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五百四十八話 無敵感
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(こりゃあ……しっかり、狂化には狂化で返さないとな!!!!!!!!)
過剰攻撃になるかもしれないと容易に想像がつくも……アラッドは強化を発動し、迅罰を構える。
「一切惜しむことなく、お前の全て振り絞れ!!! 絞り尽くせッ!!!!!!」
「ダマレェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!!!!!!!」
まだ冷静さが残っていれば、折角偶然が重なって手に入れたスキルは既に敵も会得しており、練度で敵わないと解ったかもしれない。
だが……流れで初めて狂化を使用することになった頭領にそんな冷静さがある訳がなく、アラッドの言葉など知ったことではないが……文字通り己の全てを賭して最後の一撃を放った。
そしてアラッドはその一撃を避けることはなく、全力で迅罰を振るった。
結果…………頭領の大斧は刃の部分が大きく凹み、頭領自身は後方の壁に叩きつけられ、その衝撃でアジトが揺れた。
「ガ、ふっ……なん、なんだよ……てめぇ、らは」
覚えたての狂化だったこと、肉体の損傷があまりに激しかったことなどが重なり、発動から一分も立たずに狂化状態が解けた。
「……あんた、同じことをあんた達に襲われた商人、冒険者たちも考えたと思わないか? なんで俺たちを狙うんだって。なんで、お前らみたいな存在が居るんだってな」
「へ、っ……俺ら、みたいな、連中は……殺されて、当然、ってか」
「あんたにどんな過去があったかなんて知らないが、一方的に大量殺人を行ったんだ……逆に殺されない理由がると思うか?」
答えを聞かず、剣先で喉を貫いた。
(ったく、あれだけ相棒を殺されたことで怒れるなら、もう少しまともな生き方を出来たと思うんだけどな…………まっ、過ぎた事をこれ以上悩むのは止めよう)
そういえば、と思ったタイミングでホワイトタイガーの生首がとんできた。
(……普通に考えて、ホラー的な流れなんだろうけど、慣れって怖いな)
顔を上に向けると、そこには良い笑顔をしたスティームがいた。
「いやぁ~~~~~、本当に強かったよ。流石Bランクモンスターって感じだったね!!!」
「そうか……とりあえず解体は後にして、回収出来る物を回収してしまおう」
スティームは今回の戦闘で……見事赤雷を使わず、強敵を相手に勝利を収めた。
とはいえ、圧勝ではなく辛勝。
体には幾つもの裂傷が刻まれていた。
「スティーム、お前は休んでろ」
「いやいや、そういう訳にはいかないよ。まだ残党が残ってるしね!」
「良いから休んでろって。お前……今、凄いハイな状態だろ」
「ハイな状態って言うと、凄い興奮してる状態?」
「そうそう、そんな感じ。とにかく一仕事終えたんだ、今は休んでろ」
説明をめんどくさがりながらも、アラッドはとにかく休めと伝えた。
本人としては確かに体は傷だらけ。
しかし、スタミナに関してはまだまだ暴れ回れるほど有り余っている……と、錯覚した状態。
まだ数分は本当にトップギアの状態を維持出来ても、どこかのタイミングでプツンと切れてしまう。
魔力はまだ残っているため、スティームが特別強い盗賊以外に負けるとは思わないが、その一瞬の隙が命取りになる可能性は十分にある。
「それに、残党に関してはクロとファルがなんとかするだろ」
「そういえば、全員向こう側に逃げて行ったってことは……ちゃんと逃げ道を用意してたってことだよね」
「だな。元からもう一本の出入り道があったのか、それともテイムした従魔に掘らせたのか……まっ、どっちでも良い話か」
やる事を全て終わらせた後、二人はアジトから少し離れた場所でホワイトタイガーとマウンテングリズリーの解体を開始。
ちなみに、逃げた残党はクロとファルが一人残らず仕留めた。
「……マウンテングリズリーの肉、美味しそうだね」
「Bランクだかな。多分美味いだろう……街に戻ったら、宿の料理人にこいつを使った料理を作ってもらうか」
解体終了後は寄り道することなく帰還。
「終わらせてきました」
「は、はい……えっと」
二人は先程担当してもらった受付嬢に盗賊団討伐成功を報告。
(やっぱり、俺たちが厄介な盗賊団を一つ倒したって事実が信じられないんだろうな)
それはそうだろうと思い、アラッドはどう証明すれば良いか尋ねた。
「この場に頭領の生首でも出せば良いですか?」
「そ、それは止めてください!」
「ははは、冗談ですよ」
この場に出す、と言うのはジョークであり、生首はその盗賊団のトップを討伐したという確かな証明となる。
「それじゃ、これでどうですか」
「ッ、こちらは……マウンテングリズリーの魔石ですね。ですが、こちらは……ほ、ホワイトタイガーっ!!??」
ギルドは頭領が好んで使うモンスターとして、マウンテングリズリーがいるのは把握していた。
しかし、ホワイトタイガーという二体目のBランクモンスターをテイムしている事までは把握できていなかった。
とはいえ、ホワイトタイガーに関してはここ最近頭領がマウンテングリズリーと共に戦い、従えたニューフェイスだったこともあり、それも仕方がなかった。
過剰攻撃になるかもしれないと容易に想像がつくも……アラッドは強化を発動し、迅罰を構える。
「一切惜しむことなく、お前の全て振り絞れ!!! 絞り尽くせッ!!!!!!」
「ダマレェエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエッ!!!!!!!!」
まだ冷静さが残っていれば、折角偶然が重なって手に入れたスキルは既に敵も会得しており、練度で敵わないと解ったかもしれない。
だが……流れで初めて狂化を使用することになった頭領にそんな冷静さがある訳がなく、アラッドの言葉など知ったことではないが……文字通り己の全てを賭して最後の一撃を放った。
そしてアラッドはその一撃を避けることはなく、全力で迅罰を振るった。
結果…………頭領の大斧は刃の部分が大きく凹み、頭領自身は後方の壁に叩きつけられ、その衝撃でアジトが揺れた。
「ガ、ふっ……なん、なんだよ……てめぇ、らは」
覚えたての狂化だったこと、肉体の損傷があまりに激しかったことなどが重なり、発動から一分も立たずに狂化状態が解けた。
「……あんた、同じことをあんた達に襲われた商人、冒険者たちも考えたと思わないか? なんで俺たちを狙うんだって。なんで、お前らみたいな存在が居るんだってな」
「へ、っ……俺ら、みたいな、連中は……殺されて、当然、ってか」
「あんたにどんな過去があったかなんて知らないが、一方的に大量殺人を行ったんだ……逆に殺されない理由がると思うか?」
答えを聞かず、剣先で喉を貫いた。
(ったく、あれだけ相棒を殺されたことで怒れるなら、もう少しまともな生き方を出来たと思うんだけどな…………まっ、過ぎた事をこれ以上悩むのは止めよう)
そういえば、と思ったタイミングでホワイトタイガーの生首がとんできた。
(……普通に考えて、ホラー的な流れなんだろうけど、慣れって怖いな)
顔を上に向けると、そこには良い笑顔をしたスティームがいた。
「いやぁ~~~~~、本当に強かったよ。流石Bランクモンスターって感じだったね!!!」
「そうか……とりあえず解体は後にして、回収出来る物を回収してしまおう」
スティームは今回の戦闘で……見事赤雷を使わず、強敵を相手に勝利を収めた。
とはいえ、圧勝ではなく辛勝。
体には幾つもの裂傷が刻まれていた。
「スティーム、お前は休んでろ」
「いやいや、そういう訳にはいかないよ。まだ残党が残ってるしね!」
「良いから休んでろって。お前……今、凄いハイな状態だろ」
「ハイな状態って言うと、凄い興奮してる状態?」
「そうそう、そんな感じ。とにかく一仕事終えたんだ、今は休んでろ」
説明をめんどくさがりながらも、アラッドはとにかく休めと伝えた。
本人としては確かに体は傷だらけ。
しかし、スタミナに関してはまだまだ暴れ回れるほど有り余っている……と、錯覚した状態。
まだ数分は本当にトップギアの状態を維持出来ても、どこかのタイミングでプツンと切れてしまう。
魔力はまだ残っているため、スティームが特別強い盗賊以外に負けるとは思わないが、その一瞬の隙が命取りになる可能性は十分にある。
「それに、残党に関してはクロとファルがなんとかするだろ」
「そういえば、全員向こう側に逃げて行ったってことは……ちゃんと逃げ道を用意してたってことだよね」
「だな。元からもう一本の出入り道があったのか、それともテイムした従魔に掘らせたのか……まっ、どっちでも良い話か」
やる事を全て終わらせた後、二人はアジトから少し離れた場所でホワイトタイガーとマウンテングリズリーの解体を開始。
ちなみに、逃げた残党はクロとファルが一人残らず仕留めた。
「……マウンテングリズリーの肉、美味しそうだね」
「Bランクだかな。多分美味いだろう……街に戻ったら、宿の料理人にこいつを使った料理を作ってもらうか」
解体終了後は寄り道することなく帰還。
「終わらせてきました」
「は、はい……えっと」
二人は先程担当してもらった受付嬢に盗賊団討伐成功を報告。
(やっぱり、俺たちが厄介な盗賊団を一つ倒したって事実が信じられないんだろうな)
それはそうだろうと思い、アラッドはどう証明すれば良いか尋ねた。
「この場に頭領の生首でも出せば良いですか?」
「そ、それは止めてください!」
「ははは、冗談ですよ」
この場に出す、と言うのはジョークであり、生首はその盗賊団のトップを討伐したという確かな証明となる。
「それじゃ、これでどうですか」
「ッ、こちらは……マウンテングリズリーの魔石ですね。ですが、こちらは……ほ、ホワイトタイガーっ!!??」
ギルドは頭領が好んで使うモンスターとして、マウンテングリズリーがいるのは把握していた。
しかし、ホワイトタイガーという二体目のBランクモンスターをテイムしている事までは把握できていなかった。
とはいえ、ホワイトタイガーに関してはここ最近頭領がマウンテングリズリーと共に戦い、従えたニューフェイスだったこともあり、それも仕方がなかった。
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