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六百二十八話 男だけじゃないんだよ
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「二人の話を聞く限り……アッシュ君? だっけ。その子が一番気になるかな~」
「アッシュかぁ…………そういうのに一番興味がないタイプだぞ」
「アマゾネスとしては、そういう異性をどう自分に興味を持たせるかも、一種の楽しみな部分よ」
「タフだな~」
兄であるアラッドの言う通り、アッシュは本当にそういう事に興味がない。
父親と母親譲りの良い顔は持っているため、令嬢たちから人気はあったものの……今では顔は綺麗だけど変人ポジションに収まっている。
実は男好きや既にEDといった訳ではなく、本当に殆どの興味が錬金術に向いてしまっている。
とはいえ、コミュ障ということはなく普通に同性や異性と会話することは出来る。
ただ……錬金術が大好きなため、お茶会などに誘われても全く応えない。
「まぁ、そうだな。錬金術に使える珍しい素材を大量に持っていったら、少しは興味を持たれるかもな」
「なるほどなるほど~~~……って、それって興味を持たれたとしても、体の良いパシリでってことじゃないの?」
「はっはっは、確かにそうとも言うかもな」
「えぇ~~~。それじゃあ意味無いじゃない」
「アッシュに異性として興味を持たれるっていうのは、それぐらい珍しいってことなんだよ」
学園でも、異性の友人は……決してゼロではない。
ただ、相手が少しそういう気を持って話題を提案したり、何かに誘ったとしても、本人が望んだとおりの結末にはならない。
アッシュは既に何名かの女子学生から告白されているが、その全てを断っている。
錬金術に関わる話であれば普段以上に饒舌になり、偶に…………偶に、本当に楽しんでる時に殺傷能力が非常に高い笑みが零れ、グングニルが如く乙女のハートを射抜く。
だが……その笑みはあくまでも友人と錬金術の話をしているからこそ、零れる笑み。
その笑みを見るのが自分だけであり、自分だけの物にしたいと思って行動したとしても……よっぽどその女子学生に興味がない限り、まず一対一のデートすら出来ない。
「む~~~。そこら辺、お兄ちゃんとして心配に思わないの?」
「多少心配ではあるけど……殆どの興味が錬金術に向いてしまってるアッシュに、無理にそういう事にも興味を持ったらどうだって伝えるのもな……俺も俺で趣味に時間を使うタイプだったからな」
アラッドにとってクソ苦手、厄介だと感じていたのは社交界。
そこまで会話が合う者はおらず、場合によっては親の威を借りた子供の自慢話が始まる。
アッシュにとって、アラッドのそれが恋愛に当てはまる。
寧ろ更に酷いと言っても過言ではない。
何が酷いって?
相手が自分のそういう感情を狙い、自分が関心を持つネタで話しかけてきても……本当の意図を理解せず、無意識に零す殺傷能力抜群の笑み。
アッシュに声を掛けてきた異性を落そうなどという意志はこれっぽっちも無いにも関わらず、無意識に沼らせてしまう。
今のところアラッドが危ないお薬を使用した同級生に襲われる様な件は起きていないが、双子であるシルフィーはもしかしたら兄と似た様な件がアッシュの身に降りかかるのではないかと、本気で心配している。
とはいえ、アッシュにお前の笑みは危険すぎるから、一生笑うな!!!! なんて人生の一部を縛る様な言葉を掛けられるわけがない。
「……異性に興味はないけど……ギーラスさんやアラッドの弟なんだよね。それなら絶対にカッコいいし……無意識に女子生徒を落しちゃったりしてるんじゃないのかな」
「無意識、か…………それはありそうだな」
「それって結構後々面倒になる問題なんじゃないの? ほら、女の子に慣れてない冒険者が受付嬢に優しくされたら、もしかしたら俺の事が好きなんじゃ!!! って勝手に舞い上がっちゃうみたいに」
非常に解り易い説明であり、おそらくガルーレも過去にやってしまったのが窺える。
「アッシュは良い顔持ってるからな…………あり得そうではあるな」
そういう話を聞いていないアラッド。
しかし、アラッドが知らないだけで既にグングニルでハートを貫かれ、その後ボロボロに崩れてしまう女子生徒が……今のところ数名で留まっている。
「そうなっちゃうと、そういうのはストーカー? になりやすいのよ」
「ストーカーねぇ……絶対にないとは言えないが、でも対象が女慣れしてない男性冒険者じゃなくて、貴族出身の令嬢なんだぞ。顔が整っているのが殆どだ。そりゃ失恋の悲しみは個人差あれど辛いとは思うが、そんな簡単に豹変するか?」
「ん~~~~…………アッシュ君と楽しく話せる子って、同じく錬金術に強い興味がある子でしょ。ちょっと偏見になっちゃうからあれだけど、そういうのに興味を持ってる子は興味があることに全パワーを使っちゃうから、イケメンに優しくされる耐性がない気がするんだよね~」
「だから、元々それなりのレベルの顔を持ってても、そこに自信なんてないからその失恋を引きずって豹変するかもしれないってことか」
「可能性の話だけどね。でも、何もストーカーになっちゃうのは男だけじゃないって話」
割と何でも興味を持って話すアラッドは……そこら辺の細かい理由、要因について話すのは楽しいが……もし弟の身に危機が迫っていると考えると、シルフィーと同じくかなり心配になってきた。
「アッシュかぁ…………そういうのに一番興味がないタイプだぞ」
「アマゾネスとしては、そういう異性をどう自分に興味を持たせるかも、一種の楽しみな部分よ」
「タフだな~」
兄であるアラッドの言う通り、アッシュは本当にそういう事に興味がない。
父親と母親譲りの良い顔は持っているため、令嬢たちから人気はあったものの……今では顔は綺麗だけど変人ポジションに収まっている。
実は男好きや既にEDといった訳ではなく、本当に殆どの興味が錬金術に向いてしまっている。
とはいえ、コミュ障ということはなく普通に同性や異性と会話することは出来る。
ただ……錬金術が大好きなため、お茶会などに誘われても全く応えない。
「まぁ、そうだな。錬金術に使える珍しい素材を大量に持っていったら、少しは興味を持たれるかもな」
「なるほどなるほど~~~……って、それって興味を持たれたとしても、体の良いパシリでってことじゃないの?」
「はっはっは、確かにそうとも言うかもな」
「えぇ~~~。それじゃあ意味無いじゃない」
「アッシュに異性として興味を持たれるっていうのは、それぐらい珍しいってことなんだよ」
学園でも、異性の友人は……決してゼロではない。
ただ、相手が少しそういう気を持って話題を提案したり、何かに誘ったとしても、本人が望んだとおりの結末にはならない。
アッシュは既に何名かの女子学生から告白されているが、その全てを断っている。
錬金術に関わる話であれば普段以上に饒舌になり、偶に…………偶に、本当に楽しんでる時に殺傷能力が非常に高い笑みが零れ、グングニルが如く乙女のハートを射抜く。
だが……その笑みはあくまでも友人と錬金術の話をしているからこそ、零れる笑み。
その笑みを見るのが自分だけであり、自分だけの物にしたいと思って行動したとしても……よっぽどその女子学生に興味がない限り、まず一対一のデートすら出来ない。
「む~~~。そこら辺、お兄ちゃんとして心配に思わないの?」
「多少心配ではあるけど……殆どの興味が錬金術に向いてしまってるアッシュに、無理にそういう事にも興味を持ったらどうだって伝えるのもな……俺も俺で趣味に時間を使うタイプだったからな」
アラッドにとってクソ苦手、厄介だと感じていたのは社交界。
そこまで会話が合う者はおらず、場合によっては親の威を借りた子供の自慢話が始まる。
アッシュにとって、アラッドのそれが恋愛に当てはまる。
寧ろ更に酷いと言っても過言ではない。
何が酷いって?
相手が自分のそういう感情を狙い、自分が関心を持つネタで話しかけてきても……本当の意図を理解せず、無意識に零す殺傷能力抜群の笑み。
アッシュに声を掛けてきた異性を落そうなどという意志はこれっぽっちも無いにも関わらず、無意識に沼らせてしまう。
今のところアラッドが危ないお薬を使用した同級生に襲われる様な件は起きていないが、双子であるシルフィーはもしかしたら兄と似た様な件がアッシュの身に降りかかるのではないかと、本気で心配している。
とはいえ、アッシュにお前の笑みは危険すぎるから、一生笑うな!!!! なんて人生の一部を縛る様な言葉を掛けられるわけがない。
「……異性に興味はないけど……ギーラスさんやアラッドの弟なんだよね。それなら絶対にカッコいいし……無意識に女子生徒を落しちゃったりしてるんじゃないのかな」
「無意識、か…………それはありそうだな」
「それって結構後々面倒になる問題なんじゃないの? ほら、女の子に慣れてない冒険者が受付嬢に優しくされたら、もしかしたら俺の事が好きなんじゃ!!! って勝手に舞い上がっちゃうみたいに」
非常に解り易い説明であり、おそらくガルーレも過去にやってしまったのが窺える。
「アッシュは良い顔持ってるからな…………あり得そうではあるな」
そういう話を聞いていないアラッド。
しかし、アラッドが知らないだけで既にグングニルでハートを貫かれ、その後ボロボロに崩れてしまう女子生徒が……今のところ数名で留まっている。
「そうなっちゃうと、そういうのはストーカー? になりやすいのよ」
「ストーカーねぇ……絶対にないとは言えないが、でも対象が女慣れしてない男性冒険者じゃなくて、貴族出身の令嬢なんだぞ。顔が整っているのが殆どだ。そりゃ失恋の悲しみは個人差あれど辛いとは思うが、そんな簡単に豹変するか?」
「ん~~~~…………アッシュ君と楽しく話せる子って、同じく錬金術に強い興味がある子でしょ。ちょっと偏見になっちゃうからあれだけど、そういうのに興味を持ってる子は興味があることに全パワーを使っちゃうから、イケメンに優しくされる耐性がない気がするんだよね~」
「だから、元々それなりのレベルの顔を持ってても、そこに自信なんてないからその失恋を引きずって豹変するかもしれないってことか」
「可能性の話だけどね。でも、何もストーカーになっちゃうのは男だけじゃないって話」
割と何でも興味を持って話すアラッドは……そこら辺の細かい理由、要因について話すのは楽しいが……もし弟の身に危機が迫っていると考えると、シルフィーと同じくかなり心配になってきた。
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