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七百三十八話 有益な関係?
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アッシュが何故、自分のあれこれを説明したにもかかわらず、自分はありだと思っていると口にしたリエラに何故? という疑問心を持つが……ガルーレやリエラ自身がそれを説明することはない。
周りで聞き耳を立てている者たちも、下手に語ろうという気はなかった。
「そうですか……こんな事を言うのは失礼だと思いますけど、変わり者ですね」
「あら、そうですか? アッシュも中々の変わり者だと思いますけど……ガルーレはどう思います?」
「私も同じ感想ですね~。兄弟揃って、面白い意味で変わり者だと思います~」
冒険者の道を進むと決めているのに、錬金術に興味を持ち、道草を食う。
自分でも圧倒的なセンス、天賦の才を持っている解っているにもかかわらず、兄に影響されて錬金術に興味を持ち、本格的にそちらの道に進もうと決めている。
(アッシュに関しては、代表戦で絶対に勝つためにどうするかって考えて、圧倒的な密度の訓練を続けるとかそういうのじゃなくて、無理矢理身体能力の限界を超える……リミッターを外す、だっけ? そういうのを思い付いて実行しちゃうあたり、本当に面白いのよね~~)
発想が違い、しかもその発想を実現させてしまうセンスが、才がある。
本当に面白過ぎる存在であった。
「……僕なんかより、アラッド兄さんとかスティームさんの方が興味を持たれる存在かと思いますけど」
「アッシュ~~~、よくお兄さんが言ってるじゃない。それはそれ、これはこれ」
「………………」
アッシュも言い訳として使う中で、非常に好んでいる言葉……それはそれ、これはこれ。
逆に自分が使われたからといって、ちょっと意味が解らない、とは返せなかった。
その後、リエラからの質問等が止まることなく、結局アッシュは祝勝会が終わるまで、基本的に捕まり続けることになった。
「アラッド兄さん、疲れました」
「あぁ、そうだな…………何にしても、俺としては少し珍しい光景ではあったよ」
思いっきり疲れており、それを隠そうとしない弟の頭を撫でるアラッド。
(俺がいない間、普通に学園で生活してる時には、ちょいちょい起こっている光景なのかもしれないが……今回は、相手が手強いな)
ラディア、ライホルトたち話しながらも、アラッドはアッシュたちの会話をある程度拾っており、リエラ・カルバトラという女子学生が、どれだけアッシュに対して本気なのか感じ取っていた。
「兄さん、少し楽しんでませんか?」
「そうか? そのつもりはないんだが…………まっ、自慢の弟がモテてるっていうのは、悪くない気分だったからな」
自慢の弟。
兄であるアラッドが、自分のことをそう言ってくれるのは、素直に嬉しかったアッシュ。
しかし、それはそれとしてリエラに質問攻めされているのを知っていたのであれば、助けてほしかったという思いもあった。
「……こういった事を、同級生たちの前で言えないですけど、基本的に放っておいてほしいです」
「うん、解ってはいたけど、お前はそういうとこ、こう……さっぱりしてるよな」
モテる事に関して、非常に興味がない。
そういった考え方、感覚を変えた方が良いとアラッドは余計なお節介をするつもりはない。
ただ、だからこそ本気でアッシュの事が気になっている女性がいるのは、やはり兄として嬉しく思う部分がある。
「えっとさ、怖がらせたりするつもりはないんだけど、あの人……リエラ・カルバトラさんは侯爵家の人間だったよね」
「そう……だったのか?」
「えぇ、そうですよ。彼女はアラッドと同じく、侯爵家の人間です」
フローレンスが肯定したことで、アラッドは頭を悩ませ……その侯爵家の令嬢に好意を持たれたアッシュに視線を向ける。
「………………割と、候補になるのかもな」
「っ!? あの、アラッド兄さん……本当に、僕はあの人に興味がありませんよ」
「あぁ、それは解ってる」
思春期特有の「ち、ちげぇし! べ、別に好きとかそんなんじゃねぇから!!」と、好きな人を言い当てられた時の中学生とは違い、本気で気になっておらず……興味すら持ってないのが、兄であるアラッドには解る。
「ただな……侯爵家の人間なんだろ。それを考えるとな……」
「アラッド兄さん、あの人はアルバース王国の貴族ではありませんよ」
「解ってる解ってる。確かにうちの実家が気を遣う必要はないと思うかもしれないが、更に上の人たちからすれば……悪くない、寧ろありだと思ってしまう可能性がある……と、俺は思う」
自信無さげな表情で、立場的に自分の上であるフローレンスに確認を取ると、難しげな表情で……苦笑いを浮かべながら、ゆっくりと頷いた。
「そう、ですね。アルバース王国とナルターク王国は、決して仲が悪い国ではありません。今回の代表戦も、どちらの若手たちが優秀かという自慢から、お茶目なところから始まった戦いです。交友関係を深める、という意味でもアッシュ君とリエラ・カルバトラさんとの婚姻は寧ろお互いに望むところになるかと」
「………………」
自分に逃げ場はないかと、普段からあまり感情が表に出ることが少ないアッシュにしては、珍しいほど絶望感が顔に表れていた。
周りで聞き耳を立てている者たちも、下手に語ろうという気はなかった。
「そうですか……こんな事を言うのは失礼だと思いますけど、変わり者ですね」
「あら、そうですか? アッシュも中々の変わり者だと思いますけど……ガルーレはどう思います?」
「私も同じ感想ですね~。兄弟揃って、面白い意味で変わり者だと思います~」
冒険者の道を進むと決めているのに、錬金術に興味を持ち、道草を食う。
自分でも圧倒的なセンス、天賦の才を持っている解っているにもかかわらず、兄に影響されて錬金術に興味を持ち、本格的にそちらの道に進もうと決めている。
(アッシュに関しては、代表戦で絶対に勝つためにどうするかって考えて、圧倒的な密度の訓練を続けるとかそういうのじゃなくて、無理矢理身体能力の限界を超える……リミッターを外す、だっけ? そういうのを思い付いて実行しちゃうあたり、本当に面白いのよね~~)
発想が違い、しかもその発想を実現させてしまうセンスが、才がある。
本当に面白過ぎる存在であった。
「……僕なんかより、アラッド兄さんとかスティームさんの方が興味を持たれる存在かと思いますけど」
「アッシュ~~~、よくお兄さんが言ってるじゃない。それはそれ、これはこれ」
「………………」
アッシュも言い訳として使う中で、非常に好んでいる言葉……それはそれ、これはこれ。
逆に自分が使われたからといって、ちょっと意味が解らない、とは返せなかった。
その後、リエラからの質問等が止まることなく、結局アッシュは祝勝会が終わるまで、基本的に捕まり続けることになった。
「アラッド兄さん、疲れました」
「あぁ、そうだな…………何にしても、俺としては少し珍しい光景ではあったよ」
思いっきり疲れており、それを隠そうとしない弟の頭を撫でるアラッド。
(俺がいない間、普通に学園で生活してる時には、ちょいちょい起こっている光景なのかもしれないが……今回は、相手が手強いな)
ラディア、ライホルトたち話しながらも、アラッドはアッシュたちの会話をある程度拾っており、リエラ・カルバトラという女子学生が、どれだけアッシュに対して本気なのか感じ取っていた。
「兄さん、少し楽しんでませんか?」
「そうか? そのつもりはないんだが…………まっ、自慢の弟がモテてるっていうのは、悪くない気分だったからな」
自慢の弟。
兄であるアラッドが、自分のことをそう言ってくれるのは、素直に嬉しかったアッシュ。
しかし、それはそれとしてリエラに質問攻めされているのを知っていたのであれば、助けてほしかったという思いもあった。
「……こういった事を、同級生たちの前で言えないですけど、基本的に放っておいてほしいです」
「うん、解ってはいたけど、お前はそういうとこ、こう……さっぱりしてるよな」
モテる事に関して、非常に興味がない。
そういった考え方、感覚を変えた方が良いとアラッドは余計なお節介をするつもりはない。
ただ、だからこそ本気でアッシュの事が気になっている女性がいるのは、やはり兄として嬉しく思う部分がある。
「えっとさ、怖がらせたりするつもりはないんだけど、あの人……リエラ・カルバトラさんは侯爵家の人間だったよね」
「そう……だったのか?」
「えぇ、そうですよ。彼女はアラッドと同じく、侯爵家の人間です」
フローレンスが肯定したことで、アラッドは頭を悩ませ……その侯爵家の令嬢に好意を持たれたアッシュに視線を向ける。
「………………割と、候補になるのかもな」
「っ!? あの、アラッド兄さん……本当に、僕はあの人に興味がありませんよ」
「あぁ、それは解ってる」
思春期特有の「ち、ちげぇし! べ、別に好きとかそんなんじゃねぇから!!」と、好きな人を言い当てられた時の中学生とは違い、本気で気になっておらず……興味すら持ってないのが、兄であるアラッドには解る。
「ただな……侯爵家の人間なんだろ。それを考えるとな……」
「アラッド兄さん、あの人はアルバース王国の貴族ではありませんよ」
「解ってる解ってる。確かにうちの実家が気を遣う必要はないと思うかもしれないが、更に上の人たちからすれば……悪くない、寧ろありだと思ってしまう可能性がある……と、俺は思う」
自信無さげな表情で、立場的に自分の上であるフローレンスに確認を取ると、難しげな表情で……苦笑いを浮かべながら、ゆっくりと頷いた。
「そう、ですね。アルバース王国とナルターク王国は、決して仲が悪い国ではありません。今回の代表戦も、どちらの若手たちが優秀かという自慢から、お茶目なところから始まった戦いです。交友関係を深める、という意味でもアッシュ君とリエラ・カルバトラさんとの婚姻は寧ろお互いに望むところになるかと」
「………………」
自分に逃げ場はないかと、普段からあまり感情が表に出ることが少ないアッシュにしては、珍しいほど絶望感が顔に表れていた。
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