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七百五話 理由説明、ただそれだけ
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「すまないな、店内を汚してしまって」
アラッドは店内にクロを入れてしまった詫びとして従業員に金貨一枚を渡した。
「二人共、まだ見るか?」
「いや、大丈夫かな」
「私もです」
「そうか。それなら出よう」
当然と言えば当然だが、店内にいる他の客たちだけではなく、従業員も含めて多くの視線がアラッドたちに向けられていた。
そういった状況にある程度耐性を持つようになったとはいえ、それでも良い気分ではない事に変わりはなかった。
「ふぅ~~~、やっぱりあぁなったか」
「いやぁ~~、超カッコ良かったよアラッド。ザ・ギャング? 裏の人間? って感じだったよ」
「……ガルーレ。絶対にバカにしてるだろ」
「いやいや、全く馬鹿にしてないって。どう考えても、普通の人間に出せる雰囲気じゃなかった。ねっ、フローレンスさん」
話を振られ……少々困った顔を浮かべるアラッド。
「そうですね……私としても、これまで見たことがなかったアラッドの顔が見れたと考えれば、あのような者たちにナンパされた意味もあったかと」
「そうかよ、ったく。はぁ~~~~、マジであの二人を連れてこなくて正解だったな」
「同僚としてあまりこういう事を言うべきではありませんが、私も同意見です」
「そりゃ良かった」
ソルとルーナが居た場合、明らかに話がややこしい方向に向かったか、カルロスト公爵家の名に泥を塗った可能性があった。
「でも、本当にアラッドの言う通りになったわね。いっつも思うけど、なんでナンパしたい男たちって、こっちが必要ないって断ってるのに、あんなしつこいんだろ」
「自分の何かに絶対的な自信があるからじゃないか? あの二人に関しては、顔のレベルはかなり高かっただろ」
「ん~~~~~、そりゃ悪くはなかったけど、ちょっと細いかな~? 別に細くても良い男はいるけど、もう少し強くないとね」
(ガルーレがそこまで望んだら、学生の中には殆ど要望に敵う奴らはいないんじゃないか?)
当然、アッシュという存在は例外である。
「そうかよ」
「そういえば、なんで絶対に絡まれるって解ってたの? 一応私たち、アラッドたちと一緒に行動してた訳じゃん」
十分と言える男避けがいるにもかかわらず、何故ナンパ野郎が違付いてきたのか、ガルーレは理解に苦しむ。
「全員が一目視ただけで、相手の戦闘力を把握出来る訳じゃない。加えて、お前ら二人が多少の危険を冒してでも、手に入れたい魅惑の華だったんだろ」
アラッドの言葉に、ポカーンとした表情を浮かべる二人。
そして直ぐにガルーレは小さく吹き出し、笑い始めた。
「あっはっは!!!! 魅惑の華? そりゃフローレンスさんはそうかもしれないけど、私に華なんて言葉は似合わないって!!」
「そうか? けど、これまでナンパされた経験は何度もあるんだろ。ガルーレ自身がそう思っていなくても、野郎たちから見ればガルーレは十分魅惑の華なんだろ」
今……アラッドは前世の年齢とほぼ重なっていた。
前世ではまだ人の長所を素直に、それらしい言葉を使って褒めることに変な恥ずかしさを感じていた。
しかし、今は特に人の長所を褒めることに、褒めることに使う言葉に恥ずかしさを一切感じていない。
「そ、そうかい」
「…………アラッド兄さん、今のはアラッド兄さんがナンパしたことになるんじゃないですか?」
「ん? なんでそうなるんだよ、アッシュ。俺はただ二人があぁいった連中にナンパされた事実を説明しただけだぞ」
「それはそうなんですが……」
兄弟だからこそ、アラッドが照れを隠している訳ではないことが解る。
「ふふ、そうですね。あなたはそういう人です。褒める時は、全く躊躇わない」
「躊躇っていないっつーか、別にわざわざ抑えて褒める必要もないだろ」
特に他意はないと説明するアラッド。
しかし、魅惑の華と褒められた二人は多少の差はあれど、確かに嬉しさを感じていた。
(これは……どうなんだろ? 本当にアラッドにそのつもりはないんだろうけど、二人ともまんざらじゃないって顔してるよね。まだ恋人とか婚約者とか、結婚とか全く考えてないとは言ってるけど……)
ストレートな褒め言葉が、勘違いさせることがあるんじゃない? とアラッドに伝えたとしても、だからといって友人が褒め方を変えるとは思えない。
(……けど、アラッドが褒め方を変えたら、それはそれで向こうに実は意識されてるのでは? って思わせてしまうのかな…………ん~~~~、感情って難しいな~~~)
本人はそういった自分の首を絞めている? 問題点について理解しているのだろうか……といった事をスティームが考えている間に、今度は武器をメインに売っている店へと到着。
「面倒だけど、今度は固まって動くぞ。何か見たい場所があれば言ってくれ」
学生にこれ以上バカを増やすなと伝えはしたが、昨日今日でナンパ野郎たちの学園中、その他の学園まで伝わるかは解らないため、反省して五人纏まって行動することにした。
こうすれば問題は起こらないだろうと思ったアラッド。
だが……それは今日一日が終わってみないことには解らない。
アラッドは店内にクロを入れてしまった詫びとして従業員に金貨一枚を渡した。
「二人共、まだ見るか?」
「いや、大丈夫かな」
「私もです」
「そうか。それなら出よう」
当然と言えば当然だが、店内にいる他の客たちだけではなく、従業員も含めて多くの視線がアラッドたちに向けられていた。
そういった状況にある程度耐性を持つようになったとはいえ、それでも良い気分ではない事に変わりはなかった。
「ふぅ~~~、やっぱりあぁなったか」
「いやぁ~~、超カッコ良かったよアラッド。ザ・ギャング? 裏の人間? って感じだったよ」
「……ガルーレ。絶対にバカにしてるだろ」
「いやいや、全く馬鹿にしてないって。どう考えても、普通の人間に出せる雰囲気じゃなかった。ねっ、フローレンスさん」
話を振られ……少々困った顔を浮かべるアラッド。
「そうですね……私としても、これまで見たことがなかったアラッドの顔が見れたと考えれば、あのような者たちにナンパされた意味もあったかと」
「そうかよ、ったく。はぁ~~~~、マジであの二人を連れてこなくて正解だったな」
「同僚としてあまりこういう事を言うべきではありませんが、私も同意見です」
「そりゃ良かった」
ソルとルーナが居た場合、明らかに話がややこしい方向に向かったか、カルロスト公爵家の名に泥を塗った可能性があった。
「でも、本当にアラッドの言う通りになったわね。いっつも思うけど、なんでナンパしたい男たちって、こっちが必要ないって断ってるのに、あんなしつこいんだろ」
「自分の何かに絶対的な自信があるからじゃないか? あの二人に関しては、顔のレベルはかなり高かっただろ」
「ん~~~~~、そりゃ悪くはなかったけど、ちょっと細いかな~? 別に細くても良い男はいるけど、もう少し強くないとね」
(ガルーレがそこまで望んだら、学生の中には殆ど要望に敵う奴らはいないんじゃないか?)
当然、アッシュという存在は例外である。
「そうかよ」
「そういえば、なんで絶対に絡まれるって解ってたの? 一応私たち、アラッドたちと一緒に行動してた訳じゃん」
十分と言える男避けがいるにもかかわらず、何故ナンパ野郎が違付いてきたのか、ガルーレは理解に苦しむ。
「全員が一目視ただけで、相手の戦闘力を把握出来る訳じゃない。加えて、お前ら二人が多少の危険を冒してでも、手に入れたい魅惑の華だったんだろ」
アラッドの言葉に、ポカーンとした表情を浮かべる二人。
そして直ぐにガルーレは小さく吹き出し、笑い始めた。
「あっはっは!!!! 魅惑の華? そりゃフローレンスさんはそうかもしれないけど、私に華なんて言葉は似合わないって!!」
「そうか? けど、これまでナンパされた経験は何度もあるんだろ。ガルーレ自身がそう思っていなくても、野郎たちから見ればガルーレは十分魅惑の華なんだろ」
今……アラッドは前世の年齢とほぼ重なっていた。
前世ではまだ人の長所を素直に、それらしい言葉を使って褒めることに変な恥ずかしさを感じていた。
しかし、今は特に人の長所を褒めることに、褒めることに使う言葉に恥ずかしさを一切感じていない。
「そ、そうかい」
「…………アラッド兄さん、今のはアラッド兄さんがナンパしたことになるんじゃないですか?」
「ん? なんでそうなるんだよ、アッシュ。俺はただ二人があぁいった連中にナンパされた事実を説明しただけだぞ」
「それはそうなんですが……」
兄弟だからこそ、アラッドが照れを隠している訳ではないことが解る。
「ふふ、そうですね。あなたはそういう人です。褒める時は、全く躊躇わない」
「躊躇っていないっつーか、別にわざわざ抑えて褒める必要もないだろ」
特に他意はないと説明するアラッド。
しかし、魅惑の華と褒められた二人は多少の差はあれど、確かに嬉しさを感じていた。
(これは……どうなんだろ? 本当にアラッドにそのつもりはないんだろうけど、二人ともまんざらじゃないって顔してるよね。まだ恋人とか婚約者とか、結婚とか全く考えてないとは言ってるけど……)
ストレートな褒め言葉が、勘違いさせることがあるんじゃない? とアラッドに伝えたとしても、だからといって友人が褒め方を変えるとは思えない。
(……けど、アラッドが褒め方を変えたら、それはそれで向こうに実は意識されてるのでは? って思わせてしまうのかな…………ん~~~~、感情って難しいな~~~)
本人はそういった自分の首を絞めている? 問題点について理解しているのだろうか……といった事をスティームが考えている間に、今度は武器をメインに売っている店へと到着。
「面倒だけど、今度は固まって動くぞ。何か見たい場所があれば言ってくれ」
学生にこれ以上バカを増やすなと伝えはしたが、昨日今日でナンパ野郎たちの学園中、その他の学園まで伝わるかは解らないため、反省して五人纏まって行動することにした。
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