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六百七十四話 やっぱりこうなる
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「僕の勝ちですね」
「くっ……参りました」
「私の勝ちね!!」
「くっそ~~~~!! マジでつぇぜ!」
訓練場に戻ると、スティームたちが行っていた模擬戦が丁度終わった。
「おっ、戻って来たな、アラッド。なぁなぁ、この人たちクソ強くねぇか」
「リオの言う通りだよ。現役の冒険者が相手でも戦えると思ってたんだけど、どうやら思い上がってたみたいだよ」
二人の顔に悲壮感ははない。
ただ、無意識に伸びていた天狗の鼻をへし折られた。
そんな思いが顔に表れていた。
「二人がそこまで落ち込むことはないと思うぞ。スティームとガルーレはランクこそ俺と同じくCだが、スティームはホワイトタイガーを、ガルーレはブラックマンバを、Bランクのモンスターをそれぞれソロで倒してるんだ」
「い゛っ!!!??? そ、そいつはつぇ訳だぜ」
ぶっ飛んだ強さを持つ友人であるアラッドと共に行動している冒険者。
歳が割と近い存在とはいえ、弱いわけがない。
二人は模擬戦ということを忘れない程度に本気で戦った。
「それは僕たちも同じかな。ねぇ、アラッド。今時の学生は皆こんなに強いの?」
「そんな訳ないだろ。全員がベルやリオ並みに強かったら、どっかのバカか脳筋が真面目に領土を広げようと考え始めるっての」
乱世の時代などもう何十年、百年以上も前の話。
最近やや焦げ臭さを感じるものの、一応まだ平穏の世である。
「やっぱりこの子たちが飛び抜けてたのよね。さすがアラッドの友人ね」
「では、次は私とどうでしょうか」
一歩前に出て模擬戦を申し込んだのはレイだった。
(う、わ……止めるべきか?)
ただの模擬戦。
当たり前だが、レイにそれ以上の考えはない。
それはガルーレ……スティームも同じである。
「ん? どうしたんだい、アラッド。もしかしてレイが戦うのは止めたいとか?」
「そういう訳じゃないんですけど……」
「どうしたのよ、アラッド。ただ模擬戦するだけでしょ」
「……お前、結局俺と戦った時、ペイズ・サーベルス使っただろ」
「っ! い、いやぁ……そ、それはそうだけどさ」
「言っとておくが、レイ嬢が本気になれば速攻で引き出されるぞ」
アラッドの言葉を聞いたガルーレとスティームの表情に、僅かな緊張が走った。
「それとレイ嬢……二人がその気になれば、腕がとんでもおかしくない」
「むっ…………強いというのは解っているが、それほどなのか」
「それほどだ」
「まぁまぁ、アラッド。レイも二人も模擬戦だって言うのは解ってるんだからさ」
アレクはとりあえず戦らせてみても良いんじゃないかと口にするが、アラッドは一先ず……二人がどれだけヤバいのかを説明した。
「……仮に、俺が二人と本気で戦うのであれば、おそらく狂化を使います」
「「「「「「「っ……」」」」」」」
今度はアレクたちの顔に緊張が走った。
アラッドが狂化を使って戦う。
それがどれほどの事なのか……この場にいる全員が解っている。
「……で、でもな。アラッド。二人がやろうとしてるのは、模擬戦なんだぞ?」
「それは俺も解ってますよ。けど……どう考えても、熱くなったら二人が模擬戦の範囲で終わるかどうか心配で」
「「っ!!!」」
ギクッ!!! という効果音が聞こえてくるほど、肩を震わせたガルーレとレイ。
(いや、別に高品質のポーションがあるから、腕や足が切断されたり、骨や内臓がバキバキのベコベコになっても大丈夫といえば大丈夫なんだが……)
アラッドが過保護なのではないか? と言われれば、アラッドは素直に認めるだろう。
ただ、腕や脚が切断され、骨や内臓がズタボロになるのは、完全に模擬戦の範疇を飛び越えている。
それはそれで間違いなかった。
「…………………ヤバくなったら、俺が無理矢理止める。それでも良いなら、模擬戦をしても良いぞ」
「「っ!!!!」」
二人の顔がパァ~~~っと明るくなった。
二人がバトル好きであることは解っているため、無理に燃え上がった闘志を不完全燃焼させない方が良いなと判断。
「そこまで」
「「ッ!!!!????」」
「二人共、模擬戦だということを忘れただろ」
結局ガルーレのペイズ・サーベルスが発動してしまい、その気迫を受けたレイの瞳に本気の戦意が宿ってしまった。
そして勢い良く飛び出した二人を……糸で縛り上げて止めた。
(ったく、普通の糸じゃ絶対に止まらなかっただろうな)
大きなため息を吐きながら二人を解放。
「俺が言った言葉の意味、解っただろ」
「そうだね~~。確かにヤバかったよ」
「うむ、そうだな。結果としてアラッドの言う通りになってしまった。私もまだまだ未熟だ」
「解ってくれたようでなによりだ」
上手く止められたことにホッとしていると、リオが遠慮なしに思った事を口にした。
「やっべぇ~な。いや、ほんと……最後、絶対に俺と戦った時よりも強くなってた? よな……なぁアラッド、スティームさんが本気になったらどうなるんだ?」
「どうって…………本気の話か?」
「おぅおぅ。スティームさんの超本気の強さ」
「…………とりあえず、全員一回は負けるだろうな」
「「「「「「「っ!!!???」」」」」」」
友人や妹、弟たちの実力を低く見積もっているのではなく、アラッドは冷静にイメージし……冷静に答えた。
「くっ……参りました」
「私の勝ちね!!」
「くっそ~~~~!! マジでつぇぜ!」
訓練場に戻ると、スティームたちが行っていた模擬戦が丁度終わった。
「おっ、戻って来たな、アラッド。なぁなぁ、この人たちクソ強くねぇか」
「リオの言う通りだよ。現役の冒険者が相手でも戦えると思ってたんだけど、どうやら思い上がってたみたいだよ」
二人の顔に悲壮感ははない。
ただ、無意識に伸びていた天狗の鼻をへし折られた。
そんな思いが顔に表れていた。
「二人がそこまで落ち込むことはないと思うぞ。スティームとガルーレはランクこそ俺と同じくCだが、スティームはホワイトタイガーを、ガルーレはブラックマンバを、Bランクのモンスターをそれぞれソロで倒してるんだ」
「い゛っ!!!??? そ、そいつはつぇ訳だぜ」
ぶっ飛んだ強さを持つ友人であるアラッドと共に行動している冒険者。
歳が割と近い存在とはいえ、弱いわけがない。
二人は模擬戦ということを忘れない程度に本気で戦った。
「それは僕たちも同じかな。ねぇ、アラッド。今時の学生は皆こんなに強いの?」
「そんな訳ないだろ。全員がベルやリオ並みに強かったら、どっかのバカか脳筋が真面目に領土を広げようと考え始めるっての」
乱世の時代などもう何十年、百年以上も前の話。
最近やや焦げ臭さを感じるものの、一応まだ平穏の世である。
「やっぱりこの子たちが飛び抜けてたのよね。さすがアラッドの友人ね」
「では、次は私とどうでしょうか」
一歩前に出て模擬戦を申し込んだのはレイだった。
(う、わ……止めるべきか?)
ただの模擬戦。
当たり前だが、レイにそれ以上の考えはない。
それはガルーレ……スティームも同じである。
「ん? どうしたんだい、アラッド。もしかしてレイが戦うのは止めたいとか?」
「そういう訳じゃないんですけど……」
「どうしたのよ、アラッド。ただ模擬戦するだけでしょ」
「……お前、結局俺と戦った時、ペイズ・サーベルス使っただろ」
「っ! い、いやぁ……そ、それはそうだけどさ」
「言っとておくが、レイ嬢が本気になれば速攻で引き出されるぞ」
アラッドの言葉を聞いたガルーレとスティームの表情に、僅かな緊張が走った。
「それとレイ嬢……二人がその気になれば、腕がとんでもおかしくない」
「むっ…………強いというのは解っているが、それほどなのか」
「それほどだ」
「まぁまぁ、アラッド。レイも二人も模擬戦だって言うのは解ってるんだからさ」
アレクはとりあえず戦らせてみても良いんじゃないかと口にするが、アラッドは一先ず……二人がどれだけヤバいのかを説明した。
「……仮に、俺が二人と本気で戦うのであれば、おそらく狂化を使います」
「「「「「「「っ……」」」」」」」
今度はアレクたちの顔に緊張が走った。
アラッドが狂化を使って戦う。
それがどれほどの事なのか……この場にいる全員が解っている。
「……で、でもな。アラッド。二人がやろうとしてるのは、模擬戦なんだぞ?」
「それは俺も解ってますよ。けど……どう考えても、熱くなったら二人が模擬戦の範囲で終わるかどうか心配で」
「「っ!!!」」
ギクッ!!! という効果音が聞こえてくるほど、肩を震わせたガルーレとレイ。
(いや、別に高品質のポーションがあるから、腕や足が切断されたり、骨や内臓がバキバキのベコベコになっても大丈夫といえば大丈夫なんだが……)
アラッドが過保護なのではないか? と言われれば、アラッドは素直に認めるだろう。
ただ、腕や脚が切断され、骨や内臓がズタボロになるのは、完全に模擬戦の範疇を飛び越えている。
それはそれで間違いなかった。
「…………………ヤバくなったら、俺が無理矢理止める。それでも良いなら、模擬戦をしても良いぞ」
「「っ!!!!」」
二人の顔がパァ~~~っと明るくなった。
二人がバトル好きであることは解っているため、無理に燃え上がった闘志を不完全燃焼させない方が良いなと判断。
「そこまで」
「「ッ!!!!????」」
「二人共、模擬戦だということを忘れただろ」
結局ガルーレのペイズ・サーベルスが発動してしまい、その気迫を受けたレイの瞳に本気の戦意が宿ってしまった。
そして勢い良く飛び出した二人を……糸で縛り上げて止めた。
(ったく、普通の糸じゃ絶対に止まらなかっただろうな)
大きなため息を吐きながら二人を解放。
「俺が言った言葉の意味、解っただろ」
「そうだね~~。確かにヤバかったよ」
「うむ、そうだな。結果としてアラッドの言う通りになってしまった。私もまだまだ未熟だ」
「解ってくれたようでなによりだ」
上手く止められたことにホッとしていると、リオが遠慮なしに思った事を口にした。
「やっべぇ~な。いや、ほんと……最後、絶対に俺と戦った時よりも強くなってた? よな……なぁアラッド、スティームさんが本気になったらどうなるんだ?」
「どうって…………本気の話か?」
「おぅおぅ。スティームさんの超本気の強さ」
「…………とりあえず、全員一回は負けるだろうな」
「「「「「「「っ!!!???」」」」」」」
友人や妹、弟たちの実力を低く見積もっているのではなく、アラッドは冷静にイメージし……冷静に答えた。
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