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六百八十三話 失言
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フローレンスが、精霊同化を完成させた。
それを本人の口から聞いたアラッドは……全く驚いていなかった。
その反応がまた信者二人の苛立ちを買うも、アラッドからすれば……フローレンスであれば完成させていてもおかしくないだろうなという、期待に近い評価を持っていた。
「それで、あんたはどんな戦いを体験してきたんだ?」
「アラッドの冒険譚と比べれば、そこまで大したことはありませんよ。ここ最近記憶に残っている戦いと言えば……リザードマンの群れとの戦闘でしょうか」
「リザードマンか……そこら辺のモンスターより頭が回る奴らだから、群れだと面倒だったんじゃないか?」
今のアラッドにとっては全くもって手こずる相手ではない。
しかし、モンスターの中では知能が高い部類であり、群れとなれば当然リーダー的な存在がいる。
「そうですね。実は、紅色と蒼色のリザードマンがリーダーでして、非常に頭がキレる個体でした」
「??? 赤と、青……じゃなくて、紅と蒼、なのか?」
「えぇ、その通りです」
言葉から文字を読み取ったアラッドは、詳しく知らないリザードマンの上位種の存在に首を傾げる。
「出会った傍から部下たちに指示を飛ばし、多数の斬撃刃を飛ばしてきました」
「リザードマンの斬撃刃、ねぇ……部下のリザードマン数は数十ぐらいか?」
「おそらくですが、四十体弱はいたかと」
「…………あんたらが対応に当たって正解だったな」
リザードマンの数が四十弱。
Bランクの怪物がおらずとも、それだけで人間たちにとっては十分過ぎる脅威。
そこら辺の街では急襲されれば、半分は討伐出来ても、壊滅してしまう可能性すらある。
加えて紅と蒼色の鱗を持つ、どう考えても普通ではないリザードマンがいるとなれば……どう考えても冒険者たちの連合隊で挑まなければならない。
「最初の斬撃刃の嵐はなんとか対応出来ましたが、そこからがまた大変でした」
「リーダー格が二体もいれば、そりゃそうなるだろうな……スティーム、俺らの戦いの中で言えば、ビーストテイマーの盗賊がマウンテングリズリーだけじゃなくて、ホワイトタイガーまで従えていた感覚に近いか?」
「……多分、そうじゃないかな。けど、紅と蒼のリザードマン……二体のリーダー格のモンスターがいれば、部下のリザードマンたちは更に強化されたであろう状況を考えると、多分フローレンスさんたちが体験した戦いの方が予想外で過酷だったんじゃないかな」
自分たちの戦闘よりも、フローレンスたちの戦闘の方が過酷だったのではないか。
そんなスティームの発言を聞いた信者二人は、あからさまに機嫌が良くなり、表情に現れていた。
「リーダー系のモンスターって、大抵は面倒な指揮強化系のスキル? を持ってるからな…………それで、紅と蒼のリザードマンは、最終的にあんたが相手をしたのか?」
「えぇ。ウィリスと共に、なんとか討伐することが出来ました」
(なんとか討伐出来た、ねぇ…………まっ、嘘ではないか)
信者たちの悔しそうな表情はさておき、アラッドはフローレンスの表情……語り方から、言葉の真偽を疑った。
(嘘じゃないんだろうけど、百パーセントマジでもないみたいだな)
話を聞く限り、冒険者や騎士たちからすれば多数の仲間が傍にいたとしても、死という危機を感じざるを得ない状況。
しかし、その時の状況を話しているにもかかわらず……フローレンスの体や表情からは、全く恐怖の色が出ていない。
(ある程度の危機感は感じたけども、心底を振るえる程の恐怖は感じなかったってところか。そういえば、精霊って主人が強くなれば精霊自身も強くなるのか?)
アラッドの記憶が正しければ、トーナメントの決勝戦で戦ったフローレンスの精霊、ウィリスはそこら辺の令息や令嬢よりは断然強いが……それなりに経験値がある騎士よりは強いと感じなかった。
(……つっても、うちのクロだって成長してるんだし、まだまだ負けねぇって話だ)
相変わらずクロが可愛くて仕方ないアラッド。
「あの筋肉聖女フォームになって倒したんだな」
「「ぶふぉっ!!!!????」」
「「……ッ!!!!!!」」
約二名は唐突過ぎるインパクトワードに衝撃を受け、なんとか人がいない方向に向かって紅茶を吹き出すことに成功。
そしてやや遅れて……もう二名はそのインパクトワードが何を指しているのかに気付き、憤怒の表情を浮かべる。
「…………ふ、ふふふ」
だが、筋肉聖女というインパクトワードをぶつけられた本人は、ツボに入ったのか、小さく笑いだした。
「お、お前……どういうつもりだ!!!!!!」
インパクトワードをぶつけられた本人はあまり気にしておらず、寧ろ笑っているのだが……彼女に敬意を抱者たちからすれば、決して見逃せる言葉ではなかった。
「どういうつもりだと言われて、もぉ………………あぁ、そうか。悪かったな」
他にも人が居るとはいえ、フローレンスとばかり会話していたため、少しわきが甘くなっていたアラッド。
仕方ないと思い、謝罪の言葉を口にするが……当然、信者たちの憤怒がそれで収まる訳がなかった。
それを本人の口から聞いたアラッドは……全く驚いていなかった。
その反応がまた信者二人の苛立ちを買うも、アラッドからすれば……フローレンスであれば完成させていてもおかしくないだろうなという、期待に近い評価を持っていた。
「それで、あんたはどんな戦いを体験してきたんだ?」
「アラッドの冒険譚と比べれば、そこまで大したことはありませんよ。ここ最近記憶に残っている戦いと言えば……リザードマンの群れとの戦闘でしょうか」
「リザードマンか……そこら辺のモンスターより頭が回る奴らだから、群れだと面倒だったんじゃないか?」
今のアラッドにとっては全くもって手こずる相手ではない。
しかし、モンスターの中では知能が高い部類であり、群れとなれば当然リーダー的な存在がいる。
「そうですね。実は、紅色と蒼色のリザードマンがリーダーでして、非常に頭がキレる個体でした」
「??? 赤と、青……じゃなくて、紅と蒼、なのか?」
「えぇ、その通りです」
言葉から文字を読み取ったアラッドは、詳しく知らないリザードマンの上位種の存在に首を傾げる。
「出会った傍から部下たちに指示を飛ばし、多数の斬撃刃を飛ばしてきました」
「リザードマンの斬撃刃、ねぇ……部下のリザードマン数は数十ぐらいか?」
「おそらくですが、四十体弱はいたかと」
「…………あんたらが対応に当たって正解だったな」
リザードマンの数が四十弱。
Bランクの怪物がおらずとも、それだけで人間たちにとっては十分過ぎる脅威。
そこら辺の街では急襲されれば、半分は討伐出来ても、壊滅してしまう可能性すらある。
加えて紅と蒼色の鱗を持つ、どう考えても普通ではないリザードマンがいるとなれば……どう考えても冒険者たちの連合隊で挑まなければならない。
「最初の斬撃刃の嵐はなんとか対応出来ましたが、そこからがまた大変でした」
「リーダー格が二体もいれば、そりゃそうなるだろうな……スティーム、俺らの戦いの中で言えば、ビーストテイマーの盗賊がマウンテングリズリーだけじゃなくて、ホワイトタイガーまで従えていた感覚に近いか?」
「……多分、そうじゃないかな。けど、紅と蒼のリザードマン……二体のリーダー格のモンスターがいれば、部下のリザードマンたちは更に強化されたであろう状況を考えると、多分フローレンスさんたちが体験した戦いの方が予想外で過酷だったんじゃないかな」
自分たちの戦闘よりも、フローレンスたちの戦闘の方が過酷だったのではないか。
そんなスティームの発言を聞いた信者二人は、あからさまに機嫌が良くなり、表情に現れていた。
「リーダー系のモンスターって、大抵は面倒な指揮強化系のスキル? を持ってるからな…………それで、紅と蒼のリザードマンは、最終的にあんたが相手をしたのか?」
「えぇ。ウィリスと共に、なんとか討伐することが出来ました」
(なんとか討伐出来た、ねぇ…………まっ、嘘ではないか)
信者たちの悔しそうな表情はさておき、アラッドはフローレンスの表情……語り方から、言葉の真偽を疑った。
(嘘じゃないんだろうけど、百パーセントマジでもないみたいだな)
話を聞く限り、冒険者や騎士たちからすれば多数の仲間が傍にいたとしても、死という危機を感じざるを得ない状況。
しかし、その時の状況を話しているにもかかわらず……フローレンスの体や表情からは、全く恐怖の色が出ていない。
(ある程度の危機感は感じたけども、心底を振るえる程の恐怖は感じなかったってところか。そういえば、精霊って主人が強くなれば精霊自身も強くなるのか?)
アラッドの記憶が正しければ、トーナメントの決勝戦で戦ったフローレンスの精霊、ウィリスはそこら辺の令息や令嬢よりは断然強いが……それなりに経験値がある騎士よりは強いと感じなかった。
(……つっても、うちのクロだって成長してるんだし、まだまだ負けねぇって話だ)
相変わらずクロが可愛くて仕方ないアラッド。
「あの筋肉聖女フォームになって倒したんだな」
「「ぶふぉっ!!!!????」」
「「……ッ!!!!!!」」
約二名は唐突過ぎるインパクトワードに衝撃を受け、なんとか人がいない方向に向かって紅茶を吹き出すことに成功。
そしてやや遅れて……もう二名はそのインパクトワードが何を指しているのかに気付き、憤怒の表情を浮かべる。
「…………ふ、ふふふ」
だが、筋肉聖女というインパクトワードをぶつけられた本人は、ツボに入ったのか、小さく笑いだした。
「お、お前……どういうつもりだ!!!!!!」
インパクトワードをぶつけられた本人はあまり気にしておらず、寧ろ笑っているのだが……彼女に敬意を抱者たちからすれば、決して見逃せる言葉ではなかった。
「どういうつもりだと言われて、もぉ………………あぁ、そうか。悪かったな」
他にも人が居るとはいえ、フローレンスとばかり会話していたため、少しわきが甘くなっていたアラッド。
仕方ないと思い、謝罪の言葉を口にするが……当然、信者たちの憤怒がそれで収まる訳がなかった。
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