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六百五十一話 結果は……
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「ちくしょうっ!!!!! クソったれが!!!!!」
「しゃあねぇって諦めるしかねぇよ」
「本当に抜けるのか怪しいしね」
「もしかしたら、誰も抜けないかもしれない。だからそんなに怒ることはない」
「ちっ……それでもプライドは傷付くってもんだ」
力が自慢であろう虎人族の獣人が剛柔の引き抜きに挑戦するが、これまで挑戦してきた冒険者たちと同じく、剛柔はピクリとも動かなかった。
強化系のスキルを使用し、全身に魔力を纏い……更にはマジックアイテムの腕輪を装着して腕力を更に強化したにもかかわらず……成果はゼロ。
これまで挑戦してきた冒険者たちが、同じく素の身体能力ではなく、あれこれ自身の身体能力を強化して挑んだのは知っている。
それでも、男の腕力自慢としてのプライドが傷付いたことに変わりはなかった。
「ようやく俺たちの番か」
本人が口にした通り、ようやっとアラッドたちの番が回ってきた。
「……誰が挑戦する?」
ここにきて、アラッドは再度誰が剛柔を抜くのに挑戦するのかを尋ねた。
「「アラッドでしょ」」
「ワゥ!!!」
「クルルルゥ」
スティームとガルーレは当然といった顔でアラッドを指さし、クロも二人の意見に同意するように吠える。
スティームの従魔であるファルとしては、主人であるスティームに引き抜いて欲しいという思いはあるが……その主人がアラッドをリーダーとして認めていることは解っている。
加えて、ファル自身もアラッドが強者であるという事は、出会った時から認めているため、異論はない。
「分かった。ありがとな」
仲間たちに礼を言い、ゆっくり山頂に突き刺さっている剛柔の柄に手をかける。
(まずは……素の状態でやってみるか)
スキル、魔力などを使わずに全力で。
そう……素の状態とはいえ、アラッドは全力で引き抜こうとした。
「っ!!!!????」
次の瞬間…………アラッドの体は超エビぞり状態になっていた。
「っ~~~~~~~~、ぬぅおらっ!!!!!!!!!」
後ほんの数センチでごつごつとした地面に頭部が激突していてもおかしくない状態から、なんとか体を起こすことに成功。
「はぁ、はぁ、はぁ…………ぬ、抜けたって……ことで、良いのか」
間違いなく……間違いなく、自身の両手にはかつての英雄、エルス・エスペラーサが使用していた名剣、剛柔が握られている。
その嬉しい事実よりも、アラッドはもしあのままのけ反った勢いを止められず、ごつごつとした地面に頭が激突していたらという恐怖が勝っていた。
勢い良く地面に頭をぶつけたら、最悪死んでもおかしくない。
異世界の住人であったアラッド……工藤英二としては、当然すぎる感覚。
ただ……ぶっちゃけた話、アラッドの頭がごつごつとした地面に勢い良くぶつかれば……確かに、痛みは感じる。皮膚が切れて血が流れるかもしれない。
しかし、結果はごつごつとした地面が負け、小さなクレーターが生まれることになる。
「やったじゃん、アラッド!!!!!」
「お、おぅ……そうだな」
「あ、アラッド! 頭ぶつけてない? 大丈夫!?」
「大丈夫だ、スティーム。ギリギリ……本当にギリギリのところで止まったから、頭に傷はついてないぞ」
「よ、良かった~~~~~~」
引き抜こうとした体勢から、いきなりブリッジに近い体勢になった友人。
本人の顔にも……しっかり驚きの色が滲み出ており、その体勢からなんとか上体を起こしたアラッドに、同業者たちは無意識に拍手を送っていた。
「こいつが……剛柔か」
外見はそこまで派手ではない。
とはいえ、貧相に思える装飾ではなく、バカであっても品を感じさせる。
「……ちょっと、振るってみるか」
得物を振るう場所としては、やや不安定なところだが、アラッドはそんな事お構いなしに剛柔を振るい始めた。
斜めに振り下ろし、今度は切り上げ……流れるような動きで刺突を放つ。
次は目の前に人型の敵がいるというイメージの元、実戦に近い動きで振るい始める。
「「「「「「「「「「………………」」」」」」」」」」
既に剛柔は同業者の手によって引き抜かれてしまった。
であれば、普通に考えればもう自分たちがここにいる必要はない。
さっさと下山するに限るのだが……アラッドが剛柔を振るう間、誰一人としてその場から離れようとはせず、ただただ同業者が名剣を振るう光景を見続けた。
「………………名剣、か。スティーム、ちょっと振るってみろよ」
「えっ、おわっと!!??」
剛柔を放られ、慌ててキャッチするスティーム。
アラッドが何を言ったのかは理解出来るが、スティームは双剣使い。
一応ロングソードを使った戦闘も出来なくはないが、間違いなく本職ではないと断言出来る。
「良いから」
「……分かったよ」
まだ先程アラッドの演武とも見て取れる光景に魅入っていた冒険者たちは移動していなかった。
つまり、今度は自分にいくつもの眼を向けられていると……解っていた筈なのに、スティームは不安定な場所で剛柔を振り始めた。
すると……自分の体に対して、何かがおかしいと感じ始めた。
「しゃあねぇって諦めるしかねぇよ」
「本当に抜けるのか怪しいしね」
「もしかしたら、誰も抜けないかもしれない。だからそんなに怒ることはない」
「ちっ……それでもプライドは傷付くってもんだ」
力が自慢であろう虎人族の獣人が剛柔の引き抜きに挑戦するが、これまで挑戦してきた冒険者たちと同じく、剛柔はピクリとも動かなかった。
強化系のスキルを使用し、全身に魔力を纏い……更にはマジックアイテムの腕輪を装着して腕力を更に強化したにもかかわらず……成果はゼロ。
これまで挑戦してきた冒険者たちが、同じく素の身体能力ではなく、あれこれ自身の身体能力を強化して挑んだのは知っている。
それでも、男の腕力自慢としてのプライドが傷付いたことに変わりはなかった。
「ようやく俺たちの番か」
本人が口にした通り、ようやっとアラッドたちの番が回ってきた。
「……誰が挑戦する?」
ここにきて、アラッドは再度誰が剛柔を抜くのに挑戦するのかを尋ねた。
「「アラッドでしょ」」
「ワゥ!!!」
「クルルルゥ」
スティームとガルーレは当然といった顔でアラッドを指さし、クロも二人の意見に同意するように吠える。
スティームの従魔であるファルとしては、主人であるスティームに引き抜いて欲しいという思いはあるが……その主人がアラッドをリーダーとして認めていることは解っている。
加えて、ファル自身もアラッドが強者であるという事は、出会った時から認めているため、異論はない。
「分かった。ありがとな」
仲間たちに礼を言い、ゆっくり山頂に突き刺さっている剛柔の柄に手をかける。
(まずは……素の状態でやってみるか)
スキル、魔力などを使わずに全力で。
そう……素の状態とはいえ、アラッドは全力で引き抜こうとした。
「っ!!!!????」
次の瞬間…………アラッドの体は超エビぞり状態になっていた。
「っ~~~~~~~~、ぬぅおらっ!!!!!!!!!」
後ほんの数センチでごつごつとした地面に頭部が激突していてもおかしくない状態から、なんとか体を起こすことに成功。
「はぁ、はぁ、はぁ…………ぬ、抜けたって……ことで、良いのか」
間違いなく……間違いなく、自身の両手にはかつての英雄、エルス・エスペラーサが使用していた名剣、剛柔が握られている。
その嬉しい事実よりも、アラッドはもしあのままのけ反った勢いを止められず、ごつごつとした地面に頭が激突していたらという恐怖が勝っていた。
勢い良く地面に頭をぶつけたら、最悪死んでもおかしくない。
異世界の住人であったアラッド……工藤英二としては、当然すぎる感覚。
ただ……ぶっちゃけた話、アラッドの頭がごつごつとした地面に勢い良くぶつかれば……確かに、痛みは感じる。皮膚が切れて血が流れるかもしれない。
しかし、結果はごつごつとした地面が負け、小さなクレーターが生まれることになる。
「やったじゃん、アラッド!!!!!」
「お、おぅ……そうだな」
「あ、アラッド! 頭ぶつけてない? 大丈夫!?」
「大丈夫だ、スティーム。ギリギリ……本当にギリギリのところで止まったから、頭に傷はついてないぞ」
「よ、良かった~~~~~~」
引き抜こうとした体勢から、いきなりブリッジに近い体勢になった友人。
本人の顔にも……しっかり驚きの色が滲み出ており、その体勢からなんとか上体を起こしたアラッドに、同業者たちは無意識に拍手を送っていた。
「こいつが……剛柔か」
外見はそこまで派手ではない。
とはいえ、貧相に思える装飾ではなく、バカであっても品を感じさせる。
「……ちょっと、振るってみるか」
得物を振るう場所としては、やや不安定なところだが、アラッドはそんな事お構いなしに剛柔を振るい始めた。
斜めに振り下ろし、今度は切り上げ……流れるような動きで刺突を放つ。
次は目の前に人型の敵がいるというイメージの元、実戦に近い動きで振るい始める。
「「「「「「「「「「………………」」」」」」」」」」
既に剛柔は同業者の手によって引き抜かれてしまった。
であれば、普通に考えればもう自分たちがここにいる必要はない。
さっさと下山するに限るのだが……アラッドが剛柔を振るう間、誰一人としてその場から離れようとはせず、ただただ同業者が名剣を振るう光景を見続けた。
「………………名剣、か。スティーム、ちょっと振るってみろよ」
「えっ、おわっと!!??」
剛柔を放られ、慌ててキャッチするスティーム。
アラッドが何を言ったのかは理解出来るが、スティームは双剣使い。
一応ロングソードを使った戦闘も出来なくはないが、間違いなく本職ではないと断言出来る。
「良いから」
「……分かったよ」
まだ先程アラッドの演武とも見て取れる光景に魅入っていた冒険者たちは移動していなかった。
つまり、今度は自分にいくつもの眼を向けられていると……解っていた筈なのに、スティームは不安定な場所で剛柔を振り始めた。
すると……自分の体に対して、何かがおかしいと感じ始めた。
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