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五百九十二話 怒りに触れた
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(は、はっはっは!!!! おいおい、こんな事あるのか!!! まだ神は……いや、ただの神じゃなくて、闘神はまだ俺たちを見捨ててなかったってことかっ!!??)
間違いなく、戻ってきた水蓮のメンバーは憔悴しきっており、テンションだだ下がりの状態。
加えて、エースであろう女性冒険者が「待ってくれ!!」と叫んだ。
というか、現在ダッシュで二人の後を付いてきている。
(水蓮のメンバーだけがやられてるとは思えない。二体の火竜も重傷を負ってるだろうけど、追い詰められた獣の方が恐ろしいことは良くあること!!)
もう……胸の高鳴りが抑えられない。
戦える時間は一分にも満たない……もしかしたら三十秒程度で終わってしまうかもしれない。
しかし、それでも構わないという思いすらあった。
それは火竜と戦えることをアラッド以上に期待していたスティームも同じ。
後方からちょくちょく叫び声が聞こえてくるものの、そんな事……どうでも良かった。
二人はまだ残っている強烈な気配を辿り、スタミナなど気にせず全力で走った。
「おいおい……待て待て……どういう事だ」
目の前には、確かに火属性のドラゴンがいる。
そう……火竜と同じく、ドラゴンというモンスターであることに変わりはなかった。
(実際に火竜を見たことがある訳じゃない。でも、こいつは……)
そもそもの問題として、二人の前には一体の火竜しかいなかった。
「なっ!? こ、こいつは……どういう、ことなんだ」
追い付いた水蓮のメンバーであり、今回の派遣隊のエース……熱喰らいの二つ名を持つ女性冒険者、アリファは……
目の前のモンスターに見覚えがなかった。
「……ギィイィィイイアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!!!!!!!!!」
再び自身の元に現れた人間の姿を見下ろしながら……一体のドラゴンは山全体を揺るがすほどの咆哮を放った。
(っ!!!??? こいつは…………なんで居るのか解らない。ただ、どう考えてもそのランクなのは間違いない)
目の前で悠然とアラッドたちを見降ろすドラゴンは……火竜ではなく、轟炎竜。
火竜の上位種にあたる存在であり、ランクはA。
何故、ランクAのドラゴンがウグリール山にいて、先程まで水蓮のメンバーと戦っていた筈の二体の火竜がいないのか。
原因は水蓮のメンバーと戦っていた時まで遡る。
今回の派遣隊のエースであるアリファは……熱喰らいの二つ名の通り、火を食らい……自分の力に変える事が出来る。
属性魔力を持つ者に極稀に現れる現象。
喰らえるのは魔力を含む火と限定されており、森林火災などを抑えられる訳ではない。
ただ、それでも攻撃だけではなく防御などにも使用出来る、極めて優れた能力。
加えて、アリファは同じ効果を持つ魔剣、フレイムイーターを装備している。
水魔法をメインで攻めるといった手段より、よっぽど優れた対策と言える。
その対策通り……アリファたちは戦闘が始まってから、優位に戦いを進められていた。
誰かが負傷することはあれど、事前に作戦を練ってイメージを共有していたこともあり、即座に回復を行い……このままいけば全員重傷を負うことなく倒せる……そう、全員が思っていた。
だが……最後にアリファが火竜のブレスを食らい、自身の火もブレンドさせ……二体を一度にぶった斬るほどの斬撃を放った。
その特大炎刃は……結果として、二体に致命傷を負わせた。
他の冒険者たちもあと一歩で倒せると、油断はしていなかった。
既に攻めの姿勢を取っていたが……次の瞬間、強烈な怒りが彼等を襲った。
これまでモンスター、同じ人間などから多くの怒りをぶつけられ、耐性が付いてた。
そんな彼らが、脚を止めてしまった。
自分の火を利用された……加えて、敵の火で致命傷を受けた。
この二つが二体の怒りを爆発させた。
結果、二体揃って放たれた特大のブレスはアリファのキャパを越え、防御失敗。
ほんの数瞬ではあるが体が止まってしまっていたこともあり、他のメンバーも殆ど防御が間に合わなかった。
行動不能なメンバーもいたため、アリファやベテラン組は撤退を選択。
そんなあ水蓮のメンバーを……二体の火竜は負わなかった。
怒りこそ爆発したが、逆鱗状態になることはなかったため、死ぬまで水蓮のメンバーを追いかけまわすことはなかった。
しかし、魔力も尽きかけており、なによりアリファが放った炎刃は屈辱的と言えるダメージを二体に与えていた。
このままでは死ぬ。
そう、確かに水蓮のメンバーたちは火竜の討伐という依頼を達成出来た……筈だった。
(血の匂いがびっしり残ってる……って、ことは、元は……こいつ、元は火竜なのか?)
アラッドの想像通り、目の前の轟炎竜は元々二体いた火竜の片方。
では、もう一体はどこにいったかと言うと……腹の中、もしくは一体化したといった方が正しいかもしれない。
このままでは死ぬと悟った二体は水蓮のメンバーが撤退した後、そのまま殺し合った。
互いに恨み妬みがあった訳ではない。
ただ……互いに本能がそうしろと叫んだのだ。
結果、一体が片割れを倒し……そのまま全てを食らい尽くした。
そして偶然なのか奇跡なのか、傷が癒えるだけではなく……進化を果たした。
間違いなく、戻ってきた水蓮のメンバーは憔悴しきっており、テンションだだ下がりの状態。
加えて、エースであろう女性冒険者が「待ってくれ!!」と叫んだ。
というか、現在ダッシュで二人の後を付いてきている。
(水蓮のメンバーだけがやられてるとは思えない。二体の火竜も重傷を負ってるだろうけど、追い詰められた獣の方が恐ろしいことは良くあること!!)
もう……胸の高鳴りが抑えられない。
戦える時間は一分にも満たない……もしかしたら三十秒程度で終わってしまうかもしれない。
しかし、それでも構わないという思いすらあった。
それは火竜と戦えることをアラッド以上に期待していたスティームも同じ。
後方からちょくちょく叫び声が聞こえてくるものの、そんな事……どうでも良かった。
二人はまだ残っている強烈な気配を辿り、スタミナなど気にせず全力で走った。
「おいおい……待て待て……どういう事だ」
目の前には、確かに火属性のドラゴンがいる。
そう……火竜と同じく、ドラゴンというモンスターであることに変わりはなかった。
(実際に火竜を見たことがある訳じゃない。でも、こいつは……)
そもそもの問題として、二人の前には一体の火竜しかいなかった。
「なっ!? こ、こいつは……どういう、ことなんだ」
追い付いた水蓮のメンバーであり、今回の派遣隊のエース……熱喰らいの二つ名を持つ女性冒険者、アリファは……
目の前のモンスターに見覚えがなかった。
「……ギィイィィイイアアアアアアアアア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!!!!!!!!!」
再び自身の元に現れた人間の姿を見下ろしながら……一体のドラゴンは山全体を揺るがすほどの咆哮を放った。
(っ!!!??? こいつは…………なんで居るのか解らない。ただ、どう考えてもそのランクなのは間違いない)
目の前で悠然とアラッドたちを見降ろすドラゴンは……火竜ではなく、轟炎竜。
火竜の上位種にあたる存在であり、ランクはA。
何故、ランクAのドラゴンがウグリール山にいて、先程まで水蓮のメンバーと戦っていた筈の二体の火竜がいないのか。
原因は水蓮のメンバーと戦っていた時まで遡る。
今回の派遣隊のエースであるアリファは……熱喰らいの二つ名の通り、火を食らい……自分の力に変える事が出来る。
属性魔力を持つ者に極稀に現れる現象。
喰らえるのは魔力を含む火と限定されており、森林火災などを抑えられる訳ではない。
ただ、それでも攻撃だけではなく防御などにも使用出来る、極めて優れた能力。
加えて、アリファは同じ効果を持つ魔剣、フレイムイーターを装備している。
水魔法をメインで攻めるといった手段より、よっぽど優れた対策と言える。
その対策通り……アリファたちは戦闘が始まってから、優位に戦いを進められていた。
誰かが負傷することはあれど、事前に作戦を練ってイメージを共有していたこともあり、即座に回復を行い……このままいけば全員重傷を負うことなく倒せる……そう、全員が思っていた。
だが……最後にアリファが火竜のブレスを食らい、自身の火もブレンドさせ……二体を一度にぶった斬るほどの斬撃を放った。
その特大炎刃は……結果として、二体に致命傷を負わせた。
他の冒険者たちもあと一歩で倒せると、油断はしていなかった。
既に攻めの姿勢を取っていたが……次の瞬間、強烈な怒りが彼等を襲った。
これまでモンスター、同じ人間などから多くの怒りをぶつけられ、耐性が付いてた。
そんな彼らが、脚を止めてしまった。
自分の火を利用された……加えて、敵の火で致命傷を受けた。
この二つが二体の怒りを爆発させた。
結果、二体揃って放たれた特大のブレスはアリファのキャパを越え、防御失敗。
ほんの数瞬ではあるが体が止まってしまっていたこともあり、他のメンバーも殆ど防御が間に合わなかった。
行動不能なメンバーもいたため、アリファやベテラン組は撤退を選択。
そんなあ水蓮のメンバーを……二体の火竜は負わなかった。
怒りこそ爆発したが、逆鱗状態になることはなかったため、死ぬまで水蓮のメンバーを追いかけまわすことはなかった。
しかし、魔力も尽きかけており、なによりアリファが放った炎刃は屈辱的と言えるダメージを二体に与えていた。
このままでは死ぬ。
そう、確かに水蓮のメンバーたちは火竜の討伐という依頼を達成出来た……筈だった。
(血の匂いがびっしり残ってる……って、ことは、元は……こいつ、元は火竜なのか?)
アラッドの想像通り、目の前の轟炎竜は元々二体いた火竜の片方。
では、もう一体はどこにいったかと言うと……腹の中、もしくは一体化したといった方が正しいかもしれない。
このままでは死ぬと悟った二体は水蓮のメンバーが撤退した後、そのまま殺し合った。
互いに恨み妬みがあった訳ではない。
ただ……互いに本能がそうしろと叫んだのだ。
結果、一体が片割れを倒し……そのまま全てを食らい尽くした。
そして偶然なのか奇跡なのか、傷が癒えるだけではなく……進化を果たした。
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