような……難しい表情を浮かべて頭を捻る。
「……それって、道具に頼らない強さを身に着けたいからってことかしら」
「大体そんな感じで合ってる。とはいえ、それは俺の個人的な考えだがな」
強く、高性能な道具を身に付けてばかりいては、本当の意味での強さが失われ、それが油断に繋がるのではないか。
冒険者なんだから、そんな事を考えて金をケチって、大怪我したり死ぬのはアホらしいだろと考える者はいる。
寧ろそういった考えを持つ者の方が圧倒的に多い。
ただ、アラッドの場合は冒険者という職業に就いているが、根っこの部分は求道者に近い。
それ故に強さなどに関する考え方が、他の同業者たちと違う。
「けど、アッシュにせがまれたら……買ってしまうかもな」
シスコンであり、ブラコンなアラッド。
少し、ほんの少しだけ揺れるアッシュだったが、やはりアラッドの弟。
直ぐに首を横に振った。
「嬉しいですけど、遠慮しておきます。僕は……どうせなら、自分で造りたい」
「はっはっは!!! そうか、お前らしいな。けど、折角VIPエリアに連れてきてもらったんだ。何も買わないってのは勿体ないよな」
立場的にはアラッドたちもVIPに入るかもしれないが、そう認定するまで多少時間が掛かってしまう。
わざわざ案内してくれたリエラの立場を立てる為に、何かしら購入しようと考えるも、あまりこれだという考えが浮かばない。
「ん~~~~……あっ、そうだ。なぁ、アッシュ。シルフィーの奴に似合いそうなやつを選んでくれないか」
「シルフィーに似合いそうな物、ですか……アラッド兄さんが選んだ方が良いと思いますけど」
「あいつの隣に一番長くいるのはアッシュだろ。頼むよ」
「…………分かりました」
隣にいるからといって何でも解る訳ではないが、それでも悪い気はせず、再度VIPエリアのショーケース内にあるアイテムを見回る。
「……アラッド兄さん、あれとかどうですか」
「ほ~~~~ぅ。ふふ、良いんじゃないか? シルフィーに似合いそうだ」
「あなた、それ本気で言ってますの?」
アッシュが選んだマジックアイテムは腕輪タイプの物であり、黒と赤がメイン。
付与されている効果腕力の強化が主な内容。
「リエラ嬢、シルフィーは男であるアッシュよりも戦闘に興味がある……嫌がるアッシュを訓練に誘う様なタイプだが。因みに、現在主に使用してる武器は大剣。それでも、この腕輪が似合わないと思うか?」
アラッドの説明だけを聞けば、寧ろピッタリとしか思えなかった。
リエラはまだ学生であり、自分で金を稼いでいない。
それでも実家の爵位は高く、親から毎月それなりの小遣いを貰っている。
使う時には使うが、普段から散財するようなタイプではないリエラでも……どう考えても手を出せない額。
そんな金額の商品を、ガルーレはアラッドなら……ちょっと高いけど、買えそうだよね……と言った内容の言葉を口にした。
「え、いや……だって、アラッドってこれまでのBランクモンスターをソロで倒したり、私と出会う前にはAランクのモンスターとか倒してたじゃん。プライベートでもBランクのモンスターを倒して、それなりに規模が多い盗賊団をスティームと潰したりしてるって言ってたし、これぐらいなら払えなくもないと思って……だよね?」
「そうだな…………うん、そうだな。買えなくはないな」
リバーシやキャバリオンで儲けている額を除いた自身の財産をざっと思い浮かべ……ガルーレの言う通り、目の前のネックレスは購入出来なくはないと判断。
「そ、そうでし、たわね……それなら、納得ですわ」
モンスターの素材がランクによって高額で買い取られることはリエラも知っている。
プライベートでBランクモンスターを狩ったり、盗賊団を潰しているという情報は初耳ではあるが、アラッドの戦闘力の高さを実際に目にしたため、納得出来なくはない。
「それで、購入しますの?」
「いや、買わないかな」
従業員が細かい効果を説明しようとしたところで、アラッドは速攻で購入しないと口にし、従業員ははっきりと解るぐらい肩を落とした。
「そうですの? やはり、冒険者ですから……ダンジョンの宝箱から手に入れたい、といったところかしら」
「そうだな……そういう流れで見つけたのであれば、自分が身に付けることに違和感はない」
「口ぶりから察するに、あまりこういった店ではマジックアイテムや武器を購入したくない……と言ってるように聞こえますが」
リエラの言葉に、悪意や苛立ちはない。
ただ、アラッドが何を考えているのか知りたかった。
「いや、この前は……不可抗力ではあるが、別の店で一つ武器を購入した。全く買わないという訳ではないが、確かにあまり自分の為に購入しないようにしたいとは、思ってるな」
「? ラディア、冒険者は自分の装備にお金をかけるものではなくて?」
「基本はそうね。でも…………うん、解らなくはないかな」
「どういう事ですの?
「アラッドは、多分だけどあまり武器やマジックアイテムの性能に頼りたくないんだよね」
「簡単に言うと、そういう事になる」
道具の性能に頼りたくない。
その答えを聞き……リエラは納得出来るような、納得出来ないような……難しい表情を浮かべて頭を捻る。
「……それって、道具に頼らない強さを身に着けたいからってことかしら」
「大体そんな感じで合ってる。とはいえ、それは俺の個人的な考えだがな」
強く、高性能な道具を身に付けてばかりいては、本当の意味での強さが失われ、それが油断に繋がるのではないか。
冒険者なんだから、そんな事を考えて金をケチって、大怪我したり死ぬのはアホらしいだろと考える者はいる。
寧ろそういった考えを持つ者の方が圧倒的に多い。
ただ、アラッドの場合は冒険者という職業に就いているが、根っこの部分は求道者に近い。
それ故に強さなどに関する考え方が、他の同業者たちと違う。
「けど、アッシュにせがまれたら……買ってしまうかもな」
シスコンであり、ブラコンなアラッド。
少し、ほんの少しだけ揺れるアッシュだったが、やはりアラッドの弟。
直ぐに首を横に振った。
「嬉しいですけど、遠慮しておきます。僕は……どうせなら、自分で造りたい」
「はっはっは!!! そうか、お前らしいな。けど、折角VIPエリアに連れてきてもらったんだ。何も買わないってのは勿体ないよな」
立場的にはアラッドたちもVIPに入るかもしれないが、そう認定するまで多少時間が掛かってしまう。
わざわざ案内してくれたリエラの立場を立てる為に、何かしら購入しようと考えるも、あまりこれだという考えが浮かばない。
「ん~~~~……あっ、そうだ。なぁ、アッシュ。シルフィーの奴に似合いそうなやつを選んでくれないか」
「シルフィーに似合いそうな物、ですか……アラッド兄さんが選んだ方が良いと思いますけど」
「あいつの隣に一番長くいるのはアッシュだろ。頼むよ」
「…………分かりました」
隣にいるからといって何でも解る訳ではないが、それでも悪い気はせず、再度VIPエリアのショーケース内にあるアイテムを見回る。
「……アラッド兄さん、あれとかどうですか」
「ほ~~~~ぅ。ふふ、良いんじゃないか? シルフィーに似合いそうだ」
「あなた、それ本気で言ってますの?」
アッシュが選んだマジックアイテムは腕輪タイプの物であり、黒と赤がメイン。
付与されている効果腕力の強化が主な内容。
「リエラ嬢、シルフィーは男であるアッシュよりも戦闘に興味がある……嫌がるアッシュを訓練に誘う様なタイプだが。因みに、現在主に使用してる武器は大剣。それでも、この腕輪が似合わないと思うか?」
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